愛・絶望・虚無の連鎖!新作製作が決定したミヒャエル・ハネケ監督って何者?

2016.02.28
まとめ

感受性複雑骨折

寂々兵

オーストリアの映画監督ミヒャエル・ハネケが、新作映画『Happy End』の製作を発表、今春より撮影に取り掛かるとのことです。

出演はハネケ映画の常連であるイザベル・ユペール、そしてフランス映画界の名優ジャン=ルイ・トランティニャンの二人が決定しています。こちらは2012年の同監督作品『愛、アムール』以来の共演となります。

昨年、製作中だった『フラッシュモブ』の製作を断念した一報が入ってきただけに、今回の新作製作に心躍らせた方も多いと思います。

今回は「ハネケって聞いたことあるけど、作品は知らないなぁ」「暗い映画、敷居が高そうな映画を作ってるイメージ」という方に、彼の長編作品を5本紹介しようと思います。

戦争前夜の不穏な村にて 『白いリボン』

14リボン

第一次世界大戦前夜、ドイツの村で起こる不可解な事件を描く作品。第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを始め、数多くの賞に輝きました。

パルム・ドールを取ったことで本作を知り、「ホラーっぽい雰囲気のサスペンスかな? 反戦ヒューマンドラマかな? 面白そうだな~」という気持ちで鑑賞して見事にノックアウトを喰らった方も多いと思います。公開時、各界からの絶賛と相反してレビューサイトに「意味不明!」の文字が並んでいた記憶があります。

本作で描かれる「闇」とは小さな村で発生した「虐げる者と虐げられる者」の縮図です。それを「ファシズムの種」と安易に考察することはハネケ監督自身が否定していますが、ファシズムの起因を寓話的に描いているのは歴然ですし、ファシズムの種が世界中で胎動していることに関する警鐘であるとも取れます。ただ一つ言えることは、「事件を起こした犯人」などは2の次3の次ということです。

ハネケ映画で唯一存在する「語り手」である教師は何者なのか。果たして本当に「白いリボン」は白いのか。頓挫した方は、今一度作中の人間関係のみを注視して再挑戦してみてください。

愛と共依存は紙一重である 『愛、アムール』

14愛

『白いリボン』に続いて第65回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。

本作は多くの方が「老老介護の実態を描いたヒューマン感動作」と捉えていますが、自分は少し違う視点から鑑賞しました。

というのも本作は、老老介護の映画という体裁を取って「病気によって半身不随となった妻は夫の手助けなしには生きられず、また夫は妻の手助けをすることでしか自身の存在を認識できない」という「愛のつらを被った共依存」を鋭く、そして醜く描いた作品なのではないかと思いました。

「ハネケらしくない作品」と形容されがちですが、そういった意味では本作はハネケのえぐさを最も端的に表している作品なのではないかと思います。初期作と比べると優しい作風であることは間違いないですが。

この映画には夫から妻へ、娘から母へ、そして娘から父へと複数の相違する性質を持った「愛」が存在します。ハネケはその裏に隠された各々の恣意的な感情を表現し、かつ「それは自然で当たり前」のことだと言い放っているのではないでしょうか。

すいません、卵もらえますか? 『ファニーゲーム』

14ゲーム

カンヌ国際映画祭上映時、あまりの過激さに退出者続出、ブーイングの嵐、監督や批評家から抗議が殺到した大問題作。ハネケの名は知らずとも、本作を知っている人は多いのではないかと思います。

「映画史上もっとも後味の悪い作品」と言われているのはさすがに大仰かと思いますが、とにかく不快な作品です。一緒に食事をしている友人同士が揉め始めた時の「何だか険悪だなぁ」という感覚を序盤に見せ付けられ、そのまま大喧嘩に発展した時の「もうやめてくれ……」という感覚を後半たっぷり突き付けられます。ここで多くの人は「この映画の暴力は観客に向けられたものだ」と気付きます。

