見逃すにはもったいない!特殊メイクなしのジョニー・デップの魅力を堪能しよう!

こんな怖いジョニーを今まで観たことがあっただろうか。

べっとりと水分を含んだ視線や、ひとつひとつの動作が妙に熱っぽく、寒気が襲う。あれ?ジョニーってこんな瞳の色してた?と思わせる少し不自然なほどに透明なブルーアイ。窪んだ目元と真っ直ぐな鼻筋が、要らないものは全て排除してしまうジミーのやり方を表すかのようです。実在したマフィアを映像化した『ブラック・スキャンダル』。

ジョニー・デップの今までのイメージを覆す、違う意味での怪演、これを見逃すわけにはいきません。

ファミリーがキーとなり、それは昔馴染みの仲間、今現在の仲間、そして愛する家族を意味します。予告編でも観られる息子への助言、彼は最も残酷な犯罪者でもあり、ひとりの父親、兄、息子、でもある。『ギルバート・グレイプ』でも皆の兄であり、息子であったジョニーが…と彼のファンならこみ上げるものがあるはずです。

本作をきっかけにジョニー・デップ熱が再燃する方、今まで知らなかったジョニーの魅力に気付いちゃう方、増えると思います!

日本でジョニーの熱狂的ファンを増やしたのは、やはり『パイレーツオブカリビアン』シリーズなのは言うまでも無く、このシリーズ以前にも心優しいハサミ男を演じた『シザーハンズ』が印象に残っている方も多いはずです。

それ以降、『チャーリーとチョコレート工場』や、間もなく2作目の公開を予定している『アリス・イン・ワンダーランド』など、主にティム・バートン監督とタッグを組み、ジョニーの俳優としての地位や人気を益々確率することとなった個性的なキャラクターの数々。

しかし!!特殊メイク以外の生身の彼はもっと魅力的!その素顔が最高に魅力的な作品をご紹介していきましょう!

『アリゾナ・ドリーム』

アリゾナ
豪華キャストで不思議な魔力を放つ本作品。ジョニー・デップ演じるアクセルを取り巻くのはオスカー女優フェイ・ダナウェイ、才能が留まるところを知らないヴィンセント・ギャロ、実力個性派女優リリ・テイラー、名俳優ジェリー・ルイスなどなど。私が10代の頃に、映画って感動する!楽しい!とかそういう単純な感情だけではなく、”変””ハチャメチャ””病みつき”とかいう概念を教えてくれた作品です。

ヴィンセント・ギャロ演じるポールに連れられ、叔父リオの結婚式に連れて行かれたアクセル。キャデラックのディーラーをするリオはアメリカンドリームを信じており、自分がオーナーを務める車屋をアクセルに継がせようとしています。しかしニューヨークで漁業局に務め、魚に思いを馳せる彼はひっそりと夢見て暮らすことを望んでいる。リオとポールの言うがままになり車屋で手伝いを始めると、そこにたまたま訪れたエレインとその義理の娘グレースと出会い、彼の人生は大きく変わっていきます。

本作の魅力は、個性的な登場人物たちが取る、奇妙でクレイジーな行動。何故か観ているうちにどんどんハマっていく不思議・・・。なんなのでしょう。あの浮いたまま、降りて来れない感覚・・・。

俳優を目指すポールは、アクセルと行った映画館で、突然バナナをチャックから出し、たんぱく質の話を披露します。つまりは”女って最高!”みたいな事なんですが、その後舞台上にのぼり「レイジング・ブル」のロバート・デ・ニーロの台詞を一語一句間違える事なくかぶせて物真似し出す。映画好きの方の中には、このシーンの台詞は全て言える。という方も多いかと思いますが、このシーン、そんな映画ファンには堪りません!なぜか、映画の中で映画や俳優の話題が出ると妙に興奮してしまうのですが、私だけでしょうか。

またフェイ・ダナウェイ演じるエレインの放つ色気、少女感の抜けない自分本意な生き方にはアクセルだけでなく観賞側もメロメロになり振り回されてしまいます。白いレースのロングスカートの中にアクセルを潜り込ませ、空を飛びたいと話し、パプアニューギニアを熱く語る年増女。

