『ハンガー・ゲーム』遂に完結!今ブームとなっている「YA小説」の映画化とは

Why So Serious ?

侍功夫

遂に『ハンガー・ゲーム』シリーズが最終章に突入しました。2015年6月に『ハンガー・ゲーム:FINAL レジスタンス』、同年11月に『ハンガー・ゲーム:FINAL レボリューション』が続けて公開されます。

元々、『ハンガー・ゲーム』は原作本がヒットしたのをきっかけに映画化されたシリーズです。小学生の頃に『ハリー・ポッター』シリーズで読書に親しんだ子供たちが、中学生高校生に成長し、同年代の主人公が活躍する作品として選んだことがヒットの要因だと言われています。

『ハンガー・ゲーム』原作は「ヤング・アダルト(YA)」と区分されています。日本で言うところのジュブナイル本からライトノベルあたりをざっくりと統括した作品群です。現在、ハリウッドではこの「YA小説」群の中から共通する設定を持った多くの作品が映画化されています。

『トワイライト』シリーズ

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あの大ヒット作もYA小説が原作です。ティーンエイジャーの吸血鬼に見初められた普通の少女が、吸血鬼族と狼男族の戦いに巻き込まれていきます。本作のヒットでヴァンパイア・ブームが巻き起こり、『ヴァンパイア・アカデミー』『ヴァンパイア・ダイアリーズ』といったテレビドラマシリーズも作られています。

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『ダイバージェント』シリーズ

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遺伝子で人間を5つの特性に振り分ける近未来の管理社会で、少女トリスは処刑されてしまう異端分子「ダイバージェント」に区分されてしまいます。検査官の計らいで処刑こそ免れますが、生き残ったことでシステムの陰謀に巻き込まれてしまいます。現在、続編『ダイバージェントNEO』の公開が決定しています。

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『メイズ・ランナー』

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記憶を失った少年トーマスが幽閉されたのは、刻一刻と変化を続ける巨大迷路「メイズ」の入り口です。何もかもが謎につつまれた世界で、トーマスと同じ境遇の若者たちが命がけの脱出に挑みます。シリーズは3部作での映画化がアナウンスされています。

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『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズ

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普通の高校生パーシー・ジャクソンがある日、自分がギリシャ神話の神ポセイドンと人間の子供だと知らされたことで神々の戦いに巻き込まれます。現在、第一部「盗まれた電撃」と第二部「魔の海」の2作が映画化されています。

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『アイ・アム・ナンバー4』

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普通の高校生ジョン・スミスは、ある日突然自分が地球に9人いる宇宙人の一人「ナンバー4」であり、敵対する宇宙人モガドリアンによる暗殺のターゲットになっているのを知ります。覚醒した超能力を駆使して暗殺者から逃れながら他の宇宙人に助けを求める旅に出ます。続編へのフリ満載で終わった本作ですが、今のところ第二弾は作られていません。

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●「バトロワ」と「リアリティ・ショー」から生まれた「YA小説」

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『ハンガー・ゲーム』を代表とするサバイバル系YA小説の元ネタと言われているのが日本の『バトル・ロワイアル』です。巨匠深作欣二最後の監督作として映画化され、クエンティン・タランティーノが「1992~2009年のベスト」1位に推したことでアメリカでも広く認知されています。

また、別の元ネタとしてテレビ番組ジャンル「リアリティ・ショー」が挙げられます。素人が孤島でサバイバルをしながら勝ち抜き共同生活をする「サバイバー」や、スターを夢見る市井の人々が公開オーディションを受ける「アメリカン・アイドル」などです。

「バトロワ」と「リアリティ・ショー」の持つ「選ばれた普通の人が勝ち残りを賭けて戦う」という構造はYA小説へ受け継がれています。

●「普通の私」から「特別な私」へ

『トワイライト』では普通の女子高生ベラがイケメン吸血鬼に惚れられ、恋人に選ばれます。『ハンガー・ゲーム』シリーズは地区代表として選ばれてしまった妹の身代わりとして、カットニスが殺し合いのゲームへ立候補することから物語が始まります。

