ヒーロー役から悪役まで何でもござれ!今、プロレスラー&格闘家出身スターが熱い!

気づいたら映画ファンになっていた

松平光冬

12月4日公開の007シリーズ最新作『007 スペクター』。ジェームズ・ボンドが、自身の幼少期の秘密に関わる謎の組織・スペクターとの死闘を描く、お正月映画の最初の目玉作品として話題沸騰です。

スペクター

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そのスペクターの一員としてボンドをつけ狙う男、ミスター・ヒンクスに扮しているのが、デイブ(デビッド)・バウティスタ。

ご存知の方もいると思いますが、彼は元々、アメリカ最大のプロレス団体・WWEのプロレスラーでもあります。

007シリーズにプロレスラーが出演したのは、3作目の『ゴールドフィンガー』でのハロルド坂田と、5作目『007は二度死ぬ』でのピーター・メイビア(後述するドウェイン・ジョンソンの祖父)以来となります。

昔からプロレスラー及び総合格闘家出身の映画スターは存在しますが、ここ最近は超大作の主役として活躍したり、アクションだけではなく、演技力そのものが買われている人が増えてきています。

たとえ関心が薄くても、記憶の片隅においておけば損はしない。そんなファイター兼映画スターな面々をご紹介していきましょう。

今、最も旬なプロレス出身スター、バウティスタ

冒頭で紹介したバウティスタは、まだプロレスラーとしてバリバリに活躍していた2012年に、アクション映画『アイアン・フィスト』に出演したのを機に俳優活動を始めました。

そして彼の名が一躍知られるようになったのが、アメコミのマーベルヒーロー映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。この作品で殺された家族の仇を探す宇宙人のドラックスを演じ、評価されました。

ガーディアンズ

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『スペクター』以外の最新作としては、ロバート・デ・ニーロ、ジェフリー・ディーン・モーガン共演の『タイム・トゥ・ラン』がアメリカで公開されたばかり(日本では来年1月公開予定)。

カジノで働くシングルファーザー(モーガン)が、娘の高額な医療費を手に入れようと、同僚(バウティスタ)と手を組みカジノ強盗を計画するも…というクライム映画です。

『タイム・トゥ・ラン』(原題:Heist)予告編

もちろん、『ガーディアンズ~』の続編も決定しており、正に今が旬のスターといえるでしょう。

もう“プロレスラー”なんて肩書きを知らない人も?ドウェイン・ジョンソン

現状、最も知られているプロレス出身のスターといえば、ドウェイン・ジョンソンでしょう。

ロック

出典元:https://en.wikipedia.org/wiki/Dwayne_Johnson

WWE在籍時は“ロック様”ことザ・ロックのリングネームで絶大な人気を博し、その余勢を買ってTVドラマ『新スター・トレック(ネクスト・ジェネレーション)』でのゲスト出演や『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』に起用され、『ハムナプトラ』のスピンオフ作品『スコーピオン・キング』でついに初主演を果たしました。

その後も『ウィッチマウンテン/地図から消された山』や『ワイルドスピード MEGA MAX』で順調にスター街道をかけ上がり、12年の『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』は3億ドルの興行収益をあげる世界的大ヒットに。

米経済誌『フォーブス』発表の“2013年に最も興行収益を稼いだ俳優”では、2位のロバート・ダウニーJrに大差をつけて1位に選ばれたほどです。

そんな、数ある出演作品の中でも取り上げたいのが、2005年の『Be Cool/ビー・クール』です。

ビークール

映画マニアの借金取立屋が活躍するクライムコメディ『ゲット・ショーティ』の続編で、興行的には振るいませんでしたが、彼はこの作品でゲイで俳優志望の用心棒役を演じ、その演技力が高い評価を受けました。

今後も『ワイルドスピード』の最新8作目や、ジョン・カーペンター監督のカルト映画『ゴースト・ハンターズ』のリメイクへの出演が予定されており、そのあまりの俳優ぶりに、既に彼がプロレスラーだったという事を知らない人も多いようです。

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最強の格闘家にして女優&スーパーモデル、ロンダ・ラウジー

プロレス及び総合格闘家出身のスターは、何も男性だけじゃありません。

現役格闘家にして女優、その筆頭がロンダ・ラウジーでしょう。

彼女は柔道家としてキャリアをスタートさせ、2008年の北京オリンピックの70kg級で銅メダルを獲得、アメリカの女子柔道選手で初のオリンピックメダリストになりました。

2010年からは総合格闘家に転向、総合格闘技団体のUFCでチャンピオンに君臨する一方で、その美貌を活かしてモデル活動も行うなど、“美人すぎる格闘家”の名を欲しいままにしています。

そんな彼女が女優デビューしたのが、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』。

新旧のアクションスターが一堂に会した人気シリーズの第3作目で、“消耗品軍団”の中の紅一点メンバーとして出演していますが、UFC仕込みの格闘術で敵をことごとくなぎ倒しており、その暴れっぷりは他の男性メンバーを圧倒!

