新生『ゴーストバスターズ』のクリス・ヘムズワースは、なぜ底の抜けたアホなのか?

Why So Serious ?

侍功夫

メイン・キャラクターを女性にバトンタッチした新生ゴーストバスターズが日本でも8月19日から公開された。

gb01

本国アメリカでは「トウのたったオバハンばっかし!」といった、知性の欠片も無い罵詈雑言を浴びせかけられ、黒人キャストのレスリー・ジョーンズへの執拗で差別的なツイートが問題となりアカウントを永久凍結させられたドナルド・トランプ支持者がいたり。と、ネガティブなニュースが続いたが、フタを開けてみればそれら女性差別をする側の浅薄さも含めて笑い飛ばす大爆笑怪作である。

また、予告編などでも片鱗は見られるが、“クリヘム”ことクリス・ヘムズワースのアホ演技は凄みを纏わせるほど圧巻のアホ加減だ。「おバカ」などという中途半端な表現では間に合わない。地獄の蓋が開いたようなアホなのである。

本項ではクリヘムの鬼気迫るほどのアホさ加減を考察していこうと思う。

ヒロインが添え物だった文化

ドラマや映画の中に登場する女性を「紅一点」とか「華をそえる」と表すことがある。

刑事ドラマ「太陽にほえろ!」シリーズには婦警の制服を着た内勤の女性警察官が登場する。「チャコ」とか「アッコ」といった役名こそありはするが、捜査にはほとんど参加せず、聞き込みや捜査から帰ってきた刑事たちにお茶を出すのが主な役割だ。

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説でいきがかり上、インディと冒険をするハメになる歌手のウィリーは、虫や野生動物を前にギャーギャーと騒ぎ立て、インディを更なるピンチに陥れる。

ジャッキー・チェン作品でのマギー・チャンの役割は「華をそえる」の最たるものだろう。ポリス・ストーリー 香港国際警察シリーズのフィアンセ「メイ」は早とちりで浮気を疑い、八つ当たりしてジャッキーをやきもきさせるためだけに存在するキャラクターである。

ことほど左様に、映像表現の中で女性は長らく「添え物」の役割を担わされてきた。

もちろん「全ての作品」では無いし、たくましい女性が主体性を持って行動する作品もあるのだが、メインストリームではメインの男性キャラクターにしなだれることこそがヒロインの役割であった。

ジェンダーの不平等

gb02

新生『ゴーストバスターズ』では、メイン・キャラクターの性別が変更されメンバー4人は女性となっている。年齢はクリステン・ウィグメリッサ・マッカーシーレスリー・ジョーンズが40歳以上。最年少で現在32歳のケイト・マッキノンはエキセントリックにメンバーを引っ掻き回す役どころだ。

これを聞いて「果敢なキャスティングだなぁ」とか「なぜ若い美人を配役しなかったのか?」と思う人は、逆を考えてみるといい。

例えば50歳を越えるジョージ・クルーニーブラッド・ピットを「主役を張るには年寄りだ」「オッサンが若ぶって見苦しい」とは、たとえラブ・ロマンス映画であったとしても言わないだろう。49歳のヴィン・ディーゼル新作xXx<トリプルX>:再起動でヒロインを務めるのは30歳のディーピカー・パードゥコーンだが約20歳の年の差を「キモい」と言う人もいないハズだ。

男が主演で若い女がヒロインなら何の文句も無く行えていたことが、なぜ男女を入れ替えるととたんに無根拠で差別的な言動が、当然といった風に行われてしまうのだろうか?

“ヒロイン”としてのクリヘム

gb04

新生『ゴーストバスターズ』で受付係に採用されるのがクリヘム演じるケヴィンである。筋骨隆々とした肉体で栗色の髪に青い瞳と、見た目には非の打ち所が無いのだが、しかし底抜けのアホなのだ。

よりによって「ゴーストバスターズ」の事務所受付に応募したのにも関わらず幽霊は信じないと言ってはばからないし、デザインが出来るからと言うのでロゴのデザインをさせたらセブン・イレブンのロゴを何くわぬ顔で提出してしまう。そんな彼でもメンバーのエリンが気に入ってしまったために採用となり、本当に何も出来ない完全な“事務所のお飾り”に収まってしまう。

アホだけど若い美女が“社長にかしずく秘書”といった役どころに収まることへ違和感を唱える人は少ないだろう。しかし、それは単に「長く、広く、そういった風潮が当然のように行われていた」という慣れの問題だけで、その逆となるととたんに違和感が醸し出される。

