インディーズ好きに贈る!『ドープ!!​』などサンダンス映画祭を賑わせた音楽映画集

ミニシアター好きな大学生

Moca

現在『シング・ストリート 未来へのうた』や『AMY エイミー』などの音楽映画が注目を集めていますが、それらに続いて7月30日から、90年代のヒップホップに憧れた若者たちを描いた映画DOPE/ドープ!!​がいよいよ封切られます。

昨年サンダンス映画祭でプレミア上映され、カンヌ国際映画祭でも高い評価を受けた本作。何と言ってもファレル・ウィリアムスが製作総指揮・楽曲提供をしていることで話題になっており、音楽好きならぜひともチェックしたい1本です。

そこで今回は『DOPE/ドープ!!​』など、サンダンス映画祭を賑わせた音楽映画を中心に、インディーズ映画が好きな方におすすめしたい作品をご紹介します。

FRANK-フランク-(2014)

大きな被り物をかぶって素顔を誰にも見せようとしないフランクが率いるバンドに突如加入することになった、主人公の青年ジョン。憧れのロックスターを夢見てバンドに入ったはいいものの、彼らのやっている音楽はなんだか変わっていてバンド内でたびたび起こるいざこざにも振り回されてしまうことに…。

そんな時、ある事件をきっかけに物語は思わぬ方向へと向かっていきます。

FRANK

© 2013 EP Frank Limited, Channel Four Television Corporation and the British Film Institute

コメディなのかと思いきや中盤で起こる事件を境に、がらっとシリアスな雰囲気に変わるストーリー。

ルーム』でアカデミー賞にノミネートされたレニー・アブラハムソン監督ならではの、言葉に頼らない演出が光ります。笑いのセンスはなかなかシュールですが、心にずっしり響く重厚な物語には深く考えさせられるものがあります。

「世界一美しい顔」に選ばれたこともある、人気も実力も兼ね備えたマイケル・ファスベンダーが劇中ほとんどその顔を見せないで挑んだフランクは、実在したイギリス人の歌手がモデルになっているというから驚きです。

アバウト・タイム 愛おしい時間について』や『エクス・マキナ』、『ブルックリン』などミニシアター系の良作に多く出演しているドーナル・グリーソンやジェイク・ギレンホールの実の妹のマギー・ギレンホールの出演にも注目です。

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君が生きた証(2014)

愛する息子を失った父親が、息子の遺した音楽を奏でることで人生に再び輝きを取り戻していきますが…。最後に誰も予想のつかないようなどんでん返しが待っている衝撃の物語です。

君が生きた証

© Courtesy of Sundance Institute

『ファーゴ』や『マグノリア』などで独特な存在感を放ってきた名優ウィリアム・H・メイシ―初監督作品。本人もライブバーのオーナー役で登場しています。

そして何と言っても先月亡くなったアントン・イェルチンが、息子を失ったサムのバンド仲間としてメインキャストで出演していて、『君が生きた証』というタイトルもこうして見るとなんだか感慨深いです。実生活でもバンドを組んでいた彼の歌声はとてもきれいでさわやかで、少し気が弱いけれど優しい役柄も本人にぴったり。改めて突然の死が惜しまれます。

また映画のサウンドトラックもとってもおすすめです。音楽自体も素晴らしいのですが、映画を見てから聞いてみるとその奥にストーリーが生まれてまったく違った印象に聞こえると思います。

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スロウ・ウェスト(2015)

開拓時代のアメリカ西部を舞台に、恋人を探してアメリカへやってきたイギリス人の青年と、賞金稼ぎの用心棒との交流を描いた西部劇です。

FRANK ーフランクー』のマイケル・ファスベンダー主演で、脇を固める俳優も『コングレス未来学会議』のコディ・スミット=マクフィーや『アニマル・キングダム』のベン・メンデルソーンなどひと癖あるツボな俳優ばかりです。

普段、西部劇を見る機会は少ないと思うのですが、この作品は西部劇独特の雰囲気を残しながらもスタイリッシュでストーリーもいたってシンプルなので見やすいです。素晴らしい俳優陣に加えて音楽も主役の1つになっています。

日本版のものがなく海外版ですが、センスの良さが発揮された予告編も最高です。

新宿シネマカリテで開催されるSXSWSXSW 公式HP)で7月17日から公開が決まっているので、この貴重な機会にぜひ劇場に足を運んでみてください。

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DOPE/ドープ!!(2016)

ドープ!!

