約12年もの歳月をかけて制作されたSFアクション映画『メカバース:少年とロボット』が、2月28日(金)より世界に先駆け日本で公開される。

今作の制作に人生を賭けて挑んだのは、中華圏を代表する映画賞・金馬奨で2004年当時若干25歳にしてノミネートされた新進監督、RICH HO。
少年とロボット物という、日本、そして世界で脈々と受け継がれてきた系譜にまた新たな大作が誕生した。本稿では、そんな『メカバース:少年とロボット』の魅力をたっぷりとお届けする!
『メカバース:少年とロボット』(2023)あらすじ

人類が宇宙の謎を解き明かし、宇宙空間を自由自在に行き来できるゲート・ヘブンズを開発した未来。水が貴重な資源である宇宙では、地球の水を求めて火星軍などとの第二次宇宙戦争が勃発。父と母の想いを継いだ少年・カイは、地球を守るためにロボットのパイロットを育成するアカデミーに入学した。頭脳明晰ながらも体が弱く落ちこぼれのカイ、は仲間に支えられながら、AI搭載ロボット・リトルドラゴンと心を通わせて互いに成長していく!
高度なVFX技術と日本特撮へのリスペクトを感じさせる、懐かしくも新しい「新感覚」映像体験!

まずは、この細部まで拘りを感じる華麗なロボットデザインに注目したい。あまり戦闘向きではなさそうな装飾の多いデザインだが、しかしそれこそが、我々が夢見る戦闘ロボットであることに間違いはない。1979年シンガポール生まれのRICH HO監督も同じ感性であることが、彼のロボット愛や特撮物へのリスペクトを感じさせる。
ロボットの動きは最新のモーションキャプチャー技術を多用しており、なんとRICH HO監督自らがモーションアクター役を務めて、6台のカメラで撮影した映像をもとに、才能あるアニメーターたちが手作業でアニメーションを作成したものだ。その動きはとても人間的で、どこか温かみを感じる。革新的なVFX技術だけでなく古き良き特撮技術を融合させたことで、懐かしくも新しい新感覚の映像体験が生まれた。

少年とロボット物で核となるのは、少年とロボットが心を通わせることで共に成長する「絆」のストーリーだ。本作では、悲しい過去を背負った少年・カイがロボット・リトルドラゴンと心を通わせることで、険しい壁を乗り越える姿が感動的に描かれている。個性的で頼もしい仲間たちや厳しくも愛のある上官たちとのコメディシーンも多くあるので、壮大なSF物語をテンポよくリズミカルに楽しむことができる。

さらに本作の見どころのひとつとして、同じ俳優がひとつの配役を演じ切っているところにも触れておきたい。カイの幼少期はなんと、RICH HO監督の息子が3歳、8歳を通して演じている。この長い撮影期間の中で、役者それぞれの成長や熟成を感じられるのも感動ポイントだ。
そして日本語版の吹き替えには、様々な人気アニメや映画で活躍するなんとも豪華な声優陣が集結した!
カイ役:小野賢章
リトルドラゴン役:花江夏樹
曹長役:森川智之
大尉役:津田健次郎
ジン役:伊藤健太郎
システムドラゴン役:ファイルーズあい
リトルドラゴン役を演じた花江氏は、「ロボットではありますが、無機質な中にも温もりを感じていただけるように声を吹き込みました」と語っている。日本の観客はよりカイとリトルドラゴンの成長物語に深い感動を得られることだろう。
また、RICH HO監督自身が「子供と一緒に楽しめる映画にしたい」という思いを込めて制作しており、子供にも伝わりやすく大人も心動かされるストーリーと映像技術はまさに、親子で映画館の大スクリーンで楽しむにぴったりな作品である。
ひとり7役をこなしたRICH HO監督「本当はそうしたかったわけじゃなくて…」魂を注いだ12年間の裏側にあるものとは?

今作ではなんと、RICH HO監督が7役(プロデューサー、監督、脚本家、撮影監督、作曲家、美術監督、視覚効果監修)を務め上げている。
RICH HO監督の壮大なプロジェクトに興味をもった企業から協力の申請もあったが、制作に対するスタンスの違いから「役割を自分で引き受けるしかなかった」として、結果的に7つの役割を自分で担うことになったそう。
しかし、そのどれもが仕方なくやったレベルのものではないことは本編を見れば明らかであるし、RICH HO監督の熱意こそが今作の大きな魅力のひとつだ!
2012年に企画構想がスタートして2023年に一度日本でプレミア上映の後、2025年の日本公開までの間に費やされた今作の制作過程は、困難そのものだった。

まずは短編映画を予定していたが追加出資が拒否されてしまう。次にR&D(企業の技術を研究・開発し新たなビジネスを生み出す取り組み)として多数の企業の協力を得て撮影が進むがそれも終了。商業向け長編映画のフランチャイズを目指してRICH HO監督自身が映画会社を設立。オーストラリアから支援も得るが、新型コロナウィルスの影響で映画制作に様々な制限を受けてしまうなど、様々な困難が降りかかった。
しかし、そのコロナ禍に偶然出会った日本人との出会いが、今作の運命を変えたのだ。その出会いから日本への縁が連鎖し、配給が決まり、遂に2025年の日本公開へと結実したのである。
RICH HO監督の奮闘こそが、火星軍と戦うカイの姿そのものであり、相棒のリトルドラゴンはRICH HO監督を信じた俳優・スタッフを重ねることができる。このようなメタ視点で観ることでより感動が増すであろう。
【Q&A】RICH HO監督 インタビュー

