『ピンクとグレー』行定監督、中島裕翔・菅田将暉の演技と「62分後の仕掛け」を語る

12月13日、映画『ピンクとグレー』試写会が行われ、上映後に行定勲監督が登壇。NEWS・加藤シゲアキの原作小説から、主演のHey! Say! JUMPの中島裕翔と菅田将暉の“アツアツ”ぶり、柳楽優弥など他キャスト陣について語りました。

行定勲監督インタビュー_7

“こんな展開を予想してなかった!”という驚き。小説にない余白の部分を映画に。

大きな拍手に迎えられて登壇した行定監督。全国プロモーション先での作品に対する反応を聞かれると、「本当に皆さん、“驚いた”とおっしゃるんですけど、たぶんそれは“こんな展開を予想してなかった!”という驚きだと思うんですよ。前半はよくある青春映画っぽく見えると思うんですよね、でも実はそうじゃないから」と振り返りました。

『ピンクとグレー』場面写真_菅田将暉

芸能界の嘘とリアルが描かれている原作については、「加藤シゲアキくんは小説の中で、美しい耽美的な表現も使っているけど、彼自身も経験したであろうリアルな芸能界の恨みやつらみも読み取れて。それを映画の中で表現できればなと」と想いを明かしました。

行定勲監督インタビュー_2

さらに、本作の“62分後に世界を変える仕掛け”に話が及ぶと、「今回、脚本に舞台界の若手実力派・蓬莱竜太くんをスタッフィングしたのがこの映画のミソ。彼は、人のイヤな部分を描くのが上手い(笑)。美しい部分は僕が書けるので、(人間の)イヤな部分を彼に頼もうと。それで、彼が半分くらい書き上げた頃には“良質な青春映画”に仕上がっていた。

『ピンクとグレー』場面写真_菅田将暉・夏帆

だけど、そこで彼の筆が止まり、打ち合わせしたいと連絡が来たんです。でも打ち合わせの当日、蓬莱くんが40分くらい遅刻してきた。彼を待っている間にふと、この“仕掛け”がひらめいた」と明かし、「原作小説に書かれていない余白の部分を映画にすればいいんだと。(仕掛けが)複雑じゃないかとプロデューサー陣には言われたけど、完成を観たらみんな「わかりますね」って(笑)

行定勲監督インタビュー_3

今、考えずに観られる映画が多い。だから、観客が「これはどういうことだろう」と考えてくれると面白い」と映画の楽しみ方についても熱く語りました。

中島裕翔と菅田将暉は、本当のカップルのようでしたよ(笑)

白木蓮吾役を演じた中島裕翔の印象については、「(蓮吾を演じることに)たくさん試練があったと思うけど、頑張っていた。すごく素直で何に対してもぶつかってきてくれるからやりやすかった」と語り、河田大貴役を演じた菅田将暉については「衝動を役に活かせるし、こっちの演出意図を理解できるチカラのある俳優。彼はワンテイク目の演技が本当に素晴らしくて、何をしてくるかハラハラドキドキした。日本の映画界に必要な存在だと思う」と絶賛しました。

『ピンクとグレー』場面写真_菅田将暉2

さらに、「この2人が急速に仲良くなったんですよ。お互いに背にもたれかかって、一方がギターを弾いて、もう一方が鼻歌を歌ったりして。本当のカップルのようでしたよ(笑) 映画にもその仲の良さが映し出されていると思います」と中島と菅田のアツアツぶりを暴露し、会場は笑いに包まれました。

行定勲監督インタビュー_4

最後に行定監督は、「僕自身、毎回、今ないモノをつくってきました。現在は、ヒットした映画と同じような作品が作られる時代になっている。でも僕は、ココだ!と自分で思ったポイントで映画を作っているし、だからこそ『ピンクとグレー』のような映画もアリだと思ってほしいんですよね。お客さんにも新しい扉を開いてほしいと思います。もし今日、作品を気に入ってくれたら声を100倍にして周りの人に広めてほしいです」と熱いメッセージを伝えました。

行定勲監督インタビュー_5

気になる柳楽優弥や夏帆の評価は?来場者のQ&A

トークショーの後、来場者(Filmarksユーザー)の質問に行定監督が答えてくれました!

