女にはわからないぜ!固い絆で結ばれた男たちのアツい友情映画13本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

強い絆で結ばれた男性2人組といえば、シャーロック・ホームズとワトソンのコンビを思い浮かべるが、映画の中では友情や仕事のパートナーというだけでなく、敵と味方でありながら心が通じ合っていたり、年齢差を超えた深い信頼関係だったりと実に様々な絆が描かれている。

わざわざ言葉にしなくても、お前の気持ちはよくわかっているよ。

そんな男同士の特別な関係は、女性にはピンとこないところもあるけれど、ちょっと羨ましい時もあったりして。

そこで今回は、固い絆で結ばれた男たちの友情を描いた映画13本をご紹介しよう。

グリーンブック』(3月1日公開)

旅で生まれた友情

グリーン

1960年代、黒人ピアニストとイタリア系白人運転手が、アメリカ南部へ演奏旅行に出かけるロードムービー。

たくましい腕がまぶしいヴィゴ・モーテンセンは、『ロード・オブ・ザ・リング』(01)の頃の面影が全くなくてよし。彼は粗野で教養もないが、雇い主が人種差別されると反発したり、トラブルに遭っても達者に切り抜けるようなタイプ。その裏表のないオープンな性格が、孤独によって頑なになってしまったピアニストの心を溶かしていく。

育ちも品性もまるで正反対な二人には、「差別を受ける側の人間」という共通点がある。そこがミソ。ホワイトハウスで演奏するほどの名ピアニストが、なぜわざわざ南部へ行くのだろう。黒人社会にもなじめない黒人。演奏メンバーとの距離感も興味深い。そんな彼の複雑な内面がさらりと描かれ、人と人とのつながりについて考えさせられる実話。

フェイク』(1997)

まさかお前が

フェイク

FBI潜入捜査官が、マフィアの一員との間に芽生えた友情に苦悩する姿を描く。

ここ最近は白塗りメイクで素顔がわからなくなっているジョニー・デップだが、この作品では影のあるクールさがそりゃもうカッコよい。潜入捜査が着々と成果を挙げるにつれて、ウソと真実の狭間で葛藤するようになり、極限状態に追い詰められていく様子を淡々と演じていて、実話ならではの説得力もあり。

それに加え、何かと目をかけてくれた兄貴分のチンピラを裏切らなければならない苦悩。その日はいつどんな形でやって来るのだろう。そのチンピラを演じたのがアル・パチーノ。くたびれたジャージを着た彼が虚ろな目でテレビを眺めているシーンは、落ちぶれた中年マフィアの悲哀がひしひしと伝わってきて涙。人間味のある姿が憎めないだけに、良心が痛む。

テッド』(2012)

クマ離れできない

テッド

大人になりきれない中年男と、下品で過激なテディベアの友情を描いたコメディ。

子供に観せられないクマちゃん映画。いじめられっ子で孤独だった少年時代、クリスマスプレゼントにもらったテディベアと親友になりたいと神様に祈り、その願いが叶えられた主人公。しかし大人になった彼らは、幻惑キノコと下世話な会話でダラダラ過ごすダメ男になっていた。

きわどい下ネタと実名続出の危ないジョークに、アメリカンコメディもここまできたのかと感動。似た者同士の固い絆ゆえ、堕落するのも一緒という仲の良い二人だったが、そこへ女性が介入してきたことでやっと現実に目覚める。いつまでも悪友と遊んでいたいのが男の夢。

グッバイ、サマー』(2015)

夢に乗って走ろう

グッバイ

14歳の少年2人が、夏休みに自分たちで作った「夢の車」に乗って旅に出る。

監督の自伝的作品だという。女の子のような繊細な容姿ゆえに同級生からバカにされている主人公が、個性的でユニークな発想を持つ目立ちたがり屋の転校生と意気投合。そして似た者同士の彼らは力を合わせ、自分たちのいる息苦しい世界から飛び出していく。それは、この二人でないとやり遂げられない夏の冒険。

車に乗って出かけるワクワク感とオシャレで淡い色彩が、思春期特有の危うさとあいまって胸きゅん。彼らを待ち受けている厳しい現実は、今は知らなくていい。途中で「夢の車」が動かなくなっても、道はどこまでも続いている。ふんわりとした美少年の主人公が、旅先で超大胆なことをするのがビックリ。

