3月開催の映画祭がアツい!話題作が目白押し!毎年大賑わいをみせる注目の映画祭特集

人との出会いに日々感謝(ライター・編集)

大久保渉

今回は、【3月開催の映画祭がアツい!話題作が目白押し!毎年大賑わいをみせる注目の映画祭特集】をご紹介させていただきます。

映画祭にはそれぞれ特徴があり、それぞれの運営委員によって選び抜かれた至極のプログラムが上映されています。

そこには話題を集めた映画、評価こそされたものの上映館が少なかった映画、今まで見たかったけれどもなかなか再上映されてこなかった映画等々、様々な作品が用意されています。

映画を愛するものたちが運営し、「この作品をぜひとも見てほしい」とつよく観客たちに呼びかけてくる映画祭。

各上映プログラムを見て、少しでもご興味をもたれましたら、ぜひ会場まで足を運んでみてくださいませ。

きっと、映画館で感じる以上の熱気が、かけがえのない映画体験が味わえることかと思われます。

「映画を通じて全国がつながる!未来の選択肢を共有する上映プロジェクト」

第3回 3.11映画祭

3.11映画祭表紙

出典:http://311movie.wawa.or.jp/

【3.11映画祭】は、今年で3回目を迎える映画祭です。

日本の社会を様々な角度から切り取ったドキュメンタリー映画、劇映画を中心に、メイン会場となる311 Arts Chiyodaで4日間に述べ12作品を上映、さらには全国20か所以上で有志による自主上映が同時に開催されるイベントです。

上映者たちは個人、団体、企業、様々な層の人たちが自分たちのできる手段で参加し、映画を通じて3.11からの現実や自身を取り巻く環境への問いを共有するとともに、身近な人たちと話すキッカケをつくることを目的とした上映会が開催されています。

上映後にはトークショー、イベント(会場によっては懇親会)等々も用意されており、映画をその日一日だけのものではなく、自分自身の身近な未来へとつなげられる体験がプログラムに組み込まれています。

開催概要

  • ■開催期間:2016年3月11日(金)~3月14日(月)
  • ■開催場所:メイン会場―3331 Arts Chiyoda(東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩3分)、サテライト会場―全国20箇所以上にて同時期開催
  • ■詳細はこちら:「第3回 3.11映画祭 公式HP

上映作品

  • ■『さようなら』、『正しく生きる』、『小さき声のカノン ―選択する人々』、『波のした、土のうえ』、『日本と原発 4年後』、『首相官邸の前で』、他(計12作品をメイン会場にて上映)。

さようなら

(C) 2015『さようなら』製作委員会

小さき声のカノン

(c)ぶんぶんフィルムズ

3月12日(土)18:00~より開催、大森駅そばにある『石巻マルシェ』での自主上映会もおすすめです。

震災から6年目を迎えるこの年に、有志らによって運営される石巻の特産品等を扱ったアンテナショップ「石巻マルシェ」にて、福島のことを考えるイベントが開催されます。

石巻マルシェ

出典:http://marche.reishinomaki.net/

「福島はいまどうなっているのか?」

ドキュメンタリー映画『1/10 Fukushimaをきいてみる2015年』の上映と古波津監督のゲストトーク、そしてその後の懇親会にぜひお立ち寄りいただけたらと思います。

  • ■3月12日(土)18:00開場/18:30開始(上映78分+トーク30分)
  • ■石巻マルシェ(京浜東北線大森駅より徒歩7分)
  • ■参加費無料(30名)、懇親会は20:30~22:00 (2000~3000程度を予定)
  • ■イベント詳細、ご予約はこちらから

「映画のまち調布」で開催される市民の手による映画祭

調布映画祭2016

【調布映画祭】は、昭和初期から撮影所や現像所、美術会社など多くの映画関連企業が集まる「映画のまち」として栄えてきた調布市内で開催される、「入場無料」の映画祭です。

今映画祭では、調布市内の会社が制作に携わった映画、市内でロケが行われた映画など、調布にゆかりのある作品が上映されるほか、各社・団体の協力により、小道具や資料の展示、関連会社の紹介や情報発信なども行われています。

