スルーしていませんか?不思議な魅力のあるジャンル「刑事物映画」より傑作7作品

2016.03.14
まとめ

邦画・洋画、ジャンルを問わない映画好き

いと

刑事物」、それは時に熱く、時に渋く、時に目を覆いたくなるような映画でありながら映画の創世記から今に至るまで延々と作られ続けるジャンル。

今回はそんな「刑事物」という大枠のくくりの中で、傑作でありながら割と見ている人の少ない映画7作をご紹介していきます。

王道中の王道、足で情報を稼ぐ刑事ドラマの鉄板作

砂の器

まず最初にご紹介するのは1974年に公開された『砂の器』。

松本清張の同名小説を実写化した『砂の器』は、地道な捜索と足で情報を稼ぐ捜査の2つを丹念に描いた刑事物の王道であり鉄板作品。

真夏の扇風機しかない部屋で行われる暑苦しい捜査会議や、炎天下の下での捜査活動など今とは時代が違うものの日本の警察という職業の捜査を描く映像の骨子となったシーンはいつ観ても色褪せません。

海外でも高い評価を受け、映画の中枢とも言える音楽とクライマックスの演出、日本の刑事映画を語る上で見逃してはならない傑作です。

猟奇殺人を追う2人の刑事、猟奇犯罪の謎を描いたサイコミステリー

クリムゾン・リバー

猟奇殺人を描いた刑事映画と言えば一般的に『羊たちの沈黙』や『セブン』が多くあがります。確かにこの2つも傑作であり名作であるのですが、筆者がオススメしたいのは2001年に公開されたフランス映画『クリムゾン・リバー』。

両手を切断され、目をえぐられ、胎児の様な格好で遺棄された男の事件を調べる優秀な刑事と、墓荒しの捜査をすすめる所轄の刑事。それぞれの捜査がやがて街そのものの異常に繋がる。

異常犯罪を題材にしながらもその異常な謎にしっかりと意味合いをつける内容と、『レオン』のジャン・レノ演じる寡黙な刑事と『ブラック・スワン』などで活躍をフランス内外で広げるヴァンサン・カッセル演じるお調子者の刑事のバディムービーとしても大好きな作品です。

老練、凶暴、正義漢、色の違う3人の刑事がたどり着く警察組織の闇

コンフィデンシャル

刑事物で群像劇と言えばこの映画『L.A.コンフィデンシャル』。

ドラマのアドバイザーを務めるほどの老練刑事、血の気が多く何かとすぐに暴力を振るう荒くれ刑事、実直で仲間の不正であろうとも告発する生真面目な刑事。喫茶店で刑事を含めた客全員が殺害された事件を主軸に、刑事たちの思惑が入り乱れる。

アカデミー賞助演女優賞と脚色賞に輝き、ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアースなど今や超有名な俳優が並ぶこの映画はフィルム・ノワールの要素も取り入れた刑事物群像劇。

誰が何を考え、どのように動くのか、その行動の行く末は・・・・・・一度鑑賞しただけでは魅力を吸い取りきれない奥深さも評価される理由です。

監督、北野武誕生。和製バイオレンス映画

凶暴につき

和製刑事物として忘れてはいけないのがビートたけしこと北野武初監督作『その男、凶暴につき』。

この映画の特徴は何と言っても暴力に継ぐ暴力。ハードボイルドという暴力の多い映画のジャンルの中でも突出して過激な暴力シーンが多く「何が起きるのか分からない」というホラー映画のような恐怖心やドキドキ感により鑑賞中は冷や汗が止まりません。

一方で暴力に反するかの様な淡い色合いと、静かな劇中のBGMなど後の北野映画の原点となる要素の数々が監督としての北野武の才能を感じさせる作品です。

遥か未来を舞台に描かれるSFアクションサスペンス

マイノリティ・リポート

「刑事物ってちょっと地味な印象があって……」という人にオススメなのはトム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』。

予知能力者を使った「完璧」な殺人予知システムが稼働した世界、人が殺人を犯す前に逮捕する犯罪予防局の刑事ジョンは自身が見ず知らずの男性を殺害する予知を受けてしまう。あり得ない予知を突きつけられたジョンは罠であると確信し、システムから逃れ真実を探す。

SF+逃亡物+刑事物+アクションでしかも監督はスティーブン・スピルバーグ。これだけ詰まっていたらおもしろく無い訳がない!迫力のアクションシーンと10年以上前の作品でありながら遜色のないCGの出来で必見の作品!

