【ネタばれナシ】徹底検証!実写映画版『進撃の巨人』は大丈夫なのか?

Why So Serious ?

侍功夫

“ジャイアント・キリング”

直訳は「巨人殺し」ですが、そもそも英語の慣用句で「番狂わせ」を意味します。勝てっこない勝負に挑んだ格下が知恵と勇気で勝利する様子を表す言葉です。映画で語られる多くの物語は“ジャイアント・キリング”の構造を持っています。「弱い主人公が通過儀礼を経て強くなり、勝ち目が無かった勝負に挑む」というのが、最大公約数的な娯楽映画の展開です。

その一方で、映画製作現場では「勝ち目のない勝負」に出ることはそうそうありません。勝算の無い映画にお金を集めるプロデューサーはいないのです。ところが、その“ジャイアント・キリング”に文字通り「巨人殺し」で挑んだ作品が誕生しました

実写版『進撃の巨人』です。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

立ちはだかる“巨人”

大ヒット中のコミック『進撃の巨人』は、ドイツっぽい架空の国を舞台に、人間をむごたらしく貪る巨人に対し非力な人間たちが「立体機動」を駆使して戦う物語です。その壮大なスケールや設定、ガジェット、惨鼻を極める描写は実写化不可能だと言われてきました。

また、漫画原作の実写版映画の、特に邦画には「失敗作」「駄作」に区分される作品が少なからずあります。それに、ハリウッド製の巨額予算をつぎ込んだ大作コミック原作映画に比べればどうしても見劣りは否めません。

その『進撃の巨人』実写映画化に立ち向かったのは現在の日本特撮映画を代表する樋口真嗣監督です。近年彼を有名にしたのは傑作“カイジュウ”映画『パシフィック・リム』にダメ出しをして、多くのパシリム・ファンに叩かれたことでしょう。

脚本にあたるのは、町山智浩さんです。映画評論家として脚本の穴を指摘することも多く、駄作に対して辛口な批評でも有名です。

壮大でファンの多い原作、ハリウッドよりも少ない予算、ヒット作にダメ出しをした監督、辛口映画評論家。『進撃の巨人』実写映画化に挑むのはいずれ劣らぬ、後の無い四面楚歌な条件とメンツです。

この戦いに“ジャイアント・キリング”は起きたのでしょうか?

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C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会  (C)諫山創/講談社

巨人惨殺!

映画が始まってすぐ、超大型巨人により防御壁が壊され、異形の巨人たちが町へなだれこみます。10メートルはあろう全裸の巨人たちは姿こそ人間に似ていますが、目には知性が感じられず、よだれをたらしながら人間を追いかけます。

パニックを起こし逃げ惑う人々は踏みつぶされ、噛み砕かれ、鮮血をまき散らしながら抵抗も出来ない一方的な大殺戮に合うのです。原作で描かれた、あの描写がむしろパワーアップして再現されています。

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C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会  (C)諫山創/講談社

中盤以降「立体機動」が登場するや、今度は巨人たちがなぎ倒される番になります。スパイダーマンの様に宙を飛び回り、巨人の群をかいくぐり、弱点に一撃を喰らわす様子が爽快感を持って描かれます。「出来ない」と言われていた実写化の要因の一つは完全にクリアされていると言い切ってよいでしょう。

映画向けの設定変更

漫画『ドラゴン・ボール』主人公、孫悟空は1話目から最終回までほぼ一貫した性格を持っています。軸である不動の主人公に対して様々な事柄が起こるという物語構造が、長期に渡る連載漫画に合っているからです。同じ様に漫画『進撃の巨人』の主人公エレンも、確固とした「強い人物」として設定されています。

これをそのまま映画の主人公にした場合、もの凄く強くて揺るぎ無い主人公がひたすら敵を倒し続ける「前後篇合わせて3時間のスティーブン・セガール映画」になってしまうワケです。

この現象は漫画原作の多くの失敗作が残した轍でもあります。同じ轍を踏まないために、実写映画版『進撃の巨人』では大胆な設定変更がされています。この変更はファンにとってこそ喜ばしいものでしょう。『進撃の巨人』の映画だと思って見ていたらセガール映画になっちゃっているよりも、別の新しい優れた実写版『進撃の巨人』映画になっているのですから。

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C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会  (C)諫山創/講談社

映画の醍醐味「伏線と回収」

映画の醍醐味の一つに、序盤で「伏線」が張られ、後半に「回収」するという展開があります。実写版『進撃の巨人』前篇にも多くの「伏線」があります。基本的には劇場での楽しみとして取っておくとして、一つだけ、先に知っておくと良さそうなものがあります。

(映画版のすべてを初見で確認したい! という方は先に劇場へ!)

劇中、ミカサが廃墟に残されたピアノでたどたどしく弾くのは1960年代初頭にカントリー歌手スキータ・デイヴィスによって発表された大ヒット曲「エンド・オブ・ザ・ワールド」(邦題:この世の果てまで)です。この曲名は『進撃の巨人』後篇のサブタイトルにもなっています。

全く無意味に既製曲を使用するハズはありませんし、後篇のサブタイトルにもなっているくらいなので、この曲が使われた意図が必ずあるハズです。後篇は2015年9月19日の公開が既に決まっています。その日が来るまで「エンド・オブ・ザ・ワールド」の歌詞を噛みしめて待つことにしましょう。

そして、本記事タイトル「実写版『進撃の巨人』は大丈夫なのか?」に答えて本項を終わります。

大丈夫です!

The End Of The World

なんで太陽は輝き続けるの?
なんで海は波打ち続けるの?
みんな世界が終わっちゃったことをしらないの?
もう、アナタは私を愛していないのに……

朝、目覚めて不思議に思うの
なんでみんなはいつもと同じなの?
理解できない 私にはわからない
どうして私はまだ生きているの?

みんな世界が終わっちゃったことをしらないの?
アナタが“さよなら”を言ったのに……

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    3.8
    単行本を買い込んでる原作ファンで更にアンチ実写化なためずっと避けてきたこの作品。 勇気を出して見てみたら思ったより良くて「日本もやれば出来るじゃん」ってびっくりした。 グロ描写も期待してなかったけど、ちゃんと忠実に再現されたグロさだったのでそこはすごく評価したい。 「改悪」と叩かれまくってたオリジナルのストーリー&脚本&キャラクターについては、まぁ短時間の映画だしそうなるのはしょうがないよなといったところ。 ただ数時間の映像にまとめて下さいと言われてこの映画を超えるものを作れる人はそうそういないと思う。 監督は原作のファンだし、作者の諫山創さんも「原作の枠を取っ払って欲しかった」とインタビューで言ってることだし この映画は実写化、というよりは完全な公式トリビュートだなと思った。 この考えを持ちながら観たら割と良作に感じられるはずなのでこの手のレビューの低評価っぷりは不当だと思う。
  • shuco
    -
    怖いもの見たさで観てみました笑笑 最初に出てきた超大型巨人やエレンは作り込んでたからおーっ!ってなった ストーリーに重点は置いてなかったみたいなので…って当たり前だろうけど笑笑 セリフが軽かったなぁ… 私の推しのハンジが石原さとみって!笑笑
  • mint
    2.5
    三浦春馬くん見たさに観ました。 原作は興味が無く知りませんが、色々違う様ですね。 とにかく巨人が気持ち悪かった…春馬くんじゃなきゃ観なかった。 でも決して彼の演技力のせいではないよ。
  • ミヤザワ
    2
    過去の記録
  • はら
    2
    三浦春馬の遺作で見た一作。 前評判通り、原作を知っていたからこそ悲しかった……
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
のレビュー(23160件)