アナタはシャマランを勘違いしている!新作『ヴィジット』が100倍面白くなる観賞法

2015.11.05
洋画

Why So Serious ?

侍功夫

M・ナイト・シャマラン監督の新作『ヴィジット』が公開されました。

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多くのメディアでは「『シックス・センス』のシャマラン完全復活!」といった謳い文句で本作の面白さを伝えています。

はぁ?…… ちょっと待ってください!

確かに近年の『エアベンダー』は面白がるには難易度の高い作品だったし、『アフターアース』はウィルとジェイデンのスミス親子の映画だという印象が強くあります。しかし、それでも『シックス・センス』以降良い映画が無かった様な言い草には首を傾げざるをえません。

むしろ『シックス・センス』以降の作品こそ、多くのシャマラン支持者“シャマラニアン”を生み、シャマランへのマトはずれな罵詈雑言に心を痛めるハメになっているのです。そこで、“シャマラニアン”である筆者がシャマラン作品をいかに愛でているのかを詳らかにしていくことで、新作『ヴィジット』の楽しい観賞法の手引きとします。

『シックス・センス』どんでん返しの勘違い

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そもそも。多くの人がシャマランを「どんでん返しの監督」として記憶しています。これは『シックス・センス』のストーリー・テリングの巧みさで多くの人がまんまと裏をかかれてしまったことに起因しています。しかし、よく思い出してみてください。映画中盤あたり、物語が展開していくきっかけになる、本作で一番有名な台詞です。

ボクには死んだ人が見えるんだ…… (I see dead people……)」

最初っから見えるって言ってるんですよ! 公開前のCMでもこの台詞は多用されていましたし、多くの人が「幽霊を見てしまう少年の物語」として劇場に向かったハズです。オープニングではブルース・ウィリス演じるマルコムの死さえ描かれています。

世の人々の言う『シックス・センス』の「どんでん返し」とは、よもやメインキャラクターを映画が始まる最初の場面で殺すとは思えない、という先入観に対して、素っ頓狂なまでに真正面から豪胆に描いた情景が引き起こした勘違いのことなのです。

シャマランは裏の裏をかいて正面を向く

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『アンブレイカブル』の直訳は「壊れない」です。そこにブルース・ウィリスが大写しになっているんですから、彼が「壊れない」のは明白です。さらに、映画が始まってすぐ、ミスター・ガラスが自身の営むコミック画廊でこんな講釈をたれている場面が登場します。

「コミックのお約束としての悪役の頭を大きく描く特徴が、この作品には顕著に表れているんです。」

その説明をするミスター・ガラスの頭が奇妙に膨らんだアフロ・ヘアーになっているのは彼自身の説明そのままです。

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『サイン』では、宇宙人が飛来した際の痕だとされるミステリー・サークルが、実は宇宙人が次に襲う家を記した「サイン」であったという超ド級のド直球勝負です。さらに、主人公グラハムの奥さんは死の直前にこんな遺言を残します。

「グラハム、見て! そしてメリル、カッ飛ばして!」

終盤、宇宙人に襲われたグラハムは部屋を「見て」バットを見つけ、メリルに「カッ飛ばす」よう指示します。奥さんの遺言そのままです。

『シックス・センス』の「死んだ人が見えるんだ」という告白もそうでしたが、あまりに真正面から描かれ過ぎているので、ほとんど本能的に穿った解釈をしてしまい、結果として裏をかかれるというのがシャマラン映画であり、思う存分穿って見つめて振り回されるのがシャマラン映画の楽しみ方なのです。

『レディ・イン・ザ・ウォーター』野放図な記号表現が生む感動

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また、シャマランを語る上で絶対に欠かせないのが『レディ・イン・ザ・ウォーター』です。多くのシャマラン・ファンがこの作品をきっかけに「私はシャマラニアンである!」と、シャンランを批難する世論に対し反旗の狼煙を上げることとなった、シャマラニアン心の1本だと言えるでしょう。

