フランス文学界に彗星のごとく現れ、36歳という若さで自ら命を絶った実在のベストセラー作家、ネリー・アルカン。
金髪で華奢な身体に豊満なバストがトレードマークで、フランス文学界のマリリン・モンローと謳われた彼女が、美貌と才能、名声を手にしながらも自ら選んだ死という選択……。
性と生に翻弄され、不安と絶望の狭間で闘った一人の女性を鮮明に描いた衝撃作『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』が10月21日(土)公開となります。
実在の女性が生きた“煌びやかで仄暗く、愛と孤独が入り乱れた人生”を注目のカナダ人女性監督、アンヌ・エモンが鮮明に描いた本作のみどころを紹介していきます。
美貌と才能、そして名声を手にした実在の作家、ネリー・アルカンという女性
本作は実在の女性作家、ネリー・アルカンがモデルとなっています。
カナダ、ケベック州生まれのネリーは2001年、小説「ピュタン ー偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白ー」(以下「ピュタン」)で作家デビュー。
フランスの名門出版社 Editions du Seuilに原稿を送ったところ、2週間で出版が決まり、処女作ながらもフランスで最も権威のある文学賞、メディシス賞とフェミナ賞の両方にノミネートされ、一躍有名作家の仲間入りを果たします。
「ピュタン」がオートフィクションだったことから、大学の学費を稼ぐためにエスコートガールをしていたネリー自身に大きな注目が集まり、金髪で華奢な身体、バストを強調した服装は、その後出版された2冊の小説の本の表紙や、数々のメディア露出時の彼女のトレードマークとなりました。
2009年9月24日、自宅のアパートで首を吊り、遺体で発見された直後、自殺を題材にした新作が発売されました。
執筆中には自殺未遂やストーカー被害なども経験し精神的においつめられていたとされており、本作『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』の中でも死に対する彼女の葛藤が印象的に描かれています。
彼女の死の2年後には未発表の2作を収めた新作が発表されており、その激動の人生に対しての注目は大きく、日本ではこの秋、彼女の小説をもとに、彼女の内面に存在した多重の女性像を表した舞台公演も決定しています。
■自分の価値を決める物差しが、自分ではない厳しさと苦しさ。ネットでのいいね!欲しさに、素敵な食べ物やブランド品を買い、写真のアングルを決めて…という流行りにもどこか通じる。バリューという言葉の中にある優越感や劣等感。その二つをとてもうまく表現している。(GDmomocoさん)
■形は違えど、誰しも満たされない気持ちや、いま持っているものを失う怖さはあると思います。少し立ち止まって、今の自分を見つめ直してみようと思える映画だと思います。(M_filmlogさん)
■人からの目によって自分の価値をはかるというのは、誰にでも通じるものがあると思います。自分を演じて、自分を見失ってしまったネリーは、人からの評価に過敏な現代人に警鐘を鳴らす存在かも知れません。(hk1129aさん)
■映像と音楽で、上手く構成されていたと思います。【承認欲求】男女問わず、人間誰しもが少しは持っている欲求。主人公が、自問自答をするセリフ。ひとつひとつが、いとおしく感じました。年のせいかな…。後輩のレディたちは、この映画を見て、人生の選択肢が増えることに気付けると、良いですね。(Mercury0219さん)
注目の女性作家アンヌ・エモンだからこそ描けた世界観。女性脚本家、監督ならではの視点に注目
本作の脚本・監督を務めたのはのはカナダ出身の女性作家、アンヌ・エモン。
2005年にショートフィルム『Qualté de I’air』で監督デビューし、『Naissances(原題)』がブルックリン国際映画祭で最優秀ナラティブ短編賞を受賞。
初めて手がけた長編映画『ある夜のセックスのこと モントリオール、27時』(11)はトロント国際映画祭、釜山国際映画祭ほか多数の映画祭に正式出品され、2012年のベスト・カナディアン・ファースト・フィーチャー賞を受賞。2015年には『Les Êtres chers(原題)』でケベック映画賞とカナダ・スクリーン・アワード、両方の監督賞にダブルノミネートされるなど、若くして今後の活躍に期待が集まる女性作家です。
本作『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』は、彼女の長編監督第3作目の作品。
アンヌ・エモン自身、昔からネリー・アルカンに強く魅了されており、若くして成功の階段を駆け上る女性作家として親近感を抱き、ネリーの小説は暗記する程に読み込んでいたのだとか。
本作はネリーの小説が持つ過激さを忠実に表現しながらも、小説の世界観と彼女の人生をあわせ、鑑賞者がネリーの精神世界を共に浮遊できるような不思議な作りとなっています。
これはネリーに共通する境遇を持ち合わせたエモンだからこそ、創り上げることが出来た世界観なのかもしれません。
■とても入り組んだ物語。世の中の便利さと偽りの自分を描写してると言っても過言ではない作品。(mremanuueru93さん)
■劇中の言葉がどれも詩的で、一つも見逃したくないと思うほど良かったです。(suseso1015さん)
■カナダの作品でしたが、フランス映画を観ているような淡々とした流れで、哀愁漂うサントラが孤独な彼女の雰囲気をより深く彩っていました。(ayachang624さん)
■誰かと一緒に見て鑑賞後に感想を話し合いながら理解を深めたくなるようなそんな映画でした。でも過激なシーンが少し多めなので、家族では絶対に見れないな。笑(hpinkpurpleさん)
人生の全てを小説に捧げた一人の女性。現実と虚構の世界が鮮明に描かれる!
本作はネリー・アルカンという一人の女性の内側に迫り、【小説という虚構の中で生きる自身の分身】と【孤独な現実世界を生きる自分自身】を描いた作品です。
美貌と才能、名声を手にしながらも、周囲の期待、自身の老い、メディアでのイメージに苦しみ、孤独のなかで“自らが生み出した分身たちに本当の自分を蝕まれていった”ネリーの短い人生。
女性ならば彼女が抱いた苦悩に共感し、男性は彼女の美貌と危うさに釘付けになるはずです。
性と生に翻弄されたネリーの実像が鮮明に浮かび上がり、仄暗さの中で煌めくような99分間。是非劇場で体感して下さい。
◆映画『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』nformation
あらすじ:高級エスコートガールだった自らの過去をモデルに、美しくも残酷なエロスを描いた小説でデビューしたネリーは、一大センセーションを巻き起こす。自伝的小説のヒロインが「性」に翻弄され、小説家として自らの「生」 に苦悩するはざまで、男たちを虜にするエスコートガール、刹那的に愛を求めるジャンキー、社交界で注目を集めるセクシーアイコン…。次々と生み出した分身たちに彼女自身がやがて蝕まれていく。
上映時間:99分
<2017年10月21日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにてロードショー>
公式サイト:http://nelly-movie.com/
配給:パルコ
(C)FILM NELLY INC.2016