その魅力の虜になるアクセルは、いつも寝癖がついていて、何だか頼りなく、顔だけは格好いい普通のお兄ちゃん。色っぽい”ハロー”の練習もあまり様にならない、ふわふわと夢に溺れる本当に普通のお兄ちゃんです。(2回目)そんなアクセルのナレーションが時々入りますが、これが何だかグッとくる語り。「意外にも恋に一撃され、夢の中に放り出された。」と語る彼は、恋に落ちたとは言わず、恋に”飛んだ”と表現する。

グレース役を演じた花柄のワンピースを色っぽく着こなすリリ・テイラーも、彼女の個性的な魅力がグッと詰まった名演。アクセルを見て鼻を一度きゅっとあげる表情に、動揺しないように振る舞うアクセルとの奇妙な関係性も本作の見所です。一瞬も目を離せないキャラクターの動きや、ファンタジーな演出も含まれたエミール・クストリッツァ監督らしい作品に仕上がっています。

アクセルは愛するエレインのために飛行機を一生懸命作成します。彼女が空を飛びたいなら、飛行機を。宇宙へ行きたいと言ったなら、ロケットだって作ると誓う。私がこの作品を初めて鑑賞した日は10代で、こんな風に思ってくれる、ジョニーみたいなイケメンに出会いたいと思ったものです。笑

この頃のジョニーのビジュアルが素晴らしい!彼のファンなら観ておいて損はない隠れた名作です。一見まだ美しいだけとも思える若いジョニー。しかし、えげつないほどの個性的なキャストに囲まれてもその影をひそめないのは、彼自身が持つ魔力とも言えるでしょう。主人公達と一緒に、是非ふわふわと夢に溺れてみてはいかがでしょうか。

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『ギルバート・グレイプ』

ギルバーと

人生で観ておかなければならない一作にあげる方も多いのではないでしょうか。家族をテーマにした作品は数多くありますが、綺麗事を並べただけの、ただの感動作とは全く違います。

先日、悲願のオスカーを手にしたレオナルド・ディカプリオ演じる弟のアーニーは、知的障害を抱えており、兄ギルバートを振り回す毎日。夫の自殺死から、立ち直ることが出来ず家から一歩も出ることのない太った母親。自分勝手な妹やヒステリーを起こす姉。ジョニー演じるギルバートはアメリカ、アイオワ州の田舎町エンドーラで、小さな食料品店で働きながら家族を養う青年。

自分の時間を持つ意味とは、どういう事なのだろう。誰かを愛する時間、ゆっくりと食事を取る時間。ひとりきりになって、人生について問う時間。ギルバートに与えられるそういう時間は、無いに等しい。でも、彼はそれを自分の人生だと受け入れ、そして諦めている。いつも眉間に皺をよせ、片時もアーニーから目を離す事の出来ないギルバートは息着く暇もない生活に疲れきっています。

田舎町でひっそりと暮らす人々は、狭い世界でもそれぞれに問題を抱えています。夫との夫婦関係に疑問を抱く婦人や、新しくオープンした大きなスーパーの存在に怯える食料品店の店主。そこに現れるのは、トレーラーで旅する自由なジュリエット・ルイス演じるベッキー。ここから出て行く事は不可能だと、自分自身で縛り付けている人たちにとって、ベッキーの存在はキラキラ輝いて見える反面、恐ろしい存在でもあるのです。そんな大人の事情に気付かないアーニーが、ベッキーに駆け寄りギルバートと彼女を近づけていきます。

自由を信じ、寛大で、何処までも自然体なベッキー。夕焼けを見ながら語り合う時、「とても大きい」と空を表現するギルバートに、彼女は「”大きい”なんて言葉、空には小さすぎるわ」と。ベッキーの耳元には小さなトンボのピアスが、まるで彼女そのものを表すように光ります。ここ、個人的に映画史に残る台詞、名シーンです。この台詞の後、ギルバートはふわっと笑うのですが、彼女に惚れなおしたと言うよりも、圧倒されたような表情。そんな風に空を見て考えた事が、忙しい彼には無かったのではないでしょうか。