なお、ハリウッド版のセルフリメイクは偏執狂的なまでに同じ構図・演出・シナリオでありながらどうにもコントのようにしか見えないので、俳優のファンである、またハネケの映画をコンプリートしたい方のみ鑑賞すれば良いと思います。皆さんも卵を貰いに来た隣人にはご注意ください。

本作が好きな方には、ラリー・ピアース監督作ある戦慄をお勧めします。『ファニーゲーム』との共通点は「暴力シーンを見せない」ことで暴力の本質を訴えかけてくるところです。

"無関心"という究極の絶望 『ベニーズ・ビデオ』

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豚の屠殺ビデオを見た少年が偶発的に少女を殺害し、両親が隠ぺい工作をはたらくというドラマです。ハネケ映画では先述の『ファニーゲーム』が"鬱映画"と名高いですが、個人的にはこちらの方が絶望度が高いと思います(また本作を『ファニーゲーム』の前身と捉えることもできます)

自己保身を最優先に考えるあまりに子供との間にズレが生じ、それが新たなズレを生じさせて歯止めが利かなくなるという「どうすることもない絶望」を冷たく放つ本作。ハネケ映画の特徴として「人間の内面に潜む渇ききった愛と悪意をメディアを通じて表現する」というものがあり、本作はその最たるものと言えます。(他には『隠された記憶』などが顕著)。

そういう意味では先述の『愛、アムール』は「愛」の、『白いリボン』は「悪意」のそれぞれ集大成的作品と捉えて良いのではないかと思います。

監督が製作を断念した『フラッシュモブ』という作品は、「ネットを介して繋がった人々のドラマ」を描く作品だったらしく、こちらは「メディア」の集大成的作品を狙っていたのかもしれません。

そして七番目の大陸へ 『セブンス・コンチネント』

14セブンス
最後にご紹介するのがハネケのデビュー作。『ベニーズ・ビデオ』『71フラグメンツ』へと続く「感情の氷河化」3部作の第1作でもあります。

この「感情の氷河化」3部作で強調して描かれるのは「原因・理由・背景の欠落」です。作中で起こり得るすべての出来事に動機が描かれません。本作も一見普通の家族にスポットを当て、「あれ、何だかおかしいぞ?あれ?あれれ?」と違和感を感じ始めた頃には"崩壊"が始まっています。

この映画では序盤から中盤にかけて家族の日常が淡々と綴られるので退屈で眠くなる方もいるかもしれません。が、「退屈で眠くなる」ことこそが大事で、監督の意図にまんまとはまってしまっているのです。繰り返される日常の消費に虚無を感じない人などいません。

ちなみに『セブンス・コンチネント』とは「七番目の大陸」。本来あるはずのない七番目の大陸を形容する言葉ですが、家族が最後の抵抗としてそこへ向かうことを考えると「ボリショイ劇場の9番目の柱」とは本質的に似て非なるものであることが伺えます。『愛、アムール』『白いリボン』などでハネケに興味を持った方は、あらゆる感情の起伏の一切を拒絶する本作に挑戦してみてください。

おわりに

ミヒャエル・ハネケ監督作品では演者がほとんど感情を表に出さない作風が特徴ですが、監督本人は非常に明るい人物で、コメンタリーなどを鑑賞すると作品の解釈や製作時の裏話を嬉々として話してくれる饒舌な紳士であることが伺えます。DVDを購入・レンタルされた方はぜひそちらも鑑賞してみてください。

