オリジナルの映画やドラマが視聴できることが魅力のひとつでもあるが、最近は、質の高いオリジナルドラマが増えてきているようだ。
そこで今回は、そんなオリジナルドラマの中から、個性豊かな女性たちが登場するおすすめの作品を紹介したい。
東京女子図鑑(Amazon/2017)
ストーリー
高校3年生のころから「人にうらやましがられる人になる」のが目標で、地元・秋田でくすぶっている自分は自分ではないと思い込んでいる綾(水川あさみ)。
大学は地元だったが、東京のアパレル会社へ就職が決まり上京。年齢が上がるごとに、キャリアも男もステップアップ。そして、住まいも三軒茶屋、恵比寿、銀座へと変えて行く。
そして結婚適齢期になり、婚活してゲットした夫と豊洲で暮らし、順風満帆な人生だと思いたかったが……。
みどころ
東京カレンダーWEBで連載していた「東京女子図鑑」をモチーフに、ひとりの女性の18歳から40歳までを描いた作品。
人から認められたいという欲求から、仕事も恋もプライベートも、全部充実させたい強欲な女性が主人公。そして、彼女のまわりにいる女子たちも似たようなタイプだからなのか、さり気ない会話で起こる女同士のマウンティングシーンも登場する。
観ていると、自分の周りにいる似たタイプの女を思い浮かべてイラッとする瞬間もあるが、マウンティングし合う女のバトルに、ついワクワクしてしまう(笑)。
ただ、次第に綾は何をしても満足いかず、あがけばあがくほど空回っていく。そして、いい年してようやく自分の身の丈に合った生き方を模索するように……。
そんな彼女を見てあざ笑いたくなるかもしれない。
でも、何かしら他人の目線を意識せざるを得ない社会。承認欲求を捨て、他人の価値観に振り回されず、ただ自分が満足する幸せって何なのか。どこかでもがかないとそこに気づくタイミングは意外とない。綾の生き方は、それに気づかせてくれる気がする。
そう考えると、自分にとって心地よい生き方について考えさせてくれる教科書のようにも見えてくるドラマだ。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】婚外恋愛に似たもの(dTV/2018)
ストーリー
セレブ主婦の桜井美佐代(栗山千明)、シングルマザーで元ヤンの益子昌子(江口のりこ)、バリキャリ経営者の隅谷雅(平井理央)、元BL作家の片岡真弓(富山えり子)、普通の専業主婦・山田真美(安達祐実)。
35歳の彼女たちは、「スノーホワイツ」という売り出し中の男性アイドルグループのファン=ドルヲタ! それぞれバックグラウンドは違えど、ドルヲタという共通点で、互いに友情を深めていき……。
みどころ
「校閲ガール」の著者・宮木あや子の小説が原作。
美佐代は夫の浮気、昌子はグレかかっている息子に悩み、真美は近所で目立つことに怯え、真弓は作品が書けなくなったことに絶望。それらの問題から解放してくれる心の拠り所として、彼女たちはスノーホワイツを応援!
「アイドルにハマることは、恋愛に似たようなもので、活力をもらえるもの!」というのは、何かにハマったことがある女性なら共感できるはず! そういう経験がない人でも、どうしてハマったのか、なぜハマり続けるのか、その心境がうまく表現されているのが魅力な作品だ。
みんなそれぞれ悩みを抱えているが、例えば、唯一独身の雅は、スノーホワイツのメンバーと脳内結婚中なのに、父親からヲタ活動を阻止されそうなことに悩んでいる。それを美佐代や昌子が手助けして、雅の危機を救うシーンがある。
それぞれが抱えるトラブルを、ドルヲタという共通点だけで、みんなで軽やかに解決していく姿がとても痛快! そんな女の友情に注目のドラマだ。
100万円の女たち(Netflix/2017)
ストーリー
売れない小説家の道間慎(野田洋次郎)。死刑囚の父がいることで、人と深くつながることを拒絶し、孤独に暮らしていた。
そんな慎だが、半年前から突然押しかけてきた見知らぬ5人の女たちと、毎月100万円をもらう代わりに、共同生活を送っている。彼女たちは招待状を受け取ったと言っていたが、もちろん彼には身に覚えがない。共同生活にはルールがあり、慎から女たちへ何かを質問するのは禁止。そのため、彼女たちの素性さえわからない。
しかし、徐々に女たちが何者なのか明らかになった途端、5人の女たちのひとりが事件に巻き込まれてしまう。その犯人は誰なのか、そして招待状を女たちに送った者とは……?
