【祝・ゴールデン・グローブ受賞】声優・内山昂輝とネトフリ編集部が熱く語る『クイーンズ・ギャンビット』の魅力(後編)

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Netflix Japan編集部

クイーンズ・ギャンビット』のゴールデン・グローブ受賞を祝して、人気声優・内山昂輝さんを迎え、本作の魅力を深掘りしていく座談会。チェスのルールを知らなくても楽しめる分かりやすさと、続きが気になる鮮やかなストーリーについて熱く語り合った前編はこちら。

後編では、キャラクターやシーンごとに、それぞれの視点で感じた魅力や受け取ったメッセージを語り合います。

内山昂輝:声優として活躍中。代表作に『機動戦士ガンダムUC』『DEVILMAN crybaby』『ハイキュー!!』『呪術廻戦』などがある。映画を観るのが好きで、自身のラジオ番組内で年間映画ランキングを発表“内山映画ランキング2020”の1位に選ぶほど『クイーンズ・ギャンビット』にすごくハマった。

Kazumi:ネトフリ編集部。海外ドラマに韓ドラ、リアリティーショーまでいろいろ観る雑食。好きなネトフリ作品は『ザ・クラウン』『コブラ会』『ヴィンチェンツォ』など。

Midori (新里 碧):ネトフリ編集部。旅と工作と古いものが好きなイラストレーター/取材漫画家
好きなネトフリ作品は『ストレンジャー・シングス』と『ノット・オーケー』。

DIZ:SNSを中心に活動している映画ライター。常に幅広いジャンルの映画やドラマをチェックしている。好きなネトフリ作品は『DARK』『The OA』『アンブレラ・アカデミー』など。

血のつながりを超えて支え合う、魅力的なキャラクターたち。

DIZ:続いて、好きなキャラクターについて伺いたいです。

内山昂輝(以下、内山):僕はアルマ(主人公ベスの養母/マリエル:ヘラー)が好きですね。ベス(アニャ・テイラー=ジョイ)の才能に気づいて、儲かると知った時にマネージャーとして取り仕切っていくのがすごく面白くて。特に好きなシーンは、ベスが失恋して、チェスもうまくいかなくて、帰りの車でアルマと手を重ねてエンディングに入っていくところです。その終わり方の演出が大人でウェットになりすぎず、音楽の使い方も見事で訴えかけるものがありましたね。

Midori:私もアルマがすごく好きです。二人は徐々に歩み寄って、実の親子のようになっていくんですよね。二人の愛情を”さりげなく”描いているところにジーンときました。血の繋がりこそないけれど、ベスの成長とともにアルマも彼女の母親になっていき、自分の人生を取り戻していったように見えました。

Kazumi:毒親とか距離が近すぎる親って映画ではたくさん描かれてるけど、これほど微妙な距離感の母と娘の関係性って繊細でリアルで、新しくて可能性を感じます。ちなみに私の好きなキャラクターはシャイベル(児童養護施設の用務員/ビル・キャンプ)さんですね。

内山:絶対みんな好きですね(笑)。

Kazumi:ほとんどセリフがないんですけどね。いつも暗い地下室でひとりチェスやってて、すごく孤独な人生だったと思うんです。最初ベスにチェスを教えてって言われた時、あっさり断ったように、人を突き放すけど、根底に愛があるんですよね。たぶん人と関わるのが怖かったんだろうけど、ベスと不器用なりに、少しずつ関係を築くところがすごく好きです。

Midori:私はアルマと、もう一人あげるならジョリーン(モージス・イングラム)です。ジョリーンはベスが幼い頃、児童養護施設で最初にできた友達。施設を出る時も、結構サラッと別れたんですど再登場のシーンが最高でした。再会した時、ベスはボロボロでまるで別人のようになってたのに、以前と変わらない態度で接してくれて。そんな親友ってすごいなって思います。観ている私まで、救われた気持ちになりました。