行定勲監督インタビュー_6

Q.夏帆さんや柳楽優弥さんもとても印象的でした。監督から見て2人はどうでしたか?

行定監督:夏帆さんとはお仕事をしてみたかったんですよね。彼女には映画に参加する上で、フラストレーションなく、無防備になってほしくて。それが彼女の魅力を引き出すことにもつながると思ったんです。

だから彼女に関しては、衣装合わせからこだわりました。衣装合わせを4回くらいして。夏帆さんも「こんなに衣装合わせに時間をかけてもらったことはないです」と言ってましたね。

『ピンクとグレー』場面写真_夏帆

柳楽くんについては、直感で彼に決めていて、どうしても柳楽優弥だと思っていました。僕は彼が13歳くらいの時から知っていたけど、仕事を一緒にしたことはなかったんです。でも、小さい頃から芸能界にいて色々なことを経験して、それでも今なお、役者を続けている。そんな彼だからこそできる役だと思ったんです。

Q.原作がある作品を映画化する際、何か基準にしていることはありますか?

行定監督:あまりないですね。ただ、(映画化したいと)強く思っている人がいるかは気にします。それから、マンガ原作のものはマンガを一度文章に起こしてみて、自分が訴えたいことが重なったらやろうと思います。でももしやるなら、原作のファンから文句を言われる覚悟を持たなければなりませんが(笑)

行定勲監督インタビュー_7

Q.監督が考える映画タイトルの“ピンク”と“グレー”とは?

行定監督:映画の中で、1人は栄光の道を歩む人間、もう1人は堕ちていく人間ですよね。だから多くの人は対立させていると感じるかもしれませんが、僕はそうは思っていなくて、ピンクとグレーという色は実はすごく相性が良いんです。掛け合わせるとすごくキレイな配色で、ふたつで1つの美しさがある。だから映画では、いかにふたりを絡み合わせるかだけを考えていました。

(取材・文 / 斉藤聖 撮影 / 鸙野茜)

 

■映画『ピンクとグレー』

ピンクとグレー ポスター画像

『ピンクとグレー』は、2016年1月9日より全国ロードショー。

(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

公式サイト:http://pinktogray.com

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

 

※2022年4月29日時点のVOD配信情報です。

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS

  • Maki
    3
    62分後の衝撃って…本当に衝撃的だった。こういう仕掛け、行定勲監督の作品って感じ(『今度は愛妻家』も近いものがある)。菅田将暉くん前半と後半でまったく別人。
  • しちれゆ
    3.7
    原作既読。旧ジャニーズの加藤シゲアキが小説を書いたと聞いてかなり前に読んでみた(と言ってもジャニーズには特に関心はありませんペコリ)。 映画は菅田将暉君目当て。内容がかなり改変されて複雑な構成になっていて見たときは理解出来ずネタバレを読んでやっと分かりました😓前半は作中映画だったんですね。 菅田将暉君やっぱり上手かった。普通に面白かったです。岸井ゆきのちゃんも出ています。
  • -
    前半に感情移入していたから急な後半の重さ暗さがなんだか受け入れられなくて、それに加えて理解も難しかった! でも、亡くなった人の物語って残された人のこうだったんだろうなっていう想像とか、こうであって欲しいなっていう願望とかがやっぱり入ってしまうと思うから、完成した映画の綺麗すぎるっていう感想は何となくわかるなぁと思いました。 難しい!
  • たく
    2
    好きじゃない もう二度と見ない
  • Mi
    3.1
    記録
ピンクとグレー
のレビュー(32359件)