「誰の人生でも映画になり得る」原作者に聞く!映画『ビリギャル』の魅力

2015.05.28
映画

FILMAGA編集部

フィルマーくま

坪田さんインタビューmain

現在上映中の映画『ビリギャル』。何かと話題を呼んでいるこの注目作が、遂に劇場動員数100万人を突破しました。

原作である『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』も累計100万部を超えるベストセラーを記録。なぜこれほどまでに大きな反響を得ているのでしょうか。

原作の著者であり、1300名以上の子どもたちを個別指導した経験を持つ坪田信貴さんに、原作者から観る映画『ビリギャル』の魅力について語って頂きました。

(※本記事には映画の内容にふれる記述があります)

原作がある映画って、正直ピンとこない作品が多いなか…

—まず、映画化のお話が決まった時、どんなことを感じられたのでしょうか。

正直言うと、本を書いた時から「これは映画になるかもしれない!」と期待しているところはありました(笑) 当時受験生のさやかちゃんに「慶応に受かったら映画になることくらいスゴいことだよ」なんて言っていましたし、執筆にあたって編集長からも「映画にするのをイメージして書いてください」と言われていたこともあって。

でも、こうして映画化が実現したのは本当に嬉しいですし、スゴいことだと思っています。

—映画『ビリギャル』をご覧になって、原作者として率直に思ったことをお聞かせください。

映画は2日に1本観るくらい好きなのですが、原作がある作品の映画化って、正直ピンとこない作品が多いなと…個人的には思っていたんです。その上、この映画で描かれることは、私自身が実際に体験してきたことですから、まちがいなく「実際はこうじゃない」とか「ここは違う」というところにばかり目がいくと思っていたんですね。なので、もしコメントを求められてもきっと感動なんてしてないし、ましてや「泣いた!」なんて言わない!と。

でも…観終わった後はそれがフリだったのかっていうくらいに感動しました(笑) 今まで本気で泣いた映画って『火垂るの墓』しかなかったんですが、『ビリギャル』は号泣しました。受験という身近なテーマを描きながら、これだけ心を揺さぶられる映画ってなかなかないと思います。

家族との葛藤、自分との葛藤、学校や世間との葛藤って誰しもが思春期に経験することで、今もそれがトラウマになっている人は多いと思うんです。そうした身近なドラマが「ぐわっ!」と迫ってきて、とにかく揺さぶられましたね。

坪田さんインタビュー1

読み解くキーワードは「新幹線」と「幽体離脱」!?

—坪田さん的に、最もグッときたシーンはどこでしょうか。

たくさんありますが、いちばん感動したのは新幹線の使い方です。まず映画の冒頭シーン。友だちから仲間はずれにされている子どもの頃のさやかちゃんが、土手に一人で座っていて、その後ろを新幹線が走っていく。ここで「友だちをつくるのが夢」というナレーションが入るんですね。

その次は、高校生に成長したさやかちゃんが、やっぱり土手で親子連れを眺めているんですが、そこで塾の友だちに偶然会って「新幹線に乗ったら、違う世界に行けると思ってた」ということを話すんです。ここで実は「友だちをつくる」という小さい頃の夢が叶っているわけです。

3回目は、さやかちゃんが受験にくじけそうになって、実際に東京へ慶応大学を見に行った場面で新幹線が画面に出てくる。そして映画のラスト。無事に慶応大学に合格して、新幹線に乗って東京へ向かう。ここで、友だちに語っていた”違う世界”へ彼女は行っているわけです!さやかちゃんの成長や夢へのステップアップを新幹線と映像だけで描写しているのが、すごく効果的で「土井監督、スゴい!」って思いました。ゾクッとするくらいです。

—なるほど。新幹線が『ビリギャル』をより深く観る上で重要なモチーフにもなっているわけですね。

そうなんです。しかも、ラストの新幹線のシーンでは、伊藤淳史さん演じる坪田先生は外からさやかちゃんを見送るというカタチにしているんですね。彼は見送った後に空を見上げて、自分もまたもっと上を目指そう!という決意をしているわけです。

—そこは、ぜひ鑑賞する上で注目したいところですね。他に、グッときたシーンはありますか?

