全世界興収9億ドル! 日本でも公開4日間で5億円を超え、堂々の洋画第1位スタートを切った『ブラックパンサー』が、前評判どおり絶好調だ。【国王】と【ヒーロー】という2つの顔を持ったマーベル史上もっともクールでミステリアスな新ヒーローで、これまでのヒーロー作品にはなかった深い社会的メッセージをも内包したドラマ性も評価され、すでにリピーターも続出! 新たなるマーベル・シネマティック・ユニバースへの期待も高い。
この今春最大の注目作で主人公ティ・チャラの王位を狙う謎めいた敵、エリック・キルモンガー役を人気声優の津田健次郎が好演。「悪役は悪役ですが、とても重たい過去を抱えたキャラクターで、すごく複雑なんですよね」と同役を述懐する津田は、本作をどう受け止め、想いを新たにしたのか。この後に続く『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(4月27日日本公開)への期待感も込めながら、本作とキャラクターについても語ってくれた。
――今回演じられたエリック・キルモンガーは、一筋縄ではいかないキャラクターでしたね。
悪役は悪役ですが、とても重たい過去を抱えたキャラクターで、すごく複雑なんですよね。とにかく世界を支配したいというタイプでもなくて、いろいろな想いが重なっていて、その中には彼の正義がある。それが結果的に別の立場になっているから、役割として悪になっている感じなんです。本来は国王のティ・チャラと同じ立ち位置にいるような、本当に光と影ですよね。同じ人物の光と影に見えてきますよね。
――するとキルモンガーを演じてはいるけれども、ティ・チャラの想いも汲み取って演じていたのでしょうか?
いえ。逆でしたね。むしろ陰から光を見続けていたみたいな感覚で、その王座にはオレが座るんだと、なぜお前だけがみたいな屈折した思いが支配していたはずなんです。影だから影だけの思考で、光を知らない感じはしましたね。だから彼は悪いと思っていないわけで、彼なりの正義があるから複雑なんですよね。
――演じるマイケル・B・ジョーダンの佇まいも影響していると思いますが、ちょっとかわいそうだなって思って観ていました(笑)。
いろいろなことに取りつかれていて、自分で自分のことを、加速的に追い込みをかけてもいる。ただの冷酷な悪なら「やっつけてしまえ!」となりますが、キルモンガーに感情移入する人もいるんですよね。大変な者同士の戦いですよね。
――その人生を背負った声のトーン、声だけの演技も難しそうでした。
難しかったですね。ディレクターさんとも調整を何回も重ねて、特に後半は微妙なギリギリな感じを探りました。特にエンディングに向かって色濃く出てくるのですが、相反するものが同居しているような感じがありましたね。子どもだけれど、強制的に大人にされちゃうような人間だとも思いました。本来は友だちと仲良く遊んでいたような子どもですが、やがて襲う孤独感、二面性みたいなところも演じる上では追い求めましたかね。
――ちなみに、こうしてマーベル、ディズニー作品の一員になっていかがですか?
ものすごくうれしいですね。関わっている人、みんなで作っている感覚もあり、そのなかに参加させていただけることは、ありがたいですし光栄に思っています。
――さて、今回の『ブラックパンサー』、マーベルに詳しくないビギナーの映画ファンでも楽しめる内容でしたが、どういう風におすすめしたいですか?
好きな要素が必ず一個はある気がしましたね。純粋にエンタメ好きな人のツボも抑えているし、シリアスな映画が好きな人向けの展開もある。そこにコメディーもちゃんと入っているので、そこはもう見事だと思います。どこか好きになれる世界観があるはずで、アクション、ドラマ、コメディー、ハイテクも。そういう意味では、かなりおすすめしやすい作品になっています。
――この後に続いていく『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』も楽しみですよね!
観に行きますよ! でもその前に、本当に『ブラックパンサー』。自分が関わった作品ではありますが、お世辞抜きで面白いです。時代や世相を背負った上で、ヒーローものの新しい扉を開いていきたいんだ、エンタメの新しい扉を開いていきたいんだ、という強い意志も感じました。そういう強い意志があるので、エンタメのレベルがどんどん押し上がっていって、まだまだ進化していけるなと、『ブラックパンサー』がそれを体現しているような気もしました。いち映画ファンとしてすごく興奮しています。(取材・文:鴇田崇/撮影:You Ishii)
(C)Marvel Studios 2017
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