遂に日本上陸!カルト教団への潜入を描くPOVホラー『サクラメント 死の楽園』

2015.11.29
洋画

感受性複雑骨折

寂々兵

8ポスター

(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 

ウガンダ終末教団、ヘヴンズ・ゲート、太陽寺院など、世の中には闇の深そうな宗教団体の集団自殺(あるいは殺人)が多々あります。

中でも1955年に設立され、1978年に教団員914名が集団自殺を遂げた「人民寺院」はカルト教団の元祖にして最凶と言われています。

そんな「人民寺院」をモチーフに、タイ・ウエストが監督、イーライ・ロスが脚本・製作を務めたPOV形式のホラー映画『サクラメント 死の楽園』が11月28日より公開しました。

あらすじ

 

カメラマンのパトリックはある日、行方不明になっていた姉キャロラインから「田舎で友人と共同生活を送っている」という趣旨の手紙を受けとります。不審に思ったパトリックはマスコミ関係の友人サム、ジェイクと共に、その共同体に潜入取材をすることに。

飛行機やヘリを乗り継いで到着したのは「エデン教区」と名付けられた共同施設。キャロラインや他の人物たちが「ファーザーのお陰で楽しく暮らしている」とみなが口を揃える怪しさ全開の町です。

異様な雰囲気を感じ取りながらも一見平和なこの町の取材を続ける彼らの元に、とある女性が「ここを出たい、助けて」という手紙を渡したことから映画は急展開を迎えます。

そもそも「人民寺院」ってなに?

8ジョーンズタウン

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%AF%BA%E9%99%A2

「人民寺院」とは1955年、ジム・ジョーンズによってアメリカのインディアナ州で設立された宗教団体です。

当初は差別反対運動などに尽力し、社会からも大きな注目を集めていましたが、次第に団体の独裁体制や不審な資金稼ぎがマスコミに報じられ、この頃からジョーンズも薬物使用などによっておかしくなっていきます。

その後、南アメリカのガイアナ共和国へと移住した人民寺院は1973年、土地を買い取ってジャングルを開拓し、外海から完全隔離した自給自足の楽園「ジョーンズ・タウン」を作り上げました。

『サクラメント 死の楽園』は主役の3人がこの街を訪れるところから始まります。

既に映画化されていた「人民寺院」の全貌

1980年には、「人民寺院」をモチーフにしたドキュメンタリー風の社会派映画『ガイアナ 人民寺院の悲劇』が公開されています。

パナマ・メキシコ・スペインの共同製作、監督は『サンタ・サングレ/聖なる血』の製作総指揮をはじめ、日本未公開の冒険映画やアクション映画を製作してきたルネ・カルドナ・Jr。見るからにカルト臭が漂う作品ですが、実際には驚くほど地味な映画です。

物語は史実に忠実に作られています。

自称「神」の教祖ジョンソンがアメリカを捨て、究極の楽園を作り上げるべく南米のガイアナに土地を購入し、「ジョーンズ・タウン」という教団施設を作り上げて信者を移住させます。

始めは悠々自適の理想郷生活に満足げだった信者たちも、徐々に暗雲立ち込める教団の不穏さに気付いてきます。休みのない炎天下の労働やプライバシーも何もない寝室、「あれ、おかしくない?」と気付いたときにはもう最後。不条理な規律を破ると女子供も容赦なく拷問、恥辱の限りを尽くされます。

全体的に弛緩した雰囲気の映画ですが、ジャーナリストが潜入して銃撃戦へともつれ込む終盤から圧巻のラストにかけての展開はかなりの見もの。

勿体ないのは、本作はなぜか『ナチ女収容所』など「女囚ファイル」シリーズ扱いになっているため、一部レンタルサイトや店舗などでエロス映画扱いされてしまっているところ。確かに懲罰シーンでサディズム溢れる演出は一部ありますが、本質は硬派な社会派ドラマなので、手が伸びなかった方はこれを機に鑑賞してみてください。

おわりに

POVホラーは数多く製作されていますが、本作は今までと少し違うカラーのようです。

本国アメリカのホラーサイトでも2014年のホラー映画ベスト10に選ばれるなど、まずまずの評価を受けているようです。

センセーショナルな題材だけに、期待したいですね!

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    2.8
    共同体の人たちが狂っているということが徐々に明らかになっていく演出は良かったけど、話の展開が遅すぎる。30分くらいにまとめることもできたのではないか。ただ、言葉を発することのできない少女から助けてというメッセージを受け取るシーンはなかなか怖かった。BGMの入りも良い。でも監督がイーライロスだからもっともっと狂ってる作品かと思ってました。
  • inabow
    2.0
    イーライ・ロスがプロデュースするPOVということで超期待していましたが、期待ほど…というかかなり下回ってしまいました( ´△`) いつまでたっても想像を越えた驚きがないというか… これだったらオムニバス映画の一編としてコンパクトにまとめた方が面白いのでは!?いくらなんでも長すぎです! 本作のピークは予告編で見れちゃいますし… あとパンフレットちっちゃ! 斬新で良いと思います。
  • ペンソー
    3.5
    実際に起こった人民寺院での集団自殺を元にしたPOVモキュメンタリー。 「お父様」と呼ばれた教祖にいとも簡単に洗脳されてしまう信者たちが怖い。 カルト教団の教祖になるようなやつも理解できないけれど、その教祖に洗脳されてしまう信者たちはどれほど心が弱いんだろうか。ちょっと考えればすぐに分かるようなヤバさなのに、普通の生活を捨てて森の奥で原始時代のような生活を送ろうとする意味が分からない。 インターネットがなくても充実した生活が送れるっていうのは一理あるかもしれないけど、そのための代償があまりにも大きすぎる。 信者たちのご都合主義な考え方にも非常に腹が立つ。分かっていながらその教団を守るために真実を捻じ曲げ、いいように解釈する。イライラするほど自分勝手。 そしてカルト教団で常に用いられる集団自殺。 集団自殺をすれば本気で楽園とやらに行けると思っているのだろうか。本気で思っているとしたら相当ヤバいし、死にたくない人を無理やり殺すシーンはかなり恐ろしかった。 映画よりも実際の事件のほうが規模がデカいという恐ろしい事件。実際の事件では1000人近くが自殺したとか。 さらにアメリカの議員や取材クルーも殺されているし、本当にとんでもない事件だなぁ。
  • 蠢く会社員
    2.3
    1978年のカルト教団の実話を元にしてる話。カルト教団が共同体として生活をしていて、その上で生活者の9割である900人以上の集団自殺が行われた事件です。 カルト教団の取材に入り、その中でその事件に巻き込まれてく話。 まず、映画よりも元ネタの方の情報の方がずっとヤバくて、インパクトに欠けちゃってる感じがありました。 カメラ目線で描かれてる部分も、もう少し臨場感があれば面白かったんですが、少し物足りない感があります。 もっと、「ここ、ヤバくない⁈」て流れの盛り上がりや恐怖感があればよかったんですけどね…。
  • nakahira
    3.1
    人民寺院を基にしたんやろうけど、映画では169人で人民寺院は918人、現実の方がすごいやん。 “お父様”の表情の感じとかサングラスのズレ具合とか良い感じにやな感じなんやけど、最終的に2013年にやる映画ではないわなという感想
「サクラメント 死の楽園」
のレビュー(567件)