Q1:12年の制作過程で、特に印象的だった出来事はありますか?
A.たくさんあるが、特に印象的な2つの出来事を紹介しよう。
灼熱のシンガポールでの過酷な撮影
2013年11月、撮影初日は30度を超える炎天下で、台本を読むと、場所は排水された貯水池でなければならず、水を汲みだし泥と草だらけで、ともかく荒涼とした寒々しい様子でなければならなかった。甲冑をまとったキャストたちが泥まみれになりながら戦い、走るシーンの撮影だったのだ。そんな状況下であっても、誰一人不満を言わず、まるで戦友のように支え合ったのだ。撮影が終わり、ギアを積み込んだ帰りの車の中で、僕は感動してみんなに感謝をした。でもみんなは、戦いはひとりでするものではないし、これはみんなで行く長征の始まりだと言ってくれた。このことは特筆すべきことだと思う。僕はこの時学んだ。僕たちは一生懸命に働き、時にはひとりで始める必要もある。それでも、他者を思いやり、支え合う心を失わなければ、同じような考えをもつ仲間が集まる、と。
日本での初リリースと家族との特別な夜
2023年11月、日本で最初の限定リリースをした時のことだ。実は、僕はキャストやクルー、そして家族にも映画の全貌を秘密にしていた。まして家族は、ロボットのスペースバトル映画を作っていて、とっても面白いらしいということは知っていたが、具体的なストーリーについては誰も知らなかった。
だから日本で初めて公開されることが決定した時、子供たちは大興奮しみんなで映画館に向かった。しかし、夜遅い上映のため子供は入場ができないと言われ、僕たちは酷く落胆した。
しかし、僕たちがシンガポールに帰る前の最後のチャンスとして、15:45の上映が予定されていることがわかった。しかしそれは、東京から遠く離れたつくば市の映画館だった。時間通りに到着するのは難しいかもしれないと思ったが、息子の「11年待ったんだから、2時間半の移動くらい大したことない」という言葉に励まされ、遠くつくば市まで向かい、ついに映画を観ることができたんだ。
映画は日本語で字幕もなかったから、ほとんど分からなかったと思う。しかし上映後、彼らの表情を見て「この顔が見たくて映画を作ったんだ」と実感した。映画を観るという目的を果たすために「ネバー・ギブアップ」の精神を子供たちが学び、映画のテーマそのものを親子で体現する経験となった。僕たちは最初、本当にがっかりした。でもあきらめずにいたおかげで、奇跡が起き、イオンシネマで上映してもらえるようになった。とても感動したんだ。特筆すべきことは多々あるけれど、この2点を紹介したい。
Q2:最初のリリース地に日本を選んだのはなぜですか?
A. 僕が日本を選んだ、というのはおこがましいかもしれない。日本はメカ・ジャンルの発祥の地だが、僕は日本風のモノを作りたかったのではなく、どんな年齢層の人も楽しめる映画を作りたかったのだけれど、その結果行きついたのがロボット、メカ・ジャンルだったんだ。
そして映画が出来上がった時、開かれていた日本でプレミア上映が決まり、さらに2025年2月に再度リリースしてもらえるという奇跡が起きた。これも是非みなさんに知ってもらいたい僕たちの長い道のりにおける奇跡の一つだ。だから僕が日本を選んだ、というのではなく、日本でリリースできたらいいな、という見果てぬ夢が思わぬ形で叶えられた、ということだ。皆さんに感謝と愛を届けたい。日本は夢の地であり、そしてその夢が奇跡的に叶った、ということだ。
Q3:『メカバース:少年とロボット』の構想の際に、インスパイアされた映画やアニメ、ドラマはありますか?
A.よく聞かれる質問だが、この物語は2012年10月8日に突然頭に浮かび、数日間没頭し構想を練り上げたんだ。
最初から「子供も大人も楽しめる作品」にしたいと考えていたのだが、それは意外と難しく、子供には難解すぎず、大人には単純すぎないバランスを取る必要があった。そのため、キャラクター造形を最優先にすることにした。キャラクターが立てば、話が動いていくからだ。どんなキャラクターか、友人はいるか、二人の友人のうち一人がジャイアント・メカになるなら、パイロットとの関係性はどうか……など、まずは設定から固めていった。
ストーリーはなるべく単純明快になるように工夫し、多少の動きはあっても子供たちが混乱しないよう基本に忠実に進むように心がけた。その基本線をもとにアクションやキャラクターの出会いが絡むように動きを作り、大人にも起伏を楽しんでもらえるように工夫した。そうした意味では、初期のディズニー映画に影響を受けたともいえるだろう。物語はシンプルで、単純に映画を楽しむ。そして大人も子供も、家族や友だちとも楽しめる。インスピレーションを得たというのなら、まずはそれだと思う。
また、幼少期に影響を受けた「ウルトラマン」「ドラゴン・ボール」、「超時空要塞マクロス」など日本の作品も大きなインスピレーションとなっている。シリアスで哲学的なメカの物語は、『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』といった日本の名作によって既に語り尽くされている。そこで僕は、コメディや楽しさ、冒険に満ちたメカの物語を提供しながら、メカファンをワクワクさせるような“小ネタ”を随所に散りばめるという方向に舵を切ったんだ。『メカバース:少年とロボット』は完全なオリジナルストーリーだが、こうした作品の精神を受け継ぎ、子供と大人の両方が楽しめる作品を目指したんだ。
Q4:『メカバース:少年とロボット』の今後のストーリー展開予定はありますか?
A.『メカバース:少年とロボット』は、練り上げた6つの構想プランのうちのひとつであり、今後もこの世界観を広げていきたいと思っているのだ。まずは『メカバース:少年とロボット』の世界観におけるフルバージョンのストーリーだが、今の視聴者は前提ストーリーよりも続編を好む傾向にあると思う。なので、次に来るのは、この世界観につながる話やキャラクターだ。だから今回の映画で「カイとリトルドラゴン」のストーリーを進め、いつかはこれに繋がる他の5つのストーリーを紹介できたらと思う。
実は映画の端々に、次の展開を匂わせる要素を仕込んでいるんだ。今回の登場人物の中にも、そうした他のストーリーの中からやってきて、そしてこれから先のストーリーで大きな役割を担う者たちもいる。今ここで詳細を語ることはしないが、全ての物は『メカバース:少年とロボット』に繋がっており、そこからさらに広がる世界を描く計画があるのだ。
Q5:今後、日本以外での展開の予定はありますか?
A.答えは「Yes」。今はオリジナルから各国語へのバージョン制作の完了を待っているところだ。もちろんシンガポールでの上映は決定しており、他の国々でも公開予定だ。