もうひとつ好きなところが、朝日が昇り始める空をバックに、さやかちゃんが英語の基礎単語をつぶやきながら自転車で土手を走るシーン。彼女が立ち漕ぎしている躍動感と朝日が昇る寸前の一瞬を重ね合わせることで、「ちょっと勉強が楽しくなってきた!」という彼女の気持ちを表現しているんだろうな、と。

それから、家族との距離感。最初は「慶応なんかいけるか!」と怒鳴るお父さんと、反発しながらもその言葉を座って聞かされていたさやかちゃん。そのふたりを後ろからそっと見守るお母さん、というような位置づけだったんですけど、後半は嫌々ながらも家族写真は一緒に並んで撮影していたりする。実際の距離を切り口に、すこしずつ本当に家族の距離が近づいていくのを表現している感じがあって。新幹線も含めて私が勝手に分析しているんですが(笑)

—原作者としてはもちろん、ひとりの映画ファンとしてかなり深い視点でご覧になっていますね。

結構な深読みかもしれないですが(笑) でも洞察って本当に大事なんです。塾の指導も「ちょっと前髪切ったよね?」とか、そうした細かい変化に気づいてあげることでやる気を出す生徒はたくさんいます。『ビリギャル』も深読みすればするほど、どんどん新しい気づきがありますし、ここまで深読みして面白い作品はなかなかないと思います。

坪田さんインタビュー2

—今回、伊藤淳史さんが坪田先生を演じられているのを観て、どんなことを感じられましたか。

幽体離脱しているみたいでした(笑) 自分をものすごく客観的に見ている感じ。塾の講師としてこれまで色々な経験をしてきて、今は以前のように悩んだりすることも少なくなってきたのですが、この映画を観て初心を思い出しました。あの頃の自分ってこういう気持ちだったんだなと。

—伊藤淳史さんの役づくりにアドバイスなさったり?

いろいろお話しさせてもらいました。私が塾の講師を始めたきっかけや私が思う教育の問題点などを熱くお伝えしました。それから「生徒に指導する時はきちんと目をみて話す」「話す時は心の中でその相手を抱きしめているイメージをする」といった、講師としてのスタンスも。

そのあたりを伊藤さんがしっかりと役づくりに落とし込んでくださって、映画を観た私の母と妹からは、伊藤さんの所作が私そっくりだった!と言われるほど(笑) 伊藤さんの演技はスゴい!と絶賛していました。

実はもっと激しかったふたりのやりとり

—主演・有村架純さんの“さやかちゃん再現度”はどれくらいだったでしょうか。

実際の私とさやかちゃんのやりとりはもっと激しかったですね(笑) 私もさやかちゃんももっとテンションが高かったと思います。映画では、ふたりのやりとりが伝わりやすいように実際よりもマイルドになっている印象がありました。実話の映画化作品としては珍しいケースかもしれませんね(笑)

それから、今までは塾にいる時の生徒の姿しか見たことがなかったので、ちがう一面も知ることができて新鮮でした。塾では明るく振る舞っていても、やっぱり不安になったり、悩んだりしていることもあるだろうし、ひとりで抱え込むこともありますよね。こんな思いを抱えながらも予習していたんだな、とか。今まで知ることのできなかった部分を見ることができて勉強になりました。

坪田さんインタビュー3

再現度で言うと、さやかちゃんの部屋は友達から「本当にさやかの家で撮ったの?」って言われるくらい忠実に再現されていたみたいです。塾のセットもすごくリアルでした!ファイルの種類とかファイルに貼るシールのフォントとか、そんなディテールまで再現されていて驚きましたね。それから、映画の中で使われるテスト関連のプリントは、実際に私が経営する坪田塾が作ったんです。年末で実際の受験もいちばん忙しい時期ではあったんですが(笑)、映画の製作に貢献できて嬉しかったです。

—そんな中、『ビリギャル』が動員数100万人を突破しました。この反響について、先生はどのように洞察されますか?

私自身、今回いちばん学んだことは、ひとりの人間のチカラってめちゃくちゃ大きいんだなということ。

この映画って一言で言ってしまえば、女の子が大学受験して合格したってだけなんですよね。いたって普通のこと。ただ、受験生のひとりとして、さやかちゃんは中途半端なプライドを全部捨てて、やると決めたことを必死で頑張った。本人いわく、1日15時間勉強していたらしいです。それを1年半継続した。

一生懸命頑張ることは、やっぱり人の心を動かすんですね。その結果が本になり映画になった。そして今、日本全国の人たちの心を動かしている。すごくシンプルですが、そういうことだと思うんです。この映画を観ることで「自分も頑張ろう!」と思える。

あえてもっと言うと、映画を観た人には「大したことしてないじゃん」「自分もこれくらいできる」と思ってほしい。頑張ることに才能は必要ないと思うんです。勉強に限らず、彼女のように何かを頑張ることができれば、誰の人生でも映画になり得るんだということを『ビリギャル』のプロジェクトの中心にいて思いました。ひとりのギャルでさえ世の中を動かすことができるんだ、と。

—坪田さん、本日はお忙しいところありがとうございました!

ビリギャルポスター画像

映画『ビリギャル』大ヒット上映中!
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ビリギャル単行本版ビリギャル文庫本版

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』

著者: 坪田信貴 判型: 四六判 ページ数: 320ページ
定価: 本体1,500円+税 ISBN: 978-4-04-891983-8
発行: 株式会社KADOKAWA
プロデュース: アスキー・メディアワークス

※文庫特別版も発売中

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