【舘ひろし】88歳にして新境地を切り開くイーストウッドは凄すぎる『運び屋』

ダーティハリー』シリーズなどのアクション映画に数多く出演し、『グラン・トリノ』で演技者として高く評価されたクリント・イーストウッド。10年ぶりに主演・監督を務める『運び屋』が3月8日(金)から全国公開となる。イーストウッドと同じように、アクション俳優として活躍し、昨年公開の映画『終わった人』で最優秀男優賞を受賞した舘ひろしさんが本作の魅力を語る。​

運び屋

俳優 舘 ひろし(たち ひろし)さん

仰天の実話に自身を重ねたイーストウッド

運び屋

まず、これが実在のアウトローの話だということに驚きました。90歳のアールは家族に見放され、仕事も失い金欠。そんな矢先、ドライバーの仕事に誘われ、軽い気持ちで引き受けます。実はそれがドラッグの運び屋というとんでもない仕事。

アールは途中でそれがドラッグだと気づいてもひょうひょうとしていて、どこか気ままで自由な感じ。それどころかギャングたちに必要とされているのがうれしくて楽しくなってしまう。経済的にも潤ってくると、今度はロビン・フッドやねずみ小僧のように困っている人に施すようになったりしていきます。

ドラッグの運び屋なんて断じて許されることではありません。にもかかわらず、90歳のアールがだんだんチャーミングに見えてきて、応援したくなってしまう。それはおそらくイーストウッドの手腕によるものです。彼はどの作品においてもこわもての表情ですが、今回はそこに無邪気さが加わり、ふとした瞬間に照れたように笑ったりしてちょっとかわいいんです。それがあまりに自然すぎて、今のイーストウッド自身のチャーミングさなんだと感じました。

運び屋

もともとイーストウッドは大好きな俳優の一人で、作品もよく観ています。若い頃は『ダーティハリー』のハードボイルドな雰囲気が好きでした。実はドラマ「西部警察」もかなりこの映画から影響を受けています。私自身も年を重ねてきて、最近は『ミリオンダラー・ベイビー』『グラン・トリノ』など心にグッとくる作品が気に入っています。

いずれにしても作品を世に送り出すたびに監督として、そして俳優としても進化をし続け、88歳の今なお、さらに新境地を切り開き、私たちを魅了してしまう。まさにイーストウッドは正真正銘の大スターです。いくつになっても成長できることを彼はその生き様で私たちに伝えてくれています。

ラストのセリフを聞き逃すな

運び屋

キャスティングにもこだわるイーストウッドが、運び屋アールを追い詰める捜査官役に抜擢したのがブラッドリー・クーパー。『アメリカン・スナイパー』以来のタッグです。クーパーはイーストウッドを最も尊敬し、かなり影響も受けているとのこと。そういう意味で言うと、私にとっての〝イーストウッド〞は渡哲也ですね。新人の頃、「お前には華がある。芝居なんてうまくならなくていい」と言ってもらったことは常に自分の心にあるし、何より俳優のありようは渡を見て学んだと思っています。

映画の中で、そんなクーパー演じる捜査官に、アール役のイーストウッドが人生を説くシーンがあります。役を超えたつながりを感じるほど、そこでのやりとりが心に刺さります。また個人的には、ラストシーンで娘がアールに言うセリフも大好きです。あまりにカッコ良くてしびれました。そのラストを楽しみに観てほしいです。

(取材・編集 朝日新聞社メディアビジネス局)

ダーティハリー

運び屋

グラン・トリノ

運び屋

俳優 舘 ひろしさん

1950年、愛知県生まれ。76年、映画『暴力教室』で俳優デビュー。ドラマ「西部警察」の出演をきっかけに83年、石原プロモーション入社。ドラマ「あぶない刑事」は劇場版も製作される人気シリーズに。2018年には映画『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭の最優秀男優賞を受賞。

映画『運び屋』imformation

運び屋

13億円のドラッグを運ぶ“伝説”の運び屋の正体は…90歳の老人だった。

■STORY■ 90歳になろうとするアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は金もなく、ないがしろにしていた家族からも見放され、孤独な日々を送っていた。そんなある日、男から「車の運転さえすれば金になる」と持ちかけられる。そして難なく仕事をこなすが、実はその仕事、メキシコ犯罪組織によるドラッグの運び屋だった……。やがてアールは、気ままな安全運転で大量のドラッグを運び出し、多額の報酬を得るが、彼のもとには麻薬取締局の捜査官(ブラッドリー・クーパー)の手が迫ってくる……。

イーストウッド最高傑作。その男、90際、“伝説”のドラッグの運び屋
前代未聞の実話 映画運び屋
3月8日(金)全国ロードショー

監督・主演:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア他
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/

(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • yuya
    3.7
    クリントイーストウッドらしい渋い映画 家庭を顧みず外での名誉を求めたことに後悔するものの自由な生き方を貫いたことで悲劇的な終わり方もアールは前向きに捉えているように見えた クリントイーストウッドに今年亡くなった祖父の姿を重ね合わせてしまう アールほど家庭を顧みない人ではなかったけど、無骨で自由で楽しそうに生きてる渋くてかっこいい所が似てるんだよなぁ おじいちゃんに会いたい
  • uki
    2.9
    Fantasy grandpa
  • 坂月有子
    4.2
    <概説> 仕事を優先するあまり家族から見放された老人。栄華を極めた花家業も喪ってからの再就職先は、まさかの麻薬組織の運び屋だった。 <感想> イーストウッド監督イーストウッド主演 これはもうハズレないです。イーストウッドが一番映える作品は、イーストウッド自身が一番よくわかっている。 冒頭からしてイーストウッド演じる花屋は、『グラン・トリノ』なんかで私達が愛した頑固老人のソレ。口は悪いのに面倒見はよく、めんどくさいクソ親父という理想像がそこあります。 そんなクソジジイが麻薬組織なんてダーティな世界に腰まで浸かり切ったらいよいよ監督の本領発揮。普段のわびしい作風と、監督自身のうらびれた風貌のマッチングが最高です。 彼の作品は本作含め、どんよりする展開をそれだけに済ませないのがとてもいい。そういった何か残る作品が好きな方にはぜひ見ていただきたいですね。
  • ちあき
    3.8
    続きがきになる瞬間がなくてめっちゃダラダラ見ちゃったけど、最後に複雑な気持ちにさせられた。クリントイーストウッドによるクリントイーストウッドのための映画。
  • もな子
    4.3
    名前からのイメージと全然異なる映画だった。感動した。
運び屋
のレビュー(41146件)