肌寒い日が続くようになってきましたが、この時期は、何よりオシャレが楽しい季節!何にでも合わせることが出来、保温性も高いネルシャツは秋冬に重宝するマストアイテムです。
出典:https://www.pexels.com/photo/city-person-relaxing-sitting-1427/
さらっとTシャツの上に着たり、上から革ジャンを羽織ったり、襟元一番上のボタンまで留めてみたり…と1枚で色々な着方が楽しめるネルシャツは、本来はフランネル(=柔らかく軽い毛織物で作られた)シャツの事を示します。
ブルーカラー労働者の制服としてのイメージももちろんですが、90年代、グランジミュージックとの関わりを深く持ったファッションアイテムのひとつです。
そこで今回は、今季真似したいグランジスタイル!をテーマに、レンタルが開始したばかりの「パロアルト・ストーリー」を含む、ネルシャツの着こなしを参考にできるオシャレムービーをみっちりご紹介致します!
『パロアルト・ストーリー』
カリフォルニア州パロアルトで育ったジェームズ・フランコが手がけた脚本を、ジア・コッポラが独特の世界観を詰め込み監督した、ティーン達の群青劇。
グランジスタイルと言えば、ニルヴァーナのカートコバーンと言っても過言では無いと思います。破れたジーンズにネルシャツ、カーディガン、ふざけた帽子…
パロアルト・ストーリーで、注目したいのは期待の若手俳優、ジャック・キルマーが演じるテディのスマートなグランジスタイル。本作では、ジャックの私服をそのまま撮影に使用したというから驚きです。
彼はチェック柄では無く、赤と黒のウエスタンデザインのネルシャツを襟元のボタンまでしっかり閉じ、上にジージャンを羽織るスタイルを見せてくれます。八部丈程の絶妙なクラッシュジーンズ、VANSの黒スニーカーは、女の子でも真似したくなるスタイリッシュなグランジファッション。
スケボーを乗り回すシーンでは、ボーダーのカットソーに着心地の良さそうなカーディガンを羽織り、まるでカート・コバーンを小綺麗にしたかのような出で立ちで、エマ・ロバーツ演じるエイプリルに優しく話しかけます。中性的で細身なシルエットや、素行が悪くても消えない上品な面持ち、真っ直ぐでシャイなテディに気付くと心奪われてしまっています。
本作は、10代の若者が日々の現実、思い描く理想やまだ見ぬ将来に、不安や孤独を抱えながらやり過ごす毎日を描いています。大人の裏切り、はっきり言えない「NO」、平気じゃないのに平気な振りをしたり、虚勢を張ったり、わざとメチャクチャな行動に出たり。
少年、少女時代を経験したことがある人には、きっとどのキャラクターにも感情移入する瞬間がある、とても身近で、あの頃のむず痒い痛みを代弁してくれる貴重な作品。どうしようもなく寂しくなった時は、彼らと一緒に膝を抱えて、彼らと一緒に小さな希望を見つけてください。
DVDに収録されているメイキング映像も是非チェックして頂きたいと思います!フレッド役のナット・ウルフは本編でギターやピアノを演奏し、ハチャメチャな即興ソングを歌っていますが、ここでもイカした弾き語りを披露!期待の若手俳優達の素顔に迫った、魅力満載なメイキングに仕上がっています。
『ロード・オブ・ドッグダウン』
1970年代、アメリカ西海岸のドッグダウンで、サーフィンとスケートボードに夢中な若者が、Z-BOYSというチームから斬新なスケートボードスタイルを世に広めていく、実話を元にした青春ムービー。
作中では、エミール・ハーシュ演じるジェイ・アダムスが、紺チェックのネルシャツを襟からボタンを2つだけ留め、バンダナを頭に巻くストリートファッションで登場します。
時折かぶる黒のハット、首元のタトゥーが妙にセクシーで魅惑的。上半身裸で去っていく後ろ姿、キュッと引き締まった腰のくびれに、唾を飲み込んだのは私だけじゃないはずです!
スケーターシューズと言えばVANSオーセンティックのスニーカーですが、彼らが愛用する、ボロボロに履きつぶしたコバルトブルーのVANSシューズ、ボロボロのジーンズ、Tシャツの三点セットは直ぐに真似したくなる、ならず者ファッション。
90年代、グランジスタイルのアイコンだったカート・コバーン、70年代のストリートアイコンはまさに、ジェイ・アダムスでしょう。長めに分けたブロンドの髪、2人は心なしか似ている気がします。
ファッションも本作の見所ではありますが、映画としても最高の一作!スピード感のあるカメラの切り方が、こちらまで滑っているような感覚にさせてくれます。
スケーターとして持て囃される若者が、富や名声を求めてバラバラになるも、久しぶりに仲間全員が集まり、懐かしいプールでのスケートに夢中になるラストシーン。滑りたくてウズウズしちゃって、もう!!ってネルシャツ脱ぎ捨ててプールにダイブ!若い男の子達の友情に気付くと涙しています!
