トム・フォード監督7年ぶりの新作、3つの世界が交錯する美しき愛と復讐の物語『ノクターナル・アニマルズ』

デビュー作『シングルマン』で世界各国から賞賛を浴びたトム・フォード監督の最新作ノクターナル・アニマルズが、11月3日(金・祝)より全国公開となります。 

ノクターナル・アニマルズ

 

アートギャラリーのオーナー・スーザン(エイミー・アダムス)は、夫とともに経済的には恵まれながらも、心は満たされない生活を送っていた。ある日、20年前に離婚した元夫・エドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が届く。スーザンのかつてのあだ名が冠されたその小説は非常に暴力的な内容だった。 

エドワードの精神的な弱さをなじり、彼の才能を信じず、冷酷な方法で現在の夫に乗り換えたスーザン。しかし、彼女は小説を読むことでその非凡な才能を見出し、エドワードとの再会を望むようになる。なぜ、エドワードは小説を送ってきたのか。それは、いまだに残る愛なのか。それとも、彼女への復讐なのかーー。 

前作の『シングルマン』から、実に7年ぶりの本作は、劇中小説、現在、過去の3つの世界が絡み合う、複雑な構成の物語です。しかし、流麗に行き交うそれぞれの世界の境界線は物語への没入とともに溶け出し、すべてが混ざり合います。幻想と現実が混濁した果てに訪れるクライマックス。心にざわめきと美しさの余韻を残す、本作の魅力をご紹介いたします。

衣装、美術、建築、小道具へのこだわり。細部にも宿る、トム・フォードの美学。

トム・フォードの作品には随所に彼の美学が宿ります。まず、画面の隅々にまで行き届いた緻密な計算と、寸分の狂いすらも許さない完璧な構図。前作『シングルマン』では、机上の俯瞰ショットが幾度か映し出されますが、何気ない物の配置にすら美しさを感じられます。 

本作ノクターナル・アニマルズでは、それらの映像的なこだわりに加え、トム・フォードの審美眼が冴え渡る、衣装、美術品、小道具の数々が登場します。登場する現代アートはどれも強烈な印象を焼きつけ、衣装は人物たちの背景を物語ります。美しい衣装や、アートを作品に取り込むのは簡単ですが、トム・フォードはそれらにしっかりと意味を込めているので、一切の無駄がない。最前線でファッションデザインを手掛けてきたトム・フォードの真骨頂と言えるでしょう。

ノクターナル・アニマルズ

■これは本当に期待以上過ぎた。トム・フォードは業界人の作ったお洒落映画だと食わず嫌いされてる感があるけど、観ない人は損してるってくらい私には刺さった。映画の良いところが沢山詰まった映画愛に溢れた映画で、オマージュに頼らず真摯に映画と向きあってて、人間の本質に迫った良作だった。(ajoongdanceさん)
■ファッション界のトップでありながら映画まで手をつけられる監督トム・フォードが妬ましい。観て、みんな妬むべき。(ogataryuugoさん)
■いろいろと絶賛の言葉を考えたけど、そういうわかりやすい飾りがまったく似合わない、堅固でストイックな作品。脚本、画づくり、完全無欠のキャスティング等々からトム・フォードの映画愛とセンスをひしひしと感じた。(EWdG8さん)
■冒頭から衝撃の連続で現実と劇中話、過去が巧みに交差する非凡な作品でした。エイミー・アダムス演じるアートギャラリーオーナーの生きる世界は美しさの裏側に有る醜さを浮き彫りにしてかなり空虚。対して小説のシーンはより生々しくリアル。目を覆いたく成る様な残酷な場面程狂気を孕み美しく撮るトム・フォード監督。‪アート気質と云うよりも職人的な完璧さを隅々まで追求して居るのが感じられま‬した。スリリングな映画に華を添える叙情的な音楽も良く、ジェイク・ギレンホールの壮絶な演技には只々圧倒されるばかりでした。(nielsenhoriutiさん)
■ちょっとドギツイ色使い、ファッション、ビジュアル、TOM FORDらしさなのか?翌日も頭から離れない後に残るサスペンス。(yokomuraiさん)

