チケット即完売!いい短編映画と出会える 「夜空と交差する森の映画祭」の魅力とは

2015.11.27
映画

FILMAGA編集部

フィルマーくま

森の映画祭インタビュー

今年2015年10月に開催された、日本初の野外映画フェス「夜空と交差する森の映画祭 2015」。

前回2014年から規模も来場者枠もスケールアップ。クチコミを中心に話題を集め、チケットも早々に完売するほどの盛況ぶりを見せ、幕を閉じた。今回、イベントの魅力やコンセプトについて、実行委員会代表の佐藤大輔さんと副代表の上久保充さんにお話を伺いました。

—初めに「夜空と交差する森の映画祭」を企画したきっかけについて聞かせてください。

佐藤:ドライブインシアターのような野外での映画鑑賞を体験してみたいという思いがまずありました。それをきっかけに、スクリーンを上空に張って、夜空を見上げながら映画を観るというアイデアを思いついたのが原点です。それは、前回の2014年開催時に早速実現できました。

網目状のスクリーンを見上げる角度に張って、映画の向こう側に星が見える仕立てにしました。あいにく当日は曇ってしまいましたが…(笑)

森の映画祭インタビュー1

—「夜空と交差する」というイベントタイトルにはその「スクリーンの向こうに星空」という思いが込められていたわけですね!

上久保:はい、ただ天気次第で星空にならないこともあるので、「夜空」にしました(笑)

佐藤:そう、実はリスクヘッジして(笑)森の映画祭は、そのスクリーンのアイデアから始まりました。

—2回目となる今年は会場が変わり、規模も大きくなりました。元からその構想はあったのでしょうか?

佐藤:去年の開催時から、この映画祭をずっと続けていくとしたら極力場所を変えたいなと考えていました。野外イベントは大きく2種類あると思います。

ひとつは、地域密着型でその土地で開催することに意味があるタイプ。もうひとつは、開催場所に左右されないコンテンツが軸になるタイプ。森の映画祭は、後者だと思っています。

—そんな中でも、これまでの2回で森を選んだのはなぜですか?

佐藤:夜の森は、いちばん不思議でファンタジックな雰囲気があると思って選びました。でも、森が必要なのではなくて、そこにしかないシチュエーションや空間、そしてその場で五感から感じられる空気と共に映画を「映画体験」として楽しんでもらうことこそが僕らのコンセプトです。

森の映画祭インタビュー2

佐藤:「次回も同じ場所で続けてほしい」という声はあったのですが、僕らとしてはお客さんにとっても「今年はこういう場所やるんだ」という楽しみを感じて欲しいですし、いろいろな外的なノイズを浴びながら映画を観る体験を楽しんでほしい。場所が変われば流す作品も変わるし、感じることも変わってくるはずですよね。

たとえば、冬の極寒の北海道や鳥取砂丘、無人島でもいいかもしれない。鳥取砂丘で『マッドマックス』を観るとか(笑)

上久保:それいいね(笑)主役はあくまで映画でありつつ、いろんな場所にトライしたいですね。「森の中でホラー映画を流す」というのも多かった意見のひとつです。今回は見送りましたが、逃げ場のない森の中で、そこにいる人たちだけで恐怖体験を味わうのもいい。

森の映画祭インタビュー3

佐藤:今回はステージが複数ありましたが、シチュエーションと作品ジャンルを絞ったスピンオフ企画もできるかなと考えています。野外映画フェスとしては、しばらくは森の「交差する」シリーズを続けて、この映画祭を広く定着させていくことに注力するつもりです。

—森の映画祭では、ショートフィルムや自主映画作品が数多く上映されていますね。これはなぜでしょうか?

佐藤:僕自身も自主映画を作っている身として、自主映画を一般の人に幅広く観てもらう機会はまだまだ少ないのではないかと思っています。

森の映画祭のコンセプトは、特別な映画体験を届けたいということはもちろんですが、もうひとつはフェス感覚で気軽にショートフィルムや自主映画を楽しんでもらえる機会になればいいなと。音楽フェスで、メジャーアーティストが大きなステージで演奏している裏のステージへふらっと行ったら、「こういうアーティストもいるのか!」と発見する感じ。その映画版をやりたいという気持ちがありました。

—たしかに魅力的な自主映画作品が増える一方で、それを観る人がまだ少ない状況はあるかもしれませんね。

佐藤:ショートフィルムや自主制作映画ってジャンルは、映画関係者やコアなファンの中に留まっていて、広がっていないと思います。インディーズ作品を取り扱った既存の映画祭の多くも、新しい観客を開拓するところまでに辿り着けていない気がしています。それも踏まえて、森の映画祭では、一般の人にとってハードルになるようなことは避けています。

森の映画祭インタビュー4

—たとえばどんなことを?

