ついにの終焉…ヒュー・ジャックマン、『LOGAN ローガン』で迎える17年のラストを語る【インタビュー】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

同じ役をずっと演じるということは、どのような境地に達するものなのだろう。いまや世界的にメジャーな俳優のひとりとなったヒュー・ジャックマンは、元々オーストラリア出身で、母国ではミュージカル俳優として活動していたことを知らぬ人も多い。代表作『X-MEN』は、そんなヒューがハリウッドへの切符を掴んだターニングポイントとなった作品で、その後、彼の人生において17年間という長い付き合いになる。シリーズ8本(※カメオ出演をあわせると9本)に出演し、現在公開中の『LOGAN ローガン』こそが、ウルヴァリン/ローガンをヒューが卒業する最後の、特別な1作となった。

来日の際に行ったインタビューでは、役と一緒に成長してきた17年という年月に根差した気持ち、キャリアの礎となった運命を語ってもらった。

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――これまでのシリーズとまったく違うテイストに興奮し、感動しました。ヒューさんは、いかがでしたか?

僕もすっごく気に入っています。『LOGAN ローガン』はこれまでとはすごく違うものにしたい、観客を驚かせたいという思いと、リアル感があって心に響くものに作りたかったんです。キャラクターをちゃんと忠実に出したいと。ローガンは非常に悲劇的なヒーローなはずだけれど、今まではヒーローの部分だけを出していて、悲劇的な部分がなかったという非常に複雑な役なんです。闘うほうが楽なことで、人とつながったり、愛したりすることは非常に苦手な人物だから。人間関係、人とつながること、家族愛、自分の心を開くことの難しさがテーマとしてあると思っています。

ちなみに、今回の映画のインスピレーションは『許されざる者』がヒントになっていると聞いています。『許されざる者』は西部劇を超越している部分があって、非常に大人の複雑さを持っている映画だと思うんです。

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――今回は少女ローラという重要なキャラクターが登場します。ローガンの内面の変化がローラと触れ合うことで伝わりますし、劇中で流れた『シェーン』が、まさに二人の関係性を物語っているように感じました。

まず、ジェームズ(・マンゴールド)監督がアイデアとして『シェーン』を使うと言ったときには、すごく大胆だし勇気があることだと思ったんです。というのは、『シェーン』は映画史上でも最高の映画のひとつだし、『シェーン』を出した時点で、どれだけ自分たちの映画がクソみたいなものって思われるかもしれない。そういうリスクもあったわけですよね。

シェーン(アラン・ラッド)が「殺しはレッテルで、そのレッテルは剥がれない」というようなシーンを、ローラが観ている場面が劇中にあります。もし、ローガンがシェーンの言葉を言うとしたら、なんか彼らしくないですよね? ちょっと甘くなってしまうから。ローガンは説教するタイプではないので、『シェーン』の場面を見せるのは、とても賢いやり方だったと思います。元々シェルターにいて世の中のことを知らないローラが、ああいう映画を通して「道徳」というものに触れるという、そういう意味合いもあるんです。非常に郷愁を誘うような言葉が語られるから、映画の持つ力や神話的なものも現れていると思っています。

――現在のアメコミブームは『X-MEN』シリーズから生まれましたが、魅力はどこにあると感じていますか?

映画業界にとっても、コミック業界にとっても、欠点のあるヒーローでマイノリティを描いているところが魅力だと思っています。『X-MEN』は最初、第二次世界大戦のナチスの強制収容所(アウシュビッツ)から始まりますし、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとマルコムXの公民権運動のことを喩えていたから、非常に政治色が強かったわけですよね。今、とてもライトなキャラクターやコミックが多い中で、『X-MEN』はスーパーヒーローというよりも、すごく人間らしいところがほかにはないと思っています。

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――本作でローガンを演じるのを終わりにすると決断した一番の理由と、そこに至るまでの葛藤や悩みがあれば教えてください。

いったん決めたときには、迷いや葛藤がまったくなかったんです。『LOGAN ローガン』をやるにあたっては、いろいろなアイデアを監督と話しました。例えば、大人数の300人と戦うだとか、すごい悪党が出てくるとか、いろいろなアイデアがあったんですけど、シリーズを8本もやって、もうすべて出し切っている、やり切っている感がありました。だから、外にワーッと大きくするのではなく、『許されざる者』や『レスラー』のように、ローガンの内面に迫ってみようとなりました。これが完璧な終わり方だと思ったんです。

「終わる」と告知する前、6週間ものあいだ、毎週毎週「本当に最後でいいの?」とエージェントに聞かれて(笑)、最後の最後、SNSにポストするときも「本当にいいの?」と念を押されました。「後悔していない?」と何度も聞かれて、「絶対にない」と言ったくらいです。

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――クランクアップを迎えたときに、一番最初に出てきた感情は?