世界を滅亡から救う本のアイデアを作家(シャマラン本人)に伝えるためにやって来た「ストーリー」と名乗る妖精を助けるため、戦士や傷を癒すヒーラーなど役割を持った人々を探しだし、悪の存在からストーリーを守りぬく、という壮大な物語をフィラデルフィアの安アパート1棟のみ、もっさりしたオッサン、オバハンのみで展開させていきます。

例えば、仮面ライダーの人形を手に遊ぶ小さな子供が「ライダーキックだ!」とペットボトルを倒した時、子供の頭の中では怪人が巨大な炎を巻き起こして爆発し、世界の平和が訪れています。実際にはペットボトルがコトンと控えめな音を立てて倒れるだけですが。

シャマランが『レディ・イン・ザ・ウォーター』で描いたのは「世界の平和を守るためにペットボトルを倒す」その情景です。世界の命運を賭けた戦いを、安アパートとオッサンオバハンだけで表わしているのです。この野放図とも言える記号表現を正しく解読した者は感動の涙を流し、受け付けず拒絶した者が罵詈雑言を投げることになりました。

“シャマラニアン”の秘かな楽しみ

シャマラン作品のもう一つの楽しみに、静謐で真面目なトーンで繰り出されるギャグの数々があります。

『シックス・センス』ゲロ吐いてスッキリする幽霊。『アンブレイカブル』どうしても父親を拳銃で撃ってみたい少年。『サイン』パターソン・フィルムの雪男そっくりに歩く宇宙人やアルミホイルのとんがり帽子。『レディ・イン・ザ・ウォーター』片腕だけ鍛える奇妙な実験に取りつかれた男、などなど。

中でも特に秀逸なシャマラン・ギャグは『ハプニング』の「模造観葉植物に弁明する場面」でしょう。どうやら植物が人間の精神を狂わせる何かを出していると知らされたマーク・ウォルバーグ演じるエリオットは、逃げ込んだ家の観葉植物に弁明を始めます。しかし、プラスティックで出来た模造品だと気付くのですが、それでも「一応言っとくか……」と締めます。

最新作『ヴィジット』で冴えるシャマラン節

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画像参照:http://thevisit.jp/

新作『ヴィジット』は無名俳優を起用し、POV方式で撮影された低予算映画ながら上記した様なシャマラン演出が冴えわたっています。

映画監督志望のお姉ちゃんベッカと、やんちゃ盛りの弟タイラーが招待を受け、長らく音信不通でいた母方の両親の住む田舎町へ1週間の旅行に出掛けます。到着した2人を温かく迎え入れてくれたお爺ちゃんお婆ちゃんですが、話しかけても無視することがあったり、夜になると部屋を駆け回ったり奇行が目につきだします。歳も歳だしボケ始めたのだと納得はしますが、それでも好奇心は抑えられず、驚愕の事実と向き合うハメになるのです。

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画像参照:http://thevisit.jp/

お爺ちゃんお婆ちゃんの謎は観賞の楽しみにとっておくとして…… 本作にはシャマラン・ギャグが盛りだくさんに詰め込まれています。特に、ベッカとタイラーが縁の下を迷路に見立てて鬼ごっこをしているところに、何の前触れも無くお婆ちゃんが本気で参戦し始め、猛スピードで2人を追い立てる場面は、凄まじい恐怖と強烈なバカバカしさが同居する、前人未到のギャグシーンになっています。

また、ベッカとタイラーは出て行った父親と、残された母親に、それぞれ負い目を持っています。その負い目からベッカは自分自身を見ることを極端に避け、タイラーは極度の潔癖症となっています。お爺ちゃんお婆ちゃんの謎や、姉弟の負い目、母親への気遣いなどが重なり、連なり、糾わりあって感動を呼ぶ見事な展開を見せていきます。

『ヴィジット』はシャマラニアン的な観点から言っても、見やすくて解りやすい楽しい映画になっています。

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画像参照:http://thevisit.jp/

今までシャマランを「どんでん返しの監督」としか認識出来ていなかった人も『ヴィジット』から、逆引き的に過去作もシャマラニアン的な視点で見直してみてはどうでしょうか?

