鬼才・園子温の新境地!柔らかファンタジー『ラブ&ピース』の魅力とは

隠れ映画ライター

雪風

園子温監督作品といえばどういう映画が思い浮かぶでしょうか?『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』『地獄でなぜ悪い』『TOKYO TRIBE』などバイオレンスでエロスで過激な作品のイメージが強いという方が多いかもしれません。

ただ現在上映中の『ラブ&ピース』はこれまでの作品とは打って変わって愛とファンタジーな作品となっております。この映画はどんな作品なのか、どんな魅力があるのかを紹介したいと思います。

ラブ&ピース

『ラブ&ピース』あらすじ

以前はロックシンガーを目指していたものの挫折し楽器の部品会社で働く鈴木良一は、同僚の寺島裕子に想いを寄せているもののまともに話すことすらできずにいた。ある日、デパートの屋上で昼食を取っていると一匹のミドリガメと目があい、買い取ってしまう。ミドリガメとの出会いが転機になり…。

『ラブ&ピース』のここが要チェック!

ラブ&ピース画像

出典 : 映画『ラブ&ピース』予告編

設定がとんでもない!

この作品には、多数のおもちゃが登場するのですが…。じつはこのおもちゃたちは自由に動きしゃべる事ができるのです。もう園子温版「トイストーリー」か?というくらいに。

しかも地下下水道に皆一緒に住んでいます。そこに主人公が飼っていたミドリガメが迷い込み、彼らとミドリガメの交流が始まるのです。

まさかあの園子温がこんなにファンタジーな設定を作るなんて!!そしておもちゃたちの声優に中川翔子や星野源が起用されています。

耳に残る歌詞!

『地獄でなぜ悪い』でも「全力歯ぎしり」という歌が要所要所に使われており、歌詞の面白さと二階堂ふみの魅力で耳から離れなかった人も多いのではないでしょうか?

この作品の長谷川博己が演じる主人公・鈴木良一はロックシンガーを目指しているという設定で、中盤以降は結構ライブシーンなどもあるのですが、そこでまたまた耳に残る歌詞が登場し、非常に印象的です。

見終わった後はついつい歌詞を口ずさんでしまうかも。ついでに長谷川博己が「全力歯ぎしり」も歌ってくれます。

長谷川博己と麻生久美子がとても地味な役を!

長谷川博己はロックシンガーとして売れるまで地味で情けない感じの会社員。麻生久美子も負けず劣らず地味でダサくて目立たない会社員。

しかも二人とも地味に演じるのがとても自然。麻生久美子は笑顔も封印してたりします。

怪獣が出現する超展開

かなりファンタジーな映画なんですが、後半にはなんと巨大な怪獣が登場します。なにがどうなってそんなものがでてくるのかは見てのお楽しみですが。面白いのはCGを使わず、手作り感満載なところです。

ちなみに喋るおもちゃたちもCGではありません。歌と怪獣。これがどんなつながりを持っているのか…。

そしてタイトル通り愛の作品

愛にも色々あり、恋愛だったり、友愛だったり。その色々な愛がこの映画には散りばめられています。歌も実は主人公と何かの愛についての歌だったり。

やはり園子温はすごい

ロックに愛におもちゃに怪獣。これらの内容を1つにまとめて作品として仕上げている園子温はやはりすごい。この作品でバイオレンスな作品以外も撮れるということが証明されました。しかもこれだけの内容を25年も前に作っていたとは。

これまでの過激な作品とはまったく違う『ラブ&ピース』。愛についての映画なので、これまで敬遠していた人も安心して見ることができます。園子温のまったく新しいジャンルの作品、まさに新境地!

現在公開中なので気になった方はぜひ劇場へ。

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