謎めいた存在の“こどもつかい”によって子どもたちがさらわれ、やがて戻って来た子どもたちと出会った大人が<3日後に死ぬ!>という怪事件を描くホラー映画、『こどもつかい』が公開に! 子どもたちの霊を巧みに操って大人たちへ呪いをかける“こどもつかい”という稀有なキャラクターを、映画初主演という滝沢秀明が怪演していることも話題の的で、名作「呪怨」シリーズなどの清水崇監督による確かな恐怖演出は、最新作でも健在だ。
その注目度満点のホラー作品『こどもつかい』について、このほど清水監督と、清水組初参戦となる門脇麦にインタビューを実施。「Hey! Say! JUMP 」の有岡大貴演じる事件を追う記者・駿也の恋人・尚美役として参加した門脇が恐怖演技の難しさを語るほか、意外にも笑いが絶えないという清水組参加の感想、そして圧倒的な存在感で観る者を恐怖のドン底へと突き落とす“こどもつかい”という存在について、おふたりに語り合ってもらいました。
――本作は清水監督の過去の作品と比べても新しい印象を受けましたが、映画が完成したいま、想うことはありますか?
門脇:撮影現場では特殊効果の部分などがあったので、完成形の想像がつかないことが多かったんです。わたし自身、演じていても怖いという感覚が薄かったので不安はありましたが、完成した作品がすごいホラー映画になっていたのでびっくりしました。
清水:いつもそうなんですよね。スタッフにもカメラマンにも役者さんにも、「監督、大丈夫ですか?」っていつも言われちゃいます(笑)。監督によって違うと思いますが、僕はホラーを撮りながらゲラゲラ笑っているタイプなので、ギャップはあったと思います。
門脇:あと怖い、びっくりするって受けのお芝居なのに、撮影上、対象物なく1人でリアクションしなくてはいけないカットが多くて最初は慣れず苦戦しました。怖いとか驚きとかって、自分から湧き出る感情ではなく外の刺激を受けて感じる感情なので。キューで瞬間的に、マックスの感情に持って行く必要があったので、最初は難しかったです。
――門脇さんはホラーが苦手だそうですが、その点は大丈夫でしたか?
門脇:本当に苦手なんです。(ストーリーの)すべての脚本をいただいているので知ってはいますが、何か所か目をつぶって映画を観てしまいました(笑)。
清水:初めてお会いした時に、「本当に苦手なので、(監督の作品は)『魔女の宅急便』(14)しか観ていません」と言われて、「それジブリじゃん! あ、オレも撮ってた」みたいな(笑)。
――また、滝沢秀明さん演じる“こどもつかい”が印象的でした。その詳細は語らずとして、“こどもつかい”はどういう存在だとイメージしましたか?
清水:“こどもつかい”は僕の頭の中ではなんとなくイメージがありましたが、最初は話し方や仕草、人間かバケモノか幽霊かわからない謎の存在を掴むまで四苦八苦しました。また“こどもつかい”を通じて、これまで観たことがないタッキーを出したいという思いもありました。
門脇:大人の肉体や知性に子供の頃の純粋な魂や心を放り込むと、ああいうことになるのかなって思いましたね。いくら純粋な心を持っている人でも、大人になったらこういうことを我慢しなくちゃとか、完全な子どもの状態ではなくなると思うんです。子どもの何の制限もない純粋な心は肉体の力や知識が豊富でないから、無邪気、で終わらせられるけど、そこに知能や能力が加わると、とんでもないことになると思う、そういうことを思いました。
清水:滝沢さんにはいろいろと話をしましたが、僕の中では“こどもつかい”はまんま男の子なんです。悪態ついて、大人を小馬鹿にしたり、やんちゃなくせに寂しがり屋で。男って女性ほど大人に、現実的になりきれないところがありますよね?滝沢さんから、そこを引きずり出したくて、いろいろなチャレンジをしました。
――さて、門脇さんにおうかがいしますが、改めて清水組の感想はいかがでしたか?
門脇:ご本人を前に恥ずかしいですね(笑)。
清水:言う方も聞いているほうも恥ずかしいよね(笑)。
門脇:本当にかわいらしいというか、オレについて来いみたいなタイプでないですよね(笑)。現場をグイグイ引っ張っていくタイプじゃないけれど、みんな監督が大好きで、監督のためなら何でもしてあげたくなっちゃうんですよ。そういう風に人に思わせる力がある方だなあと。
清水:全部妻に聞かせたかった(笑)。そんなわけないと言われそうですが。
門脇:絶対モテると思いました(笑)。
――最後になりますが、映画『こどもつかい』をホラーが苦手な方とそうじゃない方々に向けてメッセージをお願いいたします。
門脇:わたしはホラー映画が苦手ですが、観やすい作品になっていると思いました。ホラーの部分だけでなく、ちょっとファンタジー要素もあって。ストーリーが読みものとしてもとても面白いので、怖がりな方は2~3か所目をつむれば観られると思います(笑)。すごく作り込まれている世界観でもあるので、清水さんのファンも楽しめる。そういう作品になっていると思います。
清水:ホラーが苦手な方でも、タッキー観たさ、有岡君観たさ、麦ちゃん観たさで観に行ってほしいですね。そこからまた、魅力が伝わることもあるかと思います。また、若い方だけでなく、中高年の方にも、その人のポジション、今何を考えて生きているかによって感じ方が違うと思うので、いろいろな方に本当に観てほしいと思います。(取材・文・撮影:鴇田崇)
※2022年10月28日時点のVOD配信情報です。