コメディアンからオスカー俳優へ。今年還暦を迎えるトム・ハンクスの輝かしい経歴

2016.04.10
映画

映画は人生の道しるべ。人生案内人。

yasuukusayan

名優の一人であるトム・ハンクスは1956年7月9日生まれで、今年還暦を迎えます。出演してきた映画作品は2015年の『ブリッジ・オブ・スパイ』までで45作品(声優は除く)。コメディアンであったことから、初期の頃はコメディタッチのものが多かったことはご存知でしょうか?

初主演作や長いキャリアの中で生み出してきた名作に注目しながら、名優トム・ハンクスの活躍を改めて振り返ってみましょう。

デビュー作品は地味な役?!

映画デビューは1980年公開(日本では劇場未公開)の血ぬられた花嫁』というホラー作品。残念ながら主役ではなく、主人公の友人という設定で出番はほんの僅か。ホラー映画なので、せめて殺される役なら少しは目立ったでしょうが、殺されることもない、いてもいなくてもいい役柄... でした。

初主演作は1982年公開の『トム・ハンクスの 大迷宮ですが、本作はテレビ映画なので劇場初主演作品は1984年公開の『スプラッシュ』です。

制作はウォルト・ディズニー・カンパニーの映画部門であるタッチストーン・フィルムで、人魚を演じるダリル・ハンナの全裸シーンが登場することから、ディズニーという名前を使わず、本作のために新たに作った会社です。

のちにタッチストーン・ピクチャーズと名を改め、ディズニーの大人向け映画を制作する専門会社となりました。これまでにカクテル』『プリティ・ウーマン』『アルマゲドンなどを世に送り出しています。

美しい人魚と人間の青年との恋を描いたファンタジー作品『スプラッシュ』

それでは事実上トム・ハンクスの初主演作となる『スプラッシュ』を解説していきましょう。

スプラッシュ

ストーリー

家族旅行中の少年アランは船上から海面を眺めていた時に、波間から惹かれるような感覚を覚え、海に飛び込んでしまいました。泳げない彼は海中に沈んでいきますが、海の中を泳ぐ不思議な少女に助けられます。

その少女のことを忘れられないまま20年の時が過ぎ、成人になったアランはある日酔った勢いで幼い頃不思議な少女と出会った海へ向かいます。チャーターした船で海に出ますが、故障し放り出されると、突如海の底から現れた人魚に助けられます。実はその人魚こそ、かつて少年だったアランを助けた少女でした... 

ロン・ハワード監督と初タッグ、純朴な青年役を好演

アンデルセンの『人魚姫』をオリジナルにした、美しい人魚と人間の青年との恋を描いたファンタジー作品です。『人魚姫』と異なるのは、本作が悲恋物語ではなく、ハッピー・エンドで終わるコメディ作品なこと。見終わった後は、夢の世界へ引き込まれたような気分にさせてくれる作品です。トム・ハンクスが28歳の時の作品で、恋人ができない純朴な青年役を好演しています。

監督はロン・ハワードでしたが、この作品のあとには『アポロ13』『ダ・ビンチ・コード』『天使と悪魔』を撮り、2016年10月に公開される新作『インフェルノ』でもトム・ハンクスを主演に迎えています。

人魚の役を演じたのはダリル・ハンナ。本作の2年前にリドリー・スコット監督作『ブレード・ランナー』でレプリカント(人造人間)の役を演じています。抜群のスタイルと洗練れた美貌の持主で、尾ビレを付けた状態で海中をドルフインキックで泳ぐシーンはとても美しく、本当の人魚が泳いでいるようです。CGではなく、実演しているところがすごいです。彼女は本作で一躍脚光を浴びることになりました。

ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した『ビッグ』

『ビッグ』は1988年に主演した作品で、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しました。またアカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされています。

BIG

ストーリー

12歳になるジョッシュ少年は年に一度開催されるカーニバルに足を運び、想いを寄せる女の子の前でジェットコースターに乗ろうとしましたが、身長が足らず乗ることができませんでした。落胆した彼は願いを叶える不思議なゾルダーと呼ばれるからくり人形に「大きくなりたい」と願います。

翌朝、目覚めると大人に成長している自分の姿を鏡で見て大慌て。母親に相談しようとしますが、姿を見て驚いた彼女から強盗に間違えられ、家から飛び出してしまいます。行き場を失い、子供に戻ろうと『ゾルダー』を探しますが、カーニバルは撤収してしまい跡形もありません。状況を理解してくれた親友のビリーに連れられ、『ゾルダー』が見つかるまでニューヨークで身を隠すことにし、玩具会社に職を見つけ働き始めます。

ジョッシュは子供らしい発想で玩具を開発し、社長のマクミランに気に入られ、とんとん拍子に出世。また女性重役のスーザンも彼のピュアな心に惹かれ、ふたりは大人の関係に。仕事も恋も大成功に見えましたが、中身は子供のまま。やはり母親の元が恋しいのです。そして、ついに『ゾルダー』を見つけますが... 

トム・ハンクスなしでは生まれなかった傑作コメディ

『スプラッシュ』に次ぐ、ファンタジーコメディの傑作で、誰もが子供の頃に思う"大人への憧れ"を具現化した作品です。『ゾルダー』の魔法で突然大人になってしまう少年をトム・ハンクスがおもしろおかしく演じています。

"子供の心を持った大人" という、まさにトム・ハンクスにしか演じられない役で、彼でなければ本作はヒットしなかったでしょう。コメディではありますが、ラストシーンで子供に戻った彼を見送るスーザンの姿に胸がキュンとなります。

本作は1996年にブロードウェイでミュージカルとして上演され、1998年から日本でも『big ~夢はかなう~』というタイトルで上演されました。また2012年には韓国にて、コン・ユ主演で『ビッグ~愛は奇跡<ミラクル>~』というタイトルでテレビドラマ化されています。

『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー主演男優賞を受賞!