瞳が映し出す憂いと儚さ。エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホールの名演が素晴らしい。

メッセージ』の好演も記憶に新しい、エイミー・アダムス。本作での彼女が演じるスーザンはエドワードに送られた小説を読んでいるシーンが多く、大げさなジェスチャーや言葉には頼れません。静的な演技が大半で、エイミー・アダムスの繊細な表現を際立たせます。また、スーザンの衣装は重層的で、本を読み進めるうちに変化してゆく心の機微を見事に表します。 

本作のジェイク・ギレンホールは、スーザンの元夫・エドワードと劇中小説の主人公・トニーの二役を演じます。これが非常に効果的で、現実と劇中小説の垣根が取り払われスーザン同様にエドワードとトニーを観客も混同してゆきます。この二役を身振りや口ぶりの些細な変化で演じ分ける、彼の演技は素晴らしいの一言。 

本を読むシーンの中に静かだけれども渦巻いていく感情を見せたエイミー・アダムス。対して二役を通じて、暴力性と繊細さの両面を見せたジェイク・ギレンホール。「静」と「動」の対比がなされています。『メッセージ』での衝撃的な結末を静かに受け入れたときのエイミーの表情。と『ナイトクローラー』での狂気を孕んだジェイクの視線。本作でも主演のふたりは、どちらも瞳での演技が非常に印象的です。

ノクターナル・アニマルズ

また、劇中小説で重要な役割を担うアーロン・テイラー=ジョンソンにも注目。ヲタク少年がヒーローに大変身する「キック・アス」シリーズや、10代のジョン・レノンを演じた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』など、これまでも様々なジャンルのキャラクターを演じ分けてきたアーロンですが、本作ではこれまでと一線を画する、新たな役どころに挑戦。ジェイク演じる劇中小説の主人公トニーを暴力的に追い詰める男レイを演じました。その狂気に満ちた演技でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しています。

ノクターナル・アニマルズ

■文句の付け所一切なし。名だたる賞を受賞するなど、高評価の理由は納得。圧巻の演技を楽しめて大満足。怖かったけど!(emxlvさん)
■本作も、トムフォードの映画監督としての手腕を確信させられる仕上がりとなっていた。俳優陣は主役から脇役に至るまで、実力派の名俳優ばかり。ここだけでも、彼の完璧主義を貫く姿勢を感じることができる。(arata0707さん)
■俳優たちもさすがの安定した演技。それにしてもあの気持ち悪いサイコパス男が『ノーウェアボーイ』でジョン・レノンを初々しく演じた彼だったとは…俳優ってすごい。(lulepozoさん)

現在と過去、劇中の小説が混ざり合う。すべてが幻想にも現実にも思える物語。

3つの世界が絡み合うノクターナル・アニマルズですが、現在と過去の現実シーケンスと、劇中小説の想像シーケンスでは雰囲気はガラッと変わり、ふたつの作品を同時に味わったように感じられます。前者は、LAの上流社会を舞台にデヴィッド・フィンチャーにも通ずる、硬質な映像で描く現在と、雪のちらつくNYでのソフトフォーカスを多用した過去。後者は泥臭く、土煙が渦巻くテキサスの荒れ地。正反対の土地を舞台に、実在感のない現実と、リアルなふたつの世界とふたつの時間軸は滑らかな交錯を繰り返します。 

それらの世界を交錯させながら「捨てた愛」と「失った愛」をめぐる、元夫婦のメロドラマが展開。20年の時を経たふたりの愛のゆくえをたどる極上のミステリーが描かれます。 

「何者であれ 罰を受けずに逃がすものか」 

これは予告編の最後に語られる、エドワードの台詞です。 
物語がクライマックスに近づくほどに、スーザンの小説への没入も高まり、エドワードとの再会と、淡い期待を芽生えさせます。しかし、彼の胸中はわからない。かつての自身のあだ名が冠された、暴力的な内容の小説に込められた意図とは。そこにはスーザンへの罰と、復讐を込めたのか。それともまだ失っていない愛を込めたのか。ぜひ、その正体を劇場で確かめてください。 