セトウツミ』(2016)

何をするでもなく

セトウツミ

放課後になると川辺の階段に座り、のんべんだらりと過ごす男子高校生2人の会話劇。

瀬戸君と内海君で「セトウツミ」。明るい落ちこぼれと冷めた優等生という正反対の二人が、たまたま同じ場所で一緒に過ごすようになり、ダラダラと何でもない話をしているだけという画期的な映画である。彼らが口にする大阪弁のテンポが、テンション低めの漫才のようで心地よく、それは菅田将暉と池松壮亮という間合いのうまいコンビだからこそ成り立つ芝居だろう。

最初は特に友だちでもなかったけれど、暇つぶしの時間を共有しているうちに、ぼんやりとした友情が芽生えてくる。彼らの他愛のない会話に見え隠れするのは、心のひっかき傷。なんでやろ。親子関係も恋愛も思うようにはいかんもんやなあ。アホな男子が手を取り合い、タンゴのリズムに乗って踊っているような映画。

天国でまた会おう』(3月1日公開)

仮面に隠されたもの

天国

第一次世界大戦後のフランスを舞台に、2人の帰還兵が復讐のために詐欺を計画する。

戦争が大好きな上官の攻撃命令により、戦地で死にかけた主人公。その彼を助けた男が顔に重傷を負ってしまったことで、二人は共に人生を歩むようになる。貧しいながらも命の恩人の面倒をみる誠実な男と、裕福な家庭に育ち、絵の才能はあるが父親を憎んでいる男。彼らの運命は、あるニュースをきっかけに思わぬ方向へと転がっていく。

憎んでいるのは父親なのか戦争なのか。欲しいのはお金ではない。反戦。父と息子。愛と憎しみ。友情。全ての要素が絡みあい、スルスルとほどけていく。傷ついた顔を隠すはずの仮面は、いつしか彼の心を映し出す道具となる。そんな彼を支えようとする主人公がいつも葛藤していて、もともと小心者なだけにいじらしく、どうか幸せになってほしいと願う。

最強のふたり』(2011)

差別って何だっけ?

最強

頸髄損傷で体が不自由な大富豪が、住み込みの介護人として貧困層の移民を雇う。

首から下が全く動かず、車イス生活を送っている気難しい大金持ちが、なぜ資格も経験もない彼を雇ったのだろう。それは、彼が自分を特別扱いしないから。病人ではなく一人の人間として世話をしてくれるから。そもそも彼はその仕事に就く気がなかったので、面接は素のまんま。先入観のない遠慮のなさが気に入られたのである。

仕事は雑だが、陽気で行動力のある彼と一緒にいることで、主人公は既成概念の殻を破り、人間性を取り戻していく。タブースレスレのブラックユーモアがちりばめられているので、たまにギクリとするが、これが実話だと思うと改めてスケールの大きさに胸を打たれる。これぞ運命的な出会い。二人の友情よ、永遠なれ。

列車に乗った男』(2002)

もう1つの人生

列車

元フランス語教師が列車に乗ってやってきた見知らぬ男と出会い、人生を見つめ直す。

恵まれた人生を送ってきたような初老の紳士と、どう見ても堅気ではなさそうな列車の男。全く共通点がないように見えるこの二人が、お互いの人生に自分がやりたくても成しえなかったものを見出し、その欠落している部分を埋めるかのように交流を深めていくという一風変わったストーリー。

品のある物静かな紳士は、実は銃を撃ってみたかったし、物騒なオーラのある列車の男は、意外なことに詩が好き。そんな彼らには、今の自分は本当の姿ではないという違和感がつきまとっていたのだろう。この相手の人生と入れ替わりたい。その強い想いが、言葉を発しないでも二人の距離を近づけていくところがみどころ。

最高の人生の見つけ方』(2007)

最期は悔いなく

最高

病室で知り合った初老の2人が、残された時間を精一杯生きようと決意する。

仕事に人生を捧げてきた大富豪と、家族のためにコツコツと働いてきた平凡な男。自分の余命があと6ヶ月だと知った彼らは、“やりたいことリスト”を片手に病院を抜け出す。そのリストにあるのは、「ライオン狩り」「万里の長城をバイクで走る」「美女とキス」などなど。

