『極主夫道』龍の優しさ、『ACCA13区監察課』ニーノの色気…津田健次郎が語る“いい男”の条件(前編)

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Netflix Japan編集部

Netflixオリジナルアニメシリーズ『極主夫道』の配信がスタート。かつて極道の世界で“不死身の龍”と恐れられながらも、今や専業主夫として生きる龍が日々の家事に奮闘する姿を描く本作。いかつい見た目とは裏腹に、愛する妻のために料理や掃除、ご近所付き合いにいそしむ龍の“ギャップ力”や“家事力”が見る者を魅了しています。

生き方や働き方が多様化する中、専業主夫の道を極めようとする龍は、現代の“いい男像”のひとつを映し出したキャラクターとも言えそうです。そこで、龍役を演じる声優の津田健次郎さんにインタビューを敢行。「男も女も惚れるいい男」について思いを巡らせてもらうと、龍、そして過去に演じた『ACCA 13区監察課』のニーノ、憧れが詰まっているという『ローマの休日』のグレゴリー・ペックの魅力を語ってくれました。果たして、3人に共通する点とは?

津田健次郎プロフィール

1971年生まれ、大阪府出身。声優、俳優として活動中。代表作は『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』、『テニスの王子様』、『呪術廻戦』など多数。「声優アワード2021」では、主演男優賞を受賞している。映画監督としても活躍の場を広げている。

――これまでコミックス発売記念PVや自ら監督・主演を務めた実写版PV、そして今回アニメシリーズで龍を演じるなど、龍とのお付き合いを深めてきました。知れば知るほど好きになるような、龍の魅力とはどのようなものでしょうか。

最初の頃は、龍の持つギャップの面白さや、言葉遣いの面白さ、勘違いしたまま突っ走る猪突猛進的なところに惹かれていました。でも付き合いが長くなるにつれて、龍の優しい部分がとてもわかるようになってきました。龍は奥さんの美久に対してはもちろん、周りにいる人たちにも気遣いができる。ともすれば過去に敵対していた組の連中にさえ、優しかったりするんです。龍の姿を見ていても、やっぱり優しい男というのは魅力的だなと思います。

――劇中のシーンで、龍の優しさをとくに感じた場面を教えてください。

過去に敵対していた組の連中に会って、そのまま一緒にバーゲン会場に行くシーンがあります(エピソード1、第4話)。組の連中に「お前はあっちだ!」「お前はこれや!」と指図しながら、最終的に彼らが獲得してきた商品に対して「アホンダラ!」と怒る。でも龍はいつの間にか、彼らのうちの一人に手袋をはめてあげているんです(笑)。もうやっていることはすべてギャグなんですが、「龍は本当に優しいんだな」と思いました。

また、元舎弟の雅に洗濯のやり方を教えるシーンも印象深いです。龍は雅に対して手厳しくて、殴ったりもする。それでも雅のことを一生懸命考えて、シミの落とし方を教えたりして(笑)。龍はいつも全力投球だし、すべて優しさからやっていることなんだなと感じています。

――そのやり方がズレているので面白くなってしまいますが、本当はものすごく優しい人ですね。

そうなんです。美久の誕生日のシーンなんかも、誕生日ってそうやって祝うもんじゃないよ…という感じなんですが(笑)、龍は準備に時間をかけて、かなり手の込んだことをやっていますよね。はじめは龍のやっていることのズレに笑ってしまうんですが、あとからじわっと彼の優しさが効いてくる。それもこれもすべて「美久のため」という一心ですから。

――福引に行って「嫁の笑顔が本物の1等じゃ!」と声を大にする龍を見ても、本当に美久のことが大好きなんだなと伝わってきます。

ありましたね。言ったあと、美久にバコッと殴られてしまうんですが(笑)、龍はストレートな男なので、発する言葉もストレート。そんなふうに愛情表現ができるのも、彼のいいところだと思います。

役割分担、お金の考え方…『極主夫道』の描く現代の夫婦像とは?

――実写版も演じられたことで、より龍の魅力を感じたことはありますか?

自分の肉体を通して龍を演じたことで、ものすごく彼のエネルギーを感じました。生きるエネルギーが、他の人の数段上にあるような男。だからこそ、そのエネルギーに周囲の人が巻き込まれていくんだと思います。演じる上でも、勢いやエネルギーを大事にしていました。とはいえ“間”で見せる笑いが多いので、引き算のお芝居も重要になってくるのが、龍という役です。

実写版では僕自身とても好きなシーンである、龍が買ったばかりのロボット掃除機と格闘するシーンを演じました。まさにこのシーンは、引き算のお芝居が重要となる場面です。掃除機に向かってバーッとおどすような言葉を投げかけたと思ったら、スッと座ってただ掃除機を見つめる。前段階がエネルギッシュであればあるほど、そのあとの引き算が効いてくるんです。原作の持つテンポ、メリハリ、引き算のうまさには、感服します。

――家事のあるあるネタも豊富な本作。津田さんご自身は、本作を通して家事意欲が沸いたことなどはありますでしょうか。

僕は本当に家事が苦手で…。才能がないんですよね。家事って、もちろん努力が一番大事だと思いますが、才能もあるような気がしていて。僕はまず、家事の段取りを組むのが苦手です。例えば、まずお鍋でお湯を沸かすとする。そうすると腕を組んで、お湯が沸くまで待っていそうな気がします(笑)。きっと、その時点でダメですよね。お湯を沸かしている間に、なにか切るなり、洗うなり、ソース作るなり、なにかしろよ!と。だから龍の手際のよさは、尊敬しますね。

――確かに龍の家事の手際のよさは、見ていてものすごく勉強になります(笑)。専業主夫になって家を守ろうとする龍は、価値観が多様化する現代における“いい男像”のひとつを映し出したキャラクターでもあるのかなと感じます。

あの夫婦の価値観において、おそらくお金は重要項目にならないんだなという気がしていて。龍が頑張って節約しながら、楽しく2人で暮らしていますよね。そういうところも、とても現代的で素敵だなと思います。また美久は死ぬほど家事が苦手ですから(笑)、そこは得意な人がやればいいじゃないかと分担するところも、あの夫婦のいいところですね。“主夫道”というくらいですから、その道を極めるのが龍の大きな目的。これからどんどん極まっていくんだと思うと、楽しみですね。

――どんな道でも、極めようとしている人はすてきですね。

そうですよね。そこも龍のかっこいいところ。武道の達人は、体に少し触れるだけで相手をフワッと倒すことができると聞きますから、いずれ龍も少し触れるだけで料理ができたり、動かずとも掃除ができるようになるのかもしれません(笑)。

――それはすごい! 津田さんが極めたいのは、どのような道になりますか?

やはり、お芝居や表現の道ということになると思います。年々、お芝居の奥深さや難しさがわかるようになって。そうすると、自分に課すハードルもどんどん高くなっていくんですが、そこを追いかけていくこともとてもやりがいがあります。これからもっと極まっていくといいなと思っています。そのうち僕も、声を出さずとも、みなさんにセリフが聞こえるような達人になるかもしれません(笑)。

後編では、津田さんが過去に演じた『ACCA13区監察課』のニーノや、憧れが詰まっているという『ローマの休日』のグレゴリー・ペックについてさらに熱く語ります。

撮影/帆刈一哉
取材・文/成田おり枝

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