内山:あの再登場ってドラマシリーズならではの演出で、映画だとなかなか体験できないですよね。数話が経過してからのサプライズ登場の感動はドラマならではの魅力だなって思いました。

DIZ:私はベルティック(初めての強敵/ハリー・メリング)が好きです。初対面は最悪に嫌な人ですが、数年後にはベスの良き理解者になり、支えてくれる存在になるギャップがいい。かつての敵が仲間となって力を貸してくれるのは熱いですね。

一瞬も見逃せない、繊細な描写に込められたメッセージ。

DIZ:ここからは皆さんに選んでいただいた胸熱シーンを語り合いたいと思います。

内山:『クイーンズ・ギャンビット』は出番が少ないキャラクターが、異様な魅力を放っているのも好きです。これはメキシコ大会で13歳の天才少年と対戦するシーンですが、まるでベスが昔の自分と戦っているかのように思えます。圧倒的に強いのに、ドライブインシアターへの可愛らしい憧れを語る少年のギャップも魅力的。席をたびたび離れて集中力を削いだり、貧乏ゆすりして妨害してくる大人気ないベスの戦い方にも抗議せず、正々堂々戦うところも好きですね。

あと、対戦後の「16歳で世界一なら、残りの人生は何をするの?」「よく分からない」という会話で、チェスに人生を捧げている天才たちの凄を感じられるところも好きです。次の強い敵への橋渡しでシーンが終わる効率の良さも素晴らしいです。

Kazumi:この汚い手を使うベスがすごく好きです。子供相手でも絶対勝ちたいんだっていう、人間味が見えて、ベスをもっと好きになりました。子供相手に容赦しないところがシャイベルさんにも似ている気がします。

Kazumi:ベスが初めて大会に出るときに、シャイベルさんに5ドル貸してって手紙を送るシーンなんですけど、封筒の中身が5ドルだけでメッセージもなくて、そこにシャイベルさんの気持ちが詰まっている気がして素敵だなって思いました。ベスからもらった手紙を大事に取ってあることがわかるシーンで、ベスのことを誇りに思っていて、彼の孤独な人生のたった一つの支えだったんだなって思えてグッときましたね。ベスが孤独じゃないと証明されるシーンでもありますよね。

DIZ:このシーンは今見ても、ウルっとしてしまいますね。

Midori:初めのころは、暗い部屋で一人、ピアノを弾いているのが彼女の孤独感の象徴のように描かれていたのですが、このシーンで初めて人前で楽しそうに演奏しているんです。ベスの母親になるという新たな人生の目標を見つけて、ベスと一緒に孤独感を乗り越えていったんだなあと感じられる象徴的なシーンだと思います。胸がジーンとしました。

DIZ:ベスが勝ち進んでいくのと同時に、母であるアルマも一緒に成長していたんですね。アルマ視点でもう一度見るのも面白そうです。

DIZ:おそらくこのシーンは誰もが胸が熱くなるシーンだと思いますが、いかがですか?

内山:いいですね。かつての敵であり、ライバルだった人たちが集結するシーンですね。一つの競技の中で協力して戦っていく美しさ、天才たちの奮闘、努力する姿にオリンピックを見ている時のような感動があります。彼女が孤児になるところから始まり、男社会の中で若き女性がのし上がっていくという物語でもありますよね。

DIZ:今までずっと孤独に一人で戦っていたと思っていたけど、実は一人じゃなかった、と分かるのが胸熱ですね。ベスのたった一人で男社会を切り開いていく強さが大好きですが、一人ではどうしても無理な時もあって、協力して生きていくことの大切さをこのシーンですごく感じます。

もう一度見たくなる、さまざまな視点から楽しめる奥深さを再発見。

DIZ:皆さんの選んだ胸熱シーンをみて、改めて感じたことはありますか?

