実は共感ポイントが満載!アメコミに込められた魅力とは?光岡三ツ子さんインタビュー

2016.09.09
映画

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フィルマーくま

8月公開映画の全米オープニング興行収入で歴代1位となる新記録を樹立するなど、いま、アメリカで最もバズっている映画『スーサイド・スクワッド』が、いよいよ9月10日(土)に日本公開!

Filmarks発表の「2016年9月上映映画 期待度ランキング」では見事1位に選ばれ、日本でも注目されている話題作です。

本作は、史上最強の悪カワヒロイン10人の悪党たち(ヴィラン)を描いたアクション・エンターテインメント!

迫り来る世界崩壊の危機を前に、米政府は牢獄に捕らえられた罪人たちを集め、減刑と引き換えに危険なミッションを遂行する特殊部隊スーサイド・スクワッドを結成。チームメンバーは、情に厚い敏腕暗殺者、地獄の炎を操る小心者、そして予測不可能までぶっ飛んだ女ピエロなどなど・・果たして、寄せ集めの悪党たちは、世界を救えるのか!?

“正義のヒーロー”が主役ではないということで、アメコミ界に革新を起こした本作。作品の見どころとアメコミ全体の魅力を探るため、数々のアメコミ関連本を手がける翻訳家・アメコミライター光岡三ツ子さんにお話を伺いました。

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『アベンジャーズ』が世界を変えた!日本のアメコミブーム

現在、翻訳家やアメコミライターとしてご活躍されていますが、アメコミや映画に興味を持たれたきっかけを教えてください。

光岡三ツ子さん:90年代頃、『バットマン』をアニメ化した作品をきっかけに、アメコミ作品に惹かれていきました。ティム・バートン監督の世界観をベースにしたアニメなんですが、日本のアニメスタジオが作画を担当していて、非常にクオリティが高いんです。

映画の仕事をするようになったのは、2002年の『スパイダーマン』からです。私は、ちょうどアメコミブームが始まる頃からアメコミの翻訳のお仕事に関わっていて、最初から作品を観ている利点があったので、続けてお仕事を頂けるようになりましたね。

アメコミブーム、特に『アイアンマン』『アベンジャーズ』から変わってきたと思います。今回の『スーサイド・スクワッド』のように、アメコミ市場としては本流じゃないところの作品に対して、これだけ力を入れて映画化できるようになったというところに、アメコミブームの成熟を感じられて感慨深いです。

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本作に登場するキャラクターの中で、1番好きなキャラクターは?ちなみに、アメコミ史上最もイケメンで人気のあるキャラクターは誰だと思いますか? 

光岡三ツ子さん:もう、本当にどのキャラクターもみんな大好きなんです!(笑)普通、ヒーローって「かっこいい」だと思うんですが、本作に出てくるキャラクターはみんな子供みたいでとにかく「可愛い」んですよね!・・・でも、しいて選ぶなら、やっぱりハーレイ・クイン!

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あと、本作のジョーカーは本当にいい男ですよね!なにしろ、金はある、権力はある。それでいてオシャレで、しかも愛してくれて・・・(笑)ハーレイは頭がおかしくなるくらいジョーカーを愛しちゃうわけですが、共感できる部分がありますよね。カリスマ性があるし、男としての行動力もすごい!

今までの映画のジョーカーは、童話に出てくる悪役のようで非現実的な存在でしたが、本作では現実的な悪の王子として描かれている新しいジョーカー。とても魅力のあるキャラクターですし、女性から人気があるのもわかります。

また、二人の劇中のファッションがいいですね。ギラギラしたちょっと安っぽい格好なんですが、オシャレでセンスがあるから惹かれちゃう。

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ほかのキャラクターの衣装も、現代風のチープな悪っぽさが出ていますよね。原作ではヒーローコスチュームのような衣装なので、この衣装のセンスは映画ならでは。衣装担当の方は、世の中の流行も押さえた演出をされているのかなと思いました。

キャラクターの「可愛さ」「かっこよさ」、悪役ならではの魅力とは?

―“悪カワヒロインとしてハーレイ・クインが注目を浴びていますが、マーゴット・ロビーがハーレイ・クインを演じたことで良かった点はどこだと思われますか?

光岡三ツ子さん:子供っぽいけど危険な匂いもするっていう、ハーレイ・クインそのものの雰囲気をマーゴット自身が持っているところですね。これほどぴったりな人がいるだろうか思いました。本作の成功のうち9割は、マーゴットがハーレイを演じたところにあると思う(笑)ただの美人女優さんが演じたのでは、こうはならないですよね!

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これまでのDCコミックのイメージだと、「ザ・正義」のヒーローが主役のイメージですが、本作の主役となる悪役の魅力とは一体なんでしょうか? 

光岡三ツ子さん:アメコミの魅力は、大きな世界の中に、ヒーローや悪人を含めたいろんな人がいることだと思うんです。でも、『スーパーマン』にしろ『バットマン』にしろ、そこで描かれているのは勝利するのは正義であって、悪は負けるということ。だから『スーサイド・スクワッド』に出てくるのは全員負け組なんです。失うものもなければ、得るものもなくて、結局は何も得られない。

でも、彼らはお互いにファミリーのような仲間意識を感じています。日本でも少し前に話題になった、マイルドヤンキー(地元に根ざし、同年代の友人や家族との仲間意識を基盤とした生活をベースとする若者の総称)のような世界観というか。何も得られない中でも、友情が芽生えて、お互いへの愛が生まれてくる。

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悪役はアメコミの中でもとても重要な存在で、ヒーローと同じように愛されているキャラクターです。邪悪なだけじゃなく本当は心の中に素直で優しい部分があったり。それがどのように出てくるのかいうドラマ要素は、ヒーローの話よりも身近に感じられますよね。

アメコミを知らない女性が観ても、楽しめるポイントはどんなところでしょうか?