感謝、そして疲れて(笑)、でもハッピー。まだまだ仕事が残っていたから、ちょっと緊張感があったかな。ベルリン国際映画祭で完成作を観たときに、初めて、「ああ!」と安堵感を覚えました。すごく詩的な映画だったし、すごく期待値が高かったのに、それを遥かに超えてくれた作品だったから、すごく幸せでした。

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――ローガンというひとつの役とずっと一緒に成長している1本のラインがあって、もう1本のラインではいろいろな役に挑戦しているという理想的なキャリアですよね。今回そのひとつを手放すわけですが、今後はどうしていきますか?

ヒュウッ(真っ逆さまに落ちるジェスチャー)。

――(笑)。

(笑)。この先の作品選びで言えば、自分が挑戦したいと納得するものを選んでいきます。監督が一番大事だし、自分が観たいもので、娯楽性があったり、考えさせられるとか、自分に何かを与えてくれるようなものに出たいです。新しい世界なので今はオープンで、ワクワクした気持ち…もしかしたら、何もオファーがないかもしれないけど(笑)。17年間、いつも映画が控えていたのでやれなかったから、演劇や舞台もやりたいなあ。毎朝3時間トレーニングしなくてもいいものがいいな(笑)。(取材・文:赤山恭子)

映画『LOGAN ローガン』は全国公開中。

LOGAN
(C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX

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※2022年8月29日時点のVOD配信情報です。

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    ウルヴァリンこそX-Menの原点にして頂点 切ないラストに全私が泣いた
  • mii
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    ラストを飾る今作は あの爪で刺して刺して刺しまくる無双ウルヴァリンが観れる。 しかし始まりは ローガンもチャールズも老いて登場し 以前のような活気も感じられず。 11歳の少女ローラが信じるX-MENを ローガンは否定します。 彼の今までの人生を否定するように。 彼女は軍によって兵器として生み出され 不要となった暁には 人間のエゴにより 多くの子供たちと一緒に処分される。 彼らの国境超えなどは 過去のナチスの子供たちを思わせます。 あれからだいぶ時が経ってはいるけれども 今の世の中は? ウクライナの現状と あの子供たちも同じです。 あの時とまったく変わらずに繰り返されているのですよね··· しかし そういった様々な問題を解決して未来を担うのは あのような子供たちなのです。 ローガンが彼らに次世代を託し 命の灯火が消えそうになっても 力をふり絞り 最後に彼女が信じるヒーローとなって幕を閉じるエンディングは 感慨深いものがありました。 孤独な旅を続けてきた彼は 終着地として「太陽号」を欲していたけれど 彼が本当に求めていたもの「愛」を手にする事ができたのです。 家族という愛を。 誰しもがヒーローと成り得る原動力となるものが「愛」なのだと この作品のローガンの姿が教えてくれています。 そしてその愛は 引き継がれていくものなのですよね。 素晴らしいエンディングでした。 17年間もですよ! そんなにも長い間 ローガンもチャールズも 本当におつかれさまでしたと言いたい。 2人の一生を 彼らの葛藤を見守りながら 追い続けてきた私たち。 十字架を傾けてXにする演出は 彼らへの敬意を表しているのでしょう。 ○ウルヴァリン/ローガン(野性的な感覚の鋭さ·両手からアダマンチウムの爪を出す) ○プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(テレパス) ○ローラ/ラウラ・キニー/X-23(クローン·拳と足の爪先からからアダマンチウムの爪を出す·治癒回復能力があり不老不死)) ネイト ○キャリバン(ミュータントの居場所を特定できる) □X-24(クローン·両手からアダマンチウムの爪を出す·治癒回復能力があり不老不死)
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