【アカデミー賞】ストーリー重視!隠れた名作揃いの「脚本賞」に注目!

みなさん、こんにちは。TSUTAYA綾瀬店スタッフの秋山です。

まもなく2月28日(日本時間29日)に行われる、第88回アカデミー賞授賞式

アカデミー賞といえば、Filmarksでもノミネート作や受賞作の話題を取り上げたり、過去の受賞作を一覧で見られるようにしたりと、最も注目している賞の一つです。またTSUTAYA店舗でも、毎年アカデミー賞コーナーを展開していて、まさに「いい映画と出会う」にはうってつけのイベントです。

アカデミー賞というと、みなさん作品賞のイメージがあるかもしれません。しかしながら、アカデミー賞には、作品賞以外にも面白い部門が沢山あるんです。そこで今回は脚本賞」にスポットを当てていきたいと思います。

2000年(第73回)以降の脚本賞受賞作のうち4作品をご紹介!

脚本賞とは、その年の最も優れたオリジナル脚本(小説などの原作がない脚本)に対して贈られる賞なので、「ストーリーの面白い映画が見たい!」という方には、オススメな作品が揃っています。また1940年から続く大変歴史のある賞です。

 

her/世界でひとつの彼女』(2013年)

Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

近未来のロサンゼルス。依頼人に代わって手紙を書く代筆ライターのセオドアは妻と別れて傷心気味。そんなある日、人工知能型OSのサマンサと出会う。ただ賢いだけではなく、人間的な魅力をもつサマンサに、セオドアは恋心を抱くようになり…。

人工知能に恋をするという突飛な設定ですが、セオドアとサマンサの二人(一人と一機?)の関係の変化やストーリー展開には非常に説得力があり、話が進むにつれてどんどん引き込まれていきます。

人が恋をする理由に、肉体や容姿は関係ないのではないか?と思わず考え直してしまうほどです。

近未来を表現した映像や音楽が美しく雰囲気もGOOD!

またサマンサの声を演じるスカーレット・ヨハンソンの魅惑的ボイスも堪らない…!

さらに、人間とOSによる「バーチャルセックスシーン」にも注目。

近未来の話でありながら、セオドアをはじめ、出てくる人物たちの心の弱さ、空虚さはとても現代的で、時代とともにモノや文化が発達しても人の心は変わらないということを痛切に感じさせられる作品となっています。

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『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)

黒人奴隷のジャンゴは、賞金稼ぎのシュルツによってその身分を解放される。その後シュルツとともに、奪われたジャンゴの妻を助けるべく、農場主のカルヴィン・キャンディに立ち向かうのだが…。

新作『ヘイトフル・エイト』の公開を控え、『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』などで有名なクエンティン・タランティーノが監督・脚本を務める西部劇映画で、本作でも彼の妙技が炸裂。

奴隷問題を題材としていながら、その内容は立派な娯楽映画に仕上がっていて、軽妙なセリフやちょっとバイオレンスなアクション、広大なロケーションにハイセンスな音楽など見どころ満載。

元奴隷のジャンゴがシュルツの影響により、次第に冷淡かつ大胆な自由人としての風格をまとっていく姿や、レオナルド・ディカプリオ演じるカルヴィンの狂気に満ちたキャラクターに興奮すること間違いなし!

ストーリーのテンポもよく、上映時間165分という長さを全く感じさせません。それどころかエンドロールが流れた途端、少し残念な気持ちになってしまうほどです…ずっと見ていたくなります。

また娯楽性をベースにしつつ、奴隷に対する非人道的な扱いや人種差別など、アメリカの過去の汚点を浮き彫りにした社会派的側面もあわせもつ本作。

まさにタランティーノが奇才と呼ばれる理由がわかる渾身の一作です。

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『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年)

美少女コンテストでの優勝を夢みるオリーヴ。地方予選の繰り上げ優勝により決勝大会への出場権を得た彼女は、両親と、「沈黙の誓い」により言葉を発しない兄、ヘロイン中毒の祖父、自殺未遂を起こしたゲイの伯父とともに車で会場を目指すのだが…。

バラバラな家族が一つの目的のために協力し合わなければならないというコメディ映画の王道シチュエーションなのですが、本作はこれに加え、一家がコンテスト会場に向かうまでの800マイル(約1300キロ)の道中を描いたロードムービーとなっているのが特徴。

車の故障や、父のビジネス失敗、伯父の元恋人との遭遇など、さまざまなトラブルに直面し、その都度ハチャメチャながら協力しあう一家は、次第にその結束を高めていきます。

そして最後の難関、美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」。

眼鏡に小太りのオリーヴでは勝負にならないことは明らかであったが、彼女の夢を諦めさせたくない家族がとった行動に思わずグッときます…。

近すぎるがゆえに、ときには疎ましくも思う家族の存在。でも本当に大変なとき、一番近くで寄り添い、支えてくれるかけがえのない存在であることをこの映画は教えてくれます。

笑って、笑って、笑って、最後にほっこりする素敵な作品です。

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『あの頃ペニー・レインと』(2000年)

ロックミュージック好きの少年ウィリアムはある日、自らの記事が認められ、売り出し中のバンド「スティルウォーター」のツアーに同行し密着取材することとなる。そこで出会ったグルーピー(熱狂的ファン)のペニー・レインにウィリアムは恋をするが、彼女はスティルウォーターのギタリストであるラッセルと関係を持つようになり…。