しかもしかも、コリン・ファレル演じるウィットワーの捜査の流れは『逃亡者』のようでもあり前述した『L.A.コンフィデンシャル』のようでもあり、意外な真実と物語の終着点は刑事物としても楽しめます。

麒麟像の前で発見された刺殺体、彼は最期に何を願ったのか

麒麟の翼

ドラマ『新参者』の劇場版である『麒麟の翼』は映画単体としても高水準の作品。

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの実写ドラマ版である『新参者』は1冊の小説を1クールまで引き伸ばしたにも関わらずその完成度の高さに人気が出てSPドラマや劇場版にまで発展することになりました。

しかし、劇場版となると「ドラマを観てないしなー」と言う理由から敬遠してしまう人も少なくありません。その点この作品は細かな人物の繋がりはあっても、事件そのものに繋がりはなく新規の人でもすんなり作品に入れます。

刑事でありながら、推理小説で言うところの探偵役の要素を兼ね揃えた加賀恭一郎の捜査の先にある被害者の最期の願い。皆さんも是非鑑賞してみてください。

差別、貧困、未だ変わらぬ南アで巻き起こる猟奇殺人

ケープタウン

最後に紹介するのは2014年に公開された『ケープタウン』。

南アフリカのケープタウンで惨殺された女性の死体が発見される。すぐさま捜査に乗り出した警部のアリと部下のブライアンはこの事件が巷で流行る薬物へと繋がることを知る。

ネルソン・マンデラにより改善こそされたものの未だに差別や貧困などの問題が残る南アフリカのケープタウンを舞台に繰り広げられる重厚で猟奇的で辛い物語

静かな信念を燃やすズールー族の刑事アリと、自堕落で酒と女に溺れるが有能な刑事ブライアンの信頼関係の描き方もフォレスト・ウィテカーとオーランド・ブルームの演技により魅力を増し地名度が高くないのがもったいないほどの出来。

燃やすべき信念とは、果たすべき行為とは、アリの最後の行動にも注目してください。

まとめ

刑事物には不思議な魅力があります。謎を解明していくおもしろさ、正義とは何なのかを問いかけるメッセージ性、一言では語り切れないほどの魅力が詰まったジャンルだからこそ今に至っても手を変え品を変え様々な映画が製作されているのです。

今回紹介させて頂いたのはその中でもごく一握り、興味を持って頂けた、もしくは全て見たことのある映画だったという人もこれを気にまだ見ぬ刑事物映画に触れてみてはいかがでしょうか。

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  • ほしがた
    3.5
    悲しみこそサスペンス 親との関係が良くない今、精神的にかなりキた、また見る
  • pappo
    3.0
    スゴい作品!
  • Moeka
    4.0
    ドラマでは犯罪者になってたけれど、元々はハンセン病だもんなあ。今じゃもうこのずっと錨を引きずっているみたいな、哀しくてずっしりした物語は作られることはないんだろうな、、、
  • 4.0
    見るのは2回目だが、後半の展開は引き込まれるものがあり、この時代の映画としては非常に秀逸。今見ても全く見劣りしない。
  • さるとび
    4.5
    記録
  • へんりー
    4.5
    上手に撮られて雰囲気の強いミステリー映画だ。野村監督のいつものような辛い話!結局「終」の字を観てとても疲れちゃう、精神的に。笑 良い映画。
  • b
    4.2
    評判に違わぬ大傑作だと思いました。骨太の刑事もの。事件の背後にある人間ドラマの描き方にとてつもない重厚感があり、どうしたって感動してしまう。現時点の自分自身を過去と切り離して生きることの困難さや苦しみ。善意を持って生きることによって背負う罪の大きさ。そうしたテーマが自分自身に重なり、とても重たい気分になる。字幕の使い方が非常に洗練されており、説明くささが抜けている点がうまいと思った。最も感動したのは加藤嘉が感極まって慟哭する場面だった。こういった人間の深い部分を見ると、心が引っ張られるような気分になる。
  • Mamiyaっち
    5.0
    らい病(ハンセン氏病)患者と言うことで 世に捨てられた親子が、 ボロボロになり、酷い差別を受けながら… けなげに連れ添い放浪の旅をする🐾 涙、涙、涙のシーンが怒涛のように続いて、 観る人を涙で皆殺しにする威力がある💧 そりゃそうだろう。 雨の中盗んだお供えの米を二人で頬張る姿を見せられたらアンタ。 このシーンを見て泣かない人がいたらお会いしたいものだ‼️ 「らい病」強制収容所に隔離された父が、 成長した子供のことを想って、 (こんな人、知らねぇ〜)と泣き叫ぶ場面は涙なしには観られません😢 車で島根に向かう。 出雲大社を参拝し、 映画の舞台となった《亀嵩駅》を訪れる。 ある夏の本当の旅行の思い出☀️ JRのコマーシャルに この映画の音楽が使われたら、 (そうだ“亀嵩”に行こう❗️)と思うだろう。 それほど僕が泣かされた…大傑作です 💯
  • スタ
    4.5
    親と子の"宿命"── ほぼ情報のない状態で観たのだが、後半の展開はもう心の中ではぼろぼろ泣いてた。音楽を通して父親と会い、そして浮かべる笑み。 美しいロケーションを背景に描かれた辛くも儚い親子の人生。いやぁ、良かった。
  • 体育帽
    -
    Youku 3/4/2017
  • たじー
    3.8
    今一つ理解できなかったのはハンセン病に対する差別を、実感として知らないからなのかなと思う。 言葉を使わずに表現しているラストシーンは「草原の実験」より優れているとは思わなかった。(撮影された年代を考えれば素晴らしいと思うが) 当時の社会風刺としては貴重な作品だが、面白い、感動する、といった感想はあまり抱かなかった。
  • シスコ
    5.0
    1977年5月 池袋テアトルダイヤにて鑑賞。
  • takato
    3.8
    撮影は物凄く美しいが…こういう作品の構成としてはどうかな?という印象の作品。  こういう物語は、犯人の人間性をいかに描けるか、それを追う刑事の心をいかに描けるかに面白さがかかっているように思える。しかし、本作では犯人が殆ど描かれないし、丹波さんこと刑事がそんなに思い入れしているようなセットアップがちゃんと出来てないからあんまり乗れなかった。  こういう話なら、最初から親と子、もしくは差別と偏見というテーマを伏線もしくは導線を引いておいて最後に大爆発するというような構成にした方が効果的だったろう。そして、犯人の人間性を描くために最初から現在と過去を同時並行で描いていくぐらいした方が良かったんじゃなかろうか?。 あと、あんまり関係ないけど、本作や「君の名は」でもあった音楽だけ流して場面をダイジェスト的に描くという手法は大嫌いである。テレビアニメとかで、軽い感じで使われるならともかく、時間が限られてる映画内で重要な部分をそういう風に描くのは上手くない。
  • オレンジ
    3.9
    記録
  • HIROKI
    3.5
    ミステリーの要素より、丹波哲郎の味のある演技が楽しい。 あのラストシーンは考えさせられるし、衝撃もでかい。これぞ名作たる所以。
  • ドリーム
    4.5
    心を撃たれる作品。 松本清張作品は好きですが、この作品がとても好きです。 過酷な過去を経験した主人公が、秘密を背負いながら大人になっていく… 過去の秘密を知る物、疑念を持つ物…罪を背負い、隠しながら生きていこうとする主人公… 主人公の心の衝動、苦しみが凄く伝わる作品です。
  • sugenon
    3.8
    名作であるとは聞いていたが漸くの初見。芥川也寸志の圧巻の音楽による、父子が想い合う後半の演出は見事ではあるが、物語の鍵のハンセン氏病の時代背景が起こす殺人事件には動機に納得できない部分もあるのは仕方がないか。
  • sato
    -
    記録
  • FutosiSaito
    4.8
     見えるものだけを観ては、評価できない映画だ。  Wikipediaで(いいので)、繰り返されたテレビドラマ化の際に、「ハンセン氏病」の設定がいかに変えられたかを調べてみるとよい。  避けられているのだ。  それを、差別の問題を正面から取り上げた原作の松本清張と、映画化したスタッフ、脚本の橋本忍に山田洋次!の志の高さにも感動する。  オープニングから、美しく凄い映像だと思ったら、小津安二郎監督についた川又昴が撮影だった。ラスト30分ほどのクライマックスの映像美。  日本の風景を切り取り、季節も感じさせ、楽曲「宿命」とのカットバックによりセリフ無しで見せる説得力。  『飢餓海峡』と並ぶ、今では失われてしまった、重厚な日本映画の代表作だ。  
  • KenichiMatsuura
    4.8
    野村芳太郎監督作品。 橋本忍、山田洋次が脚本を務める。 昭和中期〜後期の名優達が観せる。 美しい風景と音楽の中で、切なく、哀しい物語が展開する。
  • kirito
    3.9
    【宿命】 砂を水で固めれば器は作れる。しかし、その器のなんと脆いことか。 切なすぎるこの事件の真実は刑事だけでなく、視聴者の涙を誘う… 東京で殺人事件が発生した。 被害者は身元不明の男性。 彼の生前の目撃情報は近くのバー。 そこで、ある若い男と一緒にいるのが目撃されており、彼らの会話の中に『カメダ』という言葉があったとウェイターが証言し…… なんかそのワードどこかで聞いたような…(踊る大捜査線はこの作品のオマージュ?だったとここで気づく) 刑事ドラマもののサスペンスとはいえこの真相は…父と息子は…それはダメでしょ。 今でこそ認知度はあがったある病気のことがテーマにされていたりなかなか社会性にとんでいる映画でした。 また、見所のひとつは主人公が日本の色んな場所に電車で向かうシーン。 電車で旅をしたくなること必至。 調べてみると原作の作品と重要や点が変更されており、その変更が味を生んだようです。 犯人は割と冒頭からわかってしまいますが、なぜ彼が犯行に及んだのか… その回想シーンがまた素晴らしく、あえて会話を省いたり、基本的に遠くから映す撮影技法が切なさを増幅させます。 刑事の主人公である丹波哲郎が事件の真相を語るときにさりげなく涙を拭くシーンを私は見逃さなかった!! ※森田健作が若い 2017.1.29
  • KEI
    4.0
    二部構成で、前半の謎解きは多少無理がある気がするけど、それを吹き飛ばすぐらい後半の出来が素晴らしい。
  • 25
    4.2
    感想は後日
  • shisei
    4.3
    松本清張原作の社会派ミステリー。 映画としては、特別な表現方法もなく、テレビドラマぽい感じです。 が、話しの内容は「重い」の表現だけでは語り尽くせない、悲しい、やるせない、差別の負が描かれています。 何故、唯一の恩人を殺さなければならなかったのか? そして、執拗に謎を追う刑事。辿り着く事実。奏でられる音楽。 なんとも言えない、答えの無い、悲しみ。 日本映画では、最高峰の社会派ミステリーだと思います。
  • まこと
    4.0
    最後のあの分厚い音 音が全てを浮き彫りにさせた 大傑作だと思う
  • Mouki
    3.5
    記録 長いけど観入ってしまう。 切ない。
  • 眠り猫
    3.0
    記録用
  • 糸くず
    3.7
    泣ける。「卑怯だ」と思っていても、泣いてしまう。 終盤の構成は『君の名は。』と同じで、物語の終着点である出来事が音楽ともに垂れ流されるだけであり、「品がない」と言うこともできるけども、荒れる日本海と荒涼とした冬の漁村の風景、そこを歩く白装束の親子、石を投げられ追われるように集落を出る二人、線路を走る子ども、駅のホームで抱き合う親子、どれも刑事の今西(丹波哲郎)が勝手に想像した和賀(加藤剛)の過去に過ぎないのだけれども、なぜか涙が止まらない。わなわな震える加藤嘉の姿を見るだけで、もう涙が……。 終盤のインパクトがとてつもなく強いが、前半の地道な捜査を忘れ難い。この映画は、旅とビールの映画であり、ワイシャツの映画でもあるからだ。 今西と吉村(森田健作)が飲み屋で飲むビール。案内人が渡した瓜を、門柱に打ちつけて割る今西。成果がなく、いらつく吉村に渡す。かぶりつく二人。それがまたうまそうでうまそうで。 あるいは、汗の染み込んでいそうな夏のワイシャツの白さ。地元の警察署を訪れる今西が、門の手前で脇に抱えたスーツをサッと着るその仕草のかっこよさ。線路脇を這って証拠を探す吉村の姿もいい。 旅とワイシャツ、列車での旅、二人の刑事。といえば、松本清張原作&野村芳太郎監督のもうひとつの名作『張込み』を思い出さずにはいられない。もう一度『張込み』が観たくなった。
  • クズの極みまるりき先輩
    4.5
    3回目の鑑賞なのだがラスト30分、捜査本部で今西巡査部長(演・丹波哲郎)が和賀を犯人と断定した後の描写が泣けて泣けてしかたない。捜査本部だってみんな泣いてるもん!俺が泣かないわけがない。 『ピアノと管弦のための組曲「運命」』の演奏、もはや想像でしかたどることのできない、和賀の少年時代の父との逃避行。美しい日本海と農山村の景色。父と子の確かな絆がそこにはあった。 このラスト30分は映像化の勝利だと思う。 激動の昭和社会の暗部(ハンセン氏病と言われなき差別)をえぐり出す社会派サスペンスの金字塔的な作品。有名な東北弁の謎など、当時としては斬新なトリックや伏線の張り方ほ勉強になる。今は亡き昭和の名優たちの共演に胸が踊る。
  • やこぺってぃ
    3.5
    悪い人なんかいなくて、みんな誰かを想っていた。 必死に各々が相手を想って必死に生きていた。 だから、とても痛いんだなぁ。 なぜか「泣いた赤鬼」を思い出した。 千代吉の叫びが哀しかった。 回想シーン、クラシックとともにあえてセリフがないのがとてもとても胸にくる。 刑事もの(事件捜査みたいなもの)が苦手で、ちょっと解釈間違ってたけど、素晴らしい映画だなとおもった。
「砂の器」
のレビュー(1307件)