命の根源に触れるホラー映画を4DXで体感せよ!白石晃士監督単独インタビュー

揺れる、濡れる、香るなど4DXの特殊効果全11種類が25分間にギュッと詰まった話題のホラー映画『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』が1月16日から全国ロードショー。料金はなんと一律1,300円!

映画館で体感必須の本作の魅力、そして命の根源的なモノに触れる不気味さを描く白石晃士監督ご本人に直撃インタビューしました!

メイン

『マッドマックス』でさえ時々しかやってなかったことを詰め込んでやるぞ!と(笑)

—『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』、早速4DXで体感させていただきました。本当に特殊効果の連続でした!

ありがとうございます、『ボクソール★ライドショー』は完全に4DX上映を前提にした作品です。脚本をつくる時から、特殊効果を織り込んでいきました。「あれ?会話が続いて、特殊効果がなかなか出てこない…、ちょっと会話を縮めて効果を入れよう」という感じで(笑) 長い時間、何の効果も使われない状態がないように心がけていました。

白石監督5

—まさに4DX専用ムービーですね。あっという間の25分でした。制作の参考に4DXで観た映画はありますか?

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ですね。

マッドマックス

(c)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

2回観て、参考にしました。長編の映画だと、4DXの効果があまりにもたくさん使われすぎると、かえって逆効果で不快になってしまうんですよね。だから、時々使われる。

一方、短編なら色々詰め込んでも耐えられるというか、むしろ楽しんでもらえるのかなと。『マッドマックス』でさえ時々しかやっていなかったことをコッチはすごい詰め込んでやるぞ!という意識はありました(笑)

白石監督2

誰もが知っている場所でヤバいことが起きるリアリティ

—本作では、監督お得意のPOV方式(Point of View Shot:主観ショット)での撮影を採用されていますね。

はい、POVの手法を使うひとつの理由は、臨場感を出すということ。観ている人が、まるでそれが本当に起こっている出来事であるかのように感じることができるというのが、一番の利点かなと。

ボクソール1

4DXは、映画館でより臨場感を楽しんでもらうためのシステムだと思うので、(POV方式は)臨場感をより高めるためにも効果的だと思いました。「その瞬間をカメラが捕らえた!」という生中継設定があることで、“これは本当に起きていることだ”という演出が加わってリアリティが増すんですね。

—廃校という舞台にも、不思議なリアリティを感じました。なぜ廃校を選んだのでしょうか?

学校というのは、ほとんどの人が行ったことのある場所で、誰しも学校での記憶や思い出を持っているわけです。自分も知っている場所でヤバいことが起きるという現象を身近に感じることができると思うんですね。

ボクソール2

ボクソール3

廃校に入ったことはないかもしれないですけど、生徒がみんな帰った後の学校に足を踏み入れたりとか、たまたま教室に残っていたらみんな帰っていなくなっちゃってたとか、そういう自分の経験に照らし合わせられる。そんな狙いがあって廃校にしています。

—そんな廃校で女子高生アイドルが恐怖体験をするわけですが、ホラーだけにとどまらない色々な要素もありました。

冒険活劇でありたいなというのはありますね。あとは、女の子たちの友情が軸になっている救出劇でもあります。

ボクソール4

ボクソール5

—そして笑いもありました(笑)

そこはかとないユーモアですけどね(笑) 自分の作品には常にそういう要素を入れたいと思ってます。本作で言うと、大切な友だちを人体模型と間違えたり…(笑) バケモノたちの動きもそうです。今回は特に、中高生や若い方たちが観終わった後に、友だちと笑い合ってネタにしてくれると楽しいなと思って、「明るさ」を意識したところはあります。

命の根源的なモノに触れる不気味さ。あの生命体の正体は…

—「バケモノ」でいうと、本作ではこれまでの白石監督作品のモチーフのひとつである、“触手のような生き物”も登場しますね。あの正体は一体なんなのでしょうか?

イメージの元はヒルなんですけど、ヒルとかミミズの動きって、私自身生理的に本っ当に大キライで(笑) あの単純な伸縮運動って、生命の根っこを見ているような不気味さがあると思うんですよ。それで、みんなも生理的嫌悪を感じるのじゃないかと。あの動きは、人間の心臓にも近いものがありますよね。だから、本当は人間の中にもそういう不気味なモノがあると言える。

白石監督4

ヒルの動きを見ると、そういう不気味さや怖さを無意識的に、動物的に感じ取るから嫌悪感が起こると思うんですよ。そういう生命の根源的なモノに触れる感覚って、ホラー表現として面白いなと思って、取り入れています。

—そうだったんですね、とても興味深いお話です。てっきり、ご自身のトラウマが反映されているのかと…。

あの動き自体がトラウマですけどね(笑) あ、でも、実は目の中にヒルが入ったことがあって

—え!?

高校の時に山岳部に入っていたんですけど、登山合宿へ行って、川で顔を洗った時にどうやら入ったみたいで。学校の休み時間にトイレの鏡で目を見てみたら、上まぶたの方に細くて赤黒いモノが見えた。「え!?」と思って、まぶたを上げたら、そいつが奥にヒュッと入っていったんですよ。

白石監督3

それが結局、小さなヒルだったんですけど。保健室の先生に綿棒を突っ込んで取ってもらったら、米粒くらいの長さで、綿棒の上でニュ〜ッと伸びてた(笑) そういう経験も作品に関係している、のかな(笑) あと、耳にアリが入ったこともあります。鼓膜あたりを噛まれてメッチャ痛かったですけど。

4DXには映画館でしか体験できないライブ性がある

—本作で4DXをやるだけやった感はあるのかなと思いますが、また4DXにトライしたいですか?

またやりたいですね。4DXには、2D映画プラスαの楽しみがありますし、何より映画館でしか体験できないという一回性やライブ性が加わるので、それは映画体験としてはすごく価値があることだと思いますね。

白石監督6

私が監督した『貞子vs伽倻子』(2016年6月公開)も4DXで上映するそうなので、それも楽しみにしてます。精神的にジワッと来るような4DX体験になると思います。

今回の『ボクソール★ライドショー』は、4DX専用ムービーということで、思いっきりアクションを楽しんでもらいたいですね。

—最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします!

4DXを体験したことのない人にとっては、4DXがどういうものなのかを短い時間でたっぷり体験できる作品になっていると思います。ぜひ映画館でご覧ください!

白石監督1

—白石監督、お忙しい中どうもありがとうございました!大人も子供も、4DXをおトクに思いっきり体感できる絶好の機会、ぜひ映画館へ!

(取材・文 / 斉藤聖 撮影 / 辻千晶)

ボクソールライドショー ポスター

2016年1月16日(土)より、ユナイテッドシネマ他にて全国ロードショー》

映画公式サイト:http://4dxmovie.jp/

(C)2016VAUXHALLRIDESHOW

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