圧巻の映像美と神秘的な音楽があなたを虜に!『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』

2016.09.07
アニメ

映画と現実を行ったり来たり

ne22co

2016年8月、今年の夏もたくさんのアニメ作品が公開されました。

各メディアでも注目され、CMでも目にする事の多かった『ファインディング・ドリー』『ペット』『君の名は。』これらの作品は鑑賞された方も多いと思います。

では、みなさん、8月20日公開の『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』というアニメーション作品はご存知でしょうか?

ソングオブザシー

(C)Cartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm Superprod, Norlum

こちら、小規模公開ではありますが、先に挙げた作品に負けず劣らず、たくさんの魅力が詰まった作品です。

そもそも『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』ってどんな作品?

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』は2014年にアイルランド、ルクセンブルグ、ベルギー、フランス、デンマークの5カ国によって制作された作品です。

昨年2015年のアカデミー賞長編アニメ映画賞では、ジブリの『かぐや姫の物語』やディズニーの『ベイマックス』と共にノミネートされています(『ベイマックス』が受賞)。その他アニー賞では7部門でノミネート、ヨーロッパ映画祭(European Film Awards)にて長編アニメ賞受賞など、世界中のアニメーション界を席巻しました。

本作の特徴は、何と言ってもこれまでに無い新たな映像美と神秘的な音楽です。

鑑賞者は何とも不思議な感覚を味わい、忘れられない映像体験が出来る作品だと、話題になっています。

アイルランドの神話を基に創られたストーリー

海ではアザラシ、陸では人間の姿となる妖精と、人間の間に生まれた二人の兄妹。兄のベンは愛する母親が聞かせてくれる神話や詩が大好きでした。

妹であるシアーシャの出産をきっかけに母は姿を消してしまい、そのことからベンはシアーシャを疎ましく感じていました。

シアーシャの6歳の誕生日、彼女は魔女の手下にさらわれてしまいます。

シアーシャの不思議な力に気がついたベンは、母親の形見である貝の笛と幼い頃に聞いていた妖精の詩を頼りに、シアーシャと妖精の世界を救うための不思議な旅に出発するのです。

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』3つの見所をピックアップ

1. ピクサー、ジブリに並ぶアニメーションスタジオ「カートゥーン・サルーン」が目指した独自の作品創り

トム・ムーア監督は1999年に自らアニメーションスタジオ兼、制作会社を設立しました。

彼はこの作品を通して、失われつつある母国の民話に命を吹き込み、現代の大人から子供まで楽しめる作品にすることを目指したそうです。

ストーリーは兄妹の冒険物語ですが、作品には一貫した幻想的な世界観、穏やかさ、優しい静寂が表現されています。

1シーン1シーンが、映像として過ぎていくのが惜しいと思わせるほど綿密に描き込まれており、鑑賞者は上質な絵本のページをめくっているかのような錯覚を覚えます。

繰り返される印象的な詩と上質な絵画が融合して生み出される映像美は、ただ眺めるだけでもその独特な世界観に引き込まれ、癒されるはずです。

2. 愛らしいキャラクター

ソングオブザシー

水彩の滲みと細かい線画で綿密に描き込まれた背景とは逆に、キャラクターはいくつかの幾何学模様を組み合わせたシンプルな線と色面で描かれています。

しかしそのシンプルな線と面から生み出されたとは思えない程に表情は豊かで愛らしく、物語が進むにつれて愛着を感じる事、間違いありません。

主人公のシアーシャやベン、飼い犬のクーはもちろんですが、それ以外のどの動物も本当に愛らしく、海の中のシーンや森を駆け抜けるシーンなど、全ての動物を見逃さないよう注意して観てほしいです。

3. 監督自身が日本アニメに大きく影響を受けている!

監督は自身の作品制作の上で、日本のアニメーション、特にジブリ作品に大きく影響を受けたと話しています。

作品を観ても、背景を細かく描き込み、人物をシンプルに描写する手法や、手書きでの水彩の滲みを生かした背景の表現からもそれがわかります。

この物語の中の描写にも『千と千尋の神かくし』の湯婆婆や『となりのトトロ』の猫バスを彷彿とさせるシーンもあり、ジブリファンはそういった視点でも楽しめるかもしれません。

アニメーション界の注目の新人監督、日本初公開作品を是非劇場で!

