1年に1度の大イベント、クリスマス。聖なる夜に悪いことなんて起きやしないと思っていませんか?
10月5日よりレンタルが開始された『クランプス 魔物の儀式』は明るく楽しいクリスマス映画ではなく、80年代のホラー映画のスタイルと精神で作られたクリスマスのダークな側面を描いた作品です。
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今年のクリスマスには、ぜひともこのちょっぴり変わったクリスマス映画を鑑賞してみてはいかがでしょうか?
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『クランプス 魔物の儀式』あらすじ
少年マックスの家では今年もクリスマス・イブに親戚が集まった。いとこにサンタへの手紙を見つけられた挙げ句、その内容をみんなの前で暴露されたマックスは悔しさから手紙を破り捨ててしまう。
すると翌朝から豪雪が降り続き、彼らは家の中に閉じ込められてしまう。やがて、不審な物音に皆が怯え始めるなか、マックスの祖母オミは静かに語りだす・・・。
「この話をする時がきたわ。始まりは、嵐の夜だった・・・」
クランプスとは?
タイトルにもなっているクランプス( Krampus)とは、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどの一部の地域に古くから伝わる伝説の怪物のこと。子供たちにプレゼントを与えるサンタとは正反対で、悪い子供たちを罰するために存在する、言わばサンタの影のようなものです。
クランプスの伝説はクリスマスより古いと言われていますが、一説ではサンタやクリスマスに対抗して17世紀に生まれたとも言われていますし、その逆でクランプスに対抗してサンタが作られたとも様々な説が存在しているようです。
アメリカではこういったクリスマスの暗い側面が浸透していないためか、本作は大変ウケが良かったそうです。
Wetaワークショップによる魔物たちの造形がすごい!!
クランプスとその手下たちの造形は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ナルニア国物語」シリーズなどの特殊メイクやミニチュア製作を手掛けたWetaワークショップの職人たちの手によって緻密に作り上げられ、非常にクオリティの高いものに仕上がっています。
全てにおいてCGを使うのではなく、粘土、石膏、ゴム、ラテックスなど初期の映画で使われた旧式のフィジカル・エフェクトを使用することで、生き生きとした魔物たちの姿を楽しめる点には注目して欲しいところ。
衣装ももちろんひとつひとつ手作りで、特にクランプスが羽織るサンタをイメージした巨大なガウンは圧巻。なんでも約30メートルの手染めした重いベルベットで作ったそうで、芸術的な美しさを放っています。こういった魔物たちが身に着けている衣装や小道具なども細部まで凝っているので、ぜひじっくりと観察していただきたいです。
また、魔物たちのリアリティ溢れる動きも必見! 熟練の人形師たちが、手動や棒を使用した単純な技法のみで生み出すその動きは、CGでは絶対に出せないものです。違和感のない動きと、どこか懐かしささえ感じる魔物たちの描写には誰もが釘付けになるはずです。
でも一番怖いのは・・・
大きくて邪悪なクランプスももちろん恐ろしいのですが、マックスの母親を演じたトニ・コレットの絶叫顔もそれに負けないくらい怖い。本当にものすごい顔で絶叫しているので、ある意味では一番怖いかも?
しかしこの素晴らしい絶叫も、職人たちの手によって作られたリアルな魔物たちを前にして最大限に引き出されたものなのではないでしょうか。改めてWetaワークショップのすごさが分かるかと思います。
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Toni_Collette
クリスマスの精神を忘れた大人たちへ・・・
「まだサンタを信じてる?」
「もちろん」
「でもサンタの解釈はあなた次第なのよ サンタを信じるのはクリスマスの精神を信じること 優しさと犠牲の精神をね」
というマックス少年と祖母オミのやり取りは、大人になった今だからこそ胸に響くものがありますよね。
子供の頃に夢見ていたことや、純粋に信じていたことが「奇跡なんて信じるな」とまわりの大人たちから囁かれ、少しずつ打ち砕かれていく。これは心の成長という意味では避けて通れない道なのですが、本当に儚いことです。
そもそもクリスマスってなんだっけ? この作品はクリスマスの精神を忘れてしまった大人たちへ贈る、クランプスからの唯一のクリスマスプレゼントなのかもしれません。
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※2022年4月30日時点のVOD配信情報です。