光岡三ツ子さん:まずはキャラクターですね!持っているパワーも見た目も違うキャラクターたちが、はじめはそれぞれ全然違う方向を見ているんだけど、一緒に行動していくうちに友情が芽生える点が面白いところ。キャラクターの持つ「可愛さ」「かっこよさ」という要素を楽しんでもらいたいです。

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でも最終的にはストーリーがポイント。いくらスーパーパワーや見た目がすごいと言っても、最後に残るのは人間ドラマですよね。何も得られない悪役だとしても、ファミリーを大切にして「こんな自分でもいいんだ」ってダメな部分を受け入れる、そういう肯定する力も楽しめると思いますね。

アメコミには永遠の人生のテーマが隠されている

ハーレイ・クインやカタナのような強い女性のヒーロー像は、今後、映画界(アメコミ界)にどのような影響を与えると思われますか?

光岡三ツ子さん:アメコミの女性は、いかにも女らしいセクシーなか、本作のアマンダ・ウォラーみたいに男らしい女かのどちらかで描かれることが多くて、だいたいパターンが決まっていたんです。

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これからは、どちらか2つのパターンではなく、どこにでもいるような女の人がヒーローになったらどうなるのかが、これからどんどん描かれていくようになると思います。

街にいる普通の女性がヒーローとして描かれる時代が来ているのが面白いですし、これからも期待できると思います。

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光岡さんにとって、アメコミ映画とはどんな存在ですか?

光岡三ツ子さん:アメコミ映画というと、ヒーローや悪役などスーパーパワーを持った人たちが出てきて戦うってイメージが強いですよね。それももちろん魅力の一つですが、それ以上にそれぞれの人生についての物語があるということが、最大の魅力だと思います。

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どのキャラクターも完璧な人間としては描かれていません。スーパーパワーを得た時に、どうやってこのパワーを使ってよりよい自分になるかっていう過程や葛藤など、ドラマ部分が面白いですよね。

失敗もするし、戦った結果、世界が一気に理想の社会になるわけでもないし何にも解決できてないんです。それでもよりよい自分になるために努力を続けるという話で。

どうしてスーパーパワーを持つ人たちの話が私たちに響くかというと、スーパーパワーの部分は単なる憧れであって、いかに力のないところからよりよい自分になるかっていうところが、永遠の人生のテーマだからだと思います。

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アメコミが描くスーパーヒーロー作品では、そこをはっきりした形で描いているから、面白いんだと思います。

何より一番なくてはならない部分は、やはり共感。スーパーパワーよりも、私たちの心がいかに共感して、キャラクターと一緒にストーリーを辿れるかというところではないでしょうか。そういう意味では『スーサイド・スクワッド』はアメコミ作品の醍醐味が出ていて、ダイレクトに伝わる映画だと思います。

あなたのマイベストムービーを教えてください。

スパイダーマン2

『スパイダーマン2』です。サム・ライミ監督も大好きです。この作品は、ヒーローが実行しようとする正義は、ヒーローだけのものでなく私たち全員のものであるということを描いた最初の作品だと思います。

それまで、キャラクター映画としての意味合いが強かったんですが、あの作品からアメコミ映画のトレンドが変わったと思います。みんなでスパイダーマンを助ける電車のシーンがあるように、正義というのは、本当はみんなの心にあってヒーローはそれを代弁してるんだっていう流れが出てきて、それから全てのアメコミ映画に受け継がれていった。そんな一つの流れを作った新しい作品だったと思っています。

ありがとうございました!

『スーサイド・スクワッド』明日公開!

いよいよ公開が明日に迫った『スーサイド・スクワッド』。光岡さんのお話を聞いて、アメコミ映画の印象が変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本作には、一体どんなドラマが隠されているのか?エンターテインメントとしても十二分におもしろい本作、ぜひ劇場でお楽しみください!

あらすじ

スーサイド・スクワッド

スーパーヒーローでは世界は救えない!?世界崩壊の危機を前に、アメリカ政府がその未来を託したのは、バットマンやスーパーマンではなく、クレイジーな悪党たちだった!迫り来る世界崩壊の危機を前に、政府は、あるとんでもない決断を下す。それは、牢獄に捕らえられた悪党たちによる最「狂」軍団を結成するというものだった。情に厚い凄腕暗殺者、地獄の炎を操る小心者、唯我独尊を貫く女侍、コンプレックスを抱える怪力男、トラブルメーカーのブーメラン使い・・・そして、予測不可能までにぶっ飛んだ女ピエロ、ハーレイ・クイン。思いがけず正義のヒーローを任された寄せ集めの悪党たちは、世界を救えるのか!?悪の力が暴発する、クレイジーでポップな爽快アクションエンターテインメント!

『スーサイド・スクワッド』
9月10日(土)全国ロードショー
ワーナー・ブラザース映画
(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
映画『スーサイド・スクワッド』オフィシャルサイト

光岡三ツ子さん プロフィール

翻訳・ライター・編集、アメコミなんでも係。翻訳コミック「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン:プレリュード」他多数。
https://twitter.com/mitsumitz

(取材・文:堀田菜摘/撮影:辻千晶)

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「スーサイド・スクワッド」
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