みどころ
青野春秋の同名漫画を原作としたドラマ。
Netflixとテレビ東京が共同で製作、地上波でも放送されたので、テレビで観たことがある人もいるかもしれない。
主人公は小説を書くことだけが拠り所になっている男。そんな彼を翻弄するミステリアスな5人の女たちが、なんとも魅力的なドラマだ。そして、次第に女たちそれぞれが、慎の頑なになった心をほぐしていく。
ミステリーなので、慎と女たちが共同生活を送るきっかけになった招待状の謎や、途中で起こった事件の真相が明らかになっていくのがおもしろい!
それだけではなく、恋愛を超えた、もっと深い心の通い合いのような、男女の関係というものは何なのかを教えてくれる味わい深いストーリーにも注目してほしい。
ミス・シャーロック/Miss Sherlock(Hulu/2018)
ストーリー
海外ボランティアの医師団に参加していた和都(貫地谷しほり)は帰国し、恩師と再会する。しかし、突然彼の体内に仕掛けられた爆弾が爆発し、和都の目の前で亡くなってしまう。
そして、この事件をきっかけに捜査コンサルタントのシャーロック(竹内結子)と出会う和都。しかも運が悪いことに、彼女が帰国後宿泊していたホテルが火災に……。和都は、シャーロックの部屋に住むこと になり、シャーロックに依頼される事件を助手のように手伝っていくうちに、恩師が巻き込まれた事件の黒幕がわかり……。
みどころ
「シャーロック・ホームズと助手のジョン・ワトソンが女性で、しかも東京にいたら……?」というテーマのもとつくられたミステリー。
基本的に1話完結の物語だが、うち最初の事件を含む3つの事件に関しては、犯人が犯罪を犯すように仕向けた黒幕がいて、最終的にはその人物を追うストーリーになっている。
人の深層心理にも迫っていくスリリングな描写も多い物語だからこそ、ミステリー好きでもきっと満足できる展開!
あとはシャーロックが少々、いやだいぶ個性的。頭はいいが、空気が読めないし破天荒。それを和都が制止していく。バディものにありがちな展開だが、最後までお互い素直に「友達」と言わない、中高生の男女のようないじらしい展開は女子が主人公なのに珍しい。
でも、この奇妙な女の友情が、物語のラストを感動的なものに導いている。
ミステリーが好きな人はもちろん、人間ドラマも楽しめる作品だ。
Rakuten TVで観る【登録無料】コートダジュールNo.10(Hulu/2017)
みどころ
小林聡美と大島優子による9話から成るオムニバスドラマ。
HuluとWOWOWが共同で製作しており、Hulu版、WOWOW版と分かれている。
WOWOW版5話だけは最後に観てほしいが、各回、話がつながっているわけではないのでランダムに観ても楽しめる作品。
また小林聡美と大島優子も同じ役を演じるのではなく、どの話も違うキャラクターを演じるのがユニークだ。
そして、ゲストも豪華!
松たか子、もたいまさこ、片桐はいり、宮藤官九郎、光石研、ベンガル、金子ノブアキ、柄本時生など。彼女たちが、小林聡美と大島優子とどう絡んでいくのかもみどころ。
ストーリーは、コントのようなものもあれば考えさせられるようなものもある。でも基本的に、疲れた心をほぐしてくれるものばかり。
出演者にある小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりの名前を見れば、あの映画を思い出す人もいるだろう。そう、『かもめ食堂』の空気をどの物語にも感じることができるので、あの作品が好きな人はきっとハマるはず。
落ち込んだとき、やる気が出ないときは女性が活躍するドラマを!
今回紹介したドラマに出てくる女性は、さまざまな生き方をしている。しかも、目の前が真っ暗になるくらい落ち込んだとしても、そのときどきに合わせて、ベストではないかもしれないけど、うまく乗り越えている。
描かれ方はドラマにより個性はあるが、そんな女性たちの姿を見れば、もしかしたら、嫌なことがあった日でも、なんとなくやる気が出ない日でも、力が湧いてくるかもしれない。
もし、VODのオリジナルドラマの存在を知らなかった人は、これを機会にぜひ堪能してみてほしい。
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