『ズートピア』も世界で絶賛!なぜ最近のディズニー映画に傑作が多いのか?

2016.04.21
雑学

映画好きなサラリーマン。

柏木雄介

全米で公開され、ディズニー・アニメーション史上No.1のオープニング興収を記録した『ズートピア』が、今週末23日いよいよ日本で公開されます。

愛らしいキャラクターと設定だけでなく、現代の人間社会で問題視されている性別、年齢、学歴、出身地などへの偏見に異議を唱えるとても深いストーリーになっています。

ズートピア

(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

最近のディズニー・スタジオのアニメーション映画は、『アナと雪の女王』『ベイマックス』と興行的にも大きな結果を残しています。毎回新作が出るたびに傑作が出るディズニー・アニメーションには、なにか秘密があるのでしょうか。ディズニー映画といえば、『白雪姫』から続く童話のアニメーション化ですが、現在はそれとは違ったストーリー作りにより、様々な人が共感するものになっています。

今回は、ディズニー映画がなぜ多くの人を魅了させる話を作るようになったのか? その理由を過去作品からの歴史を振り返りつつ、その中でピクサーがどう関わっていったのか、重要な人物含め考察していきたいと思います。

なお今回の考察において、ピクサー創設者エドウィン・キャットマル著「ピクサー流 創造するちから」を参照し書かせて頂いています。

ピクサー誕生の秘密〜『トイ・ストーリー』がヒットするまで〜

ピクサーが、当初はルーカス・フィルムの一部門だったことはご存知でしょうか。1977年、ジョージ・ルーカスにより『スター・ウォーズ』が公開され、一代の大ヒットを生みました。巧みな視覚効果を使った演出は観るものを圧倒させ、ヒットした資金を使いジョージ・ルーカスは1979年コンピューター部門を立ち上げました。その部門を任されたのが今のピクサーの経営トップであるエドウィン・キャットマルのチームだったのです。

当時はCGアニメーションは前衛過ぎるものであると制作に賛同してくれる人はいませんでした。そんなときにキャットマルに同意を示したのがジョン・ラセターでした。ラセターは後にディズニーからクビを宣告され、CGアニメーションに可能性を抱いていた二人は意気投合しルーカスフィルム内で働くようになります。

しかしルーカスフィルム内では長編アニメーション映画を作ることに共感を得られないまま、1983年ルーカスが当時妻であったマーシャと離婚する際の慰謝料の補填としてコンピューター部門を売却することになりました。ゼネラルモーターズなどの大手が買手として手を挙げていましたが、契約締結1週間前に頓挫してしまい、途方に暮れていたときに救いの手を差し伸べたのが、アップル創業者のスティーブ・ジョブズでした。

当時、自身が創業したアップルから追放されてたジョブズが、次のビジネスの可能性を模索していている最中で出会ったのがピクサー。ジョブズは1986年にピクサーをルーカスフィルムから分離独立させるために500万ドル、買収後に会社の経営資金としてもう500万ドル支払い、ピクサー・アニメーション・スタジオが誕生しました。

当初は、ピクサーのロゴでもある電気スタンドが主人公のショートフィルム『ルクソーJr.』が1987年のアカデミー賞にノミネートされたものの、ピクサー・イメージ・コンピュータを販売することが基幹事業のハードウェア会社であり、事業上利益が出せずに苦しい時期が続きました。

そんなとき、ディズニーが『リトル・マーメイド』から『ライオン・キング』までヒットを連発させ、長編映画の制作数を増やすためにパートナーを探していた所、ピクサーに白羽の矢が経ちました。ディズニーは、ピクサーの映画作品に出資し、ディズニーとして配給することを要求したのです。かくも飲み込まれてしまいそうな交渉も、スティーブ・ジョブズの手腕によりピクサーの技術力を盾に、1991年以降配給することになるピクサーの映画3作品の制作費の大半をディズニーが支給するという契約で締結されました。

そうしてディズニー配給の長編映画の第1作として『トイ・ストーリー』が誕生し、1995年に公開するや否やピクサー初の映画が興行収入記録を打ち立て、全世界で約3億6200万ドルの興行収入の記録を出したというわけです。

そんな『トイ・ストーリー』の世界的大ヒットの裏側で、スティーブ・ジョブズはピクサーをIPO(株式公開)し、見事1億4千万ドルの金額を調達することに成功しています。それがあり、ディズニー側はピクサーと同等の契約関係を結ぶことを提案してきたのです。ピクサーはCGアニメーションが世界的に評価されただけでなく、財務的に安定した基盤を手にいれることができたのです。

