毛嫌いせずに見てほしい!意外と知られていない時空を旅する2つのSF超大作 

ミニシアター好きな大学生

Moca

もうすぐ年末年始のお休み、家でのんびり過ごされる予定の方も多いですよね。そこで、こういう時間がある今こそ普段忙しい時にはなかなか手が出ない一味違ったSF超大作に挑戦してみませんか?

今回はそんな大作の中でも時空を超えた映画体験ができる隠れた名作を2本ご紹介します。あまり知られていないけれど実は評価が高いもの、そして1月にはアカデミー賞のノミネートが発表されるということで、過去のアカデミー賞では日の目を見ることができなかった作品を再評価する意味も込めて改めてスポットライトを当ててみたいと思います。

SFが好きな方はもちろん、映像美に浸れたりロマンチックな要素も多かったりと、そうじゃない方でも楽しめる作品です。

ミスター・ノーバディ(2009) 137分

ミスター・ノーバディ

今から77年後の2092年の未来では、医学の発達により人類は永遠の命を手に入れて謳歌しています。しかし、その中でただ一人あえて死ぬ運命を選んだ男性がいました。彼の名はニモ・ノーバディ。

人々はそんな選択をした彼の過去に興味を持ち、ニモは取材に訪れたジャーナリストにこれまでの人生について語りますがその内容は矛盾ばかりで一体どれが本当の話なのか分かりません…。

一言でいえば、パラレルワールドが描かれたこの映画。

「今」という時間は過去に自分がした選択の積み重ねで成り立っているわけですが、この物語ではもし選択をしないで同時にいくつかの人生を生きることができていたとしたら?という想像の世界が描かれています。「選択をしなければすべての可能性は残る」という言葉が象徴的で、私たちを子供の頃の幻想にいざなってくれます。

この映画は日本ではあまり知られていませんが、見た人たちの評価がとても高く「完璧」という声も多く見受けられます。緻密に練られた物語の構成や圧倒的な映像美、音楽やキャスト選びのセンスなど、個人的にもかなり好きな作品です。見た後に他の人の意見も聞きたくなってしまう映画でもあるので、もっともっとたくさんの人に知っていただきたいです。

さらに北米版は日本で見られるバージョンよりも20分程長く結末も違うので、できれば両方見ることをおすすめします。同監督の『トト・ザ・ヒーロー』という映画もテーマや世界観が似ているので合わせて見ても楽しめると思います。

(C)Pan-Européenne Photos: Chantal Thomine-Desmazures

アカデミー賞関連ポイント

主演のジャレッド・レトは『ダラス・バイヤーズクラブ』で2014年アカデミー賞助演男優賞を受賞しゲイ役での熱演が話題となりましたが、今作でも108歳のおじいさんに特殊メイクでなりきったりと、1人5役(実際にはそこからさらにいくつかのキャラクターに枝分かれするのですが…)に挑戦していて、その演技力の高さが見受けられます。

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クラウド・アトラス(2012) 172分

クラウド・アトラス

時代も場所も違う6つの物語が絡み合いながら並行して進んでいくSF超大作です。

『マトリックス』のウォシャウスキー姉弟とトム・ティグヴァが監督を務め、キャストもトム・ハンクスやハル・ベリー、ジム・ブロードベンドなど豪華な顔ぶれにもかかわらず、本国アメリカでは興行収入が振るわしくなくアカデミー賞にもノミネートされませんでした。一体どうしてなのでしょうか?

映像化は難しいと言われていた小説が原作というだけあって、ストーリーだけ聞くとなんだか難しそうと敬遠されがちで、時間も3時間弱と長め…。確かに少しカルト的で独特な雰囲気もあって好き嫌いが分かれる映画ではあるかもしれません。

でも、実際見た人たちの間ではもう一度見たいという声が多かったことでも知られていて、その衝撃的な内容に魅せられる人続出のようです。映画に出演するトム・ハンクスも言うように、2回目、3回目に見て初めて気づくことも多い作品です。

ちなみに私も3回も見てしまいました。ストーリーの展開がテンポよく進むので3時間という時間もそれほど長くは感じませんでした。

さらに監督たちも「我々の最高傑作」「大満足していると同時に、先に進むのが少し怖いほど」と自ら大絶賛で、豪華なキャストたちにも「こんな作品にはもう出会えない」と言わしめました。

輪廻転生がテーマになっているけれど、その中核を成すのは人とのつながりや今を生きるということ。難しそうと毛嫌いせずに、ぜひ見ていただきたい作品です。

(C)2012 WARNER BROS. ENTERTAINENT INC.