また、2013年公開のドキュメンタリー:映画監督ミヒャエル・ハネケでもその全容を伺うことができます。

新作『Happy End』は非常に意味深なタイトルで、どんな作品になるのか筆者も今から楽しみです。

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  • しゃみ
    3.5
    愛しかなかった。
  • mayujessicarrie
    3.0
    純粋に好きな映画か、と言われると違う 映画がお部屋の中だけで進み、見ていて苦しくなった それと似た苦しさが二人にもあったと思う 愛があったとしても
  • Shiori
    4.4
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  • mii
    3.0
    フランス映画らしい映画だった。
  • 清水瑶志郎
    3.7
    かなり亡き母を想起… 電動車椅子で遊んでるところ、すごいハネケだなと思った
  • zk
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  • あお
    3.4
    少し怖いくらいの愛 私には持ち得てないもの
  • W
    4.6
    とてつもなく繊細な「愛」の物語。 親子や他人に比べて、恋人や夫婦は対等な関係だ。だからこそ、その相手に看取られることは一番幸せなことかもしれない。だけど看取る方は、それまで人生を対等に歩んだからこそ余計に、弱ってゆく相手を見るのが辛いだろう。 この手の話は取り扱いがとても難しい。ちょっとでもさじ加減を間違えると違和感を抱きかねないところを、ギリギリのところで成立させている。 理由はいくつかあると思う。 まずは、役者。とにかく夫婦役の2人が素晴らしい。 その場で手を重ね合わせているだけで、若いときの幸せなひととき、出会いから今までの長い時間の積み重ねがじわじわと伝わってくる。 アカデミー賞にノミネートされたエマニュエル・リヴァもだけど、個人的には実質的な主人公である旦那さんに感動した。 部屋に鍵をかけたり、奥さんの手をさすったり、真夜中に思いつめたり、つい手を挙げてしまったり…ほとんどが無言で行われる行動を通して、彼がどれだけのものを背負っているか、どれほどの覚悟をもっているか、そしてどれほど奥さんを愛しているか、痛いほど伝わってくる。 もうひとつは、音楽も、カメラワークも、セリフも、徹底的に無駄なものを削ぎ落とし、観客に2人の心の動きだけを提示し続ける演出。息が詰まるほど静かに、2人の物語だけが存在している。 この映画は決して、「尊厳死」とか「年を取ることは辛く苦しい」とか、そんなことを言いたいのではないのだ。 長年連れ添った2人の、無駄なものが削ぎ落とされた「愛」。誰でも手に入れる可能性はあるのに、なかなか死ぬまでもち続けるのは難しい「自分を愛してくれる人」の尊さ。 ひとりの人が、自分の命をかけて愛する人を守り抜こうとした。 最後の彼の決断は、あくまでも最期まで彼女を守り抜くための手段だったのだろう。
  • hitomi
    3.5
    長く生きて、死ぬ間際、人は何を思うんだろう。 長く連れ添った大切な人と一緒に居られることが最後の望みであり束の間の幸せになるのだろうか。 愛って深い。 2017年32本目
  • MFD
    4.0
    途中で結末がわかっちゃう。 それでも感動する良い映画でした
  • 踊る猫
    4.3
    老いて行く妻とその看病をする夫。スジを要約してしまえばそれだけの話……なのにここまで人を惹きつけるのは何故なのだろう。むろん俳優陣の演技の賜物でもあるだろうが、それと同じくらいこの映画が「計算」され尽くした作品であるからに他ならない。開け放たれた窓、あるいは外から入って来るニュースは閉ざされた登場人物たちの心が辛うじてその接点に依って繋がっているという、斎藤環氏風に言えば「引きこもり系」の人々の(ハネケの映画では登場人物たちは皆「孤独」だ)心理をそのまま象徴しているかのようでもある。タイトルは「愛」だが、彼らの間に「愛」はあったのだろうか? 例えばそれは食事の場面が象徴しているように一方的なものではなかったのか? そのエゴこそがしかし、「愛」なのではないか? 色々なことを考えさせられる。ラスト・シーンの余韻もあってこの点数にさせられてしまった。いや、興味深い作品だ。