トム・ムーア監督は1作目『ブレンダンとケルズの秘密』に引き続き、本作が2作目となる新人監督。

1作目もヨーロッパや各映画祭では注目されていたものの、日本での公開には至りませんでしたので、今作がトム・ムーア監督の日本初公開作品となります。

ヨーロッパの不思議な神話や、雄大な自然、人々の営みをエッセンスに創られた、新しいアニメーションを是非劇場で体験してみてはいかがでしょうか。

(C)Cartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm Superprod, Norlum

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • ツジモト
    4.5
    下書き)  ベンの家の壁の絵は壁画のイメージがあり、また、母から習う歌によってこの物語が文化の伝承にテーマを置いていること、そして伝統の尊重が、時間と空間、世界のすべてとの豊かで健康的な関係を叶えるのだというメッセージが窺える。伝承の重要性は、ベンの父とマクリス巨人、巨人の犬とペットのクー、祖母とマカのように、妖精と人間が対をなしていることからも、明白である。  そのテーマを詰めた、ベンの母の最後の言葉 「息子よ、忘れないで、あなたの歌や話の中にわたしはいるわ」 は印象的かつ感動的だった。  近代を経るなどによって大幅に文化を失った日本人の心にも、海を超えて響くだろう、美しい物語だ。  「北欧」が日本人にウケるわけも、なんとなくのぞき見える気がする。 壁画のイメージに合わせてか、ムーブメントや感情の変化が記号的ではっきりしているため、分かりやすく、万人向け。だが歌の歌詞の意味などを考えると決して深みがないわけでもなく、じっくり味わうこともできる。  絵とアニメーションは抽象度が強い。この手の抽象化、整理された表現は、記号的で冷たくなりがちと思う人も多いかもしれない。だが、グラフィカルなデフォルメとレイアウト、ブルーやオレンジの一貫したドミナントトーンがカッコ良くて見飽きないと共に、複雑な装飾的ディテールも豊かで、チープさ、単調さは全くない。手描き感を残したアニメが好きな日本人にも抵抗なく受け入れられるだろう。光の効果も良く、動きや表情も魅力的。デフォルメされたキャラにも関わらず、丁寧な人間味ある描写で、温かみがある。大きい目がクリクリ動くなど、愛らしい。  神話を元にしたキャラクターたちが面白い。特に超長髪・髭のシャナキー(語り部の精霊)は個人的に好きだ。毛に記憶が詰まっているだなんて面白いし、毛に満たされた洞窟なんて見たことがなかった。グワングワン動く魔女のマカも大胆な動きを見せてくれ、盛り上がる。  そういえば、マカが祖母と思考の面でも、造形の面でも明らかに通じているのはどういう意図か。ベンの父とマクリル巨人も対照をなす。人と妖精の密接さを感じさせる?  荒海に身を投げ出し生還するラストシーンは超展開で笑ったが、アザラシが人を助けるとはセルキーの話でもなかなかないことでは? アニメ好きには、同じくセルキーのお話『Among The Black Waves』も合わせて観ることを勧めたい。表現が全く異なるので、より豊かに作品を味わえると思う。
  • のうえみ
    -
    冷たくて、美しい空気感じる
  • にゃかしま
    3.0
    優しくて不思議なタッチで描かれる妖精の話。 製作国がアイルランド、ルクセンブルク、ベルギー、フランス、デンマーク…と多国籍。 基本的にはアイルランド製とのことです。 どのカットもキレイで可愛らしい。 絵本を"観て"いるような感覚でした。 日本人の感性ではなかなか作れないアニメーションではないかと思います。 賞レースで良い成績を残したのも頷ける良作。
  • yurachang
    -
    絵本をそのままアニメーションにしたような
「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」
のレビュー(1645件)