つまり、かつて多くの映画やドラマで当然のように行われていた、従来型の「添え物としてのヒロイン」の性別を「美女」から「色男」へ変えることで、その歪さを浮き彫りにしたのだ。それまで全く不問に付された事柄がいかに異常でグロテスクであったかを突きつけたのである。

ただ、違和感の要因は浮き彫りにされた歪さだけではない。クリヘム/ケヴィンは「今まで女性にしてきたことの逆をやっただけ」には収まっていない。アホさが飛びぬけ過ぎているのだ。登場場面の全てで、ホンモノの狂人としか思えないアホさを発揮し続けるクリヘム/ケヴィンの“色男の3歳児”のような狂気は、新生『ゴーストバスターズ』を単なるリメイクから別次元のレベルへ押し上げている。

(参照記事:【レンタル開始】『マイ・インターン』が叶えたジェンダーの対称性は「萌え」?

(C)COLUMBIA PICTURES(C)2016 SONY PICTURES DIGITAL PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • tkmemo
    3.3
    記録
  • 黒旗
    3.5
    ダイソン大活躍
  • ぽにゃ
    -
    記録用
  • Belle
    -
    記録
  • ももさく
    3.2
    古い洋館のガイドをする男が、その洋館の霊とされる何かに襲われる事件が発生。 なんやかんやあってエリンは大学をクビになり中華料理店の2階にオフィスを持ち会社設立!仲間とともにお化け退治に専念する。 エリン・ギルバート( クリステン・ウィグ)コロンビア大学で物理学者として勤務。しかし「過去からの幽霊」の事がバレる。幼い頃からお化けが見える。 アビー・イェーツ( メリッサ・マッカーシー)ヒギンズ理科大学の心霊現象研究室にて、ジリアンと共に「過去からの幽霊」の理論を証明する為に日々研究している。印税が収入源。ぽっちゃりさん。 ジリアン・ホルツマン( ケイト・マッキノン)アビーの共同研究者で素粒子物理学者。改造も得意。金髪。 パティ・トラン(レスリー・ジョーンズ)ニューヨーク市地下鉄の職員で大ぶりピアスの黒人の女性。おじさんは葬儀社。ゴーストバスターズの仲間となる。 ケヴィン・ベックマン( クリス・ヘムズワース)顔と体だけの男でポンコツ。ゴーストバスターズの雑用。コーヒー嫌い。 ローワン・ノース( ニール・ケイシー)ホテルのボイラー技士で人間嫌いの男。 ベニー (カラン・ソーニ)中華料理を届ける青年。 1作目2作目出演者→ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、 シガニー・ウィーバー、アニー・ポッツ。 本人役→ オジー・オズボーン、パット・キアーナン、ジャニーン・ラミレス、 ロザンナ・スコット、 グレッグ・ケリー、 アル・ローカー。 他登場人物→ツアーガイド、市長、学部長、劇場支配人、巡査、不動産業者 他。 声出演者→友近、渡辺直美、椿鬼奴、山崎静代、朴璐美、くじら、森川智之、石塚理恵、石塚 運昇、岩田光央、堀勝之祐、荒井勇樹、椙本滋、野島昭生、佐久田脩、三ツ矢雄二、小川剛生、近藤隆、斎藤真美他。 「あいつ、急行に乗りたかったんだね」 クルクル回るゴースト発見装置、スライム状エクトプラズマ、セブンイレブン、マネキン人形、レイライン、マシュマロマン、死の意味、アーミーナイフ、暴れるゴースト動かぬ人間、ピーターパン、アニメーション、老化、I LOVE GBも印象的。 初期の2作品を見てるので余計に楽しめた!。あの人も!あの人も出てきた!あのオバケも見た事ある〜ってな感じで。 それも含めて出演者がかなり豪華だし、吹き替えで見たから日本人向けな感じがしてそこも良しでした。声出演者にも注目してしまいました。 イライラもしたけど「マイティーソー」で知ったクリス・ヘムズワースもとってもいい味出していました。 怖いとか全然ないし、何でそうしたか?って軽い事件ものでもあり、古い作品と比べれば映像ももちろん綺麗だし、カッコイイし面白かった!。 エンディング後もオマケあり!続きありそう!。 「ゴーストとったどー」 「あの姿のマッチョマンは?」 「そのあだ名、今は誇らしい」 dtvにて吹き替えで鑑賞。
「ゴーストバスターズ」
のレビュー(32158件)