また、トレーラーの修理が済めば去っていく彼女と、エンドーラの土地に張り付いてしまったような家と家族の間で、更に苦悩する彼。発狂しそうな毎日を送る中、ギルバートはアーニーをお風呂に入れ放置してしまいます。いつまでも彼が来るのを待ち冷え切ったバスタブで震えるアーニーを、ギルバートが抱きしめるシーンや、彼を思わず殴ってしまうシーンは、この複雑で捻れた感情を何処にぶつければいいのだろうとやり場に困るほどです。

ギルバートの表情を全ては分からなくとも読み取ろうとする、アーニーの絶妙な心をレオナルド・ディカプリオが切なく演じています。感謝の気持ちは直接言葉にしなくても、彼はギルバートというお兄ちゃんが大好きで、大好きで仕方ない。それが時々ギルバートを大きく傷つけるのです。

「誰かに殴られたり指一本でも触れられたら、必ずおれに言うんだ」とアーニーに教えるギルバート。何故なら、ギルバートはアーニーのお兄ちゃんだから、と。土砂降りの雨の中、抱き合うギルバートとベッキーを車の中から見守るアーニーの表情、ディカプリオに拍手を送りたくなる名演技です。

静かで、でもとても人間力を感じる力強い名作。鑑賞したあとは家族や大切な人ときっと話したくなるはずです。離れて暮らしていれば電話をかけたり、近くにいるならゆっくり語り合ったりと、限られた時間を大事にしたい。家族ってどんな形でも素晴らしい、そう思えます。

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『フェイク』

フェイク

本作では、アル・パチーノ演じるマフィアのレフティーを捕まえるべく、オトリ捜査官として彼に近付く役柄を演じたジョニー。今回公開になった「ブラック・スキャンダル」とはまた違うマフィアものです。

段々と親交を深めていくうちに、レフティーの真の人となりを知り感情移入していく様子や、家族に仕事内容を打ち明けられない葛藤からイライラするなど、絶妙な心の動きを若きジョニーが好演しています。

この作品を鑑賞してから、ブラック・スキャンダルに挑むと、彼の俳優としての成長が感じられ、感慨深いものが…。

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『ショコラ』

ショコラ

ジュリエット・ビノシュ演じるショコラティエのヴィアンヌと、恋に落ちる色気だだ漏れのジプシーの青年ルーを、ジョニーが演じています。

長く伸ばした髪をひとつに結い、ギターを弾いたり、チョコレートを口に含むルーがこれまた最高!!セクシー、セクシーとは思ってたけど、ここまでとは?!

登場シーンは比較的少なめですが、着飾らないナチュラルな色気に夢中になること必至の作品。チョコレートも本当に美味しそうだし、ジュリエット・ビノシュは安定のキュートさ、心地よいラストにも納得いただけるはずです。

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今だからこそ見直したい過去の出演作

まだまだジョニー・デップ出演作品は沢山ありますが、特に見逃すには、もったいない作品をご紹介しました。私もこの記事を書きながら、これからも、彼のファンでいたい!やっぱり最高!とウキウキしたり、観賞しなおしながら涙しました。最新作『ブラック・スキャンダル』と合わせて是非、楽しんで頂ければと思います!

 

※2022年6月21日時点のVOD配信情報です。

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  • ヤマグチ
    3.2
    キャスト陣を見るだけで、大興奮です! 特に最近はケビン・ベーコンに弱い私。 でも皆さんが言うように少し単調すぎますね。 ジョニー・デップの醸し出す雰囲気はやはり怖いね。 寝室にまで来られた奥さん、可哀想だったなぁ
  • ICHI
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    3分の1で離脱。 ここまでもったのはオールバックイケオジ俳優の魅力のおかげ。 だけどやはり、つまらない。
  • 広山広
    3
    テーマが読み取れない。
ブラック・スキャンダル
のレビュー(18092件)