よしこ(ガンバレルーヤ)と速水もこみちの姿を眺めていると、思わず温かい笑みがこぼれてしまう。遠慮するよしこを優しくリードする速水は、さながら共演した映画『Bの戦場』の関係性を彷彿させた。
よしこが映画初出演にして初主演を飾った同作は、自他ともに認める「絶世のブス」でウェディングプランナーとして働く主人公の香澄が、よそから配属されたイケメン上司・久世(速水)と、気心の知れたフラワーコーディネーターの武内(大野拓朗)から想いを寄せられる三角関係を描いている。コメディものと油断していたらジンとくる仕上がりになっているのは、『最高の離婚』、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』など心に残るドラマを手掛けてきた並木道子の手腕だろう。ちなみに、本作で並木は映画監督デビューを飾った。
FILMAGAでは、「島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭」にて、よしこと速水に単独インタビューを敢行。よしこのだだ洩れの愛情を速水が受けたり流したりと、絶妙なトークに花を咲かせた。
――沖縄国際映画祭にて初上映を迎えました。大盛り上がりでした!
よしこ ありがとうございます! 私、映画祭に参加すること自体が初めてなんです。去年は本当にお仕事をいただいていない時期だったので、春先は大阪でアルバイトをしていました……。初めて来られて、めっちゃ楽しいです。
速水 先ほど舞台挨拶をしましたけど、皆さんたくさんいらしてくれて、うれしかったですね! ほかの作品も面白いですけど、『Bの戦場』はすごくポジティブで、素敵な作品に仕上がったんじゃないかと思っています。
――よしこさんは演技経験がなかったというお話でしたね?
よしこ そうなんです。
速水 現場に入って、話し合って作り上げていきましたよね。監督もよしこさんのことがとにかく大好きなので、1カットずつお話をされていた印象がすごくあります。僕はあまり皆さんとご一緒していなくて、よしこさんとふたりのシーンがほとんどだったよね。
よしこ 確かに、そうですね! もこみちさんとは、たくさん練習をさせてもらいました。本当に付き合ってくださるんですよ! カメラが回っていなくても、私が不安なところを言ったら返してくださるので、本当に優しくて……。
速水 ……そこ、もうちょっと言ってください(笑)。
よしこ そう言われると言いたくなくなっちゃいます(笑)。けど本当にリードしてくださるので、好きになりかけちゃいました。公私混合です。
速水 (笑)。よしこさんが、ずっと現場で体当たりで一生懸命に接してくださっていたからこそ、僕を含め出演者も、スタッフも、一丸になれたんじゃないかなというのはあります。
――ご自身の演技をご覧になって、いかがでしたか?
よしこ 普段のバラエティー番組でも、自分のところはあまり見られないんです。
速水 おお~。
よしこ 演技も見られない……いえ、ちゃんと観たんですけど、見られないところがあるというか。
速水 まだ慣れていないというか?
よしこ 演技は慣れていないです! でも、たまに女優さんを顔物まねで何回か降ろさせてもらったりしているので、降ろしたら女優としてやれる、いたこさんタイプかなと。私は憑依タイプなので、そういうので乗り切りました。
――速水さんは、ご自身の演技を客観的に見られるタイプですか?
速水 ひと通りチェックはします。でも正直、観たり、観なかったりですね。観ないでおいたほうが、次、どこかの現場に入ったときに自分の癖がわかってしまうので。いろいろあるのかなと思います。……ああ、僕は料理家なので、ちょっとわからないです。
よしこ (笑)。俳優ですから!
速水 沖縄ですからね、食材をちょっと調達しにね。……失礼しました(笑)。
――映画の中では、ザ・二枚目の速水さんだったので、そのあたりも楽しめる作品ですよね。
速水 二枚目だったのかな!?
よしこ むっちゃくちゃ格好よかったですもん!! 本当に惚れますよ。式場で初めて会うシーン、チャペルで出てくるところ、めちゃくちゃキラッとなっていますけど、普通でもキランとされているので、本当にポッとなっちゃいましたよ。
速水 ただの黒光りですから(笑)。
よしこ じゃあ……ちょっと黒光りのせいですかね(笑)? いえいえ、めちゃくちゃ格好よかったです。私は芸人になる前から、もこみちさんをテレビで観ていたので、まさかお会いできるなんて思っていなくて。生で見たら、「本物だ!」と思いました。10頭身ですしね……すっごく格好いいです。それに、中身も本当に優しいんですよ。いつも「すみませんね、お願いします」と言ってくださるんです。そんな外見も中身も完璧なんて、神様は……もう……。
速水 僕、全身整形なんで。
よしこ 記事に書かれますよ(笑)?
