日本のドラマ&映画界で国民的トップスターとして第一線で活躍し続ける俳優の水谷豊が、映画人としての魂を込めた渾身作『TAP THE LAST SHOW』が公開中だ。水谷自身が構想40年と温めてメガホンを初めて握った本作は、同じく日本映画界初とも言っていい本格的なタップダンス映画! 水谷自身も身を置くショービジネスの世界を舞台に、伝説のタップダンサーの人生、そしてショービジネスの世界の“光と影”を重厚に描いた人間ドラマだ。
そのファンならずとも注目したい一作に、近年情報番組で司会を務めるなど女優業以外でも活躍が目覚ましい北乃きいが出演している。若いタップダンサーの恋人を健気に支え、自身は美容師として働く華という女の子をナチュラルな表現で好演した彼女に、「まるで外国の映画のような感覚に」なったという映画『TAP THE LAST SHOW』の感想をはじめ、映画監督・水谷豊を垣間見た感想や、女優としての今後など、さまざまなテーマで話を聞いた。
――第一印象が日本の映画とは思えないくらい、重厚な映像で、ハードボイルドな物語だと思いました。
わたし自身も観たことがないような撮影方法だったので、まるで外国の映画のような感覚になりました。セットも細部までこだわっていて、みなさんの私物やタップシューズなどが置いてあって、端から端まですごいこだわりでした。構想40年の作品ということで愛情が強かったので、それが放出された時のエネルギーがすごかったですね。わたしの役柄を含め、みなさんの役柄を水谷監督自身がテストで演じてくださって、情熱を感じました。
――その演じた華は、タップダンサーの恋人を支えている美容師の女の子でしたね。どういう女性と理解して演じていましたか?
そのままの、見たままの女の子だなと思います。よくいるようなかわいらしい女の子で、今まで演じてきた女の子で一番かわいかったです。男性が好きな女性像を本当に上手く描いていて、普段の自分の話すスピードより4テンポ遅くしゃべっています(笑)。それも水谷監督がそうされるんで、それをなぞって頭の中で組み立てて、華ちゃんが誕生しました。
――お話をうかがっていると水谷監督の細やかな演出が伝わりますが、監督として一緒に仕事をしてみていかがですか?
水谷監督は、本当に怒らないんですよね。いつも微笑みを絶やさずに、和気あいあいとした撮影現場でした。本当に和やかな映画で、タップのシーンなどはワンカット、ワンカット、みんなで泣いて拍手をしていて。こういう現場があるんだって。それは初めての感覚でした。それは水谷さんが作られた現場だからこそで、全員の距離感が近かったですね。中心の人がひとりなので、それはすごかったと思います。
――映画全体に贅沢な余裕が漂っていますよね。ハードボイルドな映画ですが、魅力的な主人公の人生をじっくり追っていく人間ドラマで。
本当に素敵だなって思いました。現場でも水谷さんはどこにいても、本当にスターって感じでした。監督で俳優も務めていましたが、それ以上の存在でオーラも凄まじかったです。役作りへのこだわりもすごくて、スターってこういうことだなと。本当に言葉で表すことは難しいけれど、第一線にずっといるって、こういうことだなって思いました。俳優としてはもちろん、人間としてのあこがれもあります。監督業だけでも大変なのに主演もこなして、キャパシティーがすごい。だから怒らないし、焦らないし、余裕があるんだと思います。
――さて、朝の情報番組「ZIP!」(NTV)で2年間総合司会を務めるなど、女優以外の場にも活躍の場が広がっていますが、いまの課題は何かありますか?
もっと努力しないといけないですね。わたしは人よりもちょっと習得が遅いと思っているので、ひたすら努力を続けないといけない。そういう感覚が、今でもあります。自分なんかダメだって、ネガティブな感じがあるんです。水谷さん、一徳さんのような方と出会うたびに毎回思います。だから仕事のこと、続けている理由などのお話をうかがい、わたしの話も聞いてもらって、先輩の考え方、先輩の言葉に感化されることはよくあります。
――女優としての、今後の目標は何でしょうか?
まだわからないです。もっといろいろなことができるような気がするし、女優業に限らず、自分でも挑戦してみたいんですよね。それは「ZIP!」の影響があるかもしれないです。番組でインタビューをしていて、いろいろな世界を知ってしまったから(笑)。とにかく、いずれにしても努力、努力の人間なので、女優としても人としても頑張りたいと思います。(取材・文・写真:鴇田崇)
(C)2017 TAP Film Partners
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