(c) 2015 That’s Dope, LLC. All Rights Reserved.

アメリカ・ロサンゼルスの犯罪多発地域イングルウッドを舞台に、スラム街出身の青年が恋にトラブルに巻き込まれながら、学校では教えてくれない大切な何かを学んでいく青春映画。

自分のバンドと90年代のヒップホップをこよなく愛する主人公マルコムですが、名門大学への進学を夢見る高校生で「オタク」という設定がちょっと異色で面白いです。

冒頭でも紹介した通り、ファレル・ウィリアムスが製作総指揮・楽曲提供をしているのですが、レニー・クラヴィッツの娘であるゾーイ・クラヴィッツが出演しているところにも注目です。

爽快で清涼感のあるファレルならではのセンスに彩られた音楽と、ギークな青年たちが繰り広げる青春ストーリーは夏にぴったりの1本だと思います。

7月30日より渋谷HUMAXシネマにて、8月13日よりシネマート心斎橋にて、全国順次公開です。

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怪盗グルーの月泥棒(2010)

ご存じ、黄色くてかわいい謎の生物ミニオンたちが大活躍する怪盗グルーシリーズの第一弾。

世界一の悪党を目指す怪盗グルーがミニオンたちを手下に率いて月を手に入れようとするお話です。

怪盗グルーの月泥棒

こちらはサンダンス映画祭とは関係がないのですが、シリーズを通して『DOPE/ドープ!!』と同じくファレル・ウィリアムスが楽曲提供しています。

続編の『怪盗グルーのミニオン危機一発』で使われた「HAPPY」という曲は世界中で大ヒットしたので、映画を見ていなくても知っているという方も多いのではないでしょうか。

ここで取り上げた『怪盗グルーの月泥棒』ではグルーと子どもたちとの出会いの場面が描かれていて、月を独り占めしてしまおうというグルーの悪だくみがとってもロマンチックです。

子ども向けのアニメーションなのに、主人公が悪役でアラブ系の顔立ちだったり(実はとっても優しくてチャーミングな面もあるんですが…)、ファレルをはじめとする音楽もダークで大人な感じなところが新鮮です。

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さいごに

今回はサンダンス映画祭を一つの切り口に映画をご紹介しましたが、気になる作品はありましたか?

少しコアな見方ではありますが、映画を見るときにどんな映画祭に出品されたかなどに注目して見るのも1つの楽しみ方だと思います。映画祭ごとにカラーがあるので、自分の好きなテイストが見つかれば好きな作品に出会える確率もグッと上がるかもしれません。

あくまで個人的な好みになってしまいますが、ベルリン国際映画祭やアカデミー賞の外国語映画賞にもいい作品が多いので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

※2022年2月27日時点のVOD配信情報です。

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    ヒップホップオタクな高校生マルコムはディギーとジブの3人でつるむ毎日。 そんな3人がドラッグディーラーに絡まれ、大量の麻薬をつかまされる。 なんとか処分のため3人はアイデアを出し合う。 見たことも体験したこともないオタクがアンダーグラウンドの世界に飛び込む。 そこをオタクならではの視点で乗り切っていく爽快感がある。 スラム街なので生活はどん底。 でも不思議と明るさがあり、それをヒップホップの音楽で包んでいく。 今の時代ならではなビットコインも物語に活用される先見性。 黒人映画という括りで見られると損をするような良質な青春もの。
  • ィシヅカヒナコ
    3.7
    最後10分くらいの主人公が一皮むけて、自分のアイデンティティや特性と向き合っていくとこがよかった ボトムス、どんな生活なんだろなー
DOPE/ドープ!!
のレビュー(8016件)