『バットマンvsスーパーマン』の裏側。~正義のヒーローが対立する理由~

2015.06.24
洋画

Why So Serious ?

侍功夫

バットマンとスーパーマンの共演作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』2016年3月の日本公開が発表されました。すでにアメリカでは予告編が公開されています。

アメコミにあまり関心の無い人にとって、正義の味方であるハズのバットマンとスーパーマンが対峙し「オマエに血は流れているのか? そいつを流すことになる!」と穏やかでない台詞を交わしているのに違和感を覚えるかもしれません。しかしこの2人、コミック世界ではイデオロギーの違いから度々大げんかをやらかしているのです。

リバタリアンVSコンプライアンス

ダークナイト

クリストファー・ノーランの『ダークナイト』で、金儲けや功名心に関心が無くただただ混乱を求めるジョーカーに対し、バットマンは自分の存在がジョーカーという狂気を生みだしたのではないかと苦悩します。

バットマンとジョーカーが表裏の存在であるということは、ことあるごとに話題になるネタです。バットマンは自身が決めた善悪の規範のみに従い法の遵守は二の次です。対するジョーカーは徹底して、あらゆる秩序や支配の崩壊を目指します。

つまり「目的のためなら法は無視する」という点では全く同じ方向をむきながら、敵対しているのです。そんなバットマンをリバタリアンに、ジョーカーをアナキストに例える向きもあります。

彼ら“無法者”に対しスーパーマンは法を絶対に遵守する、言ってみれば「コンプライアンス・ヒーロー」です。一見スーパーマンの姿勢は正しく思えます。しかし、悪法であっても改正されない限り絶対に守る危険人物だとも言えます。当然、バットマンとの折り合いもすこぶる悪いのです。

バットマン:ダークナイト・リターンズ

『バットマンvスーパーマン:ドーン・オブ・ジャスティス』予告編での対峙場面でバットマンがアイアンマンの様なアーマーを着こんでいます。実はアーマーを着たバットマンとスーパーマンがにらみ合う場面に多くのアメコミファンは思い当たるフシがあります。

1980年代中ごろにアメコミ界を揺るがすコミックが発売されます。『シンシティ』や『300』の原作者フランク・ミラーによる『バットマン:ダークナイト・リターンズ』です。

老いて自警活動を引退したブルース・ウェインが荒廃するゴッサム・シティに痺れを切らし、バットマンとしてカムバックをする物語です。このコミック終盤でも、スーパーマンとバットマンは殴り合いの大ゲンカを繰り広げます。その時に肉体的にスーパーマンに劣るバットマンが予告編に登場する様なアーマーを着こんでいるのです。

その『バットマン:ダークナイト・リターンズ』は正に、リバタリアンたるバットマンとコンプライアンスの権化であるスーパーマンの対立が描かれています。

このコミックが発売された80年代を鑑みれば、世界の警察を名乗ったアメリカをスーパーマンが、徐々に死に向かうソビエト:共産主義を老いたバットマンが象徴していたのかもしれません。

その物語や対立構造を現代にどう蘇らせるのかが、新作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の見どころになるのは間違いありません。

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  • がらがら
    3.5
    有名なアメコミのアニメ化、原作は未読だけど、ノーランバットマン位しか見てなくても何となく話は理解出来た。 カトゥーン調のアニメって事や、日本のアニメとは間が違っていたり、細かい絵の動きがなかったりして(アクションシーンはガンガン動く)違和感を覚える部分はあるけど、ストーリーは面白かった。 ただ展開が早すぎる部分や、心理描写が無いためイマイチ感情移入出来ず、敵を倒すヒーロー物としては面白かったが、評判の様な重厚さは感じられなかった。
  • ふじもと
    4.2
    バットマンが引退してから10年、ブルースウェインも55歳。ゴードンも引退まであと1ヶ月。 ある事からバットマンは復活するけど、若者はもうバットマンを必要としていない。バットマンを巡って世論は二分化。おじいちゃんは、世の中がもう動いてしまっている事に気付きながらも自分に鞭打って悪と戦う。トゥーフェイスが出てくるけど悪の方もまた、別の苦悩を持っている。 闇のヒーローが1度去った現代で、バットマンをどう見るかが描かれる。 こんなん面白いに決まってるでしょ。 パート2ではおなじみのあの方と、さらにあの方が出ます。楽しみです。
  • UMA
    4.2
    BD購入、老いてヒーロー活動を引退したブルース・ウェインと彼と同じく老いていく、ヴィラン、協力者たち。 今作のブルースは50代半ば、ガッしりとした白髪紳士、超カッコ良い。 こちらはpt.1 最後、ある人物の「ダーリン。。。。」というセリフ。 pt.2に続く、あのセリフこそ。。。。 という感じで、あまりリピートせず。 トゥーフェイスごめん。 女の子の新生ロビンや引退したゴードンを引き継いだ女性警部など、女性の活躍が印象的。 ミュータンツはマッドマックス観た後だと、ちょっとダサくて目も当てられないや。原作コミックスの古さ等考えたら当然なんだけど。
  • どすこいちくわ
    3.5
    カナダでの親友に勧められて。 今作のバットマンはなんと55歳! ブルースは肉体の老いを感じながらも、自らの故郷ゴッサムシティを守るため今日も悪と戦います。 アニメだからといって舐めるべからず! ノーラン版にも匹敵するのでは?と思うほど、めちゃめちゃダークな世界観。 定年退職も近いバットマンですから、敵に苦戦を強いられることもしばしば。 おまけに幼い頃のトラウマもまだ克服できずに、それに苦しめられる毎日。 そんなバットマンの姿は哀愁たっぷりでした。 しかしアニメの作画がどうも好きになれず...。 アゴが...(^-^; Part2ではアノ人も出てくるみたいなのでこれまた楽しみ(^^)b
  • ふじたけし
    4.0
    やはり内容が骨太というか、面白く拝見させて貰えた。
「バットマン:ダークナイト リターンズ Part 1」
のレビュー(110件)