今回は「映画にまつわる本」についてのご紹介です。
どんな映画を見ようかな? あの映画ってどんな風に評価されたのかな? この映画の感動をどうやって言いあらわしたらいいのかな?
そんな時に手にとって読んでいただけましたら幸いです。
今回は既読本&割と新しめな本をピックアップさせてもらいました。
「どんな映画をみようかな?」な時にオススメの本
90年代アメリカ映画100
(大場正明 監修/佐野享 主編/芸術出版社/2012.4.3)
出典:http://www.gei-shin.co.jp/books/ISBN978-4-87586-315-1.html
90年代に発表されたアメリカ映画のヒット作を50作品以上にわたって紹介している今作。
ただの作品評ではなく、映画を取り巻く社会背景を、映画が映しだす時代の色を、豪華執筆者20名以上が様々な考察によって言及していっているところが特徴的な1冊です。
コラムの一つ、「アカデミー作品賞に見る90年代アメリカ映画界の様相」(町山智浩さん)では、あの当時の受賞作に対しての「作品の質」<「多額のキャンペーン費」という語り口が驚き&大変勉強になる内容でした。
同シリーズにて、現在「60年代」、「70年代」、「80年代」、「ゼロ年代」が発売されております。一作一作丁寧な紹介&解説が付いておりますので、今後の作品選び、作品評価の助けになることかと思われます。
出典:http://www.gei-shin.co.jp/books/ISBN978-4-87586-274-1.html
出典:http://www.gei-shin.co.jp/books/ISBN978-4-87586-374-8.html
マサラムービーから新感覚インド映画へ インド映画完全ガイド
(松岡環 監修/世界文化社/2015.10.08)
出典:http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/15247.html
『きっと、うまくいく』『マダム・イン・ニューヨーク』など近年大ヒットを続けるインド映画の完全ガイドです。
出版されたのが最近と言うこともあり、踊るものから踊らないものまで、今まさに注目すべきホットなインド映画情報が掲載されている1冊です。
「タミル語映画」、「ヒンディー語映画」等インド映画のバラエティ、及びインド映画界の大スターたちの活躍がまるわかりな内容ですので、初心者から映画通の方まで楽しめる1冊かと思われます。
韓国映画 この容赦なき人生 〜骨太コリアンムービー熱狂読本〜
(園子温 他 著/鉄人社/2011.11.26)
出典:http://tetsujinsya.co.jp/eccube/html/products/detail.php?product_id=183
「読むだけで韓国映画のパワーが体験できる映画ファンの必読書!」。
行定勲監督、山下敦弘監督、三池崇史監督、園子温監督、宮藤官九郎さん、寺島しのぶさん、竹中直人さん、新井浩文さん等々、とにかく豪華な執筆者陣が韓国映画の魅力を思いのままに語っている、ためになる&文章自体が面白い1冊です。
評論家の塩田時敏さんによる「韓国映画の監督・俳優の魅力」解説も載っているため、これから韓国映画にどっぷりとつかっていきたい方にも分かりやすいつくりとなっております
フランス映画史の誘惑
(中条省平 著/集英社新書/2003.01)
出典:http://books.rakuten.co.jp/rb/1520484/
「リュミエール兄弟による映画の発明から『アメリ』まで、フランス映画100年の魅力を余すところなく伝える最良のガイド!」です。
フランス映画の歴史は映画自体の歴史といっても過言ではなく、新たな撮影技法に挑んだ30年代の「アヴァンギャルド」、洗練されたドラマが際立つ40年代の「詩的レアリスム」、そして映画界に新しい波を起こした60年代の「ヌーベルバーグ」等々、映画の歩みが伺える内容に読む手が止まらなくなってしまう1冊です。
映画とは何か ─フランス映画思想史
(三浦哲哉 著/筑摩書房/2014.11.12)
こちらの1冊もオススメ。より一層フランス映画、ひいては映画そのものに肉薄していける内容となっております。
出典:http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0179-f/
「映画をもっと知りたいな!」な時にオススメの本
ハリウッド白熱教室
(ドリュー・キャスパー 著、NHK「ハリウッド白熱教室」製作班 著/大和書房/2015.01.20)
出典:http://www.neowing.co.jp/product/NEOBK-1764976
NHK Eテレで人気を博した「ハリウッド白熱教室」が完全書籍化。ジョージ・ルーカスらを輩出した名門大学南カリフォルニア大学映画芸術学部の名物教授・ドリュー・キャスパー教授によるユーモア&洞察力に富んだ講義内容をまとめた1冊です。
