悪党に仕事納めは無い!強盗!殺人!あげくに収監!大晦日の犯罪映画

Why So Serious ?

侍功夫

年の瀬も押し迫り、坊主も走る慌ただしい時期がやって来ました。日本人ならクリスマスよりもお正月です!

いつもは朝から晩まで大忙しのサラリーマンにOLさんも、この時期はお休みです。ゆっくりコタツでみかんを食べながら日がな一日テレビを見て過ごすという人も少なからずいると思います。

そんな中でも、休まずに働いている人もいます。おまわりさんと犯罪者たちです。

おまわりさんは人々が楽しく安全にお正月を迎えられる様に仕事をしています。犯罪者たちは休みに入り気の緩んだ人々をカモにしようと虎視眈々と狙っています。また、捕まえられた犯罪者たちは刑務所に入れられて盆暮れ正月も何も無い日々を過ごさせられます。

それら、本当に“ブラック”な年の瀬の攻防を描いた作品をご紹介します。

犯行

人々が浮かれお酒を酌み交わす瞬間こそ、犯罪者たちが目覚める時です。

~泥棒~ 『オーシャンと十一人の仲間』

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第二次大戦時10人の仲間と死地をくぐりぬけてきたダニー・オーシャンが、再び仲間を集め、大みそかから新年に変わる瞬間に5つのカジノを同時に襲撃する大胆不敵な計画を立てます。

ジョージ・クルーニーブラッド・ピットマット・デイモンらでリメイクされたオーシャンズ11のオリジナルになります。フランク・シナトラが「ダニー・オーシャン」を、ディーン・マーティンサミー・デイビスJrなどが脇を固め、当時の大スターが勢ぞろいした作品になっています。

本作の日本公開は1960年12月25日になります。オールスター総出演の本作は豪華な“お正月映画”として公開されたワケです。

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~強姦・殺人~ 『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』

ストレンジ・デイズ

体験の五感を録画し、他人と共有できる闇ソフト“スクイッド”に収められていたのは、録画装置を付けた女性を犯しながら自分に同期再生し、自分で自分に犯され殺される体感を、さらに録画した倒錯的な記録でした。

警察を懲戒免職になったレニーはかつての恋人フェイスがその倒錯殺人鬼のターゲットにされていることを知ると2000年を前にした大晦日に一人で犯人を追います。

原案と脚本にジェームズ・キャメロン、監督はハート・ロッカーキャスリン・ビグロウと、オスカー受賞前の2人が組んだSFスリラー作品です。本作に登場する、他人と意識を共有する“スクイッド”はキャメロンの後の代表作アバターに受け継がれることとなります。

逮捕

おまわりさんだって本当はお正月くらい「こたつでみかん」したいんです。

~不当逮捕と射殺~ 『フルート・ベール駅で』

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(c) 2013 OG Project, LLC. All Rights Reserved.

サンフランシスコで実際にあった事件を元にした作品です。2006年の大晦日の夜、電車内でのケンカ騒ぎでホームに放り出された青年オスカー・グラントは丸腰なのにも関わらず、駆けつけた警察官2人に組み伏せられ、抵抗できない上で射殺されます。

本作は、そのオスカー青年の最期の一日を追い掛けていきます。子煩悩で気はイイが間の抜けたところもある、どこにでもいるチョイ悪な青年です。確かに多少は悪い生活をしていますが、殺される程の理由はありません。そんな彼の日常を見事な筆致で描いていきます。

主演のマイケル・B・ジョーダンと監督のライアン・クーグラーは現在公開中のクリード チャンプを継ぐ男の主演/監督のペアです。本作の見事な出来栄えが、ロッキースピンオフ製作に後ろ向きだったスタローンを動かしたそうです。

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~現金輸送車警護~ 『マネー・トレイン』

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地下鉄で各駅の売上を回収して走る最終列車、通称“マネー・トレイン”の警護を任された警察官のジョンとチャーリー。切符売り場の放火犯を追っているスキに集金袋を盗まれてしまい、日ごろから彼らを嫌っていた上司にあらぬ疑いをかけられます。気の荒いチャーリーは濡れ衣の腹立ちついでに大晦日のマネー・トレイン襲撃を本当に決行してしまうのです。

主演のウディ・ハレルソンウェズリー・スナイプス共に逮捕歴があります。ウディは大麻合法活動家として大麻栽培や度重なる暴力沙汰を起こしています。ウェズリーは巨額脱税で3年の実刑を喰らい、2年半以上のムショ暮らしをしていました。