大金持ちが一緒なので、大概のことは叶いそうだ。

しかし、やっぱりお金で叶えられないこともあるわけで、やりたい放題の暁に大富豪の本当の願いが明らかに。ジャック・ニコルソンが、ふとした表情に人生の後悔と虚しさをにじませる。実は吉永小百合と天海祐希による日本リメイク版が、2019年に公開予定。監督は犬童一心。この二人が女性ならどうなるのか楽しみだ。

まほろ駅前多田便利軒』(2011)

クセになるコンビ

まほろ駅前

便利屋を経営する主人公と居候の元同級生が、一緒に仕事をしながら関係を深めていく。

瑛太と松田龍平のコンビがへんてこりんな出来事に巻き込まれ、ワケありの依頼人に関わるうちに見えてくる様々な人生。それに加えて、二人の秘められた過去が切なく突き刺さり、雰囲気はゆるくてもなかなか骨太のストーリーである。

力の抜けた松田龍平が、タラタラしながらボソリと名言を吐くのが可笑しい。奇妙な走り方にも注目。そんな彼の面倒を見ているうちに、瑛太の心の奥深く沈んでいた石が少しずつ丸くなっていく。親子と血のつながり。当時は今ほど知られていなかった柄本佑が、強い印象を残す役で登場。

ヒーロー・ネバー・ダイ』(1998)

とことん貫く

ヒーロー

敵対する組織にそれぞれ雇われた殺し屋同士の絆を描いたフィルムノワール。

香港の裏社会で生きるスゴ腕の殺し屋2人。彼らは仕事上たまたま敵と味方になってしまったが、プロとしてお互いの腕を認め合ういわば好敵手だ。冷静沈着な若いイケメンと、度胸のある快活なオジサンという見た目は好対照な彼らだが、殺し屋として同じ魂を持っている。そんな二人が、敵と味方という立場を超えて絆で結ばれていくという男泣きの世界だ。

男臭い友情はロマンティック。拳銃を撃ちまくるシーンが続いたかと思えば、坂本九の「スキヤキ」が流れてほっこりし、負傷した殺し屋が台車を操って街を走る姿に泣き笑い。ほとんどセリフがなく、感情表現はアクションである。男が本気でプライドを賭ける時には、女はいらない。

マイ・フレンド・フォーエバー』(1995)

健気な友情

マイベスト

HIVに感染している友人を助けるため、特効薬を求めて一緒に旅に出た少年の物語。

最初はエイズに対して偏見を抱いていた主人公だったが、彼と仲良くなるにつれて命を助けたいと願うようになる。しかし、彼らはまだ子供。雑草で薬を作るなど、泣かせるような努力をするのである。そして二人は、エイズの特効薬が見つかったというゴシップニュースを信じ、ニューオーリンズへ行こうと川を目指す。

絶対にうまくいくはずのない彼らの旅路。話が進むにつれて悲劇の予感がしてくるのが、つらい。でも、彼らにとっては幸せな時間だったのではないだろうか。大切な友人のために、精一杯のことをやる。子供だから無鉄砲だけど、その気持ちは何物にも代えがたい宝物。

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)

分かり合える傷

グッド

天才的な頭脳を持ちながらトラウマに苦しむ青年と、妻を失くした心理学者との心の交流を描く。

当時無名の俳優であったマット・デイモンとベン・アフレックが脚本を執筆し、アカデミー賞やゴールデングローブ賞脚本賞を受賞した作品。超難関大学の学生たちが手に負えなかった問題をスラスラ解いてしまったアルバイト清掃員が、教授に才能を見出され、素行の悪さの原因となっているトラウマの治療を受けることになる。

主人公を演じたマット・デイモン。自分と似た深い傷を負い、孤独にさいなまされているカウンセラーに心を開いていく様子は、父親を慕う小さな子供のようで、クライマックスシーンには心を打たれてしまう。自分を赦し、自己肯定をすることって大切。故ロビン・ウィリアムズの代表作としても必見。

いかがでしたか?

何もかも正反対だからこそお互いに惹かれあい、自分にはない部分を補いあうことで生まれる絆もあり、似た者同士ゆえに離れられなくなるような強い関係もあり。

特に男性の場合、敵と味方なのに心が通じ合っているというパターンも多く、言葉少なく相手を想う姿にグッとくる。

そんな男の友情は女性にはなかなかわからないものだが、このような友情映画を通して学ぶことはできるかも。

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