ディズニーがピクサーを買収した理由とその後の立直し

ディズニーのアニメーションの歴史は、1937年の白雪姫から始まり、1950年から1955年にかけて、古典的映画作品『シンデレラ』『ピーター・パン』『わんわん物語』と続きます。

1966年に創始者ウォルト・ディズニーが死去してから、ディズニー・アニメーションは長きに渡り低迷しましたが、1989年に『リトル・マーメイド』をヒットさせ、これを皮切りに『美女と野獣』『アラジン』など第二となる黄金時代を築きあげました。

その復活の指揮を取ったのが、当時のウォルト・ディズニー・カンパニーCEOのマイケル・アイズナーと制作の指揮を取ったジェフリー・カットェンバーグ。彼らは、昔からスタジオで働いてた伝説的なアーティストの才能と、最近採用したフレッシュな発想溢れるアーティストの両者から生まれる芸術性溢れる作品を生み出し、ディズニーに莫大な利益をもたらしました。

しかし制作本数を増やすために、世界に多くのスタジオを開設し短期で作品が作られることが求められた結果、最終的に品質が低下し、1994年にライオン・キングにおいて全世界で9億5千万ドルの興行収入を上げたことを頂点に、16年間(2010年まで)は興行成績1位になったディズニー・アニメーションは1本もなくなる程衰退していきました。

対照的に、ピクサーではヒット作を連発します。『バグズ・ライフ』『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』。2003年には『ファインディング・ニモ』がアカデミー賞にて、アニメーション映画部門賞を受賞。2001年から設けられたアカデミー賞の長編アニメーション部門において、ディズニーは一つも受賞していないのに対し、ピクサーは実に7回も受賞をします。

「トイ・ストーリ―」の公開20周年を記念した「Pixar: 20 Years」

ディズニーとピクサーの関係は、ピクサー映画の続編をピクサーの意見を取り入れずに制作する権利を行使するための組織「サークル7」があったため、良好ではありませんでしたが、独裁だったアイズナーがディズニーから退任され、ボブ・アイガーへCEOが交替することを皮切りに、ジョブズはディズニーとの合併を考えるようになります。

そして2006年ウォルト・ディズニー・カンパニーは、74億ドルでピクサー・アニメーション・スタジオを買収します。ディズニーアニメーションを蘇らせるための買収として、エドウィン・キャットマル、ジョン・ラセターがピクサーとディズニーアニメーションの両方の経営を任せることになりました。(ジョブズはディズニー社の筆頭株主となり、取締役に就任)

ディズニー・アニメーションがピクサーのものに取って代わるものではなく、互いに独立して繁栄すること、ディズニー・アニメーションで働く社員を再び元気にし、彼らがまた偉大な存在に戻る手助けをするという使命のもとでの合併でした。

そしてピクサー買収後、『塔の上のラプンツェル』が制作され、芸術的にもビジネス的にも大成功しました。世界で5.9億ドルという当時ディズニーアニメーション歴代2位の興行収入を達成。スタジオとして16年ぶりの1位獲得作品となったのです。ピクサーの”クリエイティブな環境がディズニーにも通用するものだということを証明することになりました。

その後みなさんご存知のように、『シュガー・ラッシュ』、そして『アナと雪の女王』が世界的大ヒットし、ディズニー・アニメーション初のアカデミー長編アニメ映画賞を受賞しました。ディズニーはピクサーを買収することで、人員を変えることなく、”創造性”を持つ団結したチームに変貌しました。

創造性溢れる社員を生み出すためにやったこと。それは管理者がコントロールを緩め、リスクを受け入れ、社員を信頼すること。キャットマルがやったことは、見えない問題を常に明るみに出し、その問題を全力で解決する”クリエイティブ”な環境作りだったのです。

情熱を持った人たちが作るからこそ面白い!