「生きてるうちに絶対に観るべき名作映画」を題材に、 脚本、ビジュアル・デザイン、撮影、編集、音響効果の優れたポイントをピックアップ&徹底解説しております。
無機質な技術論にはない熱さと分かりやすさが備わっている、軽快に学べる一冊ですので、名作を鑑賞しながらふむふむと読み進めていただけたらと思います。
Film Analysis 映画分析入門
(マイケル・ライアン+メリッサ・レノス=著|田畑暁生=訳/フィルムアート社/2014.10.22)
出典:http://filmart.co.jp/books/history_theory/2014-10-22wed/
「映画を批評的に見るためには、どこから始めればいいか」。映画をただ観るだけではなく、映画を自らの口で語るため、評価するために必要なポイントを「技法」と「批評」の両面から分析した1冊です。
難解になりがちな映画分析本の中にあって、本書はとにかく画像が多く、カメラワーク等「技法」のひとつひとつが理論整然と分かりやすくまとめられているところが特徴的だと思います。
また、「歴史的批評」、「ジェンダー批評」、「政治的批評」といったような、映画を眺める視点をそれぞれカテゴリー別で説明してくれているところが面白く、より実践的な批評の仕方を学ぶことができる内容だと感じました。
「映画をもっと好きになりたいな!」な時にオススメの本
著者の語り口が面白すぎて、映画がますます好きになってしまう4冊
映画時評 2012-2014
(蓮實重彦 著/講談社/2015.07.08)
出典:http://bookclub.kodansha.co.jp/title?code=1000025582
画面の中に映り込むひとつひとつに目を向けた、映画批評界の重鎮・蓮實先生によるアカデミックな批評が味わえる1冊です(『グランド・ブタペスト・ホテル』、『さらば、愛の言葉よ 3D』etc.)。
皆殺し映画通信天下御免
(柳下毅一郎 著/カンゼン/2015.2.7)
出典:http://www.junkudo.co.jp/mj/products/detail.php?isbn=9784862552921
愛するが故の辛口批評なのでしょうか?ぼろクソに言われていることで逆に観たくなってきてしまうような、そんな不思議な感覚に陥ってしまう、愛憎入り混じった可笑しな1冊です(『STAND BY ME ドラえもん』、『黒執事』etc.)。
ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)
(長谷川町蔵、山崎まどか 著/DU BOOKS/2015.08.06)
出典:http://classicsrecords.net/?pid=92492618
アメリカのティーン文化を中心に、YA小説やヒット曲、リアリティーショーやSNSなど、現代人の生活を「映画」に絡めて面白×詳しく紹介してくれている1冊です(『きっと、星のせいじゃない。』、『フランシス・ハ』etc.)。
前田敦子の映画手帖
(前田敦子 著/朝日新聞出版/2015.04.20)
出典:http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16990
映画館での目撃情報が多数寄せられている、映画大好き女優・前田敦子さんによる、「AERA」の連載「前田敦子@試写室」をまとめ&加筆した1冊です(『苦役列車』、『ブラック・スワン』etc.)。
まとめ
その他、人気監督の魅力に迫ったフィルムアート社の監督インタビューシリーズ。
出典:http://www.filmart.co.jp/new/post_150.php
『ティム・バートン[映画作家が自身を語る]』(マーク・ソールズベリー 著・遠山純生 訳/フィルムアート社/2011.07.18)
出典:http://www.yosensha.co.jp/book/b208654.html
映画秘宝社系のエッジが効いた面白本、『別冊映画秘宝 厭な映画』(別冊映画秘宝編集部 他 編、高橋ヨシキ 他 著/洋泉社/2015.09.09)等々についてもご紹介していきたいところではありますが、とりあえず今回はここらへんでお終いとさせてもらいます。
出典:http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-335781
もちろん、淀川様や佐藤様、あるいは『ゴダールの映画史』やアンドレ・バザン著の『映画とは何か』等々、もっともっと映画の深みにハマっていける本もございますので、またいつかご紹介していきます。
出典:https://unsplash.com/photos/xZiHAa09Jcs
映画をもっともっと好きになれるよう、映画の魅力をもっともっと感じられるよう、わたしもあれこれ今後とも読んでいこうかと思っております。
皆様も、秋の夜長に面白映画本を読まれてみてはいかがでしょうか?