アカデミー賞関連ポイント

主要キャストの1人ベン・ウィショーは、先日発表されたオスカー有力候補として名前が挙がったエディ・レッドメイン主演の映画『リリーのすべて』で彼の恋人役を演じています。

『クラウド・アトラス』では前作に続いてトム・ティグヴァ監督とタッグを組み、現在公開中の『007 スペクター』のQ役としての人気も高く、名実ともに着々と頭角を現している様子。さらに来年も『パディントン』や『白鯨との闘い』など話題作の公開が目白押しです。

本作を含めゲイの役を演じることが多いベン・ウィショーですが、実生活でもゲイであることを認めていて数年前に撮影スタッフの1人と同性婚をしています。美しい顔立ちに詩的でどこかミステリアスな雰囲気が魅力的で、優しくて朗らかな話し方にも癒されます。ぜひ注目していただきたい俳優さんの1人です。

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おわりに

本当にいい映画は見たあと誰かに話したくなったり、誰かと一緒に見たくなったりしますよね。

紹介した映画は私が思う「本当にいい映画」なのですが、以前人におすすめしても難しそうだし長いし…となかなか見てもらえなかったものです。でも、もっといろいろな人の知ってもらって評価されるべきなんじゃないかなという思いから今回ご紹介させていただきました。

これをきっかけにこの記事を読んでもらった方にとっても素晴らしい映画体験が訪れればうれしいです。

 

※2021年6月9日時点のVOD配信情報です。

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  • Hana
    4
    面白かった 選択と思えないような選択ですら、私の人生においてとっても重大な結果をもたらしてるの  あの時バーガーキングじゃなくてマック食べてたら今の私はいない訳で なんならあの時ワッパー頼んだかワッパーJr.頼んだかでも今の私は全然違ったかも。 だからこそ出会いを大事にしたいし、全力で感謝してます🥰
  • 集団卒業式
    4.8
    これぞアカシックレコード…
  • BBSchan
    4
    友人からいただいた謎の円盤2本目。 中身も分からないまま始まった映画がこれ。 ベストムービーに設定されてたのでなんとなく見覚えがあったけど、中身は当然知らず。同じタイトルの映画あるよなーって思いながら、雰囲気はトゥルーマンショーとかバタフライエフェクトっぽさを感じながら鑑賞。 ストーリーはなかなかに哲学的。正直理解が及ばない部分も多々ありながらも赤青黄色の女の子達と繰り広げる複数の世界線が二転三転する映像は見てて面白いし、伏線回収されてるような気持ちよさがありました。 テーマは人生においての選択、あの時、ああしていたら、こうしていたらどうなっていたただろうと言ったところでしょうか。色々と考えさせられるし、もう一度見直したくなる作品でした。 「人生には他のどんなことも起こり得ただろう。それらには全て同等の意味があったはずだ。」 同等の意味かあ…とはいえ3本目はどれにするかなあ…
  • JG
    3.7
    14年前の作品だけど今観ても新鮮。 目まぐるしく展開があって、どの人生を選択してもニモの人生なんだろうなと思う。 9歳のニモ(ジャレッド・レト)が両親の離婚で父親につくか、母親につくかでまったく違う人生を送る事になる。 近未来の話なんだが、現代シーンが多い。哲学的な話でした。 宇宙の歪みで起こる世界。実際ありそうな気がする。ジャレッド・レトと映像美が美しい。
  • Romie
    4
    映像はともかく内容が楽しかった 日々後悔しちゃうこともあるけど長い目でみて別の選択が本当に正しかったはわからないのでこれで良いよね、と思える作品でした
ミスター・ノーバディ
のレビュー(12139件)