【矢口 史靖】この夏、最高に笑える!かつてないコメディ・ミュージカル

どうなるの?という発想から生まれた作品

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映画監督 矢口 史靖さん

やぐち・しのぶ/1967年神奈川県生まれ。東京造形大学入学後に8㍉映画を撮り始め、90年に長編映画『雨女』がぴあフィルムフェスティバルにてグランプリを受賞。93年に『裸足のピクニック』で劇場映画監督デビューを飾る。主な監督作に『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』『サバイバルファミリー』など。

ミュージカルへの
違和感が本作の始まり

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ミュージカル映画は好きと嫌いのはざまを揺れながらもずっと観てきました。『雨に唄えば』など好きな名作も多いです。ただ一方で、ミュージカルが苦手だという人の気持ちもよく分かる。「なぜ突然歌って踊り出すの?」という違和感が私にもあるからです。そもそも街角や路上で急にミュージカルを始めたら絶対不審者扱いされ、警察に突き出されますよね。『ラ・ラ・ランド』冒頭の高速道路で踊るシーンも壮観ですが、現実にやられたら大迷惑です。

それでもミュージカル映画は作ってみたかった。実は『スウィングガールズ』の脚本にミュージカルシーンを書いたのですが、プロデューサーに「中途半端になるから」と止められ、その時は諦めました。でもいつかやろうと決めていたんです。

とはいえ、心情を吐露する時に歌い出すような「物語をミュージカル調にしたもの」では当たり前すぎる。ミュージカルでなければ成立しない物語でないと、自分がやる意味はないなと思っていました。

ミュージカルが主人公を
困らせるコメディー

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ではどうすれば、今までにない画期的に面白いミュージカルが作れるのか。悩み続けた末、ある日ひらめいたのが催眠術。ごく普通の会社員の女性が、催眠術によって「音楽を聞くと所構わず勝手に歌い踊り出す」という体質になってしまったら、彼女の日常はどうなってしまうのか? そんな彼女を通して、なぜミュージカルでは急に踊り出すのかという「誰もが共通に抱いている違和感」を逆説的に表現することで、これまでのミュージカルの鉄則を打ち破るものになると考えたわけです。

ヒロインの静香は決して踊りたくて踊っているわけではなく、音楽が鳴ってミュージカルをするたびに窮地に立たされ追い込まれていく。でも困れば困るほど、殻を破り、本来の自分を取り戻していきます。そんな自分探しの要素も本作の見どころとして加えました。

個性豊かなキャスト陣との
圧巻のミュージカルシーン

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静香役は日本中のオーディションで歌とダンスができる約500人の中から三吉彩花さんを抜擢。ふだんはクールなのに踊り出した途端に華やいだ雰囲気に激変する。そのギャップがまさに静香そのものでした。

静香はトラブルに巻き込まれながら問題解決に向けて奔走するわけですが、そこで出会う人々のキャラにもこだわりました。催眠術師に宝田明さん、そのサクラ役にやしろ優さん、謎のストリートミュージシャンにchayさん、静香に雇われる興信所の調査員にムロツヨシさんといった強烈な個性派が勢ぞろい。それによってドライブ感がパワーアップし、息つく暇もない「ジェットコースタームービー」になりました。

そして何より本作の要となるのがミュージカルシーン。例えばレストランのシーンでは、テーブルクロス引き、シャンデリアの空中ブランコ、ポールダンスなどアクロバティックな技を取り入れています。三吉さんはアザだらけになりながらすべて吹き替えなしで熱演してくれました。また会議中に踊り出すシーンは、スタジオのセットではなく実際のオフィスを週末にお借りし、社員の方々が出社する月曜朝のギリギリまでかかって撮影しています。

さらに劇中の音楽も、いつ誰が聴いてもワクワクする不朽の名曲をこだわって選びました。

どこにでもいるような人が
少しだけ頑張るところに共感

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私の監督デビュー作『裸足のピクニック』はコメディーと銘打ちながらも、主人公が不幸すぎて観客によっては戸惑う作品でした。大きく変わったのは『ウォーターボーイズ』。多くの人に支持され大ヒットしたことで「特定の映画ファンではなく、誰が観ても笑って楽しめる映画を作っていこう」と思うようになりました。どの作品にも共通しているのは「どこにでもいる普通の主人公がちょっと頑張っている物語」という点。天才でもヒーローでもない主人公がちょっと成長しただけで気持ち良く感動できる、そんな娯楽映画を目指しています。今回も普通の女性を主人公にしたのはそういった理由からです。

実は、ミュージカルは僕にとってずっと「憧れのジャンル」でした。映画製作に携わる限り、いつかこの門をたたきたかったんです。それを10作目でようやく実現できました。ミュージカル映画でやりたかったことすべてを注ぎ込んだので、今はただお客さんに早く届けたい気持ちです。ミュージカル嫌いな人ほど楽しめる映画『ダンスウィズミー』。ぜひ劇場で観て心躍らせ、ハッピーな気分に浸ってください。(談)

◆映画『ダンスウィズミー』imformation

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■STORY■ 催眠術にかけられ、音楽が聞こえると歌い踊り出すカラダになってしまった静香。しかし、所構わず歌い踊るせいで、順風満帆だった人生が? ?チャメチャに。問題解決のため日本中を奔走するその先には、裏がありそうなクセ者たちとの出会いとさらなるトラブルが!果たして静香は無事に元のカラダに戻れるのか⁉︎

8月16日(金)全国ロードショー

出演:三吉彩花やしろ優chay三浦貴大ムロツヨシ宝田明
制作・脚本・監督:矢口史靖
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:dancewithme.jp
(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会

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    ごちゃごちゃ
  • 千年女優
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    ミュージカル嫌いの一流企業勤務のOLが、催眠術により音楽を聴くと踊らずにいられない体質となったことで繰り広げるドタバタ劇をコミカルに描く矢口史靖監督作品です。 催眠術を用いての「事情を知る視聴者には突然踊り出すことは自然だけど、登場人物達にとっては不自然」というプロットは、イヤホンで音楽鑑賞中に思わず口ずさんでしまって赤面する、そんな思い当たる状況の発展版で、お話にユーモアとダイナミズムを与える秀逸なアイデアです。 それが存分に活かされた前半は、主人公と楽曲の世代差はやや気になりますが、主演の三吉彩花の溌剌としたダンスで見ていて楽しいです。それだけに催眠術師を追う後半は、お話内でも主人公が歌い踊っても自然なシーンばかりとなってしまい、ラストの主人公の選択もかなり性急なので、全体として尻すぼみ感は否めないところ。 後半は服装も地味で、スカートの華やかさと見えるか見えないかのドキドキがなくなってしまうのも残念(小声)
  • 3
    ラストの展開は正直あまり好みではないけれど、おもしろかったと思う。 途中まではホラー映画として見ていた。画面は楽しそうだけどよく考えると…っていう、意味がわかると怖い話的な印象だった。ゆえに大変ドキドキした。
  • 2.5
    19/117
  • TAKAHIRO
    1
    ある日、姪っ子と訪れた遊園地で怪しげな催眠術師のショーを見学し、そこで「曲が流れると歌って踊らずにいられない」という“ミュージカルスターの催眠術”にかかってしまう。
ダンスウィズミー
のレビュー(6376件)