映画『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』は記念すべき劇場版10作目なのに見どころはコナン以外!? 注目ポイントを徹底解説【ネタバレ】

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ネジムラ89

劇場版シリーズ第10作品目『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』の見どころをネタバレありで徹底解説!

2006年に公開された記念すべき劇場版名探偵コナンシリーズ第10弾が名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』(以下、名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌と記載しますです。映画シリーズ10周年という節目を迎える作品ということで、作品の随所にそれまでの名探偵コナンを振り返る要素が散りばめられた記念すべき作品となっていました。今回はそんな名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌の注目のポイントをネタバレ有りで紹介していきます。

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』(2006)あらすじ

依頼人の指示で、子供たちを連れて大型遊園地のミラクルランドにやってきた毛利小五郎。ミラクルランドに着くなり、子供たちはフリーパスIDを付けられ、遊園地で遊んでくるように指示される。ただし、なぜかコナンだけは毛利小五郎と共に部屋に残されるのだった。

急に閉まるカーテン、依頼主である顔の見えない男の映像が流れるのだった。男はコナンと小五郎に12時間以内にある事件を解決するように要求するのだった。しかも、もし事件が解決できないと腕につけた爆弾が爆発すると告げられ、遊園地に居る子供たちのフリーパスも爆発すると告げられるのだった。蘭や少年探偵団を人質に取られた小五郎とコナンは、謎を解くべく、依頼主の手がかりを元に町へ飛び出していくのだが……。

※以下、『名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌』のネタバレを含みます。

元祖コナンオールスター映画!

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌の見所はなんといっても当時の名探偵コナンに登場するレギュラーキャラクターからマニアックな登場人物までが多数登場するところ。怪盗キッドや服部平次はもちろん、警視庁の刑事たちから、さらには大阪府警の面々まで当時のオールスターが揃っています。ストーリーの本筋とは関係ないのに意外なキャラクターの出番が設けられているのには、記念すべき10作目を記念した試みであるという側面があります。

残念ながら赤井秀一らFBIの面々や、公安の安室透などは、当時はまだ素性が明らかになっていなかったり、登場すらしていない状況にあり、この映画には登場していないのが残念ですが、当時としては豪華メンバーが一堂に集う貴重な映画として注目を集めました。

中にはセリフがないものの、場面の隅に登場しているレアなキャラクターも。それが高木刑事と佐藤刑事がカレーを食べるシーンの背後に登場する群馬県警の山村刑事。言われないと気づけないような出番となっています。

白馬探とは何者なのか?

そして多くのゲストキャラクターが登場する中でも異彩を放つキャラクターが白馬探
物語の中盤からコナンたちを行動を共にする彼ですが、「名探偵コナン」シリーズでも登場がかなり限られているので、彼は一体誰? と思う人も多いのではないでしょうか。白馬探の初登場はTVアニメ219話『集められた名探偵!工藤新一vs怪盗キッド』。その後、大きく飛んで479話『服部平次との3日間』に登場し、工藤新一の代わりとして探偵甲子園に参加しました。

登場回数がわずかながら、特別待遇とでもいうような活躍を見せる彼。何を隠そう、実はもともと「名探偵コナン」の原作者・青山剛昌の別の漫画である『まじっく快斗』に登場するキャラクター。『まじっく快斗』は怪盗キッドが主人公として描かれている作品ですが、そんなキッドのライバルキャラクターとして登場しました。

「名探偵コナン」にはしばらく再登場していない白馬ですが、のちに『まじっく快斗』のアニメシリーズ『まじっく快斗1412』に登場。結局映画に登場したのは怪盗キッドの変装だったことが明らかになるのですが、こちらのアニメシリーズではしっかり本物が活躍します。

刑事時代が思わず目に浮かぶ?毛利小五郎が熱い!

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌は、白馬のように意外なキャラクターにスポットが当たっているわけですが、同じくその活躍ぶりで忘れてはいけないのが毛利小五郎です。

本作では一時的ではあるものの思わぬ形でコナンとタッグを組んで捜査に挑んだり、中盤からは単独での捜査に挑みます。一人娘の蘭を人質に取られているということもあって、いつもの情けない小五郎とは一転、かなり真面目な姿が描かれます。

あまり作中では言及されることが少ないのですが、小五郎は以前は刑事。目暮警部は当時の上司という間柄にあるのですが、依頼人に盗聴されていることを警戒し、警察を離れて良かった見かけでは喧嘩をしながらも、子供達の保護を頼むシーンには、付き合いの長い二人の間柄が表れていて、作中でも印象的です。

そして、さらにタイムリミットが迫る夕刻。残り時間がわずかなタイミングで小五郎が頼るのが、別居中の妻である英理。事件の資料を頼みながら、思わず小五郎は不安を口にします。それに対して、英理は励ましの言葉をかけます。

「なぁ英理、俺に解けると思うか、この事件?」

「捜査は足で。そうじゃなかった?元刑事さん。」

この一言で、自信を取り戻し、獲得した情報から小五郎は依頼人の音へ真相を話に行きます。作中でもコナンが語る通り、本作ではこの小五郎の自らの足で手に入れた情報が真相へと繋がっていきます。

『名探偵コナン水平線上の陰謀』など、他のシリーズでも小五郎の活躍が描かれるエピソードはありますが、名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』の面白いところは、コナンが居ない頃の刑事時代の小五郎の姿を彷彿させるところ。小五郎の歴史を感じさせる映画としても、忘れてはいけない映画と言えそうです。

しっかりレギュラーキャラクターの見せ場を用意する映画

小五郎の活躍に加えて、そのほかのレギュラーキャラクターにも見せ場を用意しているのも『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』の特徴です

映画の中盤、ひったくり犯を捕らえるシーンは、レギュラーキャラクターたちの連携プレイによる犯人確保が見られます。逃走する犯人に対し、光彦の機転によってモップで犯人の足を止め、元太がタックル。さらには空手の都大会優勝経験を持つ蘭による突きと蹴りを喰らい、加えて、実は合気道二段の実力を持つ和葉からも投げ技を受ける始末。窮地に陥った犯人は歩を人質するのですが、そこでこう着状態を解消するのがまさかの園子。事態を知らずにしれっと犯人を突き飛ばして、歩を救出してしまいます。

ここまででもコナンシリーズ屈指の不運ぶりを見せる犯人ですが、きわめつけには、逃亡の末、佐藤刑事を運悪く人質にしてしまうことに。あっとうまに佐藤刑事のジャーマンスープレックスを喰らい、あえなく逮捕となってしまいました。こういったコナンのレギュラーメンバーによる夢の連携プレーが見られるのも、映画ならではの体験でしょう。

こういった華々しい見せ場だけでなく、静かなシーンでもキャラクターの優しい人柄を描いているのも忘れてはいけないところ。まもなく爆発を迎えようとする子供達を置いてはいけないと、阿笠博士や目暮警部が同席しようとするシーンは、地味ながらも温かい人柄が出ています。

記念すべきアニバーサリー作品でありながら、こうして眺めるとコナンの活躍だけでなく、コナンを取り囲む面々の活躍が光る映画というのが、なかなか不思議な感じもしますが、むしろアニバーサリー作品“だからこそ”と言えるのかもしれません。

「名探偵コナン」という作品の魅力はコナンだけの活躍だけでなく、コナンを取り囲む人間達との掛け合いやドラマといったところにこそある……そんなことを思わせてくれる体験がこの映画には詰まっています。

※2021年1月8日時点の情報です。

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