  • 花子
    5.0
    初めて観た時から五年経ったが、これ以上の恋愛映画を、わたしは知らない。
  • cappuccino
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    記録
  • subcullonliness
    4.7
    ・・・・・・・
  • YuumiPeralta
    4.9
    こういう愛しかたがあるのかと思うとゾワっとする。
  • 親分
    3.0
    おばあちゃん役の人の演技がうまかったな〜。 実際 高齢化社会の日本でも アリエル話だし、いつかは我が家も・・ って考えながら観てた。 そんなことを考えながら観てるもんだから 気分的にツラい。 やっぱりオレは こーゆー映画は好みじゃない。 2017 3/6 追記 もう少し まともなレビューを書いてみる気になった。 高齢者人口比率 世界一位は言うまでもなく 日本だ。 食料の向上、医療の発展のおかげで 織田信長が好んで舞ったと言われる『敦盛』の 人間50年・・・・ の頃と比べると 2倍もの長寿も可能になりつつあるわけだけど、、、 はたして それは人類にとって 本当に幸せなことなんかねー? 自分自身のことを考えれば 介護してもらう必要になるまで生きたくない、適当なところまで生きたら あっけなく逝っちゃいたいな〜、、 と簡単に言えるが、 自分の家族が そうなったとしたら やはり自分の限界をこえてでも面倒をみるだろーな。 で、ホントに限界まで いっちゃったら この映画と同じ結末になっちまうことを否定することもできないだろーな。 この映画を観ていて疑問に感じたこと。 弟子から手紙付CDが送られてきて それを聞いてたとき 『止めて』と言う。 なぜ? 水を飲むことを拒んだのは? 生かされているだけの人生にピリオドを打ちたかったのか? 将来 ダレの身にも起こりうる可能性を否定できない。 そんなテーマを題材にした映画。 けど、やっぱり正解な答えはないし それに備えようとしても 完璧な答えもない。 良い映画だとは思うが 感動する話でもないし 気分的にツラい。 きのう これを観たけど 今日になっても気分は重い。 できるば 観なかったことにしたい映画でもある。
  • あんころもち
    3.8
    重い。バッターボックスにただ立って見送って豪球直球を投げられてる感じ。辛い作品でした。
  • すあま
    4.6
    結末が冒頭で語られる。そこに至るまでの2人の関係がじっくりと描かれる。 お互いを必要としあっていく中でその思いがこじれていくような感じ。 無音のエンドロールがとてもよく合う。
  • しん
    4.3
    このテーマで映画をつくったら悲しくなりそうなものの、見ていて苦しくなるところがハネケ映画 重ためなので人に勧められない映画 現実的には自分がどちらの状況にも陥る可能性があるからそのときどうしたいかなあ
  • Haruka
    3.7
    見終わって、一息ついて、無音のエンドロールとともにタイトルを想う。それについて語るには私は力不足だ。感じることで精一杯。 変な邦題を付けられなくて本当に良かった。 効果音としての音楽がないこの作品。音楽がない映画は苦手なのに、嫌じゃなかった。 むしろ、日常にはこんなに音があるんだ。人がたてる音はこんなにあるんだ。そんなことをずっと考えた。 ラストで夫が花を買ってきて、包みをガサガサと開く音がとても胸に響いて苦しかった。そうか、ガサガサにも種類があるんだ。このガサガサは他のどのガサガサとも違うんだ。って。 静けさが激しい感情を表現している、そう思った。 これから見る方は是非音をよく聞いてほしい。
  • ゆりりん
    3.7
    将来の自分よりも、自分の親と重ねてしまって苦しくなった
  • あわた
    3.3
    しんどいしんどすぎる わかると同時にわからなくなるよ 愛とは?山とは?川とは?
  • コディ
    3.7
    アムールなんてタイトルなわけで、これがミヒャエルハネケの愛なんですかね。 ミヒャエルハネケでも愛されたいんですね…
  • 28
