知ってる人はもう行っている!?EU Film Days 2016が今年も開幕!

女子大生おばちゃん

ほったな

6月18日(土)、東京・京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターで「EU Film Days 2016」が幕を開けました。6月25日(土)からは、京都会場も幕開けとなります。

橋本さん

欧州連合(EU)加盟国の選りすぐりの作品を紹介する映画祭。なんといってもその魅力は、日本初公開の作品の多さと、特別プログラムやスペシャルイベントです。14回目の開催を迎える今年2016年は、初めて、日本に大使館を置く26のEU加盟国すべての作品が上映されます。大人鑑賞料金が約500円という価格も、魅力の一つです!

初日18日の上映1作品目は、ルーマニアの『日本からの贈り物』。朝10:30からの上映にもかかわらず、開場前から長蛇の列。大ホールの会場はほぼ満席と、賑わいを見せていました。

上映後には、出演された橋本佳菜さん、トマ・海・ウンツァヌくんが登壇され、トークショーが行われました!

橋本さん

『日本からの贈り物』

洪水で妻と家を失ったコスタケ(ヴィクター・レベンギウツ)の元に、長年音信不通だった息子の一人息子のティクが、日本人の妻と8歳の孫を連れて突然戻って来る。父親と息子、祖父と孫という関係を通して家族の再生が描かれるハートフルドラマ。

橋本さん

本作品で長編デビューを果たしたクリスチャン・ジュルギウ監督は、なんと29歳!若き才能が放つ、作品の心地良さに注目です。

ゲストの橋本さんとトマくんは、日本人妻とその息子役を演じています。日本とヨーロッパを繋いだ、EU Film Days 2016の上映1作品目にふさわしい作品でした。

“その人”が漂わせる雰囲気を大切に

—橋本さんは現在、ルーマニアで役者としてご活躍されている唯一の日本人女性とのことですが、ルーマニアに渡った経緯はどのようなものでしょうか?

わたしの父が、もともとルーマニアと長い付き合いがありました。8歳の時に初めてルーマニアへ行ってから、何度か日本とルーマニアを行き来していました。やはり大学はヨーロッパで学びたいなと思っていたので、父とゆかりのあるルーマニアにしようと決めました。

大学への進学は、役者を目指していたわけではなく、監督学科に入りたかったんです。でもとっても難しくて言葉も大変だったので、安易な考えでUNATC(Universitatea Națională de Artă Teatrală și Cinematografică IL Caragiale:演劇映画アカデミー)の演劇学科に入りました(笑)

橋本さん

実は、ティク役のぺぺは大学の同級生で、コスタケ役のレベンギウツさんはそこの学長さんだったんです!

—今回の『日本からの贈り物』に、実の息子であるトマくんが出演されたきっかけはなんでしょうか?

(橋本さんが訳すも、自分では言いたがらないトマくん)

橋本さん

…わからないそうです(笑)

オーディションで選んでいただいたのですが、わたしは「正直、うちのトマくんじゃ大変かもしれないから責任持てません…」と監督にお伝えしたんですが、監督が「どうしても、このシャイな感じが良いんだ」とおっしゃってくださったんです。

ルーマニアのNew Wave「ミニマリズム」

—橋本さんは作品に出演して、驚いたことや気がついたことはありましたか?

驚いたことも気がついたこともなく…(笑)とっても自然に撮影することができました!

レベンギウツさんも、旦那さん役のぺぺも知り合いでお世話になっていましたし、トマもいたので、演技をするという感覚ではなかったです。カメラはあるけど、みんなで“生活”をするような感じでした。

橋本さん

—普段の舞台での演技と少し違うのでしょうか?

舞台でする演技とは違いましたね。少しでも声を出して張ると「抑えて、抑えて」と言われます。

橋本さん

最近のルーマニアの演技法で、ミニマリズムといって小さく、ささやくようにセリフを言うことがあるのですが、今年2016年のカンヌで監督賞を受賞された、クリスチャン・ムンギウという素晴らしい監督さんの元でも、俳優さんはあまり大きな演技をさせてもらえないと言っていました(笑)

あと、わたしは声を抑えることと、ルーマニア語をもっと片言に話すよう言われて、逆にトマはもう少し日本語を上手に喋って、と言われていました(笑)

—トマくんは、お芝居で何か難しいことはありましたか?

(やはり言いたがらず、橋本さんに話すトマくん)

橋本さん

一同:(笑)

橋本さん:ルーマニア語を下手に話すのが難しかったそうです。

穏やかなチームだからこそできた、映像美

—作品を観ていても、本当の家族のように見えてくるのですが、撮影現場の雰囲気はどうだったのでしょうか?

