私の声届いていますか?現代の若者の孤独をセンセーショナルに描写した『共犯』とは?

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

映画『共犯』は、2013年に台湾で製作された作品です。2014年の東京国際映画祭では、世界が注目する秀作をピックアップした“ワールド・フォーカス部門”に出品されており、本国台湾でも台北国際映画際のオープニング作品として話題を呼びました。

今回は、傑作とも言われる映画『共犯』をご紹介致します。

あらすじ

ある日、3人の男子高校生が女子高生シャーの遺体を偶然見つける。

第一発見者となったのは偶然その現場に居合わせ、お互い口も聞いたことがない3人。謎多きホアン、頭も良く友達が多いリン、やんちゃな問題児イエ…彼らはシャーの死に疑問を抱き、真相を探るべく動き始める。そして、いじめの加害者だったと思われる人物にたどり着く。

シャーの気持ちを代弁すべく、彼らは軽い気持ちで制裁を加えようとしたのだが―。

センセーショナルな描写で表現される“孤独”

2014年の東京国際映画祭に出品された話題作というだけあって、オープニングからその世界観に引き込まれます。私自身もオープニングを観た瞬間に「これはすごい映画だ」と確信しました。

共犯

Double Edge Entertainment (C) 2014 All rights reserved

一人の女子学生の死をきっかけに結ばれた“絆”

主人公の3人は、シャーの死の真相を探るために交流するようになっていき仲間になります。退屈な日々の中で、どこかで“孤独”を感じていた彼らは、心にあいた穴を埋めるべく交流を深めていきます。

オープニングのシリアスな雰囲気から一変…しばらく漂う青春映画の雰囲気がこの映画の重要なポイントとなっています。というのも、本作の中盤では「え、どうなるの?」というまさかの展開が待ち受けているからです。それをきっかけとして、死角や盲点となっていたものが徐々に浮き彫りになっていくのです。

現代の若者の闇に迫った傑作~つながりと孤独~

本作では人気SNS“Facebook”が真相を探る手段として登場します。多くの若者が利用しているSNSは、近年“SNS疲れ”という問題を引き起こしています。と言うのも、SNSを利用することで24時間誰かと常に繋がっている状況が生まれているからです。

24時間誰かと繋がっていることで、現代の若者は一人の時間というものが圧倒的に減ってきています。しかし、SNSをやめれば友人と自分とを結んでいる“何か”が失われるという不安に陥り、やめることもできない…その結果、SNSが自身を縛り付ける鎖となり、人付き合いに疲れてしまうという状況が生まれるのです。

SNSが登場してからというもの、若者の人間関係は大きく変化しました。インターネット上でのコミュニケーションが主流となった現代では、友人関係は“すぐに切れるもの”となっています。本作でもリンが登場するシーンでこのことは表現されています。

現代の若者は、誰かと繋がっている一方で、どこか満たされない“孤独”を抱えているのです。

彼女はなぜ死ななければならなかったのか~あなたは物事の本質が見えていますか?~

台湾だけでなく韓国をはじめ、アジア圏はシリアスな空気感を創るのに長けていると改めて感じます。この『共犯』は、どちらかと言うと若い人たちにずしんとくるテーマではありますが、教育や人間関係のあり方の問題を知るうえで大人も観ておくべき作品です。

私の声届いていますか?

繋がっているからこそ寂しいこともある…とにかく、衝撃的なラストに胸が苦しくなる本作。作品の中では、学生たちのもつ特有の「学校がすべて」という世界観が的確に表現されています。特に、あることもないことも拡散される可能性を持つSNSは、誰かしらが何処かで必ず繋がり、学生たちを内なる世界へと閉じ込める力をも持ち合わせています。

目にしたけれど見て見ぬふりをする…そんな経験あなたもあるのではないでしょうか?現代社会では“つながり”によって誰もが加害者、共犯者になりうる可能性を秘めているのです。それは現実世界に起きているいじめ等の様々な問題だけでなく、インターネット世界においても同じことです。

情報で溢れかえった現代において、私たちは本当に大切なことを見落としてしまうことがしばしばあります。誰かが何かしらのメッセージを発しているとき、それに気づきそのメッセージに応えることがあなたには出来るでしょうか?

二転三転するストーリーが浮き彫りにする現代社会へのメッセージ

あらかじめ言っておくと、この物語は二転三転します。その度に、様々な情報に埋もれ隠れていた“メッセージ”が徐々に見えてくるようになっています…そして、衝撃的なラストで私たちは一気に現実を突きつけられることになります。あなたも、きっとこの“孤独”に気づくことはできないでしょう。

映画『共犯』は好評レンタル中です。是非、ご鑑賞ください!

公式サイト:http://www.u-picc.com/kyouhan/index.html

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  • 渡邉裕也
    3.6
    映像技術が素晴らしい。 死体を見つけた3人が犯人をさがし、報いをと目論むが、1人が事故死そうしてみえてくる事件の真相。 真相を知ることでおこる恐怖。 人の死、自らの現実ということがキー。
  • 3.5
    ロケーションやキャスティングが良くて映像が美しかった。血を雨が打つシーンが印象的。 台湾映画初めて見たけどいい感じ。短くてサッと見れたし。 黄がただただヤバい奴。 葉がかっこいい。 女の子がみんな可愛い。 嘘もみんなが信じれば本当になる。 会ったこともないのに少女の人物像が出来ちゃってるの、こわい。情報社会ならではの計画。 ネットリテラシーつけような!情報に踊らされんなよ!ってことなのかな。
  • けい
    3.5
    ある少女の自殺の第一発見者として知り合った3人の少年らが、彼女の死の「真相」を暴こうと動き始める。 初めて観た台湾映画。アジア映画は、海外でありつつもどこか日本の匂いの感じられる独特な映画体験が魅力やな。 現代を生きるティーン達の孤独や、SNSによって増殖する不安や猜疑心を題材とし、タイトルの「共犯」には、自殺した少女と虐められていた少年の2つの孤独を見て見ぬふりした周囲の人間全員が含まれているのではないかと思った。揺らぐ水面など何処か不安を掻き立てるような独特な映像表現が見所。
  • aqa
    3.5
    2020年 お家映画 174本目
  • のら
    3
    君たちがいれば、もう独りぼっちじゃない
共犯
のレビュー(1961件)