『ラブ&マーシー終わらないメロディー』映画の中のザ・ビーチ・ボーイズ

Nobody's Perfect.

久保田和馬

今週末から公開されるビル・ポーラッドの監督デビュー作『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』は、60年代に活躍したザ・ビーチ・ボーイズの元リーダーであるブライアン・ウィルソンの伝記映画で、アメリカ国内では小規模公開ながら、週末興収ベストテンに入るスマッシュヒットを記録し、公開から2ヶ月経った今でもロードショーが続いております。

誰もが一度は聞いたことのあるザ・ビーチ・ボーイズの楽曲が、印象的に使われている映画を紹介し、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』の見どころを簡単に紹介しようと思います。

『アメリカン・グラフィティ』ジョージ・ルーカス

アメリカン・グラフィティ

『スターウォーズ』を手掛ける前のルーカスが監督し、『ゴッドファーザー』直後のコッポラがプロデュースを務めたアメリカ映画史に残る傑作青春映画。1962年の夏の終わりを、数々の名曲と共に描き出した、まさに「ジュークボックス映画」の決定版であり、エンドクレジットで「All Summer Long」が流れます。映画の舞台となる年の2年後にリリースされた曲ですが、作品の雰囲気に見事に適合しています。

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『ファンタスティックMr.FOX』ウェス・アンダーソン

ファンタスティックMr.FOX

今や日本でも熱狂的なファンを獲得しているウェスの最高傑作ともいえるストップモーションアニメもまた、監督のセンスの良さが際立つジュークボックス映画。その先陣を切るかのごとく、オープニングシーンを一気に盛り上げてくるのがザ・ビーチ・ボーイズの「Heroes and Villains」。軽快なショットに合わせた軽快なリズムが、この映画のスタイルを開花させております。この曲以外にも「I Get Around」「O’l Man River」の2曲が使用されています。

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『ラブ・アクチュアリー』リチャード・カーティス

ラブ・アクチュアリー

ラブコメ映画の真打として、今でも高い人気を誇る群像劇。新旧問わずバラエティに富んだ楽曲ラインナップの中で、エピローグ部分で流れるザ・ビーチ・ボーイズの代表曲のひとつである「God Only Knows」が、物語を気持ちよくまとめ上げ、この映画の印象を爽やかに仕立てております。

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『バニラ・スカイ』キャメロン・クロウ

バニラ・スカイ

スペイン映画『オープン・ユア・アイズ』をリメイクし、その難解さが話題になった良質なサスペンス。劇中「Good Vibrations」が流れるシーンは、走りだすトム・クルーズのアクションと、音楽の抑揚がマッチング。

叫ぶシーンでのカット割などもクロウの作品にしては珍しさもありますが、さすが元音楽記者であるだけに、ズバ抜けて巧い。クロウの代表作『あの頃、ペニー・レインと』でもザ・ビーチ・ボーイズの曲を使用しております。

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『チャーリーズ・エンジェル/フル・スロットル』マックG

ちゃりえん

天才的な娯楽センスを発揮しつづけるマックGの最大の人気作にも、ザ・ビーチ・ボーイズの楽曲が登場。キャメロン・ディアスが波に乗る印象的なショットの後、砂浜でデミ・ムーアと行き合うシーンで「Surfer Girl」が流れてきます。もともと広告ディレクターだったマックGの音楽への造詣の深さとセンスが溢れております。

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『007美しき獲物たち』ジョン・グレン

007

そして映画の中でのザ・ビーチ・ボーイズの楽曲を語る上で欠かせないのが、この世界的人気シリーズの第14作目。雪山を一気にスノーボードで下っていくアクションシーンで、突然「California Girls」が流れ、映画館の場内から笑いが起こったという逸話も残るだけに、主題歌であるデュランデュランの名曲以上に記憶に残る楽曲になっております。

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『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』ビル・ポーラッド

ラブ&マーシー 終わらないメロディー

© 2015 Malibu Road, LLC. All rights reserved.

『ツリー・オブ・ライフ』『それでも夜は明ける』などで知られる人気プロデューサー、ビル・ポーラッドが、ザ・ビーチ・ボーイズの代表アルバム「ペット・サウンズ」に感銘を受けて、初めて自らメガフォンを執った本作。

栄光の最中にいる60年代の「ペット・サウンズ」制作の裏側と転落していくブライアン・ウィルソンの姿を描き、苦悩の果てに壊れきった80年代でのメリンダとの出会いによる再生を描いた物語です。

今なお高い人気を誇るアーティストの、極めてナイーブな部分へ深く切り込んでいる伝記映画ではありますが、ブライアン・ウィルソン本人が公認しているだけに、その物語の正確さが証明されています。

ふたつの時代のブライアン・ウィルソンをふたりの俳優が演じ、それぞれの物語が交互に展開していくことで、心象表現を判りやすく映しだし、また劇中に流れ続けるザ・ビーチ・ボーイズの楽曲の数々が、今までとは少し違った印象で聴こえてくるのです。