真面目くさった顔でギャグを飛ばしつつ、切実な物語を、奇妙な方法で描いていることが解るハズです。

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  • Saz
    3.6
    ただただ不気味。ばーちゃん怖すぎ。 と思いきやじじいのウ○コオムツがトラウマになる。怖いけど結構笑える。
  • HIROKI
    3.5
    構図が素晴らしい。 全体的に笑える箇所が多いババア恐怖映画。 オーブンのシーンとラップがツボ。
  • みそ
    3.8
    あらすじとか、映画予告とかから、なんとなくソウとかファニーゲームみたいな映画かと思ってた。 いい意味で裏切られました。とても良かった!わくわくした。 じじばばがすごい不気味。 パッと見ただけでヤバそうだなと思う外見。 もっと現実味がない話と思ってたけど、じじばばがぼけてきてるとか、病気とか、おむつとか…現実にありそうやないか。 予想外の展開で最後らへんハラハラした! 地下には入るなって冒頭であったので、ヤバい人達なんだろうなと思ったけど、予想外だった そしてやはり一番のインパクトはじじのおむつである… トラウマになった。違う意味で怖すぎる。 ホラーでなく別次元の問題 はばの床下這いずり回るやつ怖かった。。 暗闇の中じゃなくて、昼間の明るいときに身動きの取れないシーンっていうのが斬新 ちょいちょい貞子をおもわせるシーンがあったけど偶然かしら それからばばの振り向いたあとの尻が……おかん、ヒッピーだったから裸で日光浴って、、ヒッピーに馴染みなさすぎてわからん笑 数え切れないほど、おもしろいシーンがあった。 人が撮ったように見せるのが一番難しかったと監督は言っていた。 確かに、こんな時にビデオ回せる子供居ないよ!とつっこみを入れる場面は多かったけど、視点がほんとに面白かった。 あとT.ダイヤモンドの設定とかキャラがそれぞれしっかりしてて、監督のこだわりがみえる シックスセンスとかで有名な監督は自分の殻をやぶるための本作らしい。 プロのバスケ選手がストリートバスケをやるみたいなものだそう。例えがうまいね
  • ポチ
    2.8
    何をメインに観ればいいんだろう…?怖さ?家族の傷を癒すところ?中途半端に感じる。 タネも途中からわかるし、怖いというのもほぼビックリポイント。 あの状況で地下に行く姉も意味わからない。 最後のラップも、要る…? モヤモヤ。
  • すずき
    3.4
    若い頃家出した事を今でも悔い続けている母親への許しを貰うため、映画監督志望の姉ベッカとラッパー志望の弟タイラーの姉弟は祖父祖母の家に一週間泊まりに行く。 姉弟がそれぞれ持つカメラの映像、という設定で、爺婆の奇行を激写する田舎老人ホラー。 こ、怖え!! こんなに怖いとは、鑑賞前完全に侮ってました。 ホラー苦手なんだけど、最近古いホラーとか面白く鑑賞してるから、と思ってたらこれだよ! ワタシ的最恐の1本!といってもそんなにホラー見てないので、ホラー玄人の方々は期待されるな。 血液やグロは無し、うんこは有り。 そして、びっくり演出は沢山! 私、びっくりは一番苦手だー。お化け屋敷とか大嫌いだもん。 基本的には、夜の場面に怖いシーンあるんだけど、昼の場面でも油断ならん。 何かありそうで、何もない。何もなさそうで… そう思い始めると、もういつびっくりさせられるか分からないから、疑心暗鬼で全て怖いシーンになっちゃう。 「殺人鬼や怪物は、登場するまでが一番怖い」って感じる、私の様な人には、こうかはばつぐんだ! 一応人間ドラマ的なシーンもあるけれど、警戒しすぎて頭に入ってこない! 今回のレビューが「怖い」だけで内容がいつも以上に薄いのは、鑑賞中ずっとビビってた為なのです。 笑える映画、と聞いてたが、あんまり笑えなかったなあ…
「ヴィジット」
のレビュー(9886件)