速水 冗談です、ありがとうございます(笑)。
――本作、よしこさんはいい台詞が多く、速水さんのほうは暴言とも取られかねないような台詞が印象的でした。おふたりのお気に入りの台詞はありますか?
速水 いっぱいありましたねえ!
よしこ ですね!!
速水 ふたりの掛け合いがほとんどでしたので。おっしゃる通り、久世の発言は一歩間違うと暴言に捉えられかねないところを、監督がうまいことそうならない表現でいつも助けてくださっていました。言葉はともかく、中身の部分ではふたりともすごくストレートなんですよね。本当に「純粋に好き」という気持ちなので。
よしこ ………(うつむく)。
速水 え、何!?
よしこ ドキッとしちゃって、今、仕事だと思っていなくて、ごめんなさい(笑)。
速水 割り切ってくださいね(笑)。
よしこ いやあ、監督の力もありますけど……、もこみちさんに「ブス」と言われても全然嫌な気はしないんです。むしろ心地よくて、撮影が終わって言われなくなると、「寂しいな」と思っちゃいましたし……。バラエティで「ブス」と言われると、(自分が)思っていないから「何でよ!?」となるじゃないですか? でも、もこみちさんに言われると受け入れられるというか、スッと「私ってブスなんだ♥」と思えるんですよ。そんな柔らかい力があるんです。
速水 本当に(笑)? ちなみに、よしこさんがお気に入りの台詞は?
よしこ いっぱいあるんですけど、「ブスとか美人とか関係ない!」と、はっきりと言う台詞は特にお気に入りです。私はブスと美人は関係あるし、不平等だとちょっとだけ思っちゃっていたので、そう言って「確かにそうかも。格好いいな」と思いました。
――舞台が結婚式場ということもありますし、おふたりの結婚観もお伺いしたいです。
よしこ ぜひ、もこみちさんのを聞きたいです。気になります。
速水 うーん……。正直、結婚はまだわからないんです。ひとりでもあれだし、かといって遅すぎてもあれだし、動かなきゃ始まらないし、でも自然の流れで……とか思いますし。そのときの自分のタイミングがくるのかな、と思ったりしているんですよ。
よしこ ほえ~~~。
速水 あと、女性のほうが結婚に対してはお話をされるじゃないですか。男同士だと、ごはんを食べて、お酒を飲んだりして過ごしていても、あまり結婚の話はしないんですよ。もちろん結婚した友達もいるので、「どんな気持ち?」みたいなのを聞くことはたまにありますけど……。何となく女性のほうが強く意識しているところはあるのかなと思ったりします。よしこさんは、皆さんと集まって飲んだりして、結婚の話をされたりしますか?
よしこ 女芸人さんと飲むことが多いんですけど、実はこちらも……あまり結婚の話はしないんですよ。
速水 そうなんですね!
よしこ あくまでも自分の理想を言うなら、イケメンと結婚したいです。子供のことを考えたら、やっぱりいい遺伝子の子供を産みたい。顔がいい子供を産みたいです。例えば、二重で鼻が高い人か……もこみちさんか。
速水 二択ですか(笑)。大野くんもいますよ?
よしこ そうですね! 失礼しました、ごめんなさい。三択です。
――あえて二択にするなら、もこみちさんと大野さん、どちらを選びますか?
よしこ どちらも本当にいいんですよ!!
速水 いや、でもここで「大野くん」と言われたら、僕もう帰りますよ(笑)。
よしこ 嫌だ(笑)! じゃあ、どっちもです! 私は一度にたくさんの男性を愛せる女なので、月~水は大野さん、木~土はもこみちさん、という感じでお願いします。(取材・文=赤山恭子、撮影=You Ishii)
映画『Bの戦場』は、2019年3月15日(金)より公開。
監督:並木道子
配給:KATSU-do
公式サイト:http://b-no-senjou.official-movie.com/
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※2022年10月31日時点のVOD配信情報です。