アユニ・D「好きとか嫌いじゃなくて、BiSHがないと生きていけない」、ナルハワールド&ナアユ、世界一壮絶な合宿オーディションを語る【インタビュー】

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ロックス

特異なオーラを放つアイドルたちを輩出する音楽プロダクションWACKが毎年開催しているのが、壮絶さを極める合宿型合同オーディション「WACKオーディション」だ。夢見る少女たちが嗚咽を漏らし、もがき苦しむその様子は、前作『世界でいちばん悲しいオーディション』(18)により劇場公開され、大きな反響を呼んだ。その第二弾となるドキュメンタリー映画『IDOL-あゝ無情-』が2019年11月1日より公開となった。

FILMAGAでは、WACKの筆頭グループ「BiSH」のメンバーであるアユニ・D、WACKのアイドル育成プロジェクト「WAgg」から「GANG PARADE」に昇格したナルハワールド、そして今回の合宿で合格し、WAggに新加入したナアユに話を聞いた。

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まさに“アイドル版フルメタルジャケット” 壮絶なオーディション合宿の7日間を映し出した映画『世界でいちばん悲しいオーディション』【インタビュー】

――ナアユさん、オーディション合格おめでとうございます! 率直なご感想をいただけますか?

ナアユ はい、候補生として今回合格しました。合宿の後、エキシビジョンというステージで合格が発表されたのですが、発表された時は全然信じられませんでした。お客さんがたくさんいて、一緒にオーディションを受けていた子たちは、その時に目の前で落ちました。よくわからない状況でさらにその後、「BiS」の解散も発表されたので、受かった実感がなかったですね。

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――なるほど。合宿は1週間でしたが、いかがでしたか?

ナアユ はい、辛かったですが、絶対意味があると思って参加しました。合宿ではダンスも全然できなかったのですが、渡辺(淳之介)さんに「候補生の中で一番変わろうとしていた」と言ってもらえて、それが変われるきっかけになりました。辛かったですが、やってよかったと思っています。

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――WACKの合宿は過酷で有名ですが、なぜあの合宿を自ら受けようと思ったのでしょうか。

ナアユ オーディションを受けたいと思ったきっかけは、去年の合宿オーディションを見て、ダンスや歌が出来ていない人もいて、その人たちが受かってアイドルになっていましたよね。最初からできる人でなくてもキラキラできる、それがすごくかっこよくて、受けたいと思いました。

――たとえ合宿がつらくても?

ナアユ そうですね。もともと自分に自信が持てなくて、ネガティブだったんです。何をやっても、たとえ褒められても、裏ではそんなこと思ってないだろうな、と捻くれた考えをしてしまう性格で。人に褒められても信じられなかったんです。自分に自信が持てなくて、でもなんかポジティブに活動している人が羨ましいなって思った時がありました。普通に学校生活も退屈と思うようになり、普段の生活も変えたい、性格も変えたいと思いました。

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――アユニ・Dさんは現役メンバーとして合宿に参加されましたが、合宿中のナアユさんはいかがでしたか?

アユニ・D ナアユちゃんは、候補生の中で一番話をしました。ダンスの審査があるのですが、それぞれグループ分けされるんですよ。私たち(現役メンバー)がリーダー的存在にならなくてはいけなくて。最終的に最後のパフォーマンスが全然最初と変わって、笑うのも辛くて、怒鳴られて笑えなかったし、本当に辛くてすごい泣いているのを見ていました。まるで、自分を見ているように感じましたね。

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アユニ・D 私は、BiSHに新メンバーとして途中加入したので、それまでは他のメンバーに教えられてきました。だから自分が教えるっていう経験をしたことがなかったんです。なのでどうやって教えたらいいのかとか、どういう言葉で伝えたら理解してもらえるか、全然わからなくて、だから私も今回のオーディションは勉強になりました。

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――ナルハワールドさんはいかがでしたか?

ナルハワールド 最初は緊張して怖かったです。どんな感じなのかわからなかったので。事前に動画を観ていても予想ができませんでした。日に日に周りの子が脱落していき「自分は落ちたくないな」と思いました。その思いは合宿が進むにつれ強くなりました。渡辺さんにも「WAggってこのレベルなの?」と言われて、それが悔しくて。毎日毎日、落ちたくないし、もっとちゃんと大きく、今までやってきたこと以上にできたらいいなと思って頑張りました。

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――今回、BiSの解散が映画のメインストーリーともなっています。アユニ・DさんはBiSの解散についてどう思われますか?