とくに、ポール・ダノ演じる60年代のブライアンが弾き語る「God Only Knows」とエンディングで流れる「Love & Mercy」は、この映画を観終わったあとに何度も聴き直したくなります。

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』は、8月1日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー

公式サイト

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※2022年10月20日時点のVOD配信情報です。

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    5
     幼い頃に、否応なしに、自分自身を変容させられた男の子が、再度、周囲を変質させていくまでが描かれている。まず飛行機内での突然の発作が彼を襲う。これはビートルズを例にとって振り返りたい。ビートルたちを襲った、轟音とも形容されるヒステリックな大歓声。映像を観ると、特にリンゴ・スターが辛そうだ。あ、そうそう、私は今年の酷暑の中、2度、熱中症にかかった。軽度だけど。知人はこう言う。「これまで熱中症にかからなかった人でも、こうも40°Cが続くと、簡単になるし、もしかしたら遺伝的に37〜39°Cでかかる人って、大勢いて、数じゅう年前まではそれが判明しなかっただけかもね。」と。話を戻すと、あの時代の、熱狂というものに耐えられない、普通の人と、他のメンバー。そういう捉え方で歴史を見てみたい。ここからは私の適当な感想文だ。ビートルズのリンゴは、メンバーから心配された。レノンの“キリスト”発言もあって、演奏中に撃たれるのではという不安が、バンド内にあった。だから、みんなでツアーをやめられた。そして手始めに『ラバー・ソウル』をつくった。同じ頃、ビーチ・ボーイズの長男坊=ブライアン・ウィルソンは飛行機内で発作。そして、リハビリ的にホーム・パーティ。そこで、彼はこう言う。「口を塞がれて苦しかった。頭の中で“クックークックー”ってね。」次男「親父の黒魔術さ。」ブ「い、い、いや、ツアーのせいさ。ビートルズの『ラバー・ソウル』聴いたろ?無駄がなくて、フォークっぽくて、重ね録りがすごい!真顔」次男「ティティ、ティッツティッツ(おっぱい)笑」ブ「負けていいのか??!!」ーーここから、この評論仕草から、歴史が変わった。社会や歴史は自動的には変わらない。変えようとする主体が必要だ。  ただその主体にも、必ず援助が要る。より大勢の人が、社会変革に携わるのならば。「永遠には君を、愛せないかもね。」『(君がいないとどうなるかなんて)神のみぞ知るってね』と。まさに“不安定な愛”を歌ってしまった。そんな頼りないわたしも、世界に存在をしている。この事実が、現実に反映されれば、世界をもっとよくすることが出来る。スタジオには、親父や、バンド・メンバーが知らない、気づかなかった優秀な音楽家たち、技術者、専門家たちがたくさん集まっている。たくさんの楽器も。お家には、砂や、愛犬も。夜空には北極星が。彼女はそれも知らなかった!!!だから絶対にバレてはならない。本当の主体がブライアンだということは。「世界よ!悲鳴を聴け!言葉にならない悲鳴を!」  “何とか” “難なく” 生活している。悲鳴・無視の社会構造、テクスチュアを、弁証法的にひっくり返すことができたブライアン・ウィルソンは真の天才と言える。普通の人、繊細な人、敏感な人、身体が弱い人などなど、あらゆる“天才”が生きている。しかし適切な処置を受けていないかもしれない。熱中症を2度も体験したら、今から来年の夏が心配だ。「1963年から“声”がしてる(辛かった)。」だなんて。今回、初めて知り、あまりにショックだった。 🏄🏻🏄🏻‍♂️追伸: キャピタリズム、プール、ニルヴァーナ。音、雑音、環境音楽。「ありがとう」。最高の演出の数々に。
  • Megumi
    3.9
    記録
  • AOI
    3.4
    【ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン•ウィルソンの孤独と苦悩の半生を綴る本人公認映画】 最近ポール•ダノ不足なので鑑賞 ブライアン、混乱の60年代をポール•ダノが、80年代をジョン•キューザックが演じる 明るく美しいハーモニーが特徴のザ・ビーチ・ボーイズは、アブノーマルなイメージのないバンドだが、こんなどえらいことになっていたとは 曲が少なめなのは仕方ないが 物足りない また、狙いはわかるし混乱もしないけど、時代が頻繁に変わる構成が好みではない…普通に時系列順ならポール•ダノが通しで演じられるのに タチの悪い星一徹はともかく、精神科医は酷すぎる💢紹介したのは誰だ!
  • 3.8
    ブライアンがんばれ
  • m
    3.2
    通しでポールダノに演じて欲しかった 出来るよポールダノなら 変なぶつ切りみが気になってしまった そもそも親が毒すぎる
ラブ&マーシー 終わらないメロディー
のレビュー(3628件)