おそらくガチンコで闘っても、ロンダに勝てる男性スターは一人もいないと思います。

エクスペ3

(C)EX3 Productions, Inc. All Rights Reserved.

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彼女は現在もUFCに上がり続けていますが、去る11月15日に行われたタイトルマッチで、挑戦者ホリー・ホルムによるハイキックからのグラウンドパンチ攻撃を浴び、ついにキャリア初のKO負けを喫してしまいました。

でも、女優活動としては『ワイルド・スピードSKY MISSION』に出演したほか、1989年制作の『ロードハウス/孤独の街』のリメイクに出演が決定。更に、今年5月に発表の自叙伝『マイ・ファイト/ユア・ファイト』がベストセラーとなり、早速パラマウント制作、ロンダ本人主演で映画化されるとの報道がされています。

余談ですが、趣味はポケモンで遊ぶ事でドラゴンボールが大好き。お気に入りキャラはベジータという意外な一面も。

ファイターとしては思わぬつまづき状態となりましたが、女性アクションスターとして今後要注目なのは間違いありません。

テレビでの放映回数はセガールと双璧!? “影の視聴率男”スティーブ・オースチン

ストーン

出典元:https://en.wikipedia.org/wiki/Stone_Cold_Steve_Austin

ドウェイン・ジョンソンと比べると派手さはありませんが、地道に俳優活動を続けているのが、“ストーン・コールド”・スティーブ・オースチン。

彼はレスラー時代、「テキサスのガラガラ蛇」の異名で、ビールをガブ飲みする荒くれキャラとして頭角を現し、「悪徳オーナー」としてレスラー達に猛威を振るう(という設定の)WWE社長のビンス・マクマホンとの抗争が大ヒット、名実ともにトップとなりました。

頸椎や両ひざ等のケガを境に徐々に俳優業にシフトチェンジし、TVドラマ『刑事ナッシュ・ブリッジス』の刑事役や『エクスペンダブルズ』での悪役など、主に体格を活かした役でキャリアを重ねています。

彼のフィルモグラフィーは、敵を射殺したり暴力を振るったりする作品が大半ですが、その中で異色なのが、『スティーヴ・オースティン ノックアウト』です。

ノック

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オースチン演じる元ボクサーの学校用務員が、いじめられっ子の高校生にボクシングを教え、ボクシング大会での勝利を目指すという、簡単に言うと『ロッキー』ミーツ『ベスト・キッド』的な内容です。

オースチンの演技は基本、感情を露わにする事がないため、非常に朴訥なものが多いのですが、今作での子供との不器用なコミュニケーションの取り方は、いいハマり具合だと思います。

『スティーヴ・オースティン ノックアウト』予告編

悲しいかな彼の作品の大半は、日本だけでなく本国アメリカでもDVDスルー状態になっていますが、その一方で、今の日本において彼の映画が、おそらく一番多くテレビ放映されているのでは?と思われます。

理由は、テレビ東京で平日昼間に放映されている『午後のロードショー』です。“午後ロー”の愛称で映画ファンに親しまれているこの番組では、かなりの高確率でオースチンの映画が放映されています。

今年だけでも、『マキシマム・ブロウ』、『監獄島』、『スティーヴ・オースティン S.W.A.T.』、そして『スティーヴ・オースティン ザ・ハンティング』と、少なくともこれだけ放映されています。アクション映画が多く放映される午後ローにおいても、この高待遇(?)ぶりはスティーブン・セガール映画並みです。

放映時間の関係上、かなりの尺カットを余儀なくされる午後ローにおいて、単純明快なオースチンの映画は重宝されており、ある意味、隠れた視聴率男ともいえるでしょう。

ファイター達の映画スター転身は「ネバー・セイ・ネバー」

闘う姿を「見せる」事に長けているファイターが、演技を「見せる」俳優業にシフトチェンジするのは、ごく自然な流れだと思います。

かといって、今回紹介したスターはまだ正式に本業からの引退を表明していません。

ドウェイン・ジョンソンやスティーブ・オースチンは闘いはしないものの、WWEのリングに不定期でゲスト出演していますし、ロンダ・ラウジーも先の試合で初黒星を喫しましたが、まだ引退は考えていない様子。ファイターとしてリング上で浴びる声援は、俳優として浴びるそれとはまた別物なのでしょう。

彼らが元のリングに完全復帰する事はあるのか?そして、彼らに続くファイターは今後現れるのか?