最近のディズニー・アニメーションが傑作を出し続ける理由が少し理解できましたでしょうか。従来ディズニーにあった”創造性”を再び表に出すきっかけをピクサーによってもたらしただけで、これほどまで人々を楽しませる映画が世に生まれました。その”創造性”を生み出す具体的な仕組みは今回紹介しきれませんでしたが、ご興味あれば「ピクサー流 創造するちから」をお読み下さい。

最後に現在のディズニーの映画の面白さの裏側にはピクサーの支援があり、そしてピクサーが今あるのにはある一人の人物が大きく存在していたことにお気づきでしょうか。

ジョージ・ルーカスからピクサーの前身である部門を買い取り消滅する危機から救い、安定したアニメーション制作の供給を行うために、ディズニーというパートナー企業との架け橋になった存在。

”スティーブ・ジョブズ”がいなかったら、今のピクサー、そしてディズニー・アニメーションは存在していなかったことが分かります。

成果が出ず赤字が続いた創業時、その度に資金を援助し、自己資金も手を出してピクサーを信じ続けた理由はどこにあるのでしょうか。

それは一つにピクサー社員の情熱とそれを具体化させる飽くなき品質向上の精神があったからでしょう。

ピクサーの精神は、誰もが”創造力”を持っているということに帰結するかと思います。日本にも偉大なクリエイターはたくさんいます。しかしどこかその人のワンマンで終わっていないでしょうか。その人の情熱がなくなったら、その時点で終わってしまう。しかしピクサーの精神は、偉大な経営者や監督、そして創業から支援し続けたジョブズさえいなくなっても生き続けています。

ピクサー創設者であり、現ディズニー・アニメーション社長でもあるエド・キャットムルが目指しているのは、「社員が最高の仕事ができる」ことだからです。

それは買収によって失われることなく、今もディズニーの映画においても受け継がれていることは『ズートピア』を観れば分かります。今作は”多様性”を尊重し、個々の生き方を一人一人が認め合う素敵な世界。ピクサーとディズニーの歴史から通じるものが実はこの映画に詰まっており、その意味で『ズートピア』も、ディズニー史に残る傑作映画として評価されるだろうと感じます。

みんなで議論を重ねてストーリーを作ることに関して、作家の個性が感じられない、”没個性的な脚本”と批判する方もいるかもしれません。ジブリの宮崎駿のように圧倒的な創造力の持った天才から生まれる映画と比較すれば、なにか物足りなさを感じることは否定できません。

しかしディズニーが提供する価値は、一定のファンを虜にする映画作りにあるというより、”大衆”を揺るがすような道徳的なアニメーション作りこそ意義があると著者は考えます。今やディズニーが提供するものの影響の大きさは世界を変えるに匹敵する程大きいものになっています。

『ズートピア』の主人公のジュディのように「世界をよりよくしたい」と情熱を持ったものしか創造できないものがあるに違いありません。今のディズニー映画に傑作が多いのは、作り手のより良い映画を提供したい、観るものを楽しませたい(驚かせたい)という熱意が込められているという所にあるのです。

