お笑い芸人 作家 又吉 直樹さん
ダンボの姿を見て変わっていく
家族のドラマにも心揺さぶられる
ダンボが飛ぶたびに
鳥肌が立つほど感動
何といってもダンボが可愛い!ダンボが空を飛ぶことは誰もが知っていること。にもかかわらず、ダンボが飛ぶ瞬間に毎回、新鮮な感動がありました。特に良かったのは、初めてサーカスのメインイベントに出て宙を駆け回り、観客の大喝采を浴びるシーン。それまでは大きな耳のせいで笑いものだったダンボが、みんなをあっと驚かせ、とんでもない可能性を見せる。実に痛快でグッときました。
ダンボに、離ればなれの母象ジャンボに会いにいく勇気を与えたのがサーカス団員ホルトの子ども、ミリーとジョー。ふたりはダンボの大きな耳の魅力に気づき、献身的にダンボを支えます。おそらく彼ら自身が母親を亡くしているのでダンボの気持ちが痛いほど分かったからでしょうね。
これは僕の想像ですが、そもそもダンボが特殊な耳を持って生まれたのは、長くおりの中にいた母象ジャンボがいつか飛んで故郷に帰りたいと願い、その思いをダンボに託したからではないかと。そんなことを思わせてくれるシーンも心に残りました。
ティム・バートン作品の
登場人物はみんな魅力的
僕がバートン監督を好きなのは、どの作品の登場人物も非常にリアルに描く点です。主人公も決してキラキラしたヒーローではなく、どこか一風変わった人物の場合が多い。とかく社会で生きていけるのは、あらゆる能力がたけている人だと思われがち。
でも、ともすれば欠点と見なされるような個性でも、それを力に変えて生きていくキャラクターをバートン監督は生き生きと描いています。しかも、たとえ嫌なヤツでも完全には憎めない、どこか愛すべき存在として。だから自然と感情移入してしまうのです。
ダンボも、他と異なる大きすぎる耳を翼という武器に変えて大空へ羽ばたきます。それに鼓舞されて、ホルト親子やサーカスの団員たちもそれぞれの個性を生かし、ダンボのため母象の救出に挑んでいく。その姿に心揺さぶられます。バラバラの個性を持つ者同士でも、チームになるととんでもない力を発揮するんだなと気づかされました。
ダンボが飛ぶ意味とは。
大人が楽しめる傑作
実は今回映画を観た際、ダンボが可愛すぎてダンボばかり見てしまったので、次に観る時はホルトに注目してみたいなと思っています。というのも、観ていくうちに「ああ、そういうことか!」と気づかされるシーンがいくつもあるからです。馬乗りだったホルトがどの場面で馬に乗るのか、なぜその場面なのかなど色々発見があるはず。
さらに、サーカス団の人たちがどんな思いでダンボを飛ばそうと頑張るのか。ダンボが飛ぶことはどんな意味を持つのか。そんなことを考えると、色んな人が共感できて、かつてダンボのアニメーションが好きだった大人たちも絶対に楽しめる傑作だと思います。映像も美しくサーカスシーンも刺激的。個人的にはダンボが飛ぶスピードにも注目して欲しいです(笑)。
又吉 直樹さん
1980年大阪府生まれ。お笑いコンビ「ピース」のボケ担当。芸人活動と並行して文筆活動も行い、2015年に文芸誌「文學界」に発表した小説「火花」で第153回芥川賞を受賞。著書に「第2図書係補佐」「東京百景」「劇場」などがある。
映画『ダンボ』imformation
■STORY■ディズニーとティム・バートン監督が新たな「ダンボ」の物語を実写映画化。“大きすぎる耳”を持つ子象のダンボは、サーカス団の仲間と共に、金もうけをたくらむ興行師によって引き離された母象の救出に挑む! 大空を舞うダンボが、世界中に“勇気”を運ぶファンタジー・アドベンチャー。
大ヒット上映中!
監督:ティム・バートン
出演:コリン・ファレル、マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、エヴァ・グリーンほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト:Disney.jp/Dumbo
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※2022年3月27日時点のVOD配信情報です。