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収監

悪いことをすると入れられるのがメシが臭いことでも有名な刑務所です。

~護送~ 『アサルト13 要塞警察』

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老朽化したデトロイト警察の13分署は、新しい建物への引っ越しがほぼ終了し、数人の留守番を残して新年を翌日に控えていました。そこへ大雪のために囚人護送車が避難してきます。緊急措置として受け入れますが、同時に謎のギャング集団が襲撃してくるのです。彼らの狙いも解らないまま、少ない警察官たちと犯罪者たちは共闘し、大雪の降る古い警察署に立てこもるハメになります。

ジョン・ウェインの傑作西部劇リオ・ブラボーを元にしたジョン・カーペンター要塞警察の、さらにリメイクです。「大雪の降る深夜の街はずれの閑散とした警察署」という厳しい条件に「年の瀬」が、さらに追い打ちをかける構造になっています。

~服役~ 『極道めし』

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浪速南刑務所、雑居房204号室では毎年1月1日に出される特別メニューのおせち料理を賭けて、ある“勝負”が行われます。それぞれが今まで食べた旨いものをなるべく旨そうに語り、生唾を飲ませられれば「勝ち」で、生唾飲んでしまった「負け」た人のおせちから一品奪えるというものです。

受刑者たち唯一の楽しみと言っても過言では無い食事の、しかもおせち料理を賭けた真剣かつ美味しそうな戦いが描かれます。

彼らが披露する“語り”は、食事にちなんだ悲しい過去や突拍子もない奇妙な贅沢です。「空腹は最高の調味料」という常套句がありますが、料理とは味そのものに加え、食事の状況こそが味を引き立てるのだと証明していきます。

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なんでもない日おめでとう!

おめでたい! と、よく言われる元旦ですが、年をまたいだからと言って借金がチャラになったり、ライフが全回復するワケでもありません。だからこそ一年の終わりと始まりを決めて「あぁこれで今年もおしまい!」とか「さぁ、ここから1年がんばるぞ!」とか言うのです。

そうじゃなければ、大掃除をしたり実家に帰って親に顔を見せるタイミングも無く、寒いか暑いか程度の違いでずーっと同じ毎日を過ごすしか無くなります。多くの人々が申し合わせて特別な日だという事にした、記号でしか無い「大晦日」「元旦」ですが、そこには機能性を帯びています。

だからこそ「大晦日/元旦の犯罪」も映画的な色彩を孕んでくるワケです。

みなさんも、この「なんでもない日特別な日」にするべく普段はやらないことでもしてみてはどうでしょうか?

なるべく犯罪以外で……

 