内山:たくさん登場人物が出てきて、彼らをそれぞれ深く掘り下げる群像劇ではないけれど、いろんな要素がありますよね。男社会の時代を女性がチェスの実力だけでのし上がっていき、養母との関係性も深まっていき、どんどん強い敵と戦っていくスポーツもののような話でもあるし、天才たちが米ソ対立の時代で背負わされる国家の期待とか、切り口や角度を変えることで様々な表情を見せてくれて、いかようにでも語れる作品だ、と改めて思いました。

Kazumi:雑誌などでこの作品が紹介される時、ファッションやインテリアが素敵って紹介されることが多いですが、それだけのドラマではなくて、物語の芯や一人一人のキャラクターが立ってるのもすごいですよね。短いドラマの中にいろんな要素が詰め込まれていました。

内山:確かに衣装とかセット、美術もすごいですよね。各国のホテル描写だけでも目が楽しい。そこだけ切り取りたくなる気持ちもすごくわかります。

Midori:寡黙なキャラクターが多いですが、説明しすぎていないところがいいなと思いました。丁寧に説明してくれる作品もいいけど、語られていないからこそ想像できる味わい深さがあると皆さんのシーンを見て改めて思いましたね。

DIZ:皆さんの熱い話を聞いていると、今すぐもう一度見たくなってきました。天才の代償、女性のエンパワメント、熱いスポ根ドラマ、ファッションやインテリアの美しさなど、色々な見方ができる作品なんですね。

天才が孤独を乗り越える物語に誰もが共感?

DIZ:個人的にこの作品から”最大の敵は自分自身”というメッセージを受け取ったのですが、皆さんは感じられたことはありましたか?

Midori:コロナ禍で一人で仕事をしていると、孤独感が増してしまい、「自分のやっている仕事(イラストや漫画記事)は、一体誰が見てくれているんだろう……?」と、寂しく思うことがあるんですけど、この作品を通して、「わざわざ連絡してこなくても、自分が知らないところでちゃんと私を見てくれてる人や応援してくれてる人がいるんだろうな」って思えました。昔会った人もどこかできっと応援してくれてるのかな、と思えて。すごく励まされました。

Kazumi:私は孤児であるベスが、いろんな人に応援されたり助けられたりして生きていくのを見て「血縁って実はそんなに重要じゃないかも?」と思いました。コロナ禍でも災害時でも、何かあるとすぐ「家族が大事」という話になるけど、家族って血の繋がりはあんまり関係なくて、気持ちの繋がりなんだなと。アルマもジョリーンも血縁はないけど家族だし。

内山:僕は栄枯盛衰の物語の中で、天才がどうやってキャリアを維持しながら、人間関係も築いて、人生の楽しみも味わい、未来を切り開いていくかという物語に感じられて興味深かった。自分の話をするのは恐縮ですが、3歳で今の事務所に入って子役をやっていたので、バイトもしたことがなく、他の業界を全然知らないんです。だから、小さい頃から一つのことに取り組んでいる人が、キャリアと自分の人生を両立させるために奮闘する物語に感じられましたね。

DIZ:内山さんにとって、ベスはご自分自身に重なる部分もありましたか?

内山:自分は天才ではないですが、“小さい頃から”という意味では共感できました。単純にリスペクト、かっこいいなとも思いましたし。ちゃんと人生も楽しんでいくぞっていうガッツがよかったです。

DIZ:皆さんと熱く語り合って、一人では感じられなかった魅力をたくさん再発見できました。なぜこんなにも世界中で愛されているのか。それは本作が孤独な天才少女ベスを通して、人との繋がりの尊さを繊細に描く作品だからこそ、孤独を感じている人々の心に寄り添って、勇気づけてくれたからかもしれませんね。

最後に、世界中の人々の心を熱くした『クイーンズ・ギャンビット』、ゴールデン・グローブ賞受賞おめでとうございます。

文・DIZ(@netflixjp ゲストライター)

【祝・ゴールデン・グローブ受賞】

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