アユニ・D 私はWACKのほかのグループとはそんなに交流がありませんでした。合宿の時、私は集団行動が苦手なので、2階の部屋にこもったりずっと一人でいました。今回の映画はBiSの解散物語ですよね。それも、この映画を観て初めて知りました。BiSHに入る前からムロパナコ(BiS)は友達だったんです。私が全然知らないところであんなに泣きわめいたり、あんなに思いをぶつけていたことも、映画を観て知りました。すごい昔から関わってきた子なので、心が優しいことも私は一番わかってるし、それなのにあの子が泣きわめいたりしているのが、一番心が痛かったですね。

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――たしかに……。もともとの友達だったムロパナコさんのあの状態を映画で観るのは心が痛みますね。ナアユさんは、合宿の裏で起きていたことを知っていましたか?

ナアユ ムロパナコさんとは、合宿で同じチームだったので関わりが多かったです。私はダンスがほんとにできなくて、なにを教えてもらっても頭に入っていなかったんです。ムロパナコさんと一緒になったときに「なんで合宿に来たの?」と、そういう部分から同じ目線で知ろうとしてくれて、私が見ていたムロパナコさんは、候補生のことを一生懸命考えてくれていました。だから映画を観て知ったことがたくさんあり、びっくりしました。私の知っているムロパナコさんは、候補生ことを思ってくれる優しい先輩でした。映画を観て、BiSに対する想いや、わかったことがたくさんありました。

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――ナルハワールドさんはいかがでしょうか?

ナルハワールド はい、合宿中に何回かBiSのメンバーと同じグループになったのですが、前向きな言葉をたくさんいただいて「大丈夫だよ、頑張ろうもっと」と頼りになる人たちでした。みなさん一人ひとりがすごく優しくていい人なのですが、グループと個人では全然違うんだな、と思いました。

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――BiS解散について、劇中で渡辺さんは、大きな原因の一つに「グループを好きになれていないから」とおっしゃっていました。

ナアユ 合宿の後、実はWAggはBiSと近い環境にあったと聞きました。加入したばかりの私は意味がわかっていませんでした。考え方や目標など、未完成な部分がたくさんあり、BiSに近い、危ない状況だと言われたと聞きました。つまり、WAggを好きになれていない環境ですね。その時は入りたてであまり考えられていませんでしたが、WAggがなかったらオーディションを受けていなかったので、WAggが大事です。WAggが大好きなので、同じ状況にならないようにしたいです。

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ナアユ BiSのどこを見られていたかわからないですが、WAggのみんながどうなりたくて活動しているかわからなくて、WAggとして活動しているから気持ちを一つにしないといけないのに、そういう部分なのかな、と思います。

――口にするのは簡単なことなのですが「グループへの愛」、難しいですよね。

アユニ・D 私はBiSHのことを好き嫌いで考えたことがなくて、聞かれたこともありませんでした。私は好きとか嫌いでBiSHをやっていません。私は今、BiSHが生活の一部、人生の一部になっています。「好き」とかの次元ではないです。衣食住と同じ感覚でBiSHをやっています。私は今でもメンバーがなにを考えているかわからないです。今までの自分の人生で会ったことがない、たまたま奇跡的に集まった子たちで、仲が良いとか悪いとか考えたことはありません。6人全員が同じ方向見ないといけない、とも思っていなくて、女の子が6人も集まったらみんな同じ方向をみるわけではありませんし。

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アユニ・D この前大阪城ホールでライブをしたのですが、大阪はアイナ(ジ・エンド)ちゃんの地元で、大阪城ホールでライブをすることはアイナちゃんの夢でした。だからみんなそれに向かって頑張る。そんなかんじですね。なんでしょうね……必要不可欠というか、自分にはそれしかない、それがないと生きていけない。人生かけてみんなやっているので、グループへの愛は持っていると思います。

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ナルハワールド GANG PARADEに加入してまだ4か月なので、いまだにわからない部分はあるのですが、いろいろやっていく中で、そこにいられるのが嬉しいです。だけど、まだ「ここにいていいのかな」という感じはあります……。GANG PARADEは好きだけど、まだ自分がいていいのか、という遠慮はありますね。ただ、「ここじゃないとやっていけない」という気持ちはあります。(取材・文=ロックス、写真=映美)

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映画IDOL-あゝ無情-』は2019年11月1日(金)より、全国順次公開。

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出演:オーディション候補生、BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE、WAgg ほか
監督・編集:岩淵弘樹
プロデューサー:渡辺淳之介
公式サイト:aa-mujou-movie.jp
(C)WACK INC.