2024年7月にモントリオールのファンタジア国際映画祭で上映された時、多くの人が何時間も待機列に並んでいた。シンガポール映画として初めて「Best First Feature Film(最優秀新人長編映画賞)」にノミネートされた時だ。祖父母、両親、そして子供たちが一緒に開場を待っているのを見た時は、本当に感動した。世代を超えて、見知らぬ人同士が笑い、泣き、感動を共有する。そうした経験がまたどこかの映画館で繰り返されるというのはとても素晴らしいことだと思う。シンガポールでは老舗の映画館での上映がすでに決定しており、その他の配給会社からも話が来ている。さらに他の国々でのリリースについても、近いうちに正式なアナウンスができる見込みだ。
Q6:Filmarksユーザーに向けて、メッセージをお願いします。
お伝えしたいことはたくさんあるが、ひとつだけ。映画のテーマは「ネバー・アローン、ネバー・ギブアップ(決して一人じゃない、絶対にあきらめない)」だが、それは映画を見ることで感じてもらえると思う。そして、もうひとつ大きなメッセージがある。この映画を作り始めて、みんなに「いつできるの?」と聞かれ、その度に「来年だよ」と答えて、気が付いたら12年経っていた。
その間、苦しみもあったし、裏切りにもあったし、困難にもたくさん直面した。非難もされた。ただの夢追い人だとか、無責任なやつだとか、いろいろと言われてきた。そして多くの人が、僕と同じ体験をしていると思う。そうした中で、映画の完成やその後のことも考えなければならず、とても大変だった。もし希望がなければ、とてもやれなかったと思う。その希望は毎日の祈りの中で見つかった。共にいてくれた友人、僕を信じてくれた人々、そして共に働いてくれた世界中の仲間たちの中にあったんだ。言語も文化も違い、学ばなくてはいけないことも多々あったが、最終的にはみんな僕の友だちになった。お互いに学び合い、共に歩くことで、僕たちは争う代わりに仲良くひとつのチームになることを覚えた。不安定で不寛容な今の世の中にあって、この国際的なクルーやアーティストが協力して作り上げたこのプロジェクトは、一緒に働くだけでなく、愛と、ジョークと、情感をもって、調和のうちに共に在ることができるというひとつの例を示すことが出来たのではないかと思う。
僕はこのプロジェクトを通して、人は決して一人ではなく、希望を持ち続ければ、最終目的地にたどり着けるということを知ったんだ。困難はもちろんあるけれど、希望があれば一歩一歩進んでいくことができる。「ネバー・アローン、ネバー・ギブアップ(決して一人じゃない、決してあきらめない)」は確かに映画のスローガンだが、12年間の制作の歩みこそがこの言葉を体現している。映画だけではなくすべての人の人生において真実であり、そして世界中の人々と分かち合いたいメッセージである。

少年とロボット物を通ってきた大人はもちろん、親子でも楽しめるSF超大作映画『メカバース:少年とロボット』は、2月28日(金)より全国で公開。是非この機会に、劇場でご鑑賞いただきたい!
『メカバース:少年とロボット』作品情報

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※2025年2月21日時点での情報です。