◆映画『ノクターナル・アニマルズ』information

ノクターナル・アニマルズ

あらすじ:スーザンは夫とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。 ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワードから、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。才能のなさや精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。 彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。

上映時間:116分
<11月3日(金・祝)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー>
公式サイト:http://www.nocturnalanimals.jp/
配給:ビターズ・エンド/パルコ
(C)Universal Pictures

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  • vivo
    3
    まず画面に映るものの美しさが印象的。衝撃的なオープニング映像を始めに、景色、インテリア、衣装、車から小道具に至るまでとにかく隅々にまで美意識を感じた。その張り詰めた美しさが映画全体に緊張感と上質感を与え、同時に高純度な執念深さをどこか肯定してるような気がした。いろんな顔を見せるエイミー・アダムスがお見事。
  • siena
    3
    劇中劇ではあるものの、わりと普通にクライムもので胸くそ悪くて、就寝前に見始めて心底後悔した。 美しく品のある映像でクライムノベルを通して心象風景を表現しました、みたいな質の高い作品だとは思うんだけど、やっぱ犯罪は見ていて気持ちの良いものではないので観賞後の後味はそんなに良くないよね… トム・フォードはやっぱり俳優をピンでアップで撮りがち。 音楽の使い方は余白を活かしていて好き。変に音楽で煽ってこない分、かえって画面に引き込まれる。 アーロン・テイラー=ジョンソンが胸くそ悪すぎてびっくりした。演技上手いな…
  • ハレルヤ
    3.8
    アートギャラリーのオーナーである主人公のスーザン。夫と共に豊かな生活を送る中、元夫のエドワードから彼が書いた小説が送られる。過激な内容のその小説を送ってきた彼の意図は何なのか。独特なセンスで展開されるサスペンス映画。 オープニングから度肝抜かれる映像で幕を明ける本作。「この映画大丈夫か?」と思っていましたが、あっという間に2時間過ぎるほど引き込まれていました。 現在と過去、そして小説の中の出来事と3つの世界観が交差する物語。現在パートでスーザンがエドワードから受け取った小説を読むことで、その小説の世界観へ徐々に取り込まれている描写がなかなか面白い。 本作の目玉はやっぱりみんな大好きジェイク・ギレンホールの熱演。現実のエドワードと小説の中のトニー。それぞれ異なる役柄を堂々と演じきる器用さはやはり彼ならでは。 エドワードの書いた小説に引き込まれて、彼との再会を知らず知らずの内に望むようになるスーザンを演じたエイミー・アダムス。彼女の控え目な演技も見事でした。 個人的にかなり凄みを感じたのはアーロン・テイラー=ジョンソン。小説の中で悪役を演じていましたが、文字通り胸糞悪さ全開のワル。彼の名演も見逃せないレベルです。 他にもマイケル・シャノンにアーミー・ハマーと良い俳優が揃い踏み。際立った演出の数々と俳優陣の巧みな演技でかなりの見応えを感じました。 トム・フォード監督作を見るのは本作が初めてでしたが、まだ監督2作目という事に驚き。デビュー作の「シングル・マン」も見たいですし、今後もどんな作品を見せてくれるか楽しみにしたいですね。
  • ひめ
    3.5
    あー、これは映画館で没入して観たかったやつだなぁ…と後悔 小説パートは怖くて 現実パートはしんどい 『愛なのか、復讐なのか』 のわたしの答えは愛であり復讐である
  • のぶかるちゃ
    3.7
    人が羨むような生活を手に入れたにもかかわらずどこか満たされない女主人公が、別れた旦那が書いた新しい小説を読んでいく……という作品。現実世界と小説世界が交錯しながら話は進む。 あまりピンとこなかった理由は、その別れた旦那の小説の良さがそこまでわからなかったからである。ありきたりすぎやしないか?と思ったなんて言ったらあのギレンホールにほんま殺されそうである。
ノクターナル・アニマルズ
のレビュー(16691件)