オースチンの言葉を借りるなら、「never say never」(ありえない、という事は言い切れない)でしょう。

 

※2021年11月29日時点のVOD配信情報です。

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  • 映画大好きザウルスくん
    2.1
    転校生でいじめられっ子の主人公は高校の用務員をしている元プロボクサーのオースティンにボクシングを教わることになる…というボクシング版ベストキッドな本作。ポスターを見てオースティン主演の地下格闘技ものを期待していた自分としてはかなり肩透かしな内容でした。 1番面白かったのは本題に入る前の高校の日常描写で、巨漢マッチョのオースティンが用務員としてモップを持った姿でちょこちょこフレームインしてくるシーン。日常風景に溶け込むには明らかに場違いすぎる存在感で、元プロボクサーだと明かされる前から異様な空気が漂いすぎています!流石は元WWEスーパースターです👏✨ しかし、面白かったのはそこまで。1番の問題点は主人公のボクシングを教わる子が全然強くなっている様に見えない点です。特別なトレーニングをした訳でもないしフォームもステップも何もできるようになっていない。それなのにストーリー上は高校ボクシングのチャンピオンであるいじめっ子に肉薄するほど成長したことになっています。王道ストーリーなのでそうなることくらい見始めた直後から分かってはいたのですが、それだけにそこに至るまでの物語や絵作りには説得力が必要不可欠なはずです。オースティンが師匠だったから強くなれた、祖父が元プロボクサーだったから強くなれた、それだけでいいんでしょうか? オースティンが一瞬たりとも元プロボクサーとしての強さを見せてくれなかったこと、そもそも元プロレスラーであるオースティンが設定上元プロボクサーとしてボクシングを教えてることに対する違和感、最後の試合でセコンドに伝説的存在の祖父が来たことによってオースティンの存在感が薄れたことなど、不満を挙げると切りの無い作品。しかし、これは自分が元々スポ根ものをあまり好きではないのが原因かもしれないので、是非ともスポ根もの強者の方にこの作品を観て感想を聞かせてほしいです。 ちなみに元WWEスーパースターでスキンヘッドの映画スターと言えばロック様ことドウェイン・ジョンソンが有名ですが、彼の作品が基本的に高い予算を掛けた明るい雰囲気なのに対してストーン・コールドことスティーヴ・オースティンは低予算でダーティーな雰囲気の作品が多いことも特徴的です。それぞれ違った良さがありますので「『エクスペンダブルズ』に出てきた元プロレスラーの人」という印象しかない方はぜひ他のオースティン主演アクション映画を観て頂きたいと思います(ここまで言っておいて難ですが、本作は異色作のためオススメ作品には入りませんので悪しからず…🙇‍♂️)。
  • 椿五十郎
    3
    特訓足りない気がするけど、、、
  • toshimovies
    3
    軟弱な少年へのボクシング指導を通じて心優しきタフガイの美学を示す!ボクシング版『ベスト・キッド』。劇場未公開作品。 教育映画のような爽やか青春スポ根モノ。根っからの悪人は登場しない。 アルダーグローブ高校。爪を噛む癖の転校生マシュー。ボクシング部入部テスト。元ボクサーの用務員ダンの放課後トレーナー。野外シアター『メトロポリス』。代表決定校内試合。"副審の判定"。「怖がらないのがヒーローで、怖がるのが臆病者だ」
  • ヒラハラ
    3
    面白くなる要素満点なのに...
  • Koreyasu
    2.3
    夜中なんとなくテレビつけたらやってたんでその流れでボーっとみてたプロレスラー主演のよう分からん映画 元プロボクサーの用務員がいじめられっ子を校内のボクシングマッチで勝たせようとするというよくあるかんじのストーリーをなぞってるんで一応苦もなく最後まで観ることはできる ベストキッドよりこっち先に観てたらなんやこの映画おもしろ!ってなってたんやろな
スティーヴ・オースティン ノックアウト
のレビュー(44件)