フィラルディフェア

エイズに感染した弁護士の葛藤を描く『フィラデルフィア』で、アカデミー主演男優賞を受賞。翌年には『フォレスト・ガンプ/一期一会』で2年連続のアカデミー主演男優賞を受賞しました。

フォレスト・ガンプ

これらの作品の影響もあり、それまでのコメディ俳優のイメージからサスペンス、シリアスドラマの名優として知られるようになります。以降、アポロ13』(1995年)『プライベート・ライアン』(1998年)『グリーンマイル』(1999年)『キャスト・アウェイ』(2000年)、2006年には世界的ベストセラー作家ダン・ブラウン原作のロバート・ラングドン シリーズを映画化したダ・ヴィンチ・コード、2009年にはその続編天使と悪魔で主役のロバート・ラングドン教授を好演しました。

ラブコメもお手の物

かといって、代表作品はシリアスな映画ばかりではありません!世界中の女性のハートを掴んだラブコメディにも出演をしてきました。特に、メグ・ライアンと共演をした『めぐり逢えたら』(1993年)や『ユー・ガット・メール』(1998年)は公開から20年以上が経つ今でも多くの人に愛される名作です。

めぐり逢えたら

『ブリッジ・オブ・スパイ』ではスティーヴン・スピルバーグ監督と再び!

ブリッジ・オブ・スパイ

(C)2015 DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC and TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION.

1950年~60年代、アメリカとソ連の冷戦時代。実在の事件を元に、世界の平和を左右する重大な任務を委ねられた弁護士の活躍を描いたサスペンスです。

トム・ハンクスが1960年に起きたU-2撃墜事件でソ連の捕虜となったフランシス・ゲイリー・パワーズの釈放のために動く弁護士・ジェームズ・ドノヴァンを演じています。監督はスティーブン・スピルバーグで、トム・ハンクスとは『プライベート・ライアン』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』に次い4度目のダッグを組んだ作品です。

2016年は『ハドソン川の奇跡』『インフェルノ』の2作品が公開予定

今年は還暦を迎えますが、大作の公開が予定されています!

一つ目は9月にクリント・イーストウッド監督による2009年に起きた旅客機事故を題材にしたハドソン川の奇跡です。続いて、ロン・ハワード監督による『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続くロバート・ラングドン シリーズ第3弾となるインフェルノも2016年に公開予定です。いずれも人気監督による大作で、大ヒットしそうな予感。期待しましょう!

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  • 粉雪
    3.0
    ダリル ハンナ、美しかった。懐かしいなぁ。
  • ケムール人
    4.2
    『ゆれる人魚』のレビューで本作について少しだけ触れたので。見たのは数ヵ月ほど前になります。 典型的、伝統的な「人魚姫」物語の逆転が主軸になっている。 『ゆれる人魚』で触れた、というと本作も如何にも難しそうなテーマを扱っているのではないだろうか、と思われるかもしれないが全くもってそんなことはない。ポップで軽快な、万人が楽しめるラブコメである。 本作をざっくり一言で言うと「女は愛嬌、男は度胸」。本作では文字通りそうなるが、「飛び込む」覚悟、勇気をもつことである。これ以上言うことはない。 若い頃のトム・ハンクスって本当に純粋さが滲み出るよな~。『ビッグ』とか『フォレストガンプ』ってやっぱりトム・ハンクスにしかできないよね。
  • San
    3.1
    記録
  • shari
    3.5
    主人公、ヒロインどちらもとびきりかわいくキュート。 色あせない王道ラブストーリー。 ピンクのシャンパンの泡みたいな映画。
  • 茶一郎
    3.6
      兎にも角にもヒロイン人魚姫を演じたダリル・ハンナが、最高に、それはもう最高に可愛い一本。ディズニーの大人向け実写映画を製作するタッチストーン・ピクチャーズ最初の一本で、実にディズニーが世に出した最初の「ヌード」は、この人魚姫扮するダリル・ハンナになります。(諸説有)    ダリル・ハンナはさておいて、監督を務めたのはロン・ハワード、主演は当時サタデーナイト・ライブ出の若手コメディアンであるトム・ハンクス、『ダヴィンチ・コード』シリーズの監督&主演はこの『スプラッシュ』で初めてタッグを組む事になります。  叶わない悲劇の恋の象徴でもある『人魚姫』。『リトル・マーメイド』や、最近では人魚姫をアマゾネスに置き換えた『ワンダーウーマン』、そしてアカデミー作品賞を獲得した『シェイプ・オブ・ウォーター』など数多くの変奏版がある一方で、作り手の恋愛観が如実に物語に反映される作品モチーフであるように思います。  そんな『人魚姫』を現代的ラブコメとしてアップデートした『スプラッシュ』ですが、本作は言葉を話せず現代の文化を知らない人魚姫と冴えない主人公とのカルチャー・ギャップ・コメディ、人魚姫を匿う『E.T.』の人魚版が物語の軸になる非常に軽い「ラブコメ」でした。  その楽しい軽さの一方で、ラスト、主人公である男の選択は非常に印象に残るものでした。愛のために大海原に飛び込む泳げない男、「恋は走れ」を超えた「恋は飛び込め」です。
「スプラッシュ」
のレビュー(1748件)