    3.4
    観ていた2時間、ずっと辛かった。 希望なんて無くズルズルと病状が悪化していく妻とそれを見守る夫。 将来の自分を見ているようだった。 『ミリオンダラーベイビー』の時もそうだったが、主人公の決断を非難できない。
  • YoshifumiKamata
    3.8
    老々介護の現実を描いた映画。 高齢化率トップ10に入るフランスだから描けたと思う。一位の日本でも近年、痴呆症や介護などをテーマとした映画も多いですよね。ペコロスの母に会いにいくなど… ラストのシーンは僕にとっては介護疲れが可哀想だという感情を加速させた上の行動だったんではないかと思いました。 病気などで祖父母の容態があっと今に変わっていく様を見て、経験してるから娘の辛さ少しもわかる。でも、もっと近くに入るべきだと思いました…これからの人生について色々考えさせてくれるいい映画でした。 映像自体はワンカットずつが長く、音楽もないので、見る人に展開やそのワンシーンを深く考えさせる隙間を与えてくれるのがいい。日本映画のゆっくり過ぎる展開とはひと味違った良い間!
  • HOSSOO
    4.0
    老々介護の現実を忠実に描いてありながら、それに勝る愛に感動。 窓際の鳩のシーンの描き方がおもしろかった。
  • みなみ
    3.5
    つらかった。限界なのか愛なのかっていう議論があって、どっちもだとは思うけどわたしには限界に見えてしまったなあ…。や、でも愛も含めた限界と考えると結局両方なのかな。
  • actionbyrevenge
    3.7
    フォロアーの方々スミマセン。 僕はあんまりでした.... 本当にすんません。 気分悪くするかもなので、下記感想は見たい方だけに。 1つの画、描写に長いこと時間をかける。 そうすることで登場人物のセリフが少しづつ明らかになっていく。 そして家具の配置や部屋の構造にも理解が出来てくる。 台詞もほぼ無し。 音楽も無し。 登場人物も軽く周りに配置されているだけで、基本的に爺さんと婆さんのみ。 ...となると、個人的に好きな要素しかないんだが、 これは見続けるのが辛くなるし、映画の最初に結果が出てるので、余計な伏線や凝った展開もなく、そこまでの過程を長ーく見せられてる感じが正直眠くなってキツかったです。 高齢化問題が浮き彫りになって来ている日本において、介護職をしている人の教材になり得る最高の資料ではあると思うし、実際に高齢者に見せても分かりやすいテンポなのかもしれない。 よく、友達の介護士達が「マジババア大変すからね」とか言いますし、何となく気持ちも分かる。 他人ですから。ええ。 愛がないと介護なんて出来ないのかなあ、いや、愛があるからこうなのか、、とか。 色々考えさせられるラストは唸りましたが、本当に、個人的にアウト。 すんません。
  • takano
    4.2
    音楽家の老夫婦ジョルジュとアンヌ。ある日アンヌが突然発病し片麻痺に。元々病院嫌いだった彼女は夫に「2度と病院へ戻さないで」と訴える。彼は戸惑うが彼女の気持ちを尊重し自宅で介護を決意する…が導入部。 しばらくしてアンヌが2度目の発作を起こし病状が片麻痺から更に言語、記憶、認知障害と重度化。 最初と2度目と枕元に置かれる細々した介護用品が変わるところ、動作の介助も介護指導で教わるやり方でリアル。 また娘を始め周囲の心配に対して「気にしている暇がない」とジョルジュが答えるシーンが分かり過ぎて辛い。 作品内での介護期間の長さは、はっきりしませんが1年以上~数年間ではないかと。 また彼女の病状は脳卒中か脳梗塞と思って観てました。 でもこの作品は介護がテーマではなく。 彼等の裕福さは、ある選択とその意味に不要な要素を入れないための単なる背景です。 「愛について語られた映画」だと監督自身が語っており、冒頭の消防士が封じられた部屋に入るシーンでまずそれを暗示させています。 またラスト間際の幻でも。 最後に娘が家を訪れ、普段はジョルジュの座るソファーに彼女が躊躇いなく座る場面が、あの幻の意味を強調させ余韻のある終幕。 個人的な推測ですが監督は尊厳死を選択のひとつとして認めているのではないかと思いました。 内容が重いので人には薦めないけれど、ハケネ監督作の中では人の心がある切ない映画でした。
「愛、アムール」
のレビュー(3402件)