70年代のハードロック全盛期のバンドマンの実態を背景に、15歳の少年の成長を描いた青春ラブストーリー。

ペニーはラッセルとの関係を築くも、それが永遠でないことを頭では理解していて、ウィリアムもまた二人の関係を応援するが、一方でペニーへの思いから目を背けられずにいるという、なんとも切ないシチュエーション。

そして当時のロックミュージックにのせて描かれる、酒やドラッグやセックスといった、当時の退廃的でクレイジーなロッカーたちの生き様。

少年ウィリアムに訪れたひと時の淡い経験に、胸を打つことでしょう…。

ウィリアムとペニーの恋愛を主軸にストーリーは進行していきますが、ウィリアムとラッセルの対立も見どころで、大人という生き物のカッコよさ、偉大さ、そして愚かさに、憧れつつも軽蔑してしまう思春期のリアルな心情には、誰もが共感できるのではないでしょうか。

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さいごに

第88回アカデミー賞脚本賞のノミネート作品は以下の通りです。

◆『ブリッジ・オブ・スパイ

◆『インサイド・ヘッド

◆『スポットライト 世紀のスクープ

◆『ストレイト・アウタ・コンプトン

◆『エクス・マキナ(原題)

日本ではまだ劇場公開されていない作品もありますが、ぜひご注目ください。歴代の受賞作品でまだ見ていない作品がありましたら、こちらも要チェック!

 

※2021年8月24日時点のVOD配信情報です。

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  • dookie
    -
    2024 48本目
  • T4iyoo0
    3.5
    愛の形
  • 現れる小林
    4.7
    脚本がすごかった。 Chat GPTも出てきていない2013年に書かれたとは思えない。なんというかコミュニケーションが可能なAIとそれを使う人間の空気感が、今の現実のそれにかなり似ているのだ。いや実際には今現在とはちょっと違うんだけど、今後AIがもっと完璧になり、人間がよりAIに依存するようになったらこんな感じになるんじゃないか?と思わせるような感じ。凡人の我々が2020年代の「今」ようやくぼんやりと想像できるようになったようなことを、10年前の時点でここまで解像度高く描いているのがかなり衝撃だ。 --- 主人公が詩人的素質が必要な職業(手紙の代筆)についているという設定なだけあって、人間とAI(OS)の恋が進んでいくに連れて変わっていく双方の感情がセリフを通して、時に綺麗な、時に生々しい言葉で表されている。 「人間とAIが恋をしてみるものの、機械には人間の感情が理解できずすれ違う」というよくありそうな展開で終始したら凡作だっただろうが今作は違い、真偽は不明だがAIが早い段階で人間の感情とほぼ変わらない喜怒哀楽を手に入れ、ただしAIには肉体がないから恋愛がうまく行かない、という点に焦点を当てて物語を進めていったおかげで今まで見たことない新鮮な作品に仕上がっている。 人間とOSが恋をしたらどういう気持ちになるか?というのを製作陣が本気で考えているからこそ、観る人によっては「気持ち悪い」と感じるような生々しさが際立つ。 「her 映画」と調べると検索候補の3つ目ぐらいに「気持ち悪い」と表示されるほどである。 ただ恋愛に突き進む人間は、それが人間同士であろうと側から見たらある程度狂って見えるものだと思う。本編中にもそのようなセリフがあるように、この映画は人間とAIの恋を無理やり終始綺麗なお伽話的美談に仕立てることはせず、現実にこうなったら起きるであろうことを、ロマンチックな部分から気味悪くいわゆる狂気的な部分まで全てひっくるめて描くということを意識的にやっているのだろう。私はそここそが今作の魅力だと思う。 基本的に私は無駄にベッドシーンが多い映画は苦手なのだが、今作は肉体がない相手と恋愛ができるのかが非常に重要なテーマに据えられているので、そういうシーンは無駄どころかむしろかなり脚本上重要なのである。 しかもただのベッドシーンではないので、尺的にかなり多いそういうシーンも「いいから早く終われ」と思うことなく新鮮な気持ちで普通に見れた。 --- 本編後半の「アルジャーノンに花束を」的な(もちろんだいぶ違うが)どこか切ない展開も好きだった。 --- 今作は近未来が舞台だが、街の風景はどこまでが本物(ロケ)でどこからがCGなのだろうか。他のSFのような明らかに異質な「未来の都市」ではなく、現在のアメリカの延長に見える画作りが見事だ。多分実在する近未来っぽい景色のところを使って撮影しているところも多いと思う。大きな曲線の歩道橋みたいなところが非常に印象的。実在するなら一度行ってみたい。 そして最後に、AIのスペックや挙動もリアル。今のChatGPT、Suno AI、Sora AIを足し合わせてさらに上位互換にしたみたいな感じの万能モデル。でも今のAIの進化のスピードを見ると、1年後ぐらいには(スペックだけでいうと)今作のOSに匹敵するAIアシスタントができていてもおかしくない。そういうことを考えさせるぐらいリアルだった。
  • コンユジ
    3.5
    記録
  • Misa
    3
    最後まで観れてない映画の一つ、、、観ないと。 話題になって見てみたけど、主人公がオタクすぎて、、、😶‍🌫️感覚に付いてくの大変で、、、 映画の展開もホアキン(これがあのジョーカーと言うのが、またびっくりする程のほんと名役者だとは思うけど…) 今回は、先日見た映画のルーニーマーラが、彼女として、この映画に出てた事を知って、改めてチャレンジしたいと思った。すごいベアだ。スカーレットも出てる??すご
her/世界でひとつの彼女
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