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  • ユダヤ
    4.2
    ナマケモノ面白い映画
  • min
    4.0
    期待を大きく上回った。
  • くるとん
    -
    すんごい可愛かった☺️
  • はやしひろこ
    3.7
    ■過去に見た作品としてマーク(再観賞時にレビュー予定)
  • F
    4.5
    ニクジュディコンビすきすぎる〜🐰🦊 偏見や先入観で真実を見えにくくして 生きにくくしているのは自分たちなんだ ナマケモノがスピード違反しないとは 限らないんだから 字幕で観たけど吹き替えも観てみたい🙌🏻
  • ぽんちゃん7
    3.5
    大好きなディズニーによるアニメ。ディズニーは、広告で示されるような世界観では無いことが多いと思う。特にこの作品はそうではないかなと。おそらくアメリカ社会に対する皮肉、皮肉、皮肉。動物たちはかわいいけど、やっていることは残酷。単なるアニメでもこんなメッセージがあるのかと思った。
  • あゆみ
    3.9
    モアナ観たら、キャラクターもの観たくなってズートピア鑑賞。モアナ同様元気になれるそんな音楽で楽しかったです!人は見た目で判断してはいけない!当たり前だと思ってるけど、意外と難しいことを改めて大切だなと思ったそんな映画でした。
  • すずき
    3.7
    はぅ
  • 4.1
    記録◎
  • スポットライト
    3.6
    今までのディズニー作品の中では、一番笑えた。ただ序盤の方は、主人公のジュディ(ウサギ)のことをディスりすぎだと思う。とてもかわいそうに思った。また、それとともに序盤は、大型草食動物や肉食動物のことを怖いもの扱いしすぎだと思う。少し残念だった。 やはりディズニー作品は、 1位 ファインディングニモ 2位 アナと雪の女王 3位 アラジン、カールじいさんの空飛ぶ家 かなぁ。(個人的な意見)
  • かおり
    -
    2017/03/23
  • みみみ
    5.0
    深いってCMで流れて、アニメで深いってどういう事だろう?と思って観たら、確かにと納得した。 現代の社会問題をアニメーションの良さを使って、鋭く示していたり、努力の綺麗なところだけではない部分もちゃんと描かれていて、軽くないところがよかった! ディズニーアニメーションならではの映像の細かさやパロディ、ユーモアもあってとっても面白かった!ナマケモノは特にツボ(笑)
  • いたる
    3.7
    シャキーラ
  • ちー
    -
    記録
  • FuwaShizuka
    4.0
    ディズニー!! ちゃんとオーストラリアまでいって マンチェスさんが住んでたところに いってきた! 雰囲気がそのまま映画になってたから すごく良かった!!
  • Ning
    4.2
    ウサギ、キツネ、ナマケモノ、水牛、カワウソ、ライオン… 登場人物?登場動物はみんな動物なんだけれど、 誰だって自由に夢を描いていいんだ そして夢を諦めずに前向きに進む姿勢 失敗したって間違うことがあったって、再び立ち上がる勇気 そのために友情が活力になることもある 偏見の恐ろしさ みんな違ってみんなイイ、受け入れる、受け入れられる社会 互いを理解しようとすれば、もっとみんなが輝ける社会が作れる 世界を変えるにはまず自分が変わる などなど、ユーモアとともにこれでもかってくらいのメッセージ性! ユーモアで言ったらナマケモノのシーンと、ニックがジュディの言葉をニンジンペンで録音してリピートするシーン(とその後のハグ)が特に!
  • cyco
    4.0
    面白かった!努力と諦めない気持ちが何事にも大切★
  • がりそうさん
    4.1
    流石にディズニー。 でも可愛いだけじゃなく内容も深い。 良い意味で期待を裏切ってくれました。
  • JohnFKennedy
    4.0
    予想と違った。オモロイ。
  • Session
    3.2
    ディズニーには珍しいどんでん返しがあります。そんなに複雑ではないのですが‥‥ ソフィーが動物でありながらも、入り込みやすいかなーという感じです。 普通のディズニー映画と違い転換が早くスピード感あるので、異色な感じですね。 ベイマックスは越えないかなぁー
  • MaruFuku
    4.3
    意外にサスペンス!w そして意外に良かった。これは純粋にオススメできます。 水牛署長マジでムカつく。小物め。 とか思っちゃうくらい真剣に観てましたw このテーマの取り上げ方。 多様性の否定、差別、それにより何が起きるのかの示唆。 まさにこの近年の話であって。 さすがディズニーですね。 シャキーラのテーマソングも良いですね◎
  • RockyRaccoon
    4.2
    映画館にて吹き替え、wowowにて字幕で観賞。字幕の方がやっぱり良かった。 人種のるつぼたるアメリカ社会の隠喩だが、ナマケモノのお役所仕事とか、ステレオタイプの問題とか、あまり考えずとも中々分かりやすい隠喩。 ストーリーには衝撃はないが、設定のハメ具合はさすがのラセターで、スッキリ高品質、安心して楽しめた。シャキーラ=ガゼルの使い方も素敵。
  • かな
    4.0
    ニックみたいな彼氏ほしい(切実
  • 黒豆
    4.0
    評判通り! 良いとは聞いたが、本当だった。 最初の子供時代の劇でハートをわし掴みにされ、「きゃ~可愛い❤」なんて言ってたら、思いの外けっこう内容が深かった。 人間界にも通じますね。 いや、でも笑った! もうナマケモノおもしろすぎ! 結局悪役だった羊市長も、最後悪い顔してたけど、それもまた可愛いという😁 エンドロール見るまで知らなかったのだけど、ジュディの声は上戸彩! 全然気がつかなかったし、めちゃめちゃ上手くてびっくりしました!
  • あいかわ
    3.9
    なめてました、 ありがとうwowow
  • Kyoooo1202
    -
    こどもむけやね
  • 樹液
    5.0
    予想以上に面白かったです!
  • いとーぱみゅぱみゅ
    3.5
    ジュディ可愛い偉い😍💕
  • 早矢仕千磨
    4.0
    何を見ようか迷ってる人に見てほしい。アニメだからというなら騙されたつもりで
  • shoko
    3.7
    5回みたという友達からだいぶ勧められてたのをようやくみて、ただの動物の話じゃない!ってはやくみとけば良かったなと思いました。 人間にも同じことがいえる、動物におきかえてこういう話になってるけど。 良かったです
「ズートピア」
のレビュー(65561件)