監督がそれはもう穏やかな方だったので、クルーの皆さんも穏やかでした。暑いこと以外は、村人もみんなもずっと穏やかに過ごしていましたね。

ラテンの国なので、他の撮影現場では「あれがない、これがない」と言い合う人たちもいっぱいいるんですが、今回の撮影はけんかもなく穏やかに終えることができました。

橋本さん

また、監督が映像美にこだわっていて、太陽が強すぎる時や、光がうまくいかない時があり、待ち時間は本当に長かったです(笑)でも、やはり皆さん誰も怒らずに、穏やかにしていらっしゃっていましたね。

—作品内で皆さんが着ていた服というのは、衣装さんが用意されたものですか?どういう視点で用意されたのでしょうか?

最初わたしは、日本から自分の服を持ってきてくださいと言われたんです。でも、持っていったものは全部却下でした(笑)

橋本さん

作品内でわたしが着ていたシンプルで質素な服装は、普通日本人がルーマニアに行っても着ない服だと思うんです。そのことを伝えたんですが、やはり映像として見た時の色合いをすごく気にされていて、服の色をあまり出したくなかったそうなんです。

なので衣装さんは、強調しない、背景に混ざるような色の洋服を選ばれていたと思います。

橋本さん

お二人の落ち着いた雰囲気に、会場も穏やかな笑みに包まれながらお話を聞くことができました。トークショーの最後には、質問コーナーが設けられるので、ゲストに直接質問することもできます!

来日ゲスト登壇イベント

ゲストの登壇は、毎上映後あるわけではありません。ご都合がつくならば、ゲスト登壇イベントが開催される回を鑑賞されることをお勧めします!

・6月23日(木)12:00/25日(土)15:30 『ヴィクトリア』(東京)
 
登壇ゲスト:松本侑壬子さん(映画評論家)

・6月24日(金)19:00 『チェリー・タバコ』(東京)
 
登壇ゲスト:監督アンドレス&カトリン・マイミクさん

6月25日(土)13:00 『イマジン』(京都)
 登壇ゲスト:監督アンジェイ・ヤキモフスキさん

6月26日(日)13:45 『壁』(東京)
 登壇ゲスト:原作小説の翻訳者、諏訪功さん

・7月7日(木)13:30 『ヴィクトリア』(京都)
 登壇ゲスト:松本侑壬子さん(映画評論家)

・7月10日(日)16:15 『アルデンヌ』(東京)
 
登壇ゲスト:監督ロビン・プロント

7月12日(火)18:30 『アルデンヌ』(京都)
 登壇ゲスト:監督ロビン・プロント

◎の回については、座席に余裕がある場合、上映後のトークからのご参加も可能です。

特別プログラム

・6月21日(火)16:00 「TAW(The Animation Workshop)の世界」にて講演(東京)
 登壇ゲスト:CGアニメーターのドリファ・ベンセギールさん

・6月25日(土)15:45 『ルッチと宜江』(京都)
 登壇ゲスト:主役、鶴田宜江さん

・7月9日(土)14:00 『ルッチと宜江』(東京)
 登壇ゲスト:主役、鶴田宜江さん

上映スケジュールはこちらから

『日本からの贈り物』あらすじ

ドナウ川沿岸の村。洪水で妻と家を失った老人コスタケ(ヴィクター・レベンギウツ)は、空き家の一人で仮住いしている。そこに長年音信不通だった一人息子が日本人の妻と8歳の孫を連れて突然戻ってくる。息子が村に戻ることを期待する父と、その気のない息子。初対面から関係を少しずつ築いていく祖父と孫。家族の行方はー?

橋本さん

『日本からの贈り物』(原題「Câinele Japonez」)
監督:トゥドール・クリスチャン・ジュルギウ
2013年/ルーマニア/86分/ルーマニア語、日本語(日本語・英語字幕)【BD】

・6月21日(火)19:00(東京)
・6月25日(土)18:00(京都)

詳細:http://eufilmdays.jp/films/2016/the-japanese-dog/

EU Film Days 2016

2016年6月18日(土)~7月10日(日) 東京国立近代美術館フィルムセンター
2016年6月25日(土)〜7月15日(金) 京都府京都文化博物館

■チケット東京会場
一般 520円/高校生・シニア 310円/小・中学生 100円/障がい者・キャンパスメンバーズ無料

■チケット京都会場
一般 500円/大学生 400円/小・中・高生 無料

http://eufilmdays.jp/

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