ビクトル・エリセ監督最新作『瞳をとじて』名作のオマージュシーン解禁!

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スペインの巨匠ビクトル・エリセ監督の最新作『瞳をとじて』の、貴重なオマージュシーンをとらえた本編映像が解禁された。

【本編映像】『瞳をとじて』(2023)

元・映画監督と、謎の失踪を遂げた人気俳優。かつての親友は、なぜ姿を消したのか。未完のフィルムが呼び起こす、記憶を巡るヒューマンミステリー。

名作『ミツバチのささやき』(1973)、『エル・スール』(1982)で知られるビクトル・エリセ監督が、31年ぶりに長編新作を手がけた本作。『ミツバチのささやき』で撮影当時5歳で主演に抜擢されたアナ・トレントが50年ぶりに同じく“アナ”の名前を持つ女性を演じることも話題となり、ファンを沸かせている。

エリセは映画監督になる前、映画批評雑誌「ヌエストロ・シネ」などに批評を寄稿していた、かなりの映画通。この度新たに解禁された本編映像には、そんなシネフィル(映画狂)のエリセがある名作映画へのリスペクトを込めたオマージュが隠されているという。

元映画監督のミゲルは親友で人気俳優だったフリオの失踪後、監督を引退し執筆の仕事をしながら、海辺の町で愛犬のカリと一緒に暮らしていた。ある晩、海辺の住人たちと砂浜の上のテーブルを囲み、隣に座っているトニから「俺たちが好きな曲を歌ってくれ」とギターを渡され、ミゲルはうろ覚えの歌詞を思いだしながらある歌を歌い始める。

ここで歌われているのは、数々のハリウッドの名作映画を生み出したハワード・ホークスの西部劇『リオ・ブラボー』(1959)の「ライフルと愛馬」という曲。俳優だけでなく歌手としても活躍したディーン・マーティンと当時ロックンロール歌手として有名だったリッキー・ネルソンの哀愁あふれる歌声が印象的なシーンだ。また「ライフル、トニ、そして私」と歌っている部分は、本来「ライフル、ポニー、そして私」という歌詞で、本作では海辺の住人である“トニ”の名前がポニーにかけられており、エリセのちょっとした遊び心がうかがえる。

監督はインタビューで本作に取り入れられたオマージュシーンについて「影響を受けた名作はたくさんあるが、本作で登場するのは計画的ではなく、ほぼ無意識に行ったものだ。映画のアイデアは私の想像から生まれたものなのだから、映画監督という登場人物について描く場合、自伝的な人物になってしまう可能性はほとんど避けられないと思っている。しかし、主人公のミゲルは私より、ずっと歌がうまい」とユーモアも交えて明かしている。

このシーン以外にも、ミゲルが訪れる映画技師の友人マックスの部屋には、チャールズ・チャップリンの『チャップリンの殺人狂時代』(1947)とニコラス・レイの『夜の人々』(1948)のポスターが飾られていたり、リュミエール兄弟の初期作品『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1895)が意外な形で登場するなど、様々な形で映画史に刻まれる名作映画について言及されている。

ミゲルの住む場所

海辺に住むミゲル

ミゲルと海辺の住人たち

マックスの部屋のポスター

『ラ・シオタ駅への列車の到着』


海辺の撮影でのエリセ監督

『瞳をとじて』は、全国公開中。

瞳をとじて』あらすじ

映画『別れのまなざし』の撮影中に主演俳優フリオ・アレナスが失踪した。それから22年、当時の映画監督でありフリオの親友でもあったミゲルはかつての人気俳優失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演依頼を受ける。取材協力するミゲルだったが次第にフリオと過ごした青春時代を、そして自らの半生を追想していく。そして番組終了後、一通の思わぬ情報が寄せられた。「フリオによく似た男が海辺の施設にいる」。

監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント
配給:ギャガ
公式:https://gaga.ne.jp/close-your-eyes/

(C)2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.

※2024年2⽉16⽇時点の情報です。

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