アユニ・Dさん、ナルハワールドさん、ナアユさんチェキを各1名さまにプレゼント!

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・「応募動機」欄に希望メンバーのお名前をご記入ください(アユニ・Dさん、ナルハワールドさん、ナアユさん)
・応募締切 2019年11月8日(金)23:59までのご応募分有効

【応募資格】
・Filmarksの会員で日本在住の方

【応募方法および当選者の発表】
・応募フォームに必要事項をご記入の上ご応募ください
・当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます

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  • mm
    3.7
    当時はムロに感情移入しすぎて、なんで!なんで解散なの?!ムロ頑張ってたじゃん!!!ってなりながら観てたけど、改めて観るとここで解散してくれてよかった。 だいすきだったBiSを嫌いになるまえに解散してくれてありがとう。 がんばったことぜーんぶ、じぶんで無駄にしちゃうのほんとうに無情すぎるナ。 もう2度と観たくないっておもって映画も観に行かなかったけど、最推しはメンバーもグループも最高だったのでなんだかんだまた観れてよかった。
  • しゃぼ
    4.5
    何度目かもう数えていませんが再鑑賞。 個々人のキャラクターの立ち方やポテンシャルを考えればWACK史上随一だった2期BiSがこんな風にポシャってしまったという事実の大きさを考えると、その最期を痛々しいほど隅の隅まで記録したこのドキュメンタリーにはとてつもない価値がある。 プロになりきれなかった女の子たち、プロにさせてあげられなかった大人たちの間に広がる溝は恐ろしいほど大きい。「ひとつになる」「まとまる」という口で言うには簡単すぎる言葉があまりに空虚に響き続ける劇中。下された結果を受け入れられないメンバー、受け入れてどう落としに行くか考え始めるメンバー。そこに至るまでずっとひとつになれなかったよね。 「マネージャーだった時のくせで未だにこれやっちゃうんだよ。」解散ライブでペットボトルの封をひとつひとつ切る社長。シーンが変わってそれをなんの疑いもなくひとつとって飲み、その場に置いてステージに向かうメンバー。この一連のやり取りに2期BiSというグループがなぜ終わらなきゃいけなかったのかが詰まっている気がした。 2期BiS解散から4年と言う年月が経過し、2期BiSの面々は全員WACKを去った。未だアイドルを続けるメンバーも多い中、ひとりとして突き抜けた活躍ができていない現状。 あのオーディションの最終日、脱落が決定した後「大丈夫。次また頑張ろうよ。」とムロに励まされていた女の子は、後にトギーになり、2023年現在3期BiS唯一のオリジナルメンバーとしてステージに立っている。 『大人は全然信じたくはないよ。今の私も嫌い。でも信じようかな。』このパンチラインを全身で叫んでいたあの時のムロパナコというアイドルを私は未だに愛しているし、ボロボロになって何もかもがわからなくなってもあの合宿を駆け抜けたあの儚さはずっと私の記憶に残り続けるのだと思う。
  • だーまつ
    3.4
    あまり知らないBIS、の裏側を捉えたドキュメンタリー。 最後のパフォーマンスにこれまでの経験、努力は素直に伝わるものがこちらにもあるし、決して彼女たちにとって無駄な時間など無いとは思う。 この歳になって人を育てるという立場にも自分は立たなければならないし、僕の尊敬する指導者も先日亡くなってしまったが、上に立つ人間との波長が大きくズレた瞬間から組織は大きく崩れていってしまう。どんなに頑張ってもベクトルの一致が肝心。 対話を重んじることは、今の世の中の若者にとても大切だと思った。
  • げるにか
    3
    2期BiSの消耗に反比例して結束を強めるギャンパレとの対比構造が残酷だった以外はドキュメンタリー風エンタメの様相を呈していたし、ジュンジュンの物語でもあるような作りにひたすら疑問符。 アイドルの搾取問題提起してる割には搾取してるし結局抗えていないのは世界を変えるどころか加担してるのでは?、と思わざるを得ないですね。
  • いちゃん
    2.8
    悲しい。アイドルってすごい
IDOL-あゝ無情-
のレビュー(1143件)