独特のカメラワークや、スタイリッシュで斬新な色彩表現で人々を魅了するアジア映画の巨匠、ウォン・カーウァイ監督。その芸術的な映像センスは世界に衝撃を与え続けています。今回は、ウォン・カーウァイ監督の世界観をたっぷりと堪能できる10作品をご紹介します。
『恋する惑星』(1994)
失恋した刑事223号(金城武)は寂しさを紛らわすため、偶然出会ったドラッグ・ディーラーの金髪の女性(ブリジット・リン)と一夜を過ごす。同じ頃、飲食店の店員フェイ(フェイ・ウォン)は店の客である刑事633号(トニー・レオン)に淡い恋心を抱き、彼の部屋に忍び込んでいた。
香港の混沌とした雑居ビル重慶大厦を舞台に、若者たちの恋愛を描く群像ラブストーリー。オシャレで魅力的なファッション、スタイリッシュな映像にウォン・カーウァイ監督の名を世界に知らしめた一作。
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『花様年華』(2000)
1962年、香港。ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)は妻とあるアパートに引っ越しをする。また、チャン(マギー・チャン)とその夫も同じ日に同じアパートに越してきたのだった。やがてチャウとチャンは、互いのパートナーが不倫していることに気づく。そして彼らもまた、次第に惹かれ合っていく。
カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したトニー・レオンと、様々なドレスを妖艶に着こなすマギー・チャンの官能的で美しい愛を描いた一作。
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『天使の涙』(1995)
クールな殺し屋(レオン・ライ)とその女性エージェント(ミッシェル・リー)はビジネス以外で滅多に会うことはなかったが、お互いの孤独が募るうちに求めあうようになる。一方で、口がきけない青年モウ(金城武)は、失恋したての少女(チャーリー・ヤン)と出会い初めての恋に落ちる。こうして、香港を舞台に5人の男女の物語が交錯していく。
全編にわたり広角レンズが使用され、斬新な光や音の使い方で香港の街を切り取りながら男女の物語を展開させる。ウォン・カーウァイ監督ならではのポップでスタイリッシュ、且つモダンな映像スタイルに磨きがかかった作品。
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『ブエノスアイレス』(1997)
喧嘩別れを繰り返してきたゲイカップルのウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)は、関係を修復するためアルゼンチンのイグアスの滝を目指すが、またしても喧嘩別れしてしまう。旅費を稼ぐためブエノスアイレスのタンゴ・バーで働くファイの元に、ウィンが客として現れ復縁を迫るが……。
香港を舞台に映画を撮り続けてきた監督が、今作は香港の裏側アルゼンチンを舞台に製作。ウォン・カーウァイ作品ならではの色彩美は健在で、二人の気持ちを表すかの様な白黒のシーンの演出など、男同士の激しく切ない恋愛模様を描く。カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞。
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『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)
恋人と別れたエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、恋人の家の向かいにあるカフェに入り浸る様になる。毎晩オーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)とブルーベリーパイを食べながら話をするようになり、二人の距離が縮まったかに見えたある日、元恋人が新しい恋人といるところを目撃してしまい、突然ひとり旅に出てしまう。旅先で出会った人たちと触れ合いながら、エリザベスは自分にとって大切なものを見出していく。
グラミー賞受賞歌手ノラ・ジョーンズを主演に、ウォン・カーウァイ監督が初めて英語劇に挑んだラブストーリー。ニューヨークやメンフィス、ラスベガスなどをめぐるロードムービー仕立てに、失恋の痛みや新しい愛を描いていく。
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『欲望の翼』(1990)
1960年の香港。サッカー場の売り子をしていたスー(マギー・チャン)は、ある日ヨディ(レスリー・チャン)という青年に口説かれ交際をはじめるが、やがて2人は破局する。その後、ヨディはクラブのダンサーであるミミ(カリーナ・ラウ)と一夜を過ごすが、ヨディの親友であるサブ(ジャッキー・チュン)もまたミミに惹かれていき……。
旬な俳優たちの演技も光り、ウォン・カーウァイ監督作品の中でも人気が高い作品。6人の男女の恋愛劇を、詩的なセリフ回しと美しい映像で描きだす。
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『2046』(2004)
1967年の香港。愛した女性と結ばれなかったチャウ(トニー・レオン)は、近未来を舞台にした小説を執筆していた。それは、失われた愛を見つけることができる場所「2046」を目指して列車に乗る男女の物語だった。「2046」から帰ってきた者はいないという。ただひとりの男(木村拓哉)を除いては……。
トニー・レオンを始め、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーなどアジアのスター俳優が豪華共演するSFラブストーリー。『欲望の翼』や『花様年華』とリンクする内容になっており、現在と過去、物語の中と外が交錯する。
『楽園の瑕(きず)』(1994)
“西毒”こと陽峰(レスリー・チャン)は凄腕の剣士だったが、今は砂漠の宿屋で殺し屋を営んでいた。そんな陽峰が剣のために捨てた恋人(マギー・チャン)は、今では兄の妻となっていた。そんな陽峰の元に、親友の“東邪”こと薬師(レオン・カーフェイ)や剣士たちが集う。それぞれに辛い過去を持つ剣士たちは、再び剣をとり戦いを挑んでいく。
香港の人気小説「射雕英雄傳」に登場するキャラクターの若き日を描くウォン・カーウァイ監督のオリジナルストーリー。剣による決闘シーンは見どころだが、登場人物たちの悲話や人生がドラマチックに語られており、重厚な人間ドラマとなっている。
『愛の神、エロス』(2004)
仕立て屋の見習いであるチャン(チャン・チェン)は、商品を届けるために高級娼婦ホア(コン・リー)の元へ訪れる。緊張するチャンにホアは、良い仕立て屋になるための極意を教える。そして一人前の仕立て屋になっていくチャンだったが、ホアの生活は次第に落ちぶれていく。
ウォン・カーウァイ監督作『エロスの純愛~若き仕立屋の恋』、スティーヴン・ソダーバーグ監督作『エロスの悪戯~ペンローズの悩み』、ミケランジェロ・アントニオーニ監督作『エロスの誘惑~危険な道筋』と、3人の巨匠が愛とエロスをテーマに作品を製作したオムニバス映画。コン・リーの内側から滲み出る官能的な世界に魅了される一作。
『いますぐ抱きしめたい』(1988)
香港に住む従兄のアンディ(アンディ・ラウ)を訪ねたマギー(マギー・チャン)は、ヤクザな生活を送るアンディに反発しながらも、次第に惹かれていく。しかしアンディには、よくトラブルを起こす弟分のジャッキー(ジャッキー・チュン)がいる。借金の取り立てに手こずる弟分を助けるため、アンディは夜の街へと繰り出していく。
ウォン・カーウァイ監督デビュー作。香港のモンコック地区で生きる若者たちの愛と青春を描く香港ノワール。独特のカメラワークや色づかい、ネオンがきらめく美しい映像はデビュー作ながらも、ウォン・カーウァイ監督らしさが滲み出ている。
※2021年7月1日時点でのVOD情報です。