※2022年6月30日時点のVOD配信情報です。

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  • 三樹夫
    4
    世紀末のロサンゼルス、他人が体験したことを追体験できるVRディスクが流通しており、主人公は元刑事の今は闇ディスクの売人という、例えるなら裏ビデオの売人みたいなことをしている。治安がとんでもないことになっていて、警察の横暴から人気黒人ラッパーが民衆をアジるが射殺されてしまう。主人公の知り合いの娼婦アイリスも殺され、アイリスが残したディスクには驚愕の事実が記録されていた。主人公は友達のリムジンの運ちゃんと真相を探るという話。 監督キャスリン・ビグロー、原作・脚本・製作ジェームズ・キャメロンの元夫婦コンビが放つ世紀末近未来SFノワールBLM中二映画。デザインはシド・ミードで、話の内容もさることながらディックみがある映画となっている。キャメロン執筆の原作小説からの映画化だが、中二感が凄い。これを元妻が映像化ってどういうつもりだったんだろう。 主人公は巻き込まれ型の探偵役で、とんでもない陰謀と対峙することになるのかと思いきや、そこのところはこじんまりと終わる。映画全体の流れが今観るとBLMなので、その後ビグ姐が『デトロイト』を作るのも何か納得する。 映画の前半は世界観の説明に従事しており、ただこの世界観が中学生かというような、中学生マインドが炸裂した近未来になっている。キャメロンの好きなやつ、それこそ中学生かみたいな感覚をぶち込んでおり、そういえばキャメロンって元々は中学生感あふれる映画作っていたなと思い出す。寝取られ恋人を忘れられず、元恋人との思い出デートの記憶を再生する主人公だが、最終的に恋人はかなり存在感薄く終わるのも、前半と後半でチグハグな印象を受ける。前半は近未来SFノワールだが、後半はサスペンスアクションになる。 特にキャメロン色が強いのがメイスで、こんなのただの『エイリアン2』のバスケスやん。相変わらず聖母信仰が強いというか、マザコンはよりこじらせており、メイスが完全に母親的な立場で挙句主人公が甘えだすという、キャメロンのマザコン願望がダダ洩れしてる。 ディスクを再生する時は完全一人称視点になり、当事者になりきって記憶を追体験するが、ビグ姐は一人称アクションに全力投球。特に冒頭のレストランに強盗に侵入してから警察に追われ屋上に上がり、隣のビルに飛び移る映像がビグ姐お得意の骨太なアクション演出で描かれる。階段上ってて下に向けて発砲する時が、あぁビグ姐のアクションとなる。 近未来描写として街の描き方が、とりあえずスモークをモクモクにしてライト当てまくるというので、これで近未来描写は終わりとなっており、後はやたら治安の悪いロサンゼルスが広がる。 劇中のVRディスクの使い道のほとんどがエロビデオと一緒で、中学生感が半端じゃない。そしてエロときたらスケベ親父として日本のサラリーマンが登場。1995年当時でもエロ関係のところには日本人という一時期の洋画のお約束がまだあることが分かる。バブル期は調子こきまくっていたが95年だと結構日本人はへばっていたのではないかと思うのだが、90年代後半からスケベ親父は援交に走り出すので、それぐらいの時からお約束は無くなっていくのかな。
  • わん
    3.9
    このサントラ買ったなあ
  • M2
    -
    トムサイズモアが2023年頭になくなっているとは残念 ジュリエットルイスは歌も歌えてこういう役に妙にはまる deep forest の曲は好きかも SFとしての記憶を扱う小道具はありきたりだった 1995年から見た1999年か 2023年になってもこれはおきていない(と思う) 米国版dvd購入
  • tak
    3.4
    製作当時としては近未来の1999年の大晦日、ダンスミュージックと激しいロックをバックに繰り広げられるサスペンス。ジェームズ・キャメロン製作、元妻キャスリン・ビグローが監督した、迫力ある映像エンターテイメント。キャメロンは、新作を撮るたびに新たな撮影技術を工夫してきた人でもある。この作品でも激しい主観移動に対応できる撮影を行ったと聞く。それは、人間の五感を記録するメディアが劇中登場することも一因で、人間の視線で撮影される追体験シーンは、他の映画ではなかなか見られない場面だ。 その記録ディスクに、ある黒人指導者(これがラッパーというのが現代的)殺害の真相が記録されていた。レイフ・ファインズ扮する主人公はその謎をめぐる騒動に巻き込まれ、相棒の黒人女性と共に謎に迫るというお話。この相棒をアンジェラ・バセットが演じているのだが、これがキャメロン作品らしい強い女で実にカッコいい。 映像表現の大部分が主人公の目線、つまり白人側の視点で描かれている。黒人指導者の下で、マイノリティが勢いを持っている時代という描写は納得がいく。指導者殺害によって市民が憤っている状況は描かれるのだが、残念なのはアンジェラ・バセットが白人主人公の協力者にしか見えなかったこと。事件について憤りはのぞかせるけれど、観終わって残るイメージは、昔からのハリウッド映画的な白人の協力者としての黒人。白人目線ならこの映画は文句ないだろうが、黒人目線なら物足りなさ、いやそもそもエンターテイメントとして成立しうるのか?と思えた。 ビジュアル表現が魅力の映画だが、何より素晴らしいのは音楽。ニューエイジ系のフランスの音楽ユニット、ディープ・フォレストとピーター・ガブリエルがコラボした主題歌While The Earth Sleepが絶品。ダンスビートにピーターの叫びが乗る聴覚の快感。また、小悪魔ジュリエット・ルイスがボーカルのロックバンドも登場。どちらも収録されたお得なCD、当時買っておいてよかった。 96年の公開だが、95年末の試写会で幸運にも鑑賞できたラッキー。当時、ジュリエット・ルイス大好きだったので、ムフフな場面を主人公目線で見られたのもラッキー。
  • mare
    3.5
    2000年を目前に控えた近未来サスペンスで攻殻機動隊っぽさがある。都市全体を包み込む世紀末感と、その影で暗躍するバーチャルに隠蔽された殺人事件の華麗なる追走劇。五感を閉じ込めたディスクなるアイテムがSFで、当事者の体験がそのままVRのようにパッケージされていて、ドラッグのように人を高揚させたり、決定的な捜査の証拠になったりする。それにしてもやけに壮大な話だなと思っていたら脚本はジェームズ・キャメロンでキャスリン・ビグローとはパートナーとのことらしい。知名度こそ低いがアクションや爆発など派手な描写が多い。
ストレンジ・デイズ/1999年12月31日
のレビュー(932件)