佐藤:毎年、『ビッグ・フィッシュ』『くちびるに歌を』のようなメジャータイトルを上映ラインナップに入れています。その理由は、人に伝える時にわかりやすい作品があるとよいかなと。「自主映画を50本やる映画祭だよ」だとなかなか反応が少ないけど、「新垣結衣が出てる映画もやるよ」と言えば入り口が広がる。

ビッグ・フィッシュ

−映画鑑賞以外にも、アウトドアやイベントの雰囲気を楽しみに来場されている方は多そうですね。

上久保:そうですね、全ての上映作品が決まる前にチケットが売り切れるというのは、その現れかなと。必ずしも自主映画が好きで来ているとは限らないと思います。「キャンプや雰囲気を楽しみたい」という動機で来てくれて、その流れで自主映画も楽しんでもらっている。

佐藤:森の映画祭は、他の映画祭と比べて、自主映画を観たことない人たちが自主映画を観ている率がかなり高いと思います。チケット販売サービス(Peatix)のアンケート機能を使って調べたところ、購入者の約70%が女性でした。また、75%が20代です。これって、映画祭としてはかなり珍しいのかなと。

森の映画祭インタビュー5

−森の映画祭では、佐藤さんご自身が映像クリエイターとして抱えている思いが、良いカタチで反映されているようですね。

佐藤:初めてショートフィルムや自主映画に触れるタッチポイントとしてはかなり貢献できていると思います。映像を制作する一人の人間としても、こういう場ができるのは嬉しいです。今後は、映画監督や映像クリエイターたちが「森の映画祭を目指して作品をつくるぞ」というように、作り手の目標のひとつになれたらなおいいなと思っています。

—昨年の約2倍(2300名)の総動員数を目の当たりして、どんなことを感じましたか?

佐藤:去年は初開催ということもあって、開場した途端に人がドンドン入ってくるのを見るだけでグッときました。

今年はいい意味でも慣れて出来たと思いますが、そんな中でも来場者用メッセージボードは「おお!」と思いました。というのも、開場が15時だったのですが、17時頃には既にメッセージで全部ボード埋まっていて、「何が起きたんだ!」と驚きました。元から書いてあったのではないかと思うくらい(笑)

森の映画祭インタビュー6

上久保:規模も大きくなって、スタッフに作業をお任せするケースも多かったんですが、それにみんなきちんと応えてくれました。気づいたらエントランスゲートが出来上がって時はグッときましたね。

—会場の装飾はイベントの雰囲気づくりに重要な要素だったと思うのですが、あれはどのように?

上久保:装飾はほとんどハンドメイドです。まず、ステージ毎の雰囲気や装飾品の具体的なイメージを固め、会場演出スタッフ全員に意識共有できるよう、会場写真の上からイメージイラストを描いた資料を共有しました。

その後、100円ショップや布屋で材料を集めて、ネットでクラフトワークの作り方を調べて、エントランスゲートやメッセージボード含め、会場演出スタッフみんなで手作りしました。都内で10畳ほどある倉庫を借りて準備しました。

森の映画祭インタビュー7

佐藤:普段は会社員として働いている人も多くいる中で、スタッフ総勢150名、何かしらの意義を感じてやってくれていた人が多いと思います。

上久保:指示された通りにただやるだけの単純作業にしてほしくないという気持ちがあって、それぞれ自分で楽しみを見出してほしいなと。

そうすることで、ボランティアスタッフのみんなにもいい思い出になるはずだと。そうして準備してきたものが1日で終わってしまうという儚さもあったりしますが、それは1日限りのイベントだからこその醍醐味だったりもする。大人の文化祭みたいな感じですよね(笑)

佐藤:ただ、運営面に関してもまだまだ至らない部分が多くて課題は山積みといった感じです。今後はもっと立体的に考えていきたいと思います。

森の映画祭インタビュー8

—最後に次回への展望を聞かせてください。

佐藤:次回の構想についてはこれからですが、規模を大きくするよりも今回見つけた課題をクリアして、イベントをブラッシュアップしていきたいです。それと、砂漠だったり無人島だったり、スピンオフもやってみたいなと思っています。

森の映画祭インタビュー9

佐藤さん、上久保さん、ありがとうございました!

■プロフィール

代表 佐藤大

1988年山梨県甲府市生まれ。上智大学理工学部出身のフリーランスの映像クリエイター。自主映画の製作も行いつつ、森の映画祭などのプロジェクトの企画から運営まで行っている。

副代表トディレクタ 上久保充

1988年青森県五戸町出身。フリーランスのグラフィックデザイナー・イラストレーター。森の映画祭ではウェブサイトやパンフレットなど各ツールのデザインからステージのコンセプトメイキング・会場演出などを手がける。

夜空と交差する森の映画祭2015 公式サイト

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS