未解決事件を解決し、一躍人気になったポッドキャスター・スージーを描く『#スージー・サーチ 』が、2024年8月9日(金)より公開。
公開に先立ち、2024年7月10日(水)に映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラさんとポッドキャスターの SHIBUさん登壇のトークイベント付き特別試写会が開催されました。
当日は、50 名を超える現役ポッドキャスターが集結! ひと足さきに『#スージー・サーチ』の感想を聞きました!
見事に予想を裏切られた! 一転どころじゃなく、二転三転、四転くらいしていくので飽きずに観れました。最後はどこに着地するのか? となり、最後は「あ〜そういうことね」ってなるのが非常に気持ちよかったですね。(下から目線のハリウッド/三谷匠衡さん)
スージーに対して共感できたり、自分の中にもそういう一面があるんじゃないかと思ったり……。スージーのことを応援したくなる要素もあって面白かったです。SNSをやったことがある方はぜひ観た方がいいと思います。(となりの芝生はソーブルー/つっきーさん)
スージーとお母さんの関係がとても気になっていました。発信者としても母親としても子供に対する言葉って、ちゃんと考えないといけないなと思いました。適当なことは言ったらアカンなと(笑)。かなり自分ごと化して観れました。(ママが自分を取り戻すラジオ/すぎべさん)
そして、今記事ではイベントの目玉である奥浜レイラさんとポッドキャスターの SHIBUさんのトークをレポートします! 現役ポッドキャスターならではの視点が楽しいお話が満載。ポッドキャスターを知れば、『 #スージー・サーチ 』が倍面白くなるかも!
対談:奥浜レイラ×SHIBU
ポッドキャスターの目線で観る『#スージー・サーチ』

(左)奥浜レイラさん (右)SHIBUさん
ポッドキャスターである主人公・スージーを描いた『#スージー・サーチ』。映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラ氏と、複数の番組制作をするポッドキャスターであり株式会社雑談代表のSHIBUさんによる『#スージー・サーチ』の魅力を語る対談をレポートします!
『#スージー・サーチ』は現代のヒッチコック!?
奥浜レイラ:自分は映画を紹介するお仕事をしているのですが、『#スージー・サーチ』を観たときに、「現代のヒッチコックがあらわれた」と感じました。ネタの明かし方であるとか、スリラーとしての持っていき方みたいなところもそうですが、それがちゃんと同時代性がある描かれ方をしている。
主人公がポッドキャスターというところや、スージーの歯列矯正が彼女にとってなんなのかとか、周りの人に承認してもらうために、彼女がどういう行いをしているのかという、そういったディティールがものすごくちゃんとしている。そのあたりが私たちと同じ時代を生きていると感じる監督だなと。
新しい才能に出会えて、映画ファンとしては素直に幸せだなと思いました。
SHIBU:僕はシンプルに面白かったなと思うのがひとつ。
映画雑談系のポッドキャスターさんたちの話を聞くと、セリフの一言一言をちゃんと追いながら、映画を観ると聞いた。僕としては恥ずかしい話なんですけど、すごくシンプルにいくつかある驚きの部分に素直に驚いていました。「え、あの人そうだったの?」って。
奥浜レイラ:一緒一緒!(笑)
SHIBU:「ああ、そういうことだったの」って。「もう一回観よう」みたいな感じで、シンプルに楽しみましたね。ネタバレ禁止なんですけど、でも結構序盤に……。
奥浜レイラ:そうなんですね。わりと早めにタネ明かしはされ始めるんですよね。
SHIBU:作品を観たポッドキャスターのみなさんの中には、自身の番組で語る人も多いと思うんですけど、どう語るんだろうなと思って。
奥浜レイラ:確かにどこまで話せるか難しそう。
SHIBU:(最初のタネ明かしシーンは)桃太郎で言ったら「桃割れた」くらいじゃないですか(笑)。まだここから先にいっぱいあるのにどう語るんだろう?

奥浜レイラ:今回、監督をされているソフィー・カーグマンですが、『#スージー・サーチ』が初めての長編となる女性監督なんです。
ソフィー監督はネタの明かし方などがとても独特というか。いろんな映画から影響を受けているのは分かるのですが、でもちゃんと自分のカラーを持っていらっしゃる方だなと感じます。
監督がおっしゃってたのは、『#スージー・サーチ』を撮る前にストーリーボードであるとか、ムードボードやカラーパレットもしっかり作って、色んなことを緻密に計算したそうです。その上で週に一回、スタッフを集めて、自分が目指す方向性を共有していたらしいんですよね。その中で、みんなとの共通言語として『アメリ』の配色であるとか、カメラワークなどを共有したみたいですね。意外だったのですが、『花様年華』などもあったそうです。
SHIBU:印象的なカメラワークも多かったですよね。
奥浜レイラ:カメラワークの部分はすごく細かく共有していたみたいです。
例えば、『#スージー・サーチ』の不穏さや暗い部分を映すときに、スージーの顔のアップが映りますよね。車のミラーに映るスージーの目だけであるとか。
そういうところをしっかりと散りばめていったのが印象的で、分かりやすい演出をするのではなくて、「ちょっとしたシーンでみんなに察知してもらう」みたいなところで観客をすごく信じている監督なんだろうなと感じます。
スージーはなぜポッドキャスターなのか

SHIBU:そして、『#スージー・サーチ』にはポッドキャストへの希望を感じました。
これがもし日本の監督で日本が舞台になった映画だったら、間違いなくスージーはYouTuberだったはずなんですよ。実際そういう作品がいくつかある中で、スージーは“ポッドキャスター”であると。ビジュアルで勝負せずに、声だけで勝負できるのがポッドキャストなので、“ポッドキャストを選んだスージー”というのも、監督は意味を込めていたりするのかなと感じましたね。
奥浜レイラ:日本だと『神は見返りを求める』(22)という吉田恵輔監督の作品があります。こちらはインフルエンサーがいいねやフォロワーの獲得に魅入られていくというストーリーで、YouTubeが題材だったわけです。
2021年にはジア・コッポラ監督の『メインストリーム』という作品がありましたけれども、それもYouTuberでした。さらに「ストレンジャー・シングス」シリーズのジョー・キーリーが出演する『スプリー』(20)という作品では、「スプリー」という配車サービスからスタートしていて、そこからお客さんを獲得しようとバズを起こしていくという話でした。
それが今、ポッドキャスターに変換されていっているんだなと。
SHIBU:そうですね。先ほど「希望を感じた」と言いましたが、そういうところだったりします。
今、アメリカのポッドキャストには、数十億円プレイヤーという人たちが存在します。なので、「人気者になりたい」とか、「稼ぎたい」みたいに思っているインフルエンサーがポッドキャストを選ぶのは不自然ではないんです。
日本ではポッドキャスターというものに馴染みがある人の方が少ないのが現状だと思うんです。けど、アメリカで起きたことって、規模の大小あれど、数年後に必ず日本でも起こっていることを考えると、ポッドキャストが当たり前のように受け入れられる未来がもしかしてあるのかなって。そう、思わせられたのが、個人的に希望を感じたっていう点だったんですね。
アメリカだと、ポッドキャストって政治とも結構結びついていて、やっぱり日本とは違う部分があるかなと思うんですけど。
アメリカと日本のポッドキャストシーンの違いとは
SHIBU:アメリカのポッドキャストと日本のポッドキャストで人気のあるカテゴリーは全然違うんですよ。海外では「本当にあった事件」などが根強く人気がある。
2014年に、本当にあった事件を独自の検証と捜査で追いかける、というポッドキャスト番組が人気になったんです。とある有罪判決が出た事件について、番組は「もしかして違うんじゃないか」と追いかけた。そのエピソードが反響を呼んで、結果、再審に繋がった。つまりポッドキャストが司法の判断に影響を与えた、という社会現象になったんです。
そこから爆発的にアメリカの加速度的なポッドキャスト人気っていうのが続いているのが現状なんですよね。
だから、そういう背景を知っているアメリカ人からしたら、『#スージー・サーチ』で、「スージーというポッドキャスターが現れて事件を解決する」というのはスッと入る冒頭だったんだろうなと思います。
奥浜レイラ:1ジャンルとしてかなり浸透しているんですね。
SHIBU:そうですね。犯罪を追いかけるポッドキャストというのは、「ああ、あれね」という、日本人にはない感覚が海外のリスナーさんにはあると思います。
奥浜レイラ:(アメリカでは)スージーが一攫千金ってこともあり得るわけですよね。
SHIBU:実際、『#スージー・サーチ』は人気が出て、人生が翻弄されていくみたいな話ですからね。
奥浜レイラ:日本においてのポッドキャストについては、様々なSNSがありますけど、一番安全な場だと思っています。もしかしたら、その辺りも海外と日本では状況が違うのかなと思ったんです。
SHIBU:そうですね。「バズりが狂気を呼び覚ます」というキャッチコピーにあるんですけど、日本のポッドキャストは「バズらないメディア」という認識は、やってる方は多分ある。
奥浜レイラ:だからこそいいっていうところですよね。
SHIBU:現状では(他メディアなどに)切り抜かれにくいので、ちょっと過激なことを言っても、リスナーさんはちゃんと手前とその先の話を聞いてくれている。だから、安全っていう話はみんなされますよね。
奥浜レイラ:聞く気がある人がちゃんと集まってる感じがしますよね。今後、状況は変わっていくんですかね?
SHIBU:個人的には変わるんじゃないかなと思っていて。検索で音声がヒットしだしているので、聞かずとも「この人はこの番組でこんなことを言った」みたいなことって多分起こり得るので、著名人のポッドキャストから、ちょっとした炎上じゃないですけど、ネガが生まれる未来は近く来そうだなとは思います。
承認欲求に翻弄されたことがある人におすすめ?
SHIBU:『#スージー・サーチ』は「予測不能なダークスリラー」という触れ込みだけど、結構コメディ要素の雰囲気も多いじゃないですか。展開も複雑なことが起きてるんですけど、明快にシーンが進んでいくのですごく見やすいなと思う。
いわゆる「承認欲求」とか、「バズ」とかそういったものが、どんなふうに人を狂わせていくのか?みたいな話。『#スージー・サーチ』は「SNSとの上手な付き合い方」みたいな生半可なものじゃなくて、誰もがインフルエンサーになる可能性のある希望だったり、恐怖だったりみたいなもの、あるいは、ポッドキャスターもそうですけど、X、Instgram、TikTokのアカウントを持っていて、バズとか承認欲求にちょっとでも翻弄された思い出がある人は絶対見ていただきたいし、これからそういった社会に飛び込む未成年の方にリテラシー教育の意味でも機能するんじゃないのかな?と思ったりもしましたね。
奥浜レイラ:そうですね。これだけアテンション・エコノミーみたいなことが、社会的にも問題になっている中で、ボタン一つでバズを起こせるツールを私たちは持ってしまっている。
SHIBU:ボタンで言うと、一個かけ違えるだけで本当におかしくなっちゃう。スージーは着ちゃいけない洋服を着ちゃったみたいな話だと思うんです。
奥浜レイラ:スージーに「こんなことしちゃダメだよ」って思う自分と、でもスージーの中の一つは自分も持っている感覚があるという、そういった怖さもあるじゃないですか。それって年齢問わず、現代の皆さんが持っている感覚かなと思って。共感とも違うのかもしれないですけど、鏡で自分を見せられているような瞬間もあるような気がしました。
SHIBU:実際ありましたよ。ポッドキャスターとして身につまされるものがあるじゃないですか。
奥浜レイラ:共感性羞恥的な意味でも、ぜひ映画館に観に行って、人がいるところで味わいたいよなっていうのは思いましたね。

バズりが狂気を呼び覚ます、予測不能なダークスリラー『#スージー・サーチ 』は、2024年8月9日(金)より公開です!
『#スージー・サーチ』作品情報
あらすじ:ポッドキャストで未解決事件について配信をしている大学生・スージー。配信を続けるも、なかなかフォローワーが増えず、孤独を感じていた。そんなある日、同級生で人気インフルエンサーのジェシーが行方不明になっている事を知る。スージーは独自の調査を始めると、配信中にジェシーを発見。この事で一躍脚光を浴び、誰もが羨む名声を手に入れたスージー。その後も、捕まっていない犯人を追い配信をするが、事態は思わぬ方向に転がっていく……。
◼︎上映日:2024年8月9日(金)
◼︎配給:SUNDAE
◼︎公式HP:https://sundae-films.com/susie/