そもそも、YA小説ブームの礎を作った『ハリー・ポッター』シリーズも「普通の少年ハリーが、実は伝説の両親から生まれた運命の子供だった」という設定を持ち、魔法世界の善と悪の戦いに巻き込まれていくという物語でした。

YA小説は「普通の人が選ばれて戦う」という「バトロワ」と「リアリティ・ショー」から引き継いだ構造に「実は特殊な能力やカリスマ性を持っていた」という設定を加え、よりファンタジックかつ都合の良い物語へと進化させたのです。

●壮大な予算で映像化された「ずん飯尾」

現在世界の経済状況は、富のほとんどをごく一部の富裕層が独占し、その他大勢の「普通の人々」との格差が広がっていく一方だと報じられています。その、大多数を占める普通の人々をターゲットに「いつか、全く苦労無く突然特別な存在として選ばれて、ひとかどの人物になるかもしれないよ!」と嘯くのが、YA小説とそれらを原作とした映画です。

要はお笑い芸人ずん飯尾のネタ「平日の昼間っからゴロゴロ~ゴロゴロ~ あ~あ!ササッと書いた落書きが1億円で売れないかな!」という度し難く野放図な欲望を、スタイリッシュに映像化したことがYA作品成功の秘密なのです。

 

※2022年2月20日時点のVOD配信情報です。

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  • さな
    -
    115
  • おぺいぺい
    3.3
    「革命に向けた第一歩」 最後の戦いの最中に捕らわれた捕虜を助ける為に、反乱軍を鼓舞し、政府軍に戦いを挑む準備を整えていく。 その甲斐あって捕虜を取り戻すものの、カットニスの相棒であるピータに異変が、、、 今回は次回作へ繋げるための前編的な立ち位置。その為、今回はカットニスはそこまで前には出てこない。 次回作でどう革命を起こしていくのか、期待したい。
  • Boss2054
    4.8
    遂に、ハンガーゲームから離れて、独裁者対反乱軍のお話に突入しました! 今回のゲストは、 ジュリアン・ムーア。 フィリップ・シーモア・ホフマンとコンビを組んで物語を引っ張ります。 なので、やや、ジェニファー・ローレンスの影が薄くなった印象を受けます。 彼女個人の話から反乱軍中心のお話にテーマが移行したからでしょうか? とは云え、 ジェニファー・ローレンス演じる主人公、カットニスは、 今回、反乱軍の革命のシンボルに仕立て上げられます。 で、今回の見どころは、 主人公、カットニスがいかに反乱軍のシンボルに仕立て上げられるか? ト云う、その過程でしょうか? 設定で情報、それも眼にする情報の重要性が語られているので、 要はイメージ戦略ですが、 カットニスも革命のシンボルに相応しいリーダーであるト云うイメージ戦略作戦に巻き込まれます。 リハーサルで、その演技が上手く行かないカットニスは、 ウディ・ハレルソン演じるヘイミッチの提案で、 いきなり本物の戦場に立たされるコトになります! このアイデアが凄い! 稽古じゃ実力発揮出来ないので、 いきなり本番の舞台に立たせちゃいましょ! ってコトですもんね。 乱暴にも程があるト思うのですが、 まあ、映画ですから、 それが上手く行っちゃうンですね。 この辺りの顛末は、 観ようによっては、現在でも充分通用するイメージ戦略のメタファーに思えます。 実物の良し悪しよりイメージの良し悪しが全てを決定してしまうト云う。 その戦略は、独裁者サイドも使っていて、 果たして、どちらがホントの正義なのか、 イメージに翻弄される人たちの姿もきちんと描かれています。 要は、イメージ戦略の対決映画とも云えるかも知れませんね。 そして、いよいよラストです♪ で、「ハンガーゲームゼロ」って、 シリーズ最大の悪役、 ドナルド・サザーランド演じる、 独裁者の若き日の話ですよね。 共感度が一番得にくいキャラクターを主人公にして、 どう云う物語を展開するンでしょうかね? まさかの「ジョーカー」みたいな展開ですかね? イヤイヤ、まさかね…。
  • KORE
    3.8
    ほんと革命の下準備回なんだよね。 でもクオリティ高いから全然観れちゃう。
  • ありお
    -
    S
ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス
のレビュー(29612件)