ジミヘンをBGMに女の子を誘惑したり、道行くオシャレおばあさんに暴言吐いたり、すぐに喧嘩し始めるし、他人の家に勝手に忍び込むし、やりたい放題でどうしようもない彼らですが、それはもう凄くカッコいいんです!流れるサントラもイカしてる!シビれること間違い無しの傑作です。
『シングルス』
シアトル、90年代「HAVE FUN STAY SINGLE」を合言葉に、独身者限定のアパートに住む、複数の男女の恋愛模様を描いたキャメロン・クロウ監督のど真ん中グランジムービー。気取らない登場人物たちに好感が持て、何だかちょっぴりダサい台詞と行動があいまって、とてもキュートな作品に仕上がっています。
長髪バンドマンのマット・ディロンが観れるレアな作品ですが、ガールフレンド役のブリジット・フォンダが、誰でも真似できる可愛いグランジファッションで登場します。チェックのシャツを愛用する彼女、赤いネルシャツの上に鍵編みニットのベストを羽織ったり、長めの3連ネックレスを合わせたりと、さり気なくかつ高度なコーディネートに注目です。
個人的には、マット・ディロンのヨレヨレTシャツの重ね着もGOOD!主人公たちが住む部屋もそれぞれの個性が出ていて、観てるだけで楽しいこだわりっぷりです。
ブリジット演じるジャネットは、恋人クリフの電話を自分の部屋で待っているのですが、何かと理由を付けて自分から電話をかけるようにこじつけます。紙くずを投げゴミ箱に入れば電話する、とか、あと10分経ったら電話する、だとか。でも結局ことごとくそれを破って受話器を取るジャネット。身に覚えありすぎる彼女の行動に思わず笑ってしまいます。
結婚を考える別のカップルが、映画館で騒ぐ子供を見て、「本当にいいの?」と確認しあうところも実にリアル。恋愛って楽しいだけじゃなくて、そんな自問自答の繰り返しだったりしませんか。でも彼らを見ていると、たまには盲目になって運命の相手を追い求めるのもいいのかな、ってそんな気になるから不思議です。
クリフのバンド仲間としてパールジャムのメンバーが出演していたり、オープニングとエンディングで流れるポールウェスターバーグもよくハマっているし、ストーリー、音楽、ファッションを合わせた総合点が高い一作。80年代の華やかさを失った90年代、少し肌寒くて、しがなくもほんのり温かいシアトルの空気に浸ってください。
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『ラスト・デイズ』
ガス・ヴァン・サント監督が、若くしてこの世を去ったニルヴァーナのカート・コバーンをモデルに、天才ミュージシャン、ブレイクの最期の2日間を収めた作品。
マイケル・ピット演じるブレイクは、グランジファッションや、神秘的な雰囲気も含め、見事にカートをスクリーンに蘇らせています。徐々に正気を失っていく様子、言葉少なく語られる苦悩や絶望感に、ジリジリと蝕まれるように胸が痛くなり、カートのファンにとっては辛い描き方かもしれません。死に至る理由に触れていないのは、また彼自身の死も、謎に包まれたままだからでしょう。
ソニック・ユースのメンバーが音楽を担当、キム・ゴードンがカメオ出演など、音楽好きな監督こその拘りの配役。今は亡きカリスマミュージシャンに思いを馳せるには、この肌寒い季節にぴったりの寂しい一作です。
『愛と青春の旅立ち』
キラキラした若き頃のリチャード・ギアがパイロットになる為、辛い訓練を経て、友情や愛を育んでいく王道青春ラブストーリー!恋人を迎えに行くベタベタな展開も、もはや本作の醍醐味と言えます。
ラストシーンでヒロインのデブラ・ウィンカーが羽織っているベージュチェックのネルシャツが実にキュート!工場で働く彼女の、ブルーカラーの象徴としての衣装ですが、髪をまとめる為に被っているハンチング帽も合わせて真似したい、個性的な一枚です。同タイトルのテーマソングが流れ始めたら、「くうー!」と思わず唸りたくなる、甘酸っぱい名シーンを堪能してください。
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年代もストーリーも様々な作品をご紹介しましたが、映画から学ぶネルシャツファッション、如何でしたでしょうか?映画から学べるオシャレ、”カッコイイ”や、”かわいい”は無限大です!
今季は、スクリーンの中のヒロインや主人公に成り切って、お気に入りのシャツを羽織って是非出かけてみてください。きっと冷たい風もシャツを翻す味方に…いつもの見慣れた風景が、変わって見えるはずです!
※2021年11月28日時点のVOD配信情報です。