また、3月13日の『銀河鉄道の夜』上映前には国立天文台天文情報センターによる「銀河鉄道の夜と星のおはなし」が、『百萬両秘聞』では活弁付き上映が行われるなど、特別なプログラムも用意されています。

子どもから大人まで楽しめる新旧の名作・話題作に無声映画が加わった作品を、調布の、映画の歴史とともに、是非この機会にたっぷりとご堪能いただけたらと思います。

開催概要

  • ■開催期間:2016年3月9日(水)~3月21日(月)/映画の上映は11日(金)~13日(日)に開催
  • ■開催場所:調布市文化会館たづくり、調布市グリーンホール(東急田園都市線調布駅そば)
  • ■詳細はこちら:「調布映画祭2016 公式HP

上映作品

  • ■『ビルマの竪琴』、『野菊の如き君なりき』、『横道世之介』、『GODZILLA ゴジラ』、『マダム・イン・ニューヨーク』、『大統領の料理人』、『愛しのフリーダ』、『バチカンで逢いましょう』、『名犬ラッシー』、他(計25作品を上映)。

ビルマ

横道

(C)2013「横道世之介」製作委員会

映画文化を広めたい!千葉県初上映の若手監督の作品上映

第8回 ちば映画祭

ちば映画祭表紙2

出典:http://www.chibaeigasai.com/index.php

今年で第8回を迎える【ちば映画祭】は、千葉市のみならず、千葉県初上映の作品、特に若手監督の作品をメインにしたプログラムが上映される映画祭です。

昨年の第7回下北沢映画祭でグランプリを受賞した『みんな蒸してやる』、第9回田辺・弁慶映画祭で映画.com賞を受賞した『ぼくらのさいご』等々、今後その活躍が注目される監督たちをまとめてチェックすることができる貴重な機会となっております。

そしてまた、プログラム内には監督や出演者たちによるトークショーがたっぷりと用意されており、そして上映後にもロビーにて監督たちと直接お話する機会があったりと、映画祭と観客の距離が非常に近く感じられるところが魅力的なポイントとなっています。

お手製による華やかな会場の装飾と、町中を巻き込んだイベントにワクワクさせられる、千葉県民のみならず、来場者みんなが楽しめる運営がなされています。

開催概要

  • ■開催期間:2016年3月19日(土)~3月21日(月)
  • ■開催場所:千葉市生涯学習センター(JR千葉駅より徒歩8分)
  • ■詳細はこちら:公式HP:「第8回 ちば映画祭 公式HP

上映作品

  • ■『ローリング』、『カモメ』、『海辺の暮らし』、『みんな蒸してやる』、『ぼくらのさいご』、『あとのまつり』、『劇場版・復讐のドミノマスク』、他(計16作品を上映)。

ローリング

(C)2015 ROLLING

みんな蒸してやる

今年で30回目の開催。毎年力のあるプログラムが味わえる映画祭

第30回 高崎映画祭

高崎出典:http://takasaki.film.gunma.jp/

今年で30回目を迎える【高崎映画祭】は、1987年より群馬県高崎市にて、毎年3月下旬から4月上旬頃にかけて開催される映画祭です。

開催期間はおよそ2週間、高崎市内の計5会場にて新旧邦画、洋画の傑作が50作品以上上映される一大イベントとなっています。

今映画祭の中では作品賞・監督賞などの授賞式も実施されており、毎年著名な監督、俳優が来祭しては豪華な授賞式が開催されるところも見どころの一つとなっています(今年の最優秀作品賞は、塚本晋也監督の『野火』)。

また、今年は100歳を超えても映画を撮り続け、そして2015年4月2日に106歳でその生涯を閉じたオリヴェイラ監督の至極の名作、9作品が特集上映されます。

その他国内で話題を集めた二宮健監督の『SLUM-POLIS』モントリオール世界映画祭正式出品の『ディアーディアー』等、どれをとっても必見のラインナップが開催期間中いっぱい上映されていきます。

開催概要​

  • ■開催期間:2016年3月26日(土)~4月10日(日)
  • ■開催場所:高崎市文化会館、高崎シティギャラリー、他(JR高崎駅周辺の計5会場にて開催)
  • ■詳細はこちら:「第30回 高崎映画祭 公式HP

上映作品

  • ■邦画ベストセレクション『ハッピーアワー』、『ソレダケ/that’s it』、『新しき民』、他(計16作品)
  • ■洋画ベストセレクション『バードピープル』、『インヒアレント・ヴァイス』、他(計15作品)
  • ■その他、ドキュメンタリー特集、若手監督たちの現在、マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集、羽田澄子監督特集等、多数。

ハッピーアワー

(C)2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト

バードピープル

(C)Archipel 35 – France 2 Cinéma – Titre et Structure Production

4月2日(土)に高崎電気館にて開催される【こども映画教室】イベントもおすすめです。

【こども映画教室】は、「こどもと映画のアカルイミライ」を目指すことをミッションに、映画・映像に関するワークショップの企画・実施、学校などへのワークショップのコーディネートや、シンポジウムの開催などを行っている団体です。

実際に映画を作りたいこどもたちこどもの映画づくりをお手伝いしたい大人たち、皆様ご興味ございましたら、ぜひぜひふるってご参加してみてくださいませ。

  • ■2016年4月2日(土) 高崎電気館《 高崎市柳川町31番地 》
  • ■10時30分〜13時00分
  • ■参加費無料

子供映画教室出典:http://takasaki.film.gunma.jp/news/%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E6%98%A0%E7%94%BB%E6%95%99%E5%AE%A4%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81/

以上、3月開催!選び抜かれた話題作がズラリ!毎年大賑わいをみせる注目の映画祭特集】でした。

もちろん、3月には今回ご紹介させていただいた映画祭以外にも、全国各地でまだまだたくさんの映画祭が開催されています。

自分もまだまだ行ったことのない映画祭も多々ありますので、また機会がありましたらもっとたくさんの映画祭を特集させていただきたいと思います。

皆様もぜひ、「至極のラインナップ」がそろった映画熱に沸く「映画祭」にて、かけがえのない映画との出会いを楽しんでいただけたらと思います。

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  • ユッココ
    -
    この監督の作品は私には合わない……。
  • 4.8
    辛いよ、でも辛いってことはいい映画だよ。
  • 茶一郎の記録用
    -
    【7】2024/04/21 鑑賞
  • november
    5
    正面にカメラが来る(=正中線が合う)シーンの読み解きをしたい
  • パイルD3
    4.5
    濱口竜介監督の映画は、一言で言うとすれば あらゆる“途中経過“を描いている気がする。 それは単なる通過点でもあり、描かれている以前の時間の中にも多くのドラマは存在していて、描かれた時間の後にもまだドラマは延々続いていくことを意識させる語り口が絶妙だ。 《途中経過の奥行き》 絵に描いたようなクライマックスなど準備しないし、始点終点には関心を示さないスタイルと言えばいいか。 この先どうなるかは明かされず、希望も破綻も僅かな点滅程度でしか示されない。 なのに、毎回圧倒されてしまう。 そして映画「ハッピーアワー」も、神戸に住む30代の仲良し女子4人が、1人の思わぬ告白から連帯が崩れ、引いては家庭、生き方へと波及していく経過を見せる。 やはり途中経過のストーリーである。 《観終えたら人と話すべき》 ただこの映画は、コミュニケーションに重きを置く話なので、観た後で誰かと話すことが、とても大切な気がする。 テーマにもなっている自分の視点と他人の視点がどれだけ違うかがよくわかる映画でもあり、語り尽くせないほどに張り巡らされた人間模様と、その密度を再確認出来るはず…   《PASSIONの姉妹篇…》 「PASSION」が28歳の男たちの視点から結婚前後の悶絶と息遣いを手厳しいタッチで見せたのに対し、この作品は対をなす形で、今度は30代半ば過ぎた女たちの視点から結婚後のあらゆる崩壊と揺動を見せる。 この2作品の間には10年の経年変化みたいなものがあって、並べてみると途中経過にも男女の違いだけではなく、年代によってフォーカスする視点の違いが見えておもしろい。 【ハッピーアワー】 タイトルが出ると、HAPPY HOURの2つのHだけが鮮やかな黄色で表示されている。 大意は無いのだろうが、ひょっとすると幸福な時間、あるいはH(性的な関係)部分に黄信号が点滅している状態を示唆しているのだろうか?ま、考え過ぎですけど… 《ワークショップ》 ストーリーの前半に登場する“重心“についてのワークショップの中で、参加者が言葉なしでコミュニケーションをとることの意味を体感するくだりが出てくる。 象徴的なのが、相手と少し離れて自分の真ん中にある“正中線“を探り合い、最後にオデコをくっつけて、互いの考えを伝え合うところ。当然ながら全く違うことを考えていて、合致しない… ここはかなり重要なシークエンスでもある。 離れていても核たるものがあればつながりが保てて、肉体的に距離を縮めても、実は考えていることや思いなど伝わらないことを見せる。 彼女たちの迷走が、正にこの関係性通りに展開していく。 《男たちの空洞》 ドラマは、他人の力を借りないと埋め合わせる手立てに辿り着けないという人間の弱さまでを見せる。この弱さは外から見ると、疑念を引き連れた不快なものでもある。 人物たちが前を向いている前半、後ろ姿が増える後半と、構図が少しずつ変化する。 特に後半ではアーティストを名乗り、ワークショップで人を集めて、漁色にも利用する薄気味悪さを見せる鵜飼(柴田修兵)という男が、女性たちに接近しながら絡んでくる様は、一種悪魔的でもある。 手相を見てやるとか言いながら、女性の手に触れてくるタイプの男を思わせる。 「ハッピーアワー」は、女性たちの周囲を取り巻く変奇な男グラフィティーでもある。 本人たちはそうとは気づかず、自分を貫こうとして、相手との間に泥だらけの溝や空洞を掘り続ける。 どこにでもあることかも知れないが、男が陥る非常識の滑稽さをしっかり描いている。 《本音の罠》 それぞれが持つ本音が、セリフの中に網羅されていく。 価値観が違うのだから、全員の本音が一致するわけがないし、本音=正論ではないことも見えてくる。 あるいは、嘘が本音のことも当たり前のようにあり得ることかも知れない。 本音を盾にされると、二の句が継げなくなることを人は経験から学ぶ。 同時にそれを逆手に取れば、マウント攻勢に出られることも学ぶ。 使うか使わないかは、その人のハートの問題で、肝心なのはどこで使う人かということ。 このあたりの機微を心得ている濱口監督は、セリフの応酬、乱立回収を繰り返す中で全ての人物の“本性“に近い部分をドリップしていく。 濱口作品で繰り返される圧巻のセリフ劇だが、毎回心奪われてひたすら流れに見入ってしまう。 《動く言葉によるアクション》 シナリオがディベート中心の作劇術で構成されていて、一つの事柄に対して、異論反論を登場人物がぶつけ合うスタイルになっている。 隙間を埋め尽くすセリフの多い舞台劇で見られる手法で、この作品でもあえて円座で言葉を交わすシーンが登場するが、人物の動きは無くても言葉が暴れ回るのに圧倒される。 濱口監督が映画、演劇、ドキュメンタリーに対して積み重ねてきた地層が、長尺ということもあるが、より多く見られるのが「ハッピーアワー」だと思う。 例えば「落下の解剖学」のような、人物の悪意や乱れる心理が交錯するサスペンスフルなシナリオも充分書ける人だと思う ◼️好きなシーン 5時間を超える映画でもあり、濱口監督の画作りはいつも印象的なので好きなシーンはいくつかありますが、笑えたシーンと泣けたシーンをひとつずつ挙げると… 息子が同級生の女友だち相手に厄介事を起こして、親が謝りに行く話になり、夫が妻に俺は忙しいからおまえ行ってくれと頼むくだり。 黙って夫婦の話を聞いていた夫の母親がササッとやって来て頭をグーでゴン!とやるところ。上からハンマー式にゴン!て、なかなか見ないやり方で、笑ってはいけない状況なのだが笑った。 笑笑 泣けたのはフェリーのシーン、たまたま見送ることになった友だちの息子が、フェリーに乗った純(川村りら)に「俺が生まれてきたのは純さんのおかげなんだってー?」と聞くシーン。 純が「せやでー」と言うところ。 この“せやでー“がキター!という感じで、 こんなにもごく普通の関西弁が深く響いたことはなく、一気にこみ